2020年7月6日

現在の日本の医療は、段々と入院日数が短期化しており、病気のために障害を有していても、地域で自分らしく生活する方が増えてきています。

しかし、障害のために自分一人で日常生活を営むことが難しく、地域の障害者施設に入所する方もたくさんいます。

施設に入所しながら自分らしく生活を営む方々の支援を行うのが、生活支援員です。

この記事では、生活支援員求人でよくある募集内容やおすすめ求人のポイントをご紹介します。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
(正社員希望の人限定)

生活支援員のおおまかな仕事内容

おおまかな仕事内容

障害者施設において、障害をもった方に対して身体機能や生活能力の維持や向上に向けた支援を行います。

簡単な例をあげると、着替えがうまくできない方に対して一緒によい方法を考え継続して支援を行うことにより、利用者の方がその方法を習得し、自分で行うことができるようになるといったことです。

また、身体的には課題はないけれど、入浴ができない、衛生面に課題があるといった方に関しては、入浴の重要性や保清の必要性などを伝え、よい方法や情報を提供し、ともに行うことにより習慣化していき、利用者様が主体的にできるようになるお手伝いをします。

こうした課題だけに取り組むのではなく、不安なことや施設内での人間関係の悩み、家族への連絡調整など、心理面でのサポートも大切な仕事となっています。

生活支援員は職場でどういう役割を求められる?

やはり利用者様と一番近い距離で、身近に接する職種であるため、個々のニーズや現在の課題、何に困っているかということを本人の様子から感じることや、直接話を聞く役割が求められます。

生活支援員だけがその役割を担うわけではありませんが、利用者様にとっては施設内では一番身近なスタッフということになります。

生活支援員求人にはどんな種類があるの?

ひとことで生活支援員といっても、どこで働くかによって種類はいくつかに分けることができます。

生活支援員の募集でよくある施設や事業形態のパターン

グループホーム

利用者様の自立度によって行う支援は異なりますが、入浴、排せつ、食事の介助、または介助までは必要としない方の場合は見守りや声掛け、安全面での配慮など、身の回りの支援を中心に行います。

また、身体的な介助だけではなく、金銭管理や家族との連絡調整など、日常生活におけるお手伝いを行うことが多い職種となります。

就労継続支援事業所(A型、B型)

障害者総合支援法に基づいた障害者の方の就労を支援するのが、この就労継続支援事業所です。

今回はA型とB型の違いについての説明はしませんが、どちらも就労を希望する障害者の方が就労訓練を行うために通所してくる、日中活動の場と考えていただければと思います。

ここでの生活支援員の仕事は、就労や生産活動の場の提供、内職などの軽作業から、体を使って働く訓練を通して作業スキルの向上を図ることや、生活リズムの安定、人間関係やコミュニケーション能力の向上のサポートを行います。

もちろん、作業や能力向上のみならず、通所してくる方の健康状態の確認や相談に乗ることも、大切な仕事となっています。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、先にご紹介した就労継続支援事業所と同じように、障害者総合支援法に基づいた事業所となっています。

就労継続支援事業所との違いは、障害者の方が一般雇用や障害者雇用など、福祉的な就労からステップアップするための支援を行う場と考えて頂くと、その違いが分かりやすいと思います。

そのため、利用者様個々に応じた適正な職場開拓や、就職後にその職場にしっかりなじみ定着するための支援を行う役割があります。

ただ、就労継続支援事業所と同じ部分もあり、利用者様の悩みの相談に乗ったり、健康状態を観察したりと、相談支援も含まれています。

どういう施設や事業形態が良いか決まっていますか?

どこの施設に勤務しても同じような業務が多く、特にどの事業体が良いなどはないのですが、対応に困ったり仕事をしていく上で、この職種には算数のように絶対的に正しい答えはないため、上司や先輩に相談しやすい職場が良いということが言えます。

特に身体的な介護をするのが苦手と思われる方は、就労継続支援事業所や就労移行支援事業所で勤務する方がよいかもしれません。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
(正社員希望の人限定)

生活支援員求人でよくある募集内容とは?

よく募集をみるのは、就労継続支援事業所での仕事です。

事業所数が多いことや、また離職する方も多いということも影響しているのかもしれません。

給与相場

生活支援員の場合はパートと正規職員の2パターンがあります。

パートの場合は、勤務する都道府県によって違いはあると思いますが、平均は900円ほどです。

正規職員であれば、月給15~19万円といったように、その事業所により大きく異なりますが、20万円を超えることは少ないと思います。

長期にわたり同一の事業所で勤務をすると昇給もあり、徐々に上がっていくと思いますが、離職していく方も多いため、平均給与という面からみるとそれほど多くないという結果になっています。

勤務時間や休日、残業

勤務時間や休日に関しては、入所施設であれば土日祝日が必ず休みということは少ないと思います。

就労継続支援事業所のような通所施設であれば、土日祝日を休みとしている場合も多いため、カレンダー通りの休日ということになります。

ただ、土曜日は開所しているということもあるため、その事業所が規定する休みによって大きな差が出てきます。

残業に関しても、定時ですぐに帰れる事業所もあれば、利用者様が行っている内職作業が納期に間に合わないために、残業してスタッフが作業を行うといった事業所もあるため、これも一般企業と同じように、働く職場によって大きく異なります。

勤務時間については、入所施設であれば、早番、遅番、日勤、夜勤など細かく決めている事業所も多く存在します。

日中活動の場である就労系事業所であれば、9:00~18:00など、一般企業と同じような勤務時間であることが多いと思われます。

福利厚生

福利厚生に関しても、給料や勤務形態と同じことが言えると思います。

しかし、その施設が医療法人であれば、ある程度の福利厚生はしっかりしているかもしれませんが、小さな事業所をひとつだけ有している事業体であれば、あまり福利厚生という部分では期待はできないかもしれません。

やはり福祉業界も一般企業同様、大きな事業体であるか否かによって、その待遇は大きく変わってきます。

勤務場所

働くにあたってはやはり、スタッフの人数が多い方がスタッフひとりに係る業務の負担は軽減されます。

しかしこうした福祉の事業所は、利用者に対して必要なスタッフの配置基準などが定められていますので、基準よりはるかに多く採用しているということは少ないと思います。

しかし、基準ギリギリで運営しているよりもややスタッフが多い方が、利用者様にとってもスタッフにとっても働きやすい環境ということができます。

必要なスキルや資格、経験

生活支援員は特に必要な資格などはありません。

採用時に求められるとすれば、過去に福祉関係での経験の有無やヘルパーの資格、介護福祉士の資格があるかないかという感じです。

福祉業界での経験がなくても、面接で採用してもらえれば働くことができます。

よく間違えて混同してしまう職種がひとつあります。

「生活相談員」です。

この「生活相談員」は「生活支援員」とよく似ているため間違われることが多いのですが、行う業務は異なりますし、「生活相談員」になるためには、必要な資格があります。

求人を見る際には、この違いに気をつけてください。

生活支援員のおすすめ求人のポイント

生活支援員のおすすめの求人のポイントはいくつかあります。

それは何も他の業種と比べて難しいものではありません。

そのポイントをお伝えします。

スタッフの人数が多い

やはりこれにつきます。

本当に、実際に働いてみると実感するのですが、スタッフの人数が少ないとやらなければいけない業務が非常に多いのが現状です。

また、デスク上の業務だけではなく、相談支援が大きな役割になりますので、利用者様の今抱えている悩みや相談を聞くことも、就業時間内にしなければいけません。

悩みを抱えてせっかく心を開いて話そうとしてくれているのに、しなければいけない業務を優先させては本末転倒となってしまいます。

うまく時間配分をすることも必要ですが、やはりスタッフの人数が多いに越したことはありません。

スタッフが男性、女性の割合が同等である

これは見落としがちですが、とても大切なポイントとなります。

福祉業界は女性が多いのが特徴的で、特に施設の生活支援員となると女性が圧倒的に多いのが現状です。

力仕事もやはりあるため、これを女性の手だけで行うとなるととても大変です。

また、精神面での不調から、利用者様同士のトラブルに発展してしまった際も、男性がいるととても助かります。

スタッフの男女比が同等まではいかなくても、やはり3割くらいは男性がいると、支援や業務的にも助かることは多いと思います。

生活支援員の雇用形態による違い

入所施設か通所施設かで大きくことなることは先にお話をさせて頂きましたが、やはり勤務形態によって雇用形態も異なると思われます。

遅番専属のパートであったり、その勤務形態も行う正規職員であったりと、その事業所の勤務規定などによってそれぞれ異なります。

自身のライフスタイルに応じて、就業先を決めることをお勧めします。

生活相談員と生活支援員の違いは?

「必要なスキルや資格、経験」のタイトルで少し触れましたが、この違いは大きな違いです。

福祉業界の用語は、特に馴染みのない方にとってはわかりにくいと思います。

また法改正などで用語も変更になるため、なかなか理解が難しいという点もあります。

これまでは、生活支援員の仕事内容について記載してきたので、ここでは生活相談員について説明します。

仕事内容

生活相談員になるためには、必要な資格があります。

  • 社会福祉士
  • 社会福祉主事任用資格
  • 精神保健福祉士
  • その他、これらと同等の能力を有すると認められる者

仕事内容は、ひとことで表現するとソーシャルワーカーです。

利用者様ひとりひとりのニーズや課題解決をするために、必要な支援を利用者様とともに共有し、適切な情報提供を行い、よりよい生活を送るためのお手伝いを行います。

また、利用者様のみに働きかけるのではなく、その環境にも働きかける相談援助の専門職と言えます。

身体的な介助や能力向上のための支援と言うよりは、利用者様のストレングス(強み)を生かしながら、必要な社会資源の利用を提供したり、各関係機関に働きかけたりと知識とスキルが仕事の上で非常に大切な職種といえます。

生活支援員についてよくある疑問

身近に障害を持った方がいるといった場合や、福祉に興味があるといった方以外は、あまり耳にする職種ではないかと思います。

そのため、この「生活支援員」と聞いても想像もつかないことが多く、分からないことが分からない、何を聞けばいいのか分からないということも少なくありません。

ここでは、よくある疑問について答えていきます。

応募方法は?

ハローワークなどで求人が多くあります。

一般企業などと同じように求職手続きをしてください。

面接でよく聞かれることは?面接合格の秘訣!

「福祉に興味があるか」「障害者の方についてどういう思いがあるか」などが、よく聞かれる質問になります。

対人援助職であるため、障害のある方に偏見を持つ方は、基本的にこの仕事に就くことはお勧めしません。

そのため、採用側もこのことについてよく聞いてきます。

聞かれた際に、本当の自分の思いを話してください。

その場を取り繕っても相手はプロです。

見抜かれてしまいます。

未経験でも応募できる?

未経験でも応募は可能です。

やる気と熱意と優しさがあれば、採用してもらえると思います。

職場の雰囲気は?

やはり一般企業と同じで、その事業所によって異なります。

しかし、営業成績や数字を追うことは、一般企業と比較して少ないので、スタッフ間での競争心というものはあまりありません。

もちろん、管理者は売上などを考える必要はありますが、一般職員は特に目立った経費の浪費をしなければ、この部分に関してはあまりナーバスになる必要はないのが現状です。

正社員、派遣社員、アルバイトの募集があるの?

正社員、派遣社員、アルバイトの募集はあります。

しかし、事業所によってはアルバイトは採用していないところもあります。

やはり障害者の方に対する対応の仕方などは責任を伴うものですので、基本的に高校生や大学生のバイトというのは少ないと思います。

パートではよく主婦の方が来られます。

やはり社会経験があり、柔軟に対応できる方がよく採用されています。

派遣会社からの採用ももちろんありますが、現状では離職率が高いです。

時給で決めて、実際に働いてみたけれど思ったものと違ったということを、派遣会社のコーディネーターさんに容易に言いやすい環境が派遣の方には整っていることが、離職率の高さにつながっているのかもしれません。

雇用形態によって給与体系はどう違う?

正社員は月給制が多く、派遣社員やパートの方は時給制です。

残業って多いの?

これは事業所によって大きく異なります。

求人票の平均月残業時間を参考にしてください。

シフトの自由度ってどうなの?

基本的に正社員の補助を行うのがバイトであるため、土日に正社員の休みを確保するために、バイトが土日に出るといったこともあります。

また、バイトの方に任せるのは不安ということから、正社員がたくさん出勤している時間に採用する場合もありますが、バイトの方の週替わりのシフト希望に合わせてという融通は利かないことが多いです。

まとめ

耳慣れない職種ですが、ここで興味を持たれた方は一度仕事として行ってみることをお勧めします。

今まで自分にとって当たり前だったことが当たり前ではなく、またいろいろな生きづらさを抱えながら、一生懸命に生活をする方々から教えて頂くことは非常に多く、そして自身の成長につながります。

障害をもった方は、何も特別な存在はなく自分たちと何も変わりません。

そのことに気づくだけでどれほど、自分にとって大きな成長になるか、やはりこの仕事をしてみて気づくことは大きいと思います。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
(正社員希望の人限定)