貿易事務の仕事のやりがいとは?経験者の私が感じる6個のやりがいを感じる瞬間を紹介します
人はなぜ仕事をするのでしょうか?
毎日毎日眠い目をこすって頑張って起き、満員電車や交通渋滞の中、ひたすら職場へ向かう。
まるで戦士のようです。
どうしてそこまで頑張るのでしょう。
家族のため?
収入のため?
自分のため?
仕事があるから仕方なく?
しかし、仕事をしている方なら一度は「仕事のやりがい」って考えたことがあると思います。
どれだけ楽しく仕事をしていても、お給料が高くても、やりがいがなければ何か味気ないような、やる気が出ないような。
特に長く働けば働くほど気持ちに余裕が出てきてふと立ち止まって考えてしまいます。
もちろん個人差はあると思いますが。
それほど仕事のやりがいというのは仕事を頑張るモチベーションを保つ上でもとても大切なものなのです。
この記事では、貿易事務のやりがいについて紹介していきたいと思います。
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目次
閉じる貿易事務の大まかな仕事内容について理解しておこう
貿易事務とは輸出入に関わる通関手続きの書類や海外の取引決済の書類に携わる事務の仕事のことです。
輸出と輸入では書類も異なり、輸出は商品を売る側、輸入は買う側になるので書類の種類や複雑さも異なってきます。
また商品によっても必要な書類は違います。
貿易事務の仕事内容は、こちらの記事を参考に!
貿易事務の仕事のやりがいってどんなもの?
貿易事務の仕事のやりがいとはやはり「専門的な仕事」であることでしょう。
「英語を使う専門的な仕事」というイメージがありますが、英語ができるから、得意だからすぐに仕事ができるかというと、必ずしもそうでもありません。
なぜなら「専門用語」が沢山あるからです。
その専門用語を理解し、日々勉強していかなければ身につかない仕事です。
だから必ずしも英語が得意でなくても英語の資格がなくても専門用語に慣れていけばできる仕事と言えるでしょう。
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経験者の私が貿易事務の仕事でやりがいを感じた瞬間
どんな仕事でも入社して間もない頃ははひたすら一生懸命仕事を覚えることから始めるので、なかなかやりがいを感じる余裕はありません。
わけも分からずただ丸暗記したり、メモしたことを反復し繰り返す日々を送ります。
貿易事務も同じこと。
一つ一つ作業を繰り返し、言葉を教えてもらいながら書類を作成していきます。
そして少しずつ慣れてきたら仕事の流れが分かってきたり、専門用語の意味が理解できたりします。
そうして流れに沿って違いが分かってきたり、専門用語が使えるようになってきたら仕事が面白くなり、仕事のやりがいを感じられるようになってきます。
特に輸出の貿易事務は商品を売る側なので手間がかかります。
通関業務もスムーズに行き、買取銀行からも無事入金し一つの取引が終了となった時はホッとすると同時に心の中で満足感を味わいます。
そんな中で私が経験した輸出の貿易事務のやりがいをまとめてみます。
船会社とのやりとり
輸出貿易の場合、海外との契約が成立すると次は商品の出荷時期が決まります。
出荷日程が決まったら船舶のスケジュールを調べて船会社と船名を決めます。
海上運賃(OCEAN FREIGHT)は大体協定で決まっています。
小口貨物(LCL貨物)は指定された運賃の場合が多いですが、コンテナーごと(FCL貨物)になると数によっては船会社と荷主との間でやりとりして決定します。
また、小口貨物でも沢山の荷主から小口荷物を集めるコンソリと呼ばれる運賃は混載業者と相談、交渉もするので少し営業的な仕事の感覚が体験できます。
普段事務の仕事ばかりしていると内向きになりがちですが、時々こういった直接人と対面して話をする機会があると新鮮に感じることもありますし、外の情報を取り入れる良いチャンスになります。
通関書類の作成
船名とスケジュールが決まったらまず商品の出荷元に出荷先の倉庫、または小口貨物であれば船会社の指定場所(CFS)を伝え貨物搬入の締め切り日までに間に合うように出荷してもらいます。
船会社によって指定場所は変わるので保税倉庫に一旦搬入した場合、搬出することが難しくなります。
そのため、荷物の出荷と船のスケジュールのタイミングを慎重に見なければなりません。
船も入港が遅れたりしてスケジュールが遅れることもあるので、船名を決めてからもスケジュールは度々チェックします。
そして、通関書類の作成を始めるのですが、書類も船のスケジュールに沿って通関の締め切り日があります。
荷物が搬入されていても書類がなければ通関できないし、書類が早くできていても荷物が入ってなければ通関できないので、両方がタイミング良く揃うように確認作業をしなければなりません。
天候や距離によっても運搬が左右されるので、荷物が搬入されるまで通関書類を作りながら確認をします。
通関書類は一般的に商品の名前や金額、輸出先などを明記した送り状(INVOICE)や梱包の詳細を梱包ごとに記した梱包明細書(PACKING LIST)、商品の金額によっては輸出報告書などを準備します。
また船荷証券(BILL OF LADING)を船会社に発行してもらうために船積依頼書(SHIPPING INSTRUCTION)を作ります。
商品の種類や仕向地によっても準備する書類は多少変わってきますが、基本は送り状と梱包明細書を出荷された明細を確認しながら作成し、船積依頼書は信用状上で指示された通りに作ります。
こうして荷物とそれぞれの書類は繋がっているので、それぞれのタイミングを確認しながらスケジュール通り進んでいるかをいつも頭に置きながら書類を作成していきます。
ただ書類だけを作成する仕事ではないところが通関書類作成のやりがいと言えます。
買取書類の作成
無事に貨物が締め切りまでに搬入され、通関も終わり船積みされたらホッとしている暇もなく次の作業です。
船が出航すると船会社から船荷証券が発行されます。
船荷証券の他に信用状で要求されている書類を信用状の指示に従って作成します。
信用状は初めは何が書いてあるのかさっぱり分からないと思いますが、海外の顧客が輸入通関のために必要な書類であったり、銀行との決済に必要な書類が記載されています。
信用状が銀行を通じて開かれてきた時は、これから書類作成が始まる!という気合が入ります。
と同時に間違えないように作成しなければと自分に注意の気持ちも入ります。
信用状を扱うことは貿易事務をする上で基本であり貿易の取引にとても重要なものなので、きちんと読み込み、見落とさないようにしなければなりません。
とても大切でやりがいのある仕事です。
また買取書類に慣れると書類のチェックもできるようになり、外資系の銀行の外国為替で書類のチェッカーの仕事をするチャンスもあります。
貿易事務の仕事が身につくと、商社だけでなく貿易に関係する他の仕事にも活かせます。
このような時、貿易事務をしていて良かったと思います。
語学力を活かせる
貿易事務において外国語、特に英語は必ず必要です。
簡単な単語から専門的な商品の記述まで辞書を片手に調べることもよくあります。
英語だけでなく中南米であればスペイン語や最近は中国とも貿易が活発なので中国語ができると有利です。
通関書類はほとんど英語で作成することがほとんどですが、銀行の買取書類になると、信用状の指示通りに作成するので英語以外の言語で作成することもあります。
分からない言葉は調べたり他の人に聞いたりして自分の知識として増やしていけるのも楽しく、やりがいを感じました。
また、海外の顧客から電話などで連絡があります。
時には顧客が来日して会社に来られることもあります。
電話の取次ぎだけでも緊張しますが、生の外国語に触れる機会があるので英会話のレッスンを習いに行ったりして、それが役に立つと嬉しくなります。
国際情勢や為替相場に興味を持つ
海外貿易では為替は不可欠なものです。
昔はUS$と円の相場が安定していましたが、円高が続き今では$1は100円台が当たり前になりました。
世界の情勢も変化し、アメリカも経済不況が続いているので日本も大変影響を受けています。
そんな国際情勢は株や為替に影響してくるので、ニュースを見るときも仕事のことを考えながら見てしまうことがありました。
海外顧客の国が戦争に巻き込まれ、取引の延期や中止になったこともありました。
特に為替の変動が激しい時はいくら沢山の荷物を輸出しても円高になると為替で損をしてしまいます。
それが続くと会社の経営にも直撃するので死活問題になります。
今までの経験でそんなこともあったので、仕事という目線でニュースを見る良い機会になったと思います。
長く働ける
貿易事務は専門性のある仕事なので、転職をしても他社で経験を活かすことができます。
特に輸出業務は書類が沢山あるので、輸出先や商品の種類を色々覚えていけばいくほど自分のキャリアとなって次の仕事に活かすことができます。
また年齢も気にせず、結婚や出産で一次的に離れてもまた経験を活かして仕事も可能です。
正社員以外でも派遣会社などで貿易事務の仕事はよく募集しているので、ライフスタイルに合わせて仕事ができ、やりがいを感じ続けられる仕事だと思います。
商社以外でも海運業者や船会社、物流企業、更に勉強して通関士という道に進む人もいるので、自分次第で道はどんどん開かれていく仕事だと思います。
貿易事務の仕事でやりがいを感じるために私がやったこと
貿易事務の仕事は難しいというイメージがあるかもしれませんが、どんな仕事でも最初はみんな初心者であり、一からコツコツと積み上げていかなければなりません。
最初から即戦力になる人はなかなかいないのが現実です。
仕事のやりがいを感じるためにはひたすら今の仕事をこなし、一つ一つステップアップしていくしかありません。
そうしていく内に仕事が楽しくなってきて、やりがいに繋がります。
外部関係者との関係を大事にする
貿易事務の仕事は自分だけでコツコツと進めるだけではなく、外部の関係者とのコミュニケーションなしでは成り立ちません。
通関書類を作成するときも、通関業務をお願いする海貨業社との連携は必須です。
乙仲と呼ばれる海貨業社は身近にいる通関のプロなので、様々な知識と経験を積まれています。
通関で分からないことは自分で判断せずに、まず先輩や関係者に「訊く、教えてもらう」姿勢が必要です。
また、船のことで船会社に教えてもらうこともよくあります。
銀行の買取書類のことは買取銀行の外国為替の担当者に教えてもらいます。
特に信用状について判断しにくい内容はきちんと聞いておかないと、買取銀行で書類が止まってしまうことがあります。
そういった仕事に関係する担当者との関係は大切です。
仕事以外で関係することはあまりありませんが、いつも言葉遣いなどに気をつけて丁寧に連絡ができるようにしておくと、些細なことでも訊きやすい関係ができます。
信用状を何度も読む
貿易事務の仕事に信用状を扱うことは不可欠な行程です。
信用状には様々な顧客からの指示が書いてあるので、コピーを取って何度も何度も見て、マーカーで必要なところに線を入れて書類を作っていきます。
1文字でも誤字脱字があれば書類は通過しないので、きちんと確認していかなければなりません。
普段几帳面でない私も書類を作成する時は何度も信用状を見直して、最後まで書類と信用状を照らし合わせてチェックしました。
慣れてくると信用状の大事な箇所がピンポイントで分かってくるので、読む順番も決まってきます。
また、信用状の開設銀行が同じであれば同じタイプの信用状が開かれてくるので見るのも楽になります。
まとめ
一言で貿易事務と言っても様々な仕事があるので自分が何をしたいのかを見極める必要はありますが、あらゆる仕事を体験してその中で自分に合う仕事、頑張れる仕事を見つけ出せたらやりがいも感じやすいと思います。
また、会社の中で自分が今している仕事が全体の仕事の流れの中でどう活かされているのか、どう役に立っているのかを客観的に見てみると何となくしていた仕事にも責任を感じると共にやりがいも感じられると思います。
どんな仕事でも、何も考えずにただ何となくするのと仕事の価値を考えながらするのでは、仕事のやる気も出来栄えも変わってきます。
言われたことだけしていたらそれ以上の仕事もできないし、成長もありません。
今ある仕事の中でも創意工夫をしてみたり、他のやり方を提案してみることも大切です。
人によって仕事のやりがいの感じ方は違うかもしれませんが、今の自分に満足せず貪欲にもっと仕事を覚えたい、こなしたいと思えることが一番仕事のやりがいを感じることに繋がると思います。
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