老人ホームで働くメリットとそこで身に付く力とは?
老人ホームで働くメリットとは何だと思いますか?
近年少子高齢化と言われる時代で、老人ホームが沢山建てられています。
老人ホームが増えるという事は雇用も増えるという事。
介護職はこれからどんどん増えてくるので、老人ホームで働く事も視野に入れて頂けると就職の幅が広がると思います。
そこで、今回は有料老人ホームで働くメリットや身につく力について詳しくご説明しますので、皆さんのお役に立てればと幸いです。
目次
閉じる私はこんなところで老人ホームの仕事をやりました
老人ホームにはいくつか種類があり、私は『特別養護老人老人ホーム』というところで働いていました。
特別養護老人ホームは要介護の方が入居して生活していただくところなので、入居者様の家になり、職員は入居者様の家族になるということになります。
施設は4階建てで入居スペースは2階〜4階。
各階毎に4ユニットあり、各ユニット10名の方が入居できるようになっていました。
私が入職した時は満室の状態だったので、ショートステイも含む計120名の方が入居されていました。
老人ホームの仕事内容って?
入居者様の家・職員は家族と申しましたが、実際にどんな仕事をしているのかをご説明します。
清掃
これは基本的な事です。
入居者様が快適に過ごして頂けるように、居室・共有スペースは常にきれいな状態に保つようにしなければなりません。
私の施設には掃除の時間というのはなく、手の空いた時や仕事が落ち着いた時に常に清掃していました。
あくまでも生活の一部なので、差し障りの無い程度に入居者様にも手伝っていただきます。
食事介助
ご自身で食事する事が出来る方は見守りをし、介助が必要な方には手を出し過ぎない程度の介助をさせていただきます。
手を出し過ぎない程度にするのは、入居者様の自立能力を下げてしまわないという事。
誰しも、やらなくなれば出来なくなっていってしまうので、機能低下しない程度にお手伝いをさせて頂く事を心掛けなければなりません。
また食事中は1番危険と言われているので、しっかりと目を配り見守りをします。
入浴介助
入居者様によって入浴方法が違うので、1人1人に合った入浴方法で入浴していただきます。
こちらも食事介助と同じで、手を出し過ぎない事が大切です。
自立して入浴される為こちらは見守りだけという方もいらっしゃるので、そういった方は出来る限りご自身で行って頂きます。
高齢の方は温度を感じる機能が低下しているため、ぬるま湯でも熱い!と仰ったり、かなり熱いお湯でも冷たい!と仰ったりするので、入居者様の要望を取り入れつつ判断をしなくてはなりません。
老人ホームの詳しい仕事内容は、こちらの記事を参考に!
老人ホームで働くメリットとは?
老人ホームの仕事は3K(キツい・汚い・危険)といわれていますが、そこで働くメリットがあれば多少なりとも『働いてみようかな』と思われるかもしれません。
そんな働くメリットをお話します。
親の介護の為の勉強になる
私は、老人ホームで働く際には『入居者様に勉強させて頂いている』という気持ちで介護させて頂く事が大切だと思っています。
1人1人介護内容が違いますし、同じ方でも介護内容は日々変化します。
全く同じ方は1人としていらっしゃらないので、全てが勉強だという気持ちを持っていてほしいです。
そしていつか親や配偶者の親に介護が必要となった時、老人ホームで勉強させて頂いたことが活きてきます。
介護が必要な方への接し方や各介助の仕方など、ある程度基本が分かっていれば介護生活も少しは楽になるのではないでしょうか。
また認知症の方への対応力も身に付きます。
認知症の方と接しているとイライラしてしまう方も少なくないと思います。
しかし、接し方を分かっていれば、苦になることは無くなります。
そうすると視野も広がるのではないでしょうか。
昔の話を聴くことができる
これは私の中でとてもいい経験だったと思っています。
入居者様の中には100歳に近い方もいらっしゃり、戦争を経験された方も少なくありません。
教科書で学ぶ事ができない昔の出来事の生の声を聴けるのはとても貴重な体験ですし、自分の糧になると思います。
また自分の知らない昔の生活について教えていただけたり、この場所には何があったとか調べても分からない事を教えていただけるのは、とてもいい経験・知識になると思います。
周りからの印象が良い
これは自分が求めている訳ではないのですが、実際に良い印象を持ってもらえることができました。
悲しい事に、世間では介護職というと『底辺の仕事』という印象を持っている方は多いと思いますが、実際自分が介護職だと言うと『介護の仕事ははなかなか出来ない事だから、その仕事を選んだのは素晴らしい』とよく言われました。
それで優越感を得ていた訳ではないですが、悪い気はしなかったですね。
私は元々、食事介助や排せつ介助などの介護の仕事に全く抵抗が無いので、正直なところ何が素晴らしいか分かりませんでした。
『自分はやりたくない仕事だけど必要な仕事。自分の家族がお世話になるかもしれないから本当にありがたい』と仰る方が多いです。
老人ホームの仕事で身についたこんなスキル
上に『勉強をさせて頂いている』と書いたように、老人ホームで働くと沢山のスキルが身につきます。
どんなスキルが身についたのか、私の事を例にしてご説明します。
認知症の方への接し方が身に付く
高齢になってくると、認知症の発症はしなくても認知機能は衰えてきます。
認知症の方への対応を間違えると、認知症の悪化にも繋がってしまうため、慎重に接しなければなりません。
言ってはいけない事・してはいけない事など沢山の事を老人ホームで仕事する中で身に付けることができます。
家族や近所の高齢の方など「あれ、この方認知症かな?」と思ったらすぐ対応を変えますが、それでもし認知症じゃなくても何も問題はないのでできるだけ慎重に接します。
世間には「認知症の人と話すと疲れるから嫌だ。同じ話を何回もされるから話したくない」と仰る方が多いですが、接し方さえ分かってしまえば何の苦もなく接することが出来るようになります。
要領が良くなる
老人ホームで働くようになって1番感じるのが、この『要領が良くなる』と言うことです。
老人ホームでの仕事は、入居者様に快適に生活していただく為、何事も要領良くこなす事が大切です。
例えば、食事の際に手際が悪いと入居者様が不満を覚えてしまい、機嫌が悪くなってしまって不穏になり、やらなければならない事が増えてしまいます。
そういった失敗を繰り返しながらも要領よく動く事を身に付け、マルチタスクをこなせるようになれば仕事もスムーズにいきますし、日頃の生活にも役立てる事ができます。
老人ホームで働いている中で嬉しかった瞬間
老人ホームでの仕事は人と接する仕事で、人と接していれば嬉しい事もたくさん起きます。
そんな嬉しかった瞬間をご紹介します。
入居者様の笑顔が見れる
何よりも嬉しいのが、入居者様の笑顔が見れることです。
入居者様はご家族と離れ老人ホームで生活されており、寂しい思いをしている方も少なくありません。
ですので、入居してしばらくは笑顔が無く寂しそうにしている方が多いのです。
しかし、職員が家族のようになり接することで、入居者様に笑顔が戻り楽しそうにされているのを見るとこちらまで幸せな気分になります。
入居者様からのお言葉
入居者様は高齢の方が多く、職員の多くは子供や孫のような年齢になります。
入居者様は人生の大先輩なので、色々なお言葉をいただくことがあります。
いろんな悩みに対しての励ましの言葉や、『あんたは孫だ。孫じゃないけどその位可愛い』と言われて時は本当に嬉しかったですし、誠心誠意介護させていただこうと改めて思いました。
老人ホームの仕事はこんな人におすすめです!
仕事には向き不向きが必ずあります。
そこで老人ホームはどんな人に向いているのかお話していきます。
要領のいい人
介護の仕事というのは、丁寧かつ効率よくスムーズに進めていくかが大切になってきます。
例えば食事介助の際。
丁寧だけどゆっくり介助していては食事も冷めてしまいますし、入居者様の食欲も失せてきてしまいます。
他の時も同じで、丁寧に行うために時間をかけすぎてしまうと危険も生じてきます。
また介護の仕事というのは入居者様の生活の一部なので、様々なことを効率的に行うことが求められます。
洗濯しながら掃除をして…等できずにもたもたしていては、一日の流れが止まってしまいます。
目配り・気配りのできる人
入居様の日常生活の中には危険なことが沢山あります。
食事の際には誤嚥の危険、入浴の際には溺れる危険、日常生活には転倒の危険…と様々な危険が潜んでいます。
その危険から入居者様を守るためには目配りが欠かせません。
また入居者様はナーバスになっている方が多いので、細やかな気配りのできる人に向いている仕事です。
マルチタスキングが出来る人
どの仕事でも必要かもしれませんが、介護の仕事はいくつもの事を同時進行するという事は多いです。
例えば食事の時間。
入居者様によって、自分で召し上がる方と介助が必要な方がいらっしゃいます。
しかし、1人の入居者様に1人の職員が付く事は出来ない為、1人の職員が複数名の入居者様を担当する事になります。
複数名の入居者様の食事介助をすることもありますし、介助が必要な方の介助をしながら他の方が誤嚥しないように見守る必要があるのです。
目の前の入居者様に集中し過ぎていると、他の方が窒息してしまう恐れもある為、全ての入居者様に目を配ります。
食事の時間だけではなく常に同時進行でやる必要がある為、マルチタスキングが必要になってきます。
老人ホームの仕事のおすすめの選び方
老人ホームといっても様々な種類がありますので、まずはその種類をご説明します。
その中でも老人ホームには自立した方が入れる所と、介護認定されてる人しか入居できない所があるので、今回は介護認定されてる方が入居するホームをご紹介します。
- 特別養護老人ホーム(介護):看護師は常駐していますが、基本的に医療行為は出来ません。自宅で行うような簡単なケガの治療は出来ます。
- 介護老人保健施設(介護+医療):病院と併設されているところが多く、医療行為もできます。胃瘻(いろう・食事を経口摂取出来ない方が腹部に開けた穴から栄養を摂取する事)や点滴などを行います。
- グループホーム(要支援でも入居できます):上記2つよりも自立度の高い方が入居されるところです。基本的にご自身でできることが多いので、一緒に食事を作ったりもします。
それぞれ特徴が違いますので、それも含めて選び方をご説明します。
清潔感
老人ホームによって清潔感は全く違います。
施設全体が不快な臭いになっているところも少なくありません。
ですので、エントリーシートを出す前に必ず施設見学をしてください。
施設によって見れるところは違いますが、居室・共有部分・トイレ・風呂場は確認していただきたいです。
あとは食堂や休憩室があるのかも確認するとよいでしょう。
働くところが不快な環境では仕事も続かなくなる可能性があるので、注意してください。
収入
働くということはお金を稼ぎたいという事ですよね。
自分が生活するのにどのくらいの収入が必要かを考えて探してください。
上記の老人ホームの中で収入が高めに設定されているのは、特別養護老人ホームと介護老人保健施設です。
収入が高いということはその分仕事もハードだということを念頭に置いてください。
更に居室も多い為夜勤スタッフも多くなり、必然的に夜勤に入る回数が増えるので収入も増えます。
上にも書いたようにグループホームは比較的自立度の高い方が入居されているので、その分お手伝いすることも少なくなります。
人間関係
老人ホームでの「人間関係」はスタッフ同士だけではなく入居者様との関係も出てきます。
スタッフと入居者様の関係が良好な施設であれば、自分が入職してからも大丈夫なのですが、元々いい関係を築けていないと自分が入ってからもいい関係を築くのは難しくなります。
スタッフと入居者様とのいい人間関係とは、入居者様がどれだけスタッフを信頼しているかという事です。
スタッフの事を信頼できていれば必然的にいい人間関係が築けていけるものです。
まとめ
老人ホームで働くことについてご説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
仕事にはメリット・デメリットは必ずあるので、そのバランスを見極めてちょうどよいところを見つけてください。
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