言語聴覚士の資格はとったものの、転職を考えることは誰しも1度はあるでしょう。

その理由はなんですか。

キャリアアップのため、家庭との両立のため、お給料アップのため、復職のため、今の職場の人間関係が嫌・・・などなど。

一言に転職と言っても、その目的は人それぞれですよね。

「転職はしたいけど失敗したくないな」いざとなると不安ばかりが募りますね。

今回は言語聴覚士の上手な転職方法を解説します。

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言語聴覚士の仕事で転職する人は多い?

言語聴覚士は国家資格さえあれば、どこでも働くことができる職業です。

資格と経験年数がものをいう業界なので女性だから管理職はできないとか、若いから、年だからどうだとかいうこともありません。

若ければフレッシュな知識と体力がありますし、年齢が高くても知識や経験が豊富であれば欲しがる職場はあると考えてよいでしょう。

言語聴覚士の資格取得者は男女比でいうと8:2くらいであり、女性の割合が圧倒的に多い職業の一つです。

女性では出産育児後の復職や、家庭との両立を目的に転職する方が多いです。

もちろん男性であっても、キャリアアップやお給料アップのために転職する方は多くいらっしゃいます。

言語聴覚士の仕事で、転職を成功させるためにやるべき8つのこと

いざ「転職したい!」と思ってもどんなことから始めればよいでしょうか。

せっかく転職したのに、失敗…なんてことは避けたいですね。

実際に言語聴覚士の転職を成功させるためにやるべきことを解説していきます。

転職する意志を固める

本当に転職したいという強い意志がありますか。

今の環境が働きやすくて、転職を迷う気持ちがあれば、無理に転職をすることはおすすめしません。

転職というのは、時間と労力を使います。

また、転職後も新しい環境に慣れるまでの時間もストレスもかかります。

それでも、「自分は転職して新しい環境でやっていきたい!」と思うなら、転職活動を始めましょう。

転職する目的をはっきりさせる

あなたが転職する目的はなんですか。

  • 「新しい職場で言語聴覚士としてスキルアップを図りたい」
  • 「お給料が良い職場に移りたい」
  • 「自宅から近くの通勤時間がかからない場所へ転職したい」
  • 「人間関係の良い職場に移りたい」
  • 「今の職場が激務なので、お給料は下がってもいいからプライベートな時間がとれる職場がいいな」
  • 「子育てが落ち着いてきたので、復職を考えている。働くママにやさしい職場がいいな」

などなど、転職理由は人それぞで違うと思います。

職場選びに迷った時は、「自分は何のために転職をするのか」ということを明確にしておくことは、転職先の候補を絞り、転職を成功させるためにとても重要なことです。

転職期間を定める

いつまでに転職したいですか。

1~2か月先でしょうか、3か月先でしょうか、それとも6か月や1年先でしょうか。

今の職場を辞めてから転職活動をするのか、それとも今の職場で働きながら転職活動を同時進行させる予定でしょうか。

これは、自分が転職活動をする上でとても大切なことです。

期間を定めなければ、転職自体があいまいになり転職できなかったり、職場に引き止められて辞められなくなってしまったり、十分に転職先を吟味できないまま転職し、失敗…なんてことも考えられます。

また、現在働いている職場の引き継ぎや自分の担当している患者さんや利用者さんへの配慮などを考えると、転職日から逆算しどのくらいの期間を転職活動に使えるかを考える必要があります。

職場を辞めることは上司に報告はせいぜい1か月半~2か月前までにすませ、他の職員への引き継ぎ業務や、患者さんや利用者さんへのリハビリ担当者が変わることの報告はどうするかを上司と相談する必要があります。

私の経験上は、急な担当者の変更はご本人だけでなく患者さんのご家族からのクレームとしてもよく上がるもので、病院や施設全体に迷惑がかかり、辞める間際に「いい加減な職員」というレッテルを張られ、新しい職場探しにも悪影響を及ぼしかねないのです。

後に業務を担当するスタッフに迷惑をかけず、スムーズに職場を去るためには期間は計画的に決めるべきです。

いつ職場に報告し、いつ引き継ぎ、患者さんに対しては担当者が変わることをどう報告していくかなど、職場のスタッフと相談し後のスタッフに迷惑がかからないようにしていくことが、結果的に自分のためになります。

自分の経歴をチェックする

自分が今までどんな職場で働いてきたかを書き出してみましょう。

言語聴覚士としての特技やアピールポイントは何なのか、人それぞれ違うと思います。

  • 「急性期病院で働いた経験があり、多くの疾患、さまざまな言語障害の知識がある」
  • 「回復期で摂食・嚥下機能障害のリハビリを多く経験してきた」
  • 「小児のリハビリの実務経験がある」
  • 「医療現場だけでなく介護現場でのリハビリの経験がある」
  • 「認定言語聴覚士をもっている」

などなど自分の特技をアピールできるとよいでしょう。

自分の長所と短所を明らかにする

これは、言語聴覚士に関わらずどんな仕事に就くうえでも重要だと思います。

自分の長所と短所を把握し、他人に説明できる力は職場でのコミュニケーションをとり人間関係を円滑にしていく上でもとても大切なことです。

転職候補として挙がっている職場を書き出す

転職候補として挙がっている職場を書き出してみましょう。

そして、転職理由をもとに優先順位をつけるのです。

「給料」「自宅との距離」「職場環境」「医療現場か、介護現場か、訪問か」「給料は良いけどお休みが少ない」、「職場環境はよさそうだけれど、自宅から遠い」などなど

自分の決めた基準に従い、優先順位をつけてみましょう。

実際に職場見学に行ってみる

いいなと思った職場が絞り込めたら、優先順位の高いところから実際に職場見学に行ってみましょう。

言語聴覚士の職場は、職場見学をさせてくれるところがほとんどです。

見学に行くにあたっては、事前に質問したい内容をまとめておくことをおすすめします。

実際に見学をさせていただき、職員の方と実際にお話をすることで職場の雰囲気や働きやすさなどを感じ取ることができると思います。

最低でも3か所は見学に行って自分の目で確かめることをおすすめします。

求人が多く出る時期をリサーチする

これは、求人サイトなどに登録しておくと教えてくれると思います。

ここはプロの力を借りてみるのもよいと思います。

条件や給与の交渉も行ってくれます。

私の経験では、夏のボーナス後、冬のボーナス後の転職するセラピストが多くいました。

そのタイミングで求人が増えるかもしれないので、それ以前に転職活動をスタートさせ、常にアンテナを張っておくことが大切ですね。

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転職するにあたっての必要な心構え

見栄を張らずに自分に合った転職先をみつける

転職するにあたっては、見栄を張らないことが1番です。

「有名な病院だから」とか「誰もが知っているリハビリ施設だから」「先輩にすすめられたから」というような他人目線でみて、自慢できるというだけで職場を決めてしまうのはやめた方がいいと思います。

もちろん、その職場が本当に自分に合っていて働きたいのであればいいと思います。

しかし、「本当はBの職場の方が自分に合ってそうだけれど、Aの職場の方が他人に自慢できるからAにする」というのはやめた方がいいと思います。

あくまでも働くのは自分です。

自慢できるのも最初だけ。

自分で決めた優先順位に合った職場を選びましょう。

譲れない点、妥協点をはっきりさせる

全てを満たす職場を探すのは難しいかもしれません。

例えば、子育て中なので「自宅からも保育園からも近い」「土日祝日はお休み」「残業がない」「子供が熱を出したときなど急なお休みにも対応してくれる」などの条件を挙げると、自宅も保育園も近いが「土曜と祝日は出勤しなければならない」などと妥協しなければならない点がいくつか挙がってくると思います。

この場合は、土曜や祝日にパパやおばあちゃんが子供をみてくれるのであれば何とか条件を補うことができそうですね。

しかし、土曜はパパも仕事でおばあちゃんも遠方にいるので頼れないのであれば、多少遠くても、土日祝日完全休みの職場を探すことが必須になります。

このように、吟味していき自分が譲れない条件を絞っていく作業が大切です。

私の失敗談ですが、子育て後の復職で子供が1歳の時に福利厚生のある大きな病院に就職しました。

時短勤務の制度もあり、託児所も併設されている子育てには充実した設備が整った病院でした。

しかし、入社後気が付いたことは、私以外誰一人子育て中のスタッフがいないこと。

残業はみんな8時頃までやっていて、時短勤務の私の立場はどんどん弱くなっていきました。

「子供がいても遅くまで残れるはず」「熱を出したからといってなんで帰るのか。ほかに育児を頼める人はいないのか。」「減給する。」などという言葉を浴びせられました。

私は自分の仕事は時間内に済ませ、やるべきことはやっているつもりでしたが、独身で自由に時間を使える人たちと同等の仕事は、どう頑張ってもできませんでした。

挙句には、日ごろの自分のストレスと子供にも無理をさせてしまったことが原因で、子供が救急車で運ばれるという事態になってしまい、その職場をやむなく退職しました。

この病院は制度としては、育児環境はあったのですが、それを職員が理解し実際に活用している人はいなかったのです。

現在は、同じような年齢のお子さんを抱えて働くスタッフがいる、子育てに理解のある職場に転職し生き生きと働いています。

現在の職場に転職する際には、「仕事と育児を両立できる環境」を第一優先と考え、自分の意思を伝え、それを本心で理解し受け入れてくれる職場かを見極めて転職しました。

私のように失敗しないために、何が1番大切か、譲れない点は何なのかをはっきりさせることが転職をする上で大事なことだと思います。

転職をポジティブに考える

転職をする理由はいろいろあると思います。

「人間関係がうまくいかなかった」「残業が多く、体を壊してしまった」「上司からハラスメントを受けた」「先輩にいじめられ言語聴覚士をやっていく自信がなくなった」などと働くことが嫌になってしまい転職を考える方もいるでしょう。

そのような事情を抱えていると、次の転職も同じ目に遭ってしまうのではないかと不安に感じていると思います。

しかし、そんなことはありません。

世の中に働く場所は、たくさんあり、自分に合った仲間と生き生きと健康的に働ける場所はたくさんあります。

気持ちを切り替えて、自分に合った、新しい職場を見つけてみましょう。

広い視野に立って転職先を考える

転職をする際に、あまり吟味をせずに「知り合いの紹介」や「ハローワークの紹介」などであっさりと職場を決めてしまう方がいらっしゃいます。

これはあまりおすすめしません。

早く職場を見つけたいという気持ちはわかりますが、長く働くことを考えると、給与面や休暇、職場の将来性、福利厚生について十分にリサーチしてから転職した方がいいと思います。

あっさりと転職してしまった後で、「やっぱり考えていた職場と違った」「他でいい求人をみつけてしまった」などと後悔してしまうことになるかもしれません。

前の職場への礼を尽くす

転職を考えるとき、前の職場への不満は少なからずあるでしょう。

しかし、職場に切をつけて今度こそ転職を成功させたいなら、退職する職場にできるだけ迷惑をかけないように配慮することが必要です。

「立つ鳥跡を濁さず」と言いますが、縁あって働いた職場に対し礼を尽くすことが、次に良い職場とめぐりあえることにつながるからです。

言語聴覚士は、病院や施設間に関わらず資格を持った方が集まる県士会や学会があり職場が変わっても少なからずつながりがあります。

特に前の職場から近い場所へ転職する場合は、患者さんや利用者さんの入退院の件などで病院間の情報のやり取りがあります。

そのため「○○病院の言語聴覚士はいい加減」などという悪い噂もあっという間に広がってしまう世界なので、辞める職場であっても、良い印象を残し気を付けて行動した方がいいでしょう。

言語聴覚士の転職で年収を上げるためにやるべきこととは?

プラスアルファの資格を取得し強みとしてアピール

認定言語聴覚士には『摂食・嚥下障害、失語・高次脳機能障害、言語発達障害』の3つの領域があります。

これは日本言語聴覚士協会が新しく設けた認定資格です。

これを持っているとより専門性の高い知識を持っている言語聴覚士であるという証明になります。

転職の際にアピールすることで、年収の交渉などが可能となるかもしれません。

訪問リハビリステーションなど歩合制で給与をくれる職場でがんばる

病院や施設は月給制であり、固定給で給与が支払われます。

しかし、訪問リハビリステーションでは歩合制の職場があり、がんばればがんばっただけ給料がもらえる可能性が出てきます。

昇給が良い職場に転職する

始めは給与が高くても、昇給が年に1回で1,000円というと働く気持ちが失せてしまいそうですね。

中には始めの給与はそこそこでも昇給が10,000円という職場もあります。

昇給が年に2回あるなんて職場もあります。

長く働くことを考え、自分のモチベーションを維持するためには年々給与が上がっていくことは大事なことだと思います。

管理職をねらう

一つ目は、管理職を募集している職場に転職し、管理職としてよいお給料をもらうこと。

もう一つは、職場に長く勤めることで、主任、副部長、部長などの管理職をねらうことです。

管理職となれば、昇給のレートもよく、ボーナスも平社員よりは多くもらえる可能性があります。

まとめ

以上、言語聴覚士の上手な転職方法についてまとめてみましたがいかがでしたか。

長い人生、結婚、出産、離婚、病気、引っ越し、転勤、子供の入学、卒業などなど多くの出来事があるでしょう。

その度に、転職を考えることもあるでしょう。

せっかくとった言語聴覚士の資格です。

その資格を十分に生かすためにも、生き生きと自分らしく働ける職場を見つけられることを心から祈っています。

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