大学職員の印象は、いったいどのようなものでしょう?

公務員のようなものという答えもありますが、大学のカラーにより大きく変わります。

国公立か、私立かでも異なります。

共通しているのは、1つの大きな事業体だということ。

その意味では、一般企業となんら変わりありません。

特に事務面については、正社員、派遣社員、アルバイトが職務が違えど混在していることが多いです。

それでは大学事務の仕事内容を見てみましょう。

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大学事務の仕事は大きく6個の役割に分けられる

学校施設の管理

セキュリティや清掃に関しては、大学が契約している会社を通じてスタッフが雇用されています。

事務スタッフが行うのは、講義やゼミに使用される部屋の管理です。

大学にはたくさんの教室があり、各講義がバッティングしないよう、時間割が組まれます。

各教室の鍵は事務室に集約されます。

その鍵を管理するのが事務スタッフの役割になります。

講義前の休憩時間などに、先生ご本人やアシスタント、または学生が「〇〇教室の鍵をお願いします」と借りに来るので、専用のノートかファイルに名前・部屋番号を記載してもらい、貸し出します。

アナログな方法ですが、返却しそこねないように、責任感を持っていただくためにも、ノート記載は必須です。

応対

大学にはたくさんの来訪者があります。

学生・卒業生・研究関係者のみならず、出入りの業者、ビジネス関係者、出版・報道メディア関係者など。

来訪先の教授の研究室がどこかわからない場合もあるので、まずは事務室に行って見ようと訪れる方も多いです。

「〇〇研究室はどこにありますか」と尋ねられた場合には、学内の地図を見せて「この校舎の〇階です」などと説明が必要になります。

最近では喫煙所も限られているので、そのご案内も必要になります。

電話がかかってくることも多いです。

担当職員が会議だ何だと学内を飛び回っていることもあるので、不在な場合は折り返しをお約束していったん切ります。

そしてとにかくメモを残す。

口頭で伝えると情報が正しく伝わらない可能性が高いからです。

またこれは学問環境にあるるせいか、書き言葉でも活字でも、書かれた文字に対する信頼が通常の職場より大きい印象があります。

大学は大きなビジネスの集合体で、企業と同様イメージが大切です。

丁寧な応対を心がけましょう。

経理業務

大学は助成金など公費を扱うケースも多いため、どんなに細かな出費でも書類が必要になります。

見積り・納品書・請求書を「3点セット」と呼び、小口の買い物ではない大き目の支払の場合には、この3点セットが必要となります。

例えば、あるデザイナーに学会用のロゴをデザインしてもらう。

このデザイナーは教授が個人的な関係で連れてきたとします。

そして仕事が進み、ロゴも決定し、既に納品が終わったあとでも、この3点の提出が必要になります。

通常の企業も同じだとは思いますが、大学は形式に縛られることが多いです。

ペーパーレスにしよう、手続はなるべく簡略化しようという動きも出てきてはいますが、問題が発生することの方が怖いため、特に金銭の動きに関する記録は慎重に行います。

備品管理

各講義・ゼミにより使用する備品が異なります。

語学系ならオーディオ環境が必要ですし、映像が必要な講義ではプロジェクターの準備をします。

教室に設備が整っている場合は、各設備のための鍵を貸し出します。

そうでない場合は、CDデッキやプロジェクターを貸し出したり、時にはセッティングの手伝いをしに行く場合もあります。

講義開始直前に「電源が入らないんだけど!」などとパニックになった教授が駆け込んでくる場合もあるので(ド文系の教授でOA機器に超絶弱い方が時におられます)各教室「このボタンを押せばスイッチオン」程度の最低限の機器の使い方だけでも、覚えるようにしておきましょう。

資料作成

配布資料がある場合は、事前に原本を預かり、受講生人数分をコピーすることもあります。

この原本が様々で、紙であったり、書籍であったり、USBに入れられたデータであったりします。

最近ではUSBの場合が多いので、パソコン操作にある程度慣れていること(慣れきらなくても、せめて抵抗がないこと)が必須です。

また、コピー機にも癖があるので、「雨で紙が湿気を帯びている日はこれだけタスクを突っ込むと紙詰まりを起こしやすい」など、各機種の使い勝手を把握するようにすることをおすすめします。

出席記録管理

これは講義にもよりますが、学生の出席状況を記録するために、「出席カード」を配布し書いてもらい、それを名簿に記録するという役割を担う場合もあります。

成績にも関わる重要な点なので慎重に行います。

「出席カードの紛失」という稀有な事態もありますので、例え学生の殴り書きであっても重要書類扱いをしましょう。

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学校施設の管理の4個の業務

授業の準備

各講義・ゼミにより、部屋・使用設備・配布資料(あれば)が異なります。

時間割をチェックして、可能な限り必要なものを準備しておきます。

使うであろうAV機器の鍵を取りだしやすいようにしておく、機材の台数や壊れてないかを確認しておく、配布資料を作成・整理しておくなど。

短時間でスムーズに準備できるような段取りが必要です。

各講義の始まる前の休憩時間(だいたい10分~15分、昼は45分~1時間)は、皆一斉に準備や移動を行うので非常に慌ただしいです。

事務室によっては「資料準備して!」「先生を案内して!」「出席カード配って!」などとカオスになります。

なので、準備はなるべく前の講義の時間内にしておきます。

1限目の準備は、朝の短時間になってしまいますが。

イベントの準備・実施

大学にはたくさんのイベントがあります。

特に多いのは、特別講義やシンポジウム、他機関の方々を呼んでの会議など。

著名なゲストの場合には、アテンドを行ないます。

出迎え、控室へのご案内、お茶を淹れ、配布資料があれば原本を預かりコピー、時間前になったら伝えて、会場までご案内します。

海外からの参加者の場合もあるので、ごく簡単な英会話程度ができると望ましいでしょう。

できなくても、ハートがあればどうにか伝わりはします。

また「お手洗いはどこですか?」と尋ねられる場合が多いので、各施設、必ずトイレの場所をチェックしておきましょう。

また、特に新しい施設ではバリアフリーに配慮されていることが多いので、車いすで入れる身障者用トイレがどの階にあるのかも確認しておきましょう。

レセプション

また、イベント後にレセプションを行う場合があります。

新プロジェクトの発足式や国際会議の場合は特に、参加者の交流会も兼ねているので、レセプションがプログラムに組まれている可能性が高いです。

アルコールを含めた飲物や軽食が用意され、立食で行われることが多いです。

飲食業者を入れられない予算枠のときは、事務スタッフが準備を行う場合があります。

ワインやビールを買い込んだり、乾きものやクラッカーなどのつまみや紙皿を買ってきて並べたり…。

交流が主なので、びっくりするほど飲んで酔いつぶれるような人は滅多に出ませんが、たまに飲み方の限度を知らない現役学生がつぶれたりもします。

後片付けは、自治体のルールに準じてゴミの分別をしましょう。

心得

大学事務って授業以外にも何でもやるんですね。

 何せ教授たちと学生たちは、研究や授業のこと以外に関心は低いので、実務に関しては事務スタッフが行うことになります。

つまり、容易に「何でも屋」になります。

そうならないように、ある程度線引きが必要です。

キャパを越えてしまって、結果何もきちんとやりきれず迷惑をかけてしまわないように、自分が抱え込める範囲を見極めておくことが重要です。

時には、どんなに偉い先生のお願いでも「今はできません」とお断りする勇気を持ちましょう。

応対の3個の業務

学生・教員の応対

学生はこれから社会に出て行くための準備期間。

高校卒業から社会人への過渡期です。

なので、敬語や「てにをは」が無茶苦茶だったりと、おかしな日本語を使って物事を頼んでくるときがあります(外国人留学生の方がよっぽど日本語がちゃんとしてる)。

どんなに失礼な印象を持ったとしても、粘り強く、伝えようとしている内容を正確に確認しましょう。

これからの人材なのです。

教員はまた違った意味で特殊です。

悪い意味ではなく、その道の求道者なので、浮世離れした方もいらっしゃいます。

コピーのレベルにおいてさえ、実務的な指示を出すのが苦手な方もおいでです。

ですので、そういった方と接する場合は、ただ指示を受け身で待つのではなく、「このテキストの、この頁を、〇〇枚、A4片面コピーでご用意してよろしいですね?」と具体的に指示内容を提示すると、具体的な返事がもらえる場合が多いです。

考え事に没入し出すと忘れ物が多くなったりもしますので、控え室での振る舞いなど、それとなく配慮してあげるとよいです。

鞄ごと置いて帰る教授もいました。

電話・メールの対応

基本的なビジネスマナーがあれば問題ありません。

逆に言うと、敬語や挨拶など、ビジネスマナーをきちんと踏まえる必要があります。

学生や教員が一般社会で就労した経験がない方が多いので、大学職員は社会とのつながりを確保する重要な窓口です。

配慮を心がけた対応をしましょう。

また、学内には様々な部署があり、常に動き続けています。

自分の担当する範囲以外での質問を受けたら、かつてその担当だったとしてもルールが細かく変わっている可能性があるので、必ずその時点での担当に回しましょう。

わかるから、と独断で対応するのは危険です。

来客応対

大学は学問研究をソフトとする巨大なビジネス母体です。

国内外から、そのソフトに関わる人・組織が訪れます。

国家の要人である場合もありますし、純粋に学問的好奇心で訪れる無名の若者かも知れません。

様々な社会的レベルの方々を、なるべく分け隔てなく丁寧に対応することが望ましいです。

大学事務の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

大学という非日常的な空間で、ふだん付き合うことがないような方々と共同して何かを行うことが多く、改めてコミュニケーション能力が磨かれます。

パソコンスキルが身につく

1つのシステムでも大学単位で導入するため、個人レベルでは使うことがないようなソフトを使う場合があります。

なので、始めのうちはマニュアルと格闘することになりますが、慣れればスムーズになります。

そうして1つのソフトでの方法を身に着ければ、他ソフトを使う際に考え方を応用できますので、以後は習熟が早まります。

コミュニケーション能力が上がる

どんな方々とでも関わりを持たねばならないので、社会性が鍛えられます。

また、独特なコミュニケーション方法を持つ方々、独自の言語体系を持つ方々がいらっしゃいますので、繊細な形で揉まれます。(大声で怒鳴り散らすような方は滅多におられませんが、理詰めで切々と説教を受ける場合はあるかも知れません。)

面白いポイント

色々な事に遭遇しますが、大学は一般企業よりは自由を求められる場なので、教員も学生もユニークな方が多く、天上界の人々と交わっているようで面白くもあります。

不思議な方々との交流

特に教授は変わった方が多いです。

  • 校舎移動にキックボードを乗り回す快活なスコットランド人教授
  • 講義の合間に講師控室で筋トレをしているアメリカ人講師
  • アザラシのぬいぐるみを大量に集め、毎年誕生会を開いている教授
  • 研究室で日本刀(模造品)を振り回し、憎い上司を斬り捨てるシミュレーションで自分を宥める教授
  • 研究室にパンチングマシーンを置いて一人怒りをぶつける内気な助教授

などなど。

研究内容の優秀さと奇行は紙一重のようです。

見た事もない資料

講義で配布される資料など覗き見ると、とても一般ではアクセスできないような古文書のコピーや、美術品の写真などがあります。

自分でも勉強してみたい、そんな向学心が煽られます。

現役学生時代は勉強など見向きもしなかったのに、社会に出てから知りたい意欲が湧くというのはよくあることかと思います。

その糸口になる出会いもあるでしょう。

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まとめ

いかがでしたか?

大学という特殊な環境とはいえ、通常の企業と変わらない点が多かったと思います。

社会人としてのルール・マナーをふまえて他者と関わり、自分の担当する役割を責任を持って行えば、基本的に何の問題もありません。

変わった方が多いので、変わったことも多いですが、状況の個性を掴んでいくことを楽しく思えれば勝ちです。

苦労のない職場はありませんが、同時に楽しみのない職場もありません。

自分なりのやりがい、働き甲斐を発見していきましょう。


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