福祉用具専門相談員の仕事内容とは、どのようなことなのでしょうか?

初めて「福祉用具専門相談員」という職業を知った方にとっては、疑問に思われると思います。

ここでは、具体的な業務内容や福祉用具専門相談員のやりがいなどをご紹介していきたいと思います。

業務内容としては、福祉用具の営業であったり、事務 (書類作成等)のスキルも必要とされる為、やりがいを充分に持てるというところもおすすめな職業です。

ぜひ、転職や就職活動の参考になればと思います。

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福祉用具専門相談員の大まかな仕事内容

文字通り福祉用具に関する仕事が中心となります。

仕事内容としては、ケアマネジャーや福祉施設、病院に対して福祉用具の案内や説明等を行う営業活動と利用者様に対し最適な福祉用具の選定・提案・モニタリングを行い、選定した福祉用具の納品からフィッティング・利用者様への福祉用具の使用方法の説明・メンテナンス・アフターケアなどが中心となります。

福祉用具専門相談員の仕事は大きく3個の役割に分けられる 

①顧客を獲得するための営業活動

どのような営業活動をするの?

福祉用具の商材をレンタルや販売をするために、ケアマネージャーより福祉用具の利用を検討されている方の紹介をして頂かないといけません。

一般的に営業の仕事は自ら顧客を得る為に外回り等を行い商品の紹介や販売を行う業務であるのに対し、何故福祉用具専門相談員は利用者をケアマネージャーから紹介してもらえるのでしょう?

直接福祉用具を利用したいと考えていらっしゃる方の所へ訪問して営業活動行えば良いのでは?と思われることと思います。

福祉用具の業界ではケアマネジャーや入居施設に対して営業活動を行い福祉用具の利用を検討されている利用者を紹介をしてもらい、依頼を頂いた利用者の自宅を訪問し、本人やその家族との面談および住環境の調査を行います。

その上で生活状況や心身の状態、生活上の課題やニーズを明らかにし、最も適した福祉用具を選定します。

ケアマネジャーがいる所や施設への営業

ケアマネージャーは主に居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに在籍していることが多い為、上記の事業所や支援センターに対し営業活動を行います。

時には特別養護老人ホームなどや病院関連施設へ営業に出向くこともあります。

②顧客の状態把握するための商材選定

商材選定とは?

福祉用具を利用したいと考えている利用者は足腰の弱った高齢者や何かしらの障がいを持った方になります。

その人の状態によって、必要となる商材にはそれぞれ違いがあります。

例えば、歩くことができる状態の方に車いすを提供はしませんよね?

その人の体の調子や心の状態、使用環境を把握した上で、どのような福祉用具が必要か考え、一人一人に適した福祉用具を選ぶサポートをします。

③商品の納品からフィッティング

福祉用具専門相談員は利用者の状態や使用環境に合わせて福祉用具の調整を行い、対象者の方に納品します。

この際に選定した福祉用具が利用者の方の状態や環境に適合していれば、そのまま納品となります。

選定した商材が利用者に適合しなかったらどうなるのか?

こちらが自信を持って選定した商材が利用者に適合しないことは意外と多く見られます。

その様な時には再度選定・調整を行い、後日改めて納品をして、利用者の体や状態に合った最適な商材の提案に最善を尽くします。

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営業活動には2個の業務があります。

①営業しやすくする為の資料作り

ケアマネジャーや施設へ営業に行く際に、営業活動しやすいように資料作成することがあります。

営業資料の作成には勤められる会社によって違いが出てきます。

なぜ違いが出てしまうのか?

福祉用具を取り扱う法人には二つの違いがあります。

  • 福祉用具を自社で倉庫や消毒施設を構えている法人
  • 福祉用具を取り扱う仲卸業者を活用する法人

自社で商品を取り揃えている場合とは?

これは私の経験ですが、自社で商材を取り揃えている場合には営業資料を作ることが多くありました。

もちろん福祉用具メーカーから営業用資料を作ってもらうこともあります。

しかし、自身や法人で資料を作成することが比較的多かったです。

仲卸業者を活用する場合とは?

福祉用具貸与業界には仲卸業者が存在します。

福祉用具の商材を自社で構えるには倉庫が必要となります。

また福祉用具貸与の場合には、一度使った商材をメンテンスして再利用することがあります。

メンテナンスを行っても商品は汚いのでは?と思われますよね。

メンテナンス後には消毒作業をしなければいけない規定が設けられていますので、安心して商品を利用することができます。

倉庫や消毒施設を構えるにはお金がかかる!

自社で商材を取り扱うことが難しい場合には、こういった仲卸業者を活用することがほとんどです。

仲卸業者では倉庫と消毒施設を構えていますので、倉庫と消毒施設を委託していると考えられる方が想像しやすいかもしれません。

こんな実情があるのです

福祉用具の貸与事業を立ち上げるには、常勤換算法で最低2名の福祉用具専門相談員の配置が義務付けられています。

小規模で事業を立ち上げることができるなと思いませんか?

立ち上げ当初は資金繰りに苦労するかもしれませんが、倉庫などを構えるとなると更に資金繰りがより深刻となります。

そのために仲卸業者を活用することが多いのが実情です。

仲卸業者を味方につけよう

仲卸業者は沢山あります。

法人によっては仲卸業者と複数社契約していることもあります。

その為、仲卸業者に協力してもらって営業用資料を作ってもらうこともできます。

もし仲卸業者を活用されている場合には、味方に取り込み資料を作ってもらうことをおすすめします。

②営業へ出向きます

営業先へ出向く場所は限られています。

  • 1.ケアマネジャーがいる居宅介護支援事業所
  • 2.特別養護老人ホームや病院などの施設
  • 3.予防給付を担当している地域包括支援センター
  • 4.市役所の窓口や地域の保健所

市役所の窓口も含まれるの?

疑問に思われるかもしれませんが、市役所の障害福祉の窓口に営業へ出向くことがありました。

また、保健所の保健師の方に営業活動することもあります。

これは障害給付を活用した販売に繋がることを目的とした営業です。

保健所へ営業に伺う事とほとんどないかもしれませんが、様々な関係機関との繋がりを広くしたい時には効果的になることもあります。

福祉用具の商材選定業務には2個の業務があります。

①初回は選定から始まります

利用者を紹介してもらうために営業活動を行い、実際に利用者との契約が行われて第一段階の仕事の利用者に合った商品の選定を行われます。

冒頭でも少し述べましたが、商品の選定には利用者の身体の状態を把握し、住まいの環境確認する必要があります。

そのために利用者の方の情報が前段階で把握できていれば良いのですが、百聞は一見に如かずです。

予めうかがっていた利用者の情報と実際に利用者の所に訪問して利用者の状態を見るのとでは違う場合があります

そのズレを解消することと、選定する商品が住まいの環境に適合するかどうかが重要になります。

案件によっては、メーカーや仲卸業者と共に再度利用者の所へ訪問する必要があります。

②事務作業が待っています

今まで営業に関連する外回りのことを紹介してきましたが、福祉用具専門相談員は営業活動のみしているとは限りません。

実はは事務作業も沢山あるのが実態なのです。

どんな事務作業があるの?

まずは紹介してもらった利用者に対してどのような対応をしたのか記録作成する必要があります。

そして利用者がどのような身体の状態であったのか、居住環境はどうであったのかも記録として残しておきます。

次に仲卸業者を活用されているのであれば、選定した商材を発注をします。

自社で商材を持っているのであれば、社内伝票を担当部署へ回すことになります。

これだけなら良いのですが、福祉機器の販売となると見積書を作ることもあります。

また、納品日程の調整連絡やケアマネジャーへ報告するための連絡をすることも業務としてあります。

営業の外回りや利用者のお宅に訪問を終えた後、会社や事務所に戻ってきてからもまだまだ仕事が待っている状態なのです。

福祉用具の納品からフィッティング業務には3個の業務があります

①福祉用具の納品

利用者への選定が決まり商品が納品されると、自分で商材を利用者の所に持って行くこともありますし、介護用ベッド等の大きな商品のレンタルとなる場合は仲卸業者の方に協力してもらい直接利用者の所へ持ってきてもらうこともあります。

福祉用具って重くないの?

福祉機器によっては小さな物から大きな家具のような物まで様々あり、自分で利用者の所に持っていくことが可能なのかと疑問に思われませんか?

大きな電動ベッドを例に挙げると、電動ベッドはバラバラに分解され状態で納品されていますが、重たいパーツもあります。

実際に女性の福祉用具専門相談員の方もいるのですが、大きくて発送が難しい福祉用具の場合、配送業務を専門とする職種に仕事を依頼することもあります。

もしくは仲卸業者の方に協力を頂くこともできます。

福祉用具のフィッティング

持っていった商材が実際に活用することができるのか重要な場面となります。

例えば、杖を納品するとします。

杖を納品しても、利用者の歩きやすい高さに合わせないと杖の適切な使用方法とは異なり、安全に歩行する為の補助の役目を果たすことができず、宝の持ち腐れになってしまいます。

適切な方法で福祉用具を活用して頂くためにも、その方の体に合せたフィッティングが大事になってきます。

環境面にも配慮が必要

福祉用具は様々な種類があります。

使用する場所も屋内用のものから屋外でも利用するものもあります。

例えば介護用ベッドであれば屋内で使用することが前提ですが、歩行器や押し車の場合はどうでしょう?

屋内で使うこともあれば屋外で使うこともあります。

屋内・屋外でも安全に安心して使用していただける様に、適切な使用方法の説明や段差などの障害物がある際の対処の仕方の使用上の注意しなければいけないことなどをしっかりと理解できる様に説明しておく必要があり、利用者の安全を守る為の大切な業務になります。

フィッティングに失敗してしまった場合

福祉用具専門相談員業務をしているとフィッティングに失敗することもあります。

利用者や施設に対し福祉用具を販売する場合には購入後の変更が難しいこともあり失敗が許されないケースがありますが、レンタルの場合にはフィッティングに失敗してしまった場合でも再度調整や選定を行いその方に合った物に変更することが可能な為、利用者やご家族の方に納得して商品を利用して頂ける様に調整・選定を行うことができます。

実際に納品の際に商品が利用者に適合しないことは多々あり、安全に商品を利用して頂く為にも、失敗しても気にせず両者が納得のいく物を提供できるよう調整や選定を行いましょう。

ケアマネージャーにフィッティング後の報告を行う

ケアマネージャーは私たち福祉用具専門相談員を信用して仕事を依頼してくれています。

その為、ケアマネージャーにフィッティング後の状況報告をすることが非常に大事となります。

仕事を依頼したケアマネージャーにとってみれば、無事に利用者の所に福祉用具が納品され、きちんとその方の身体や環境に適した用品であったか?などを確認し、ケアプランに沿った支援ができているか把握する必要があります。

フィッティングに失敗したとしても、ケアマネージャーとしては利用者に対する大切な情報の為、しっかりと進捗報告することが大事になります。

福祉用具専門相談員の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

福祉用具専門相談員は営業活動や事務仕事もしなければいけないマルチスキルを求められますが、やりがいのある仕事です。

ありがとうと言ってもらえる

福祉用具が不備なく利用者にのフィッティングした時、利用者やご家族・ケアマネージャー等より感謝の言葉を頂いたり、本当に喜んでもらうことができます。

利用者やご家族としても日常生活で苦労していた部分が、福祉用具を利用したことで介助を受けなくても本人の力でできるようになった瞬間を見られ、利用者のQOL(生活の質)の向上に繋げることができた際に、この仕事に対し充実感とやりがいを感じることができます。

例えるならば、赤ちゃんが初めて自分の足で立つところを見る親のような気持ちになります。

お互いに嬉しい気持ちを共有することができる瞬間でもあります。

達成感を感じることができる

利用者やご家族等に感謝の言葉を頂けるのと同時に、自分が利用者へフィッティングした商材が完全に適合した際に達成感を感じられます。

福祉用具専門相談員の仕事をする上での経験と自信をつけることができて仕事の質の向上に繋げることができれば、より良いサービスの提供が可能になり、仕事に対してやりがいや達成感を得ることができます。

利用者を紹介して頂いた時に嬉しさを感じる

営業に出た成果として、ケアマネージャーより利用者を紹介して頂くことが嬉しさを感じられる瞬間です。

これは他の業界の営業と同様の嬉しさと近いものがあり、最初はなかなか信頼してもらえず仕事の依頼に繋げることに苦労することも多いですが、ケアマネージャーより仕事の紹介を頂いた時に今までの苦労が報われた様に感じ、嬉しさを感じることができます。

私の経験でも、営業当初は仕事の依頼が少なく不安はありましたが、徐々に営業成果が現れケアマネージャーより仕事の依頼を頂ける様になった時の嬉しさは、今でも鮮明に覚えています。

コミュニケーション能力が向上し成長したことを実感できる

これは営業を行う際と利用者に対して、福祉用具を導入することで何が改善されて変わっていくのかを説明するスキルが求められます。

必然的に相手の人に対して、どのように伝えていけば相手に伝わるのだろうか?

どのように営業活動を行えばケアマネージャーより仕事を紹介してもらうことができるのだろうかと考えます。

そうした創意工夫することによって、日々改善されていきながらコミュニケーション能力が向上していきます。

日々の創意工夫と自身で考えたことを実践することで、自ずとコミュニケーション能力の向上が見られ成長していると感じられる職種であります。

福祉用具専門相談員としての面白み

様々な福祉用具を見れる

メーカーの展示会のショールームに行くと様々や福祉用具を見ることもできますが、大きな展示会が年に一度は開催しています。

この展示会に参加してみると、ありとあらゆる福祉用具関連機器が見ることができます。

初めて展示会に参加される福祉用具専門相談員の方にとっては魅力に感じられる場所です。

これは経験を積みベテランになってきますと真新しさが感じられなくなり、楽しさが半減することもあります。

様々な考え方の人に出会える

介護業界全般に当てはまることになるのですが、様々な考えを持った人と出会うことができます。

業務上、利用者やご家族、様々な関係機関とのコミュニケーションする図る場面があります。

そこで、様々な考え方の人と出会うことができるのです。

福祉用具の利用を偏見に考えている人や、正論を並べクレームをよくあげられる人もいました。

個人としての考え方にもよりますが、様々な考え方と触れ合うことによって自己に吸収できる教材となることもあります。

多様な視点を持つことができますので、面白みを感じられます。

様々な地域の事情を知ることができる

これは福祉用具専門相談員のみに当てはまるわけではないのですが、福祉用具専門相談員もその地域に根付かせることができるよう日々行動しています。

その地域の利用者に対して訪問するのですから、必然的に地域の実情を耳に入れる機会が増えます。

財政的にも状況が厳しい自治体の噂話や公共機関がどのように使えるのかなど、自分が住んでいる自治体よりも活動している自治体の方が詳しくなることもあります。

まとめ

福祉用具専門相談員は介護業界の中でも異質な存在なのかもしれません。

営業スキル、事務スキル共に求められますが、日々成長していきます。

商材選定からフィッティングも経験することで慣れていきます。

その日々の業務の中で達成感や感謝の言葉をもらうことができる為、やりがいと魅力ある仕事と言えます。

この記事を読んで福祉用具専門相談員について興味を持って頂き、今後の就職の参考にして頂けたら幸いです。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
(正社員希望の人限定)