2020年8月23日

「広告」は簡単に言うと、会社名や商品やイベント(様々な興行モノ)などを広く世間に知らしめるためのコミュニケーション活動と言えるでしょう。

テレビCM(コマーシャル・メッセージ)はよく見聞きしますよね。

これは、私達が日常的に目にする代表的な広告です。

そしてこの広告が載っているもの、テレビCMの場合はテレビ(放送)ですが、これを広告媒体と言います。

雑誌の広告なら雑誌、新聞なら新聞紙面、インターネットならサイトのインターネットのページなどが媒体となります。

広告を載せるこれらの媒体を、広告を出してくれる企業に売り込む仕事が広告営業です。

ただ広告の守備範囲はとても広く、一概に「広告営業」とはこういうものだと定義するのは難しいかもしれません。

ここでは、そうした広告営業について興味のある人に基本的な部分から示したいと思います。

広告営業とはどんな仕事?

広告営業とは、端的に言えば「広告主(クライアント)を探し、自分の受け持つ媒体に広告を載せてもらうために活動する」仕事です。

その媒体に広告を載せる見返りに広告主から代金を頂きます。

ただ、ここで言う「媒体」は非常に多岐にわたります。

例を挙げると

  • テレビ、ラジオ
  • 新聞
  • 雑誌
  • フリーペーパー
  • チラシ(新聞折込、ポスティング)
  • 屋外広告(ビルの屋上看板、ポール看板、野立看板、駅ホームの看板・ポスター、車や電車のラッピング広告など)
  • 各種スポーツ施設の広告表示
  • 公共交通(電車やバス)の車内中吊り
  • DM(ダイレクトメール)
  • インターネット上の広告表示

などがあります。

上記の各項目は、扱う分野や業界により更に細分化されます。

広告営業と一口に言っても、その対象は非常に多岐にわたっているのです。

広告営業の役割とは?

顧客(クライアント)の商品と受け持つ媒体を結びつけるのが広告営業の主な役割です。

またそれだけではなく、広告には消費者や利用者の購買行動を喚起するといった経済的活動を活性化させる機能も伴います。

それ故に、広告営業の役割は経済活動の活性化を促す役割があると言えます。

広告代理店の例

クライアントの商品が最も効果的に発信できる様々な媒体を紹介し、その媒体を持つ会社(例・テレビ局、新聞社など)とクライアントの中間に立ち、様々な橋渡しを行います。

大きな会社では、広告が絡んだテレビ番組の立案に関わる場合もあります。

出版社・フリーペーパーなどの例

自社が持っている媒体に広告を載せてくれるクライアントを探す、あるいは継続して付き合いのあるクライアントのフォローをします。

印刷会社の例

地域単位の中小印刷会社では、地域の商店やスーパーのチラシ、パンフレットなどを作成するクライアントを探す、あるいは継続して付き合いのあるクライアントのフォローをします。

広告営業の具体的な仕事内容とは?

広告代理店ならクライアントに合う媒体を様々な媒体の中から選択・提案して広告出稿を促します。

また、コンペ方式で競合他社とクライアントの商品についての広告プランのプレゼンテーションを行う場合もあります。

野外広告の場合は、出稿してくれそうな企業に飛び込みで営業をかける場合が多いです。

スーパーのチラシやパチンコ店の開店チラシ、商店の特売告知チラシなどは、地域の印刷会社が地域を回って仕事を獲得します。

多くの場合、すでにクライアントと親密な関係が築かれており、継続したクライアントがメインです。

こうした印刷会社は名刺の印刷も大切な営業分野になっていることが多くあります。

雑誌のような形態の場合、自分の受け持ったページのスペースを埋めるために担当は新規開拓クライアントや付き合いのあるクライアントと交渉します。

雑誌などの広告は、掲載場所やカラーかモノクロかといったことでその料金が異なります。

分野や市場規模により様々ですが、その業界の知識をしっかりと研究する姿勢が必要不可欠です。

仕事の流れ【出版社の場合(雑誌)の一例】

営業活動

紙面概要や発行部数などが記載された紹介資料(「媒体資料」と言います)を持ち、クライアントを探す営業活動を行います。

クライアントとの交渉と決定

掲載場所・刷色(カラー・二色・モノクロ)、広告スペースの大きさ、価格などについて交渉の上決定し、新規の場合は契約書を作成します。

広告材料の収集

クライアントの要望や、商品の情報や写真などを用意してもらうか、必要に応じて撮影の手配も行います。

制作部署とのミーティング

どのような広告をクライアントが望んでいるかを制作部署に伝えてアイデアの練り上げを行います。

「校正」という業務

制作部署が作った広告をクライアントに見てもらい、誤りの訂正や決定稿までのブラッシュアップを行う作業です。

掲載後のフォロー

掲載誌の贈呈(クライアントに広告が載った新聞や雑誌を届けます)や読者からの資料請求対応や質問などがあれば迅速にクライアントに報告します。

クライアントに有益な情報を提供して、継続出稿してくれるように密接な関係を築き上げます。

広告営業の給与事情は?

広告営業は、給与の幅が非常に大きな業界です。

小規模の印刷所でもチラシなどの広告営業もありますし、大手広告代理店の営業もあります。

会社により担当業務が営業だけでない場合もあると思いますが、印刷会社で月給十数万円〜といったところです。

大きな広告代理店になれば年収1000万円以上も可能な世界です。

広告営業のやり甲斐を感じる時

広告が取れた時

自分(達)の努力と情熱がクライアントを動かして、広告を出すと言ってくれた時は嬉しいものです。

広告が実際に露出した時

クライアントと苦労して作り上げた広告が実際にテレビで放送されたり、新聞に掲載されたり、チラシとして配られたりした時の嬉しさはひとしおです。

広告の効果があったと実感できた時

関わった広告によって集客ができた、売上が上がったという効果があって、クライアントが喜んでくれた時もやり甲斐を感じます。

広告営業に向いている人のタイプは?

広告が好きな人、世の中に広告が様々な形で入り込んでいることを意識できる人。

商品を紹介する広告というものに魅力を感じている人、世の中に溢れる広告に注意を向けられる人です。

様々な業界に興味を持ち、研究・勉強できる好奇心がある人

広告営業は分野が広いので、自分の関わったことのない分野でも積極的に知ろうとする姿勢が大切です。

世の中の流行りなどを敏感に察知できる人

流行や話題性のあるものは広告に関連することが多いからです。

新しいものが好きな人

新しいものを多くの人に知らせるのが広告の役割ですので、広告として取り上げるチャンスを見つけやすいはずです。

お節介を焼くのが好きな人

「ああやったらもっと売れるのに、私だったらこうする!」という姿勢は、広告営業の基本的姿勢だと思います。

人が好きな人

広告営業に限らず営業は人と人との付き合いなので、人が好きというのは必要不可欠な態度と言えるでしょう。

広告の営業をやってみたいと思っている人

やりたいと思う人は、その仕事のために努力できる人と言えます。

広告営業の仕事で大変なこと

広告業界は華やかな世界に見えますが、それはほんの一部の大手の会社から表されているイメージで、実際は地味で大変な作業が多いのです。

新規開拓の大変さ

コンペによるプレゼンでは、競合他社に勝たねばなりません。

そのための準備には多くの関係者の膨大なエネルギーがかかりますし、採用されない場合は単にコストがかかっただけになります。

どんな媒体でクライアントがいなければ商売になりませんので、結果が出ない時の重圧はかなりのものがあります(どんな業界も同じですが)。

また、担当している業界に関する勉強はとても大変なものです。

スケジュール管理の大変さ

どんな媒体にしても決められた日や期間に確実に広告出稿することが大前提です。

あれこれと案件が多ければ非常に多忙になり、スケジュール管理が大変になります。

広告の誤植や誤った情報の掲載などのミスは重大問題になる

チラシやパンフレットから新聞・雑誌、テレビなどどんな媒体でも広告の制作上のミスがあればクライアントに損害を与えることになります。

単なる文字の誤植から内容に法律的な問題があるような事例まで様々ですが、広告はその性質上一度露出されれば不特定多数の目に触れるので、その訂正に労力を割くことになり無用なコストが発生してしまいます。

そして何よりクライアントの信用やイメージを傷つけてしまうようなことになれば、賠償問題などに発展してしまう恐れもあります。

ミスを起こさないよう細心の注意と緊張感が求められる上、万一ミスが発覚した場合、影響を最小限にするための迅速な対応ができるように対処方法を考えておかなくてはなりません。

クライアントとの窓口になる広告営業は、総合的に業務の全体を見なければならない立場になります。

広告営業の仕事に就くためにはどうしたらいい?

広告を扱っている会社は数多くあるので、そのような会社に就職することです。

広告は多種多様なので、自分がどんな広告に携わりたいのかをよく考えておくことが大切です。

広告営業の仕事をする会社は多種多様

すでに述べましたが、広告を扱う会社は小規模の印刷屋さんから大規模な広告代理店までとても幅広くあります。

もちろん、出版社・新聞社(これらの業界も大小様々多数ありますが)もありますし、鉄道・バスの関係会社にも広告営業の仕事があるところがあります。

また、屋外の看板を所有しているところも広告主を探しています。

その会社の業務内容や求人情報をしっかり見れば、広告の営業があるかどうか分かるはずです。

広告営業の募集でなくても求人がある場合、就職すれば異動で広告営業に移れる可能性もあります。

学生なら就職説明会や就職担当の窓口でじっくり探しましょう。

ハローワークで出版社・印刷会社などの求人を探すことも可能です。

営業経験があれば、採用の糸口になると思います。

資格は必要?

特に必須の資格はありませんが、営業をするのに普通自動車の免許はあった方が良いと思います。

多くの場合大卒の求人が多いのですが、中小の印刷会社などでは高校卒でも求人があります。

裾野がとても広い業界なので、何か専門的な資格を持っていれば、営業する先の業種によっては知識が活かされることは充分にあるでしょう

広告をよく観察してみる

テレビCMなどは、放送する時間帯やどの番組の時に放送されるかなど様々な約束事の上で放送されています。

新聞にしても、様々な大きさの広告や本だけが紹介されている紙面があり、雑誌ならカラーかモノクロか、表紙周りか本文中かなど専門知識がなくても気づく部分は多いと思います。

そういう部分を気にしていれば、いざ広告の業界に入った時に様々な専門的な知識がスムーズに頭に入ると思います。

また、広告集といった分野の書籍が多数出版されているので、広告観を養うために手に取ってみるのも良いと思います。

広告営業の仕事の将来性は?

広告は経済活動に欠かせないものなので、広告業界が立ち行かなくなる、衰退するということは考えにくいと思われます。

従って、広告営業の仕事は更なる細分化があるかもしれませんが、今後も必要なものには変わりがないでしょう。

広告は四大媒体と言われてきたテレビ、ラジオ、新聞、雑誌とチラシや野外広告、交通広告といった従来型の広告に加え、インターネットによるデジタルな広告がすでに一般化して影響の大きな媒体となっています。

インターネットの広告では消費者の好みに応じた広告の表示がある程度可能になっており、従来型でない広告の比重が今後大きくなっていくと予想されます。

まとめ

広告営業と一口に言っても、その裾野はとても広い分野です。

芸能人に会ったり有名企業のテレビCMに携わったりといった華やかな業界の一面を持っていますが、それは大手広告代理店の業務の中の一部でしかありません。

「広告の営業をしたい」と思うのであれば広告についてよく調べて、どんな種類があって、将来どんな展望があるのかなどをじっくり考えることが重要だと思います。

広告代理店なら全国規模の巨大な会社が数社ありますが、日本の各県にある地方テレビ局にはその局に属するような形の広告代理店がありますし、その地方に特化した中小代理店もあります。

新聞社は大手の主要紙の他に様々な業界に特化した新聞社が多数あります。

出版社なら全国規模の会社の他に多くの中小出版社があり、地方にはタウン誌(含フリーペーパー)や自費出版を扱ったりする地方色の強い出版社などがあります。

チラシ、パンフレット、名刺を作る印刷会社(大手を除く)は全国各地に沢山存在しています。

交通広告ならJRなど最大手の他に、各地方の鉄道会社、バス会社があります。

広告営業というと入口の狭い花形の職業に思われがちですが、そうではない場合の方が多く、むしろその間口は大きい職種だと思います。

また、分野や会社の規模によって担当する内容の幅も大きく異なります。

規模の小さい会社の広告営業ならコンセプトやデザイン制作に関わる場合もあるし、大きくなるほどそうしたクリエイティブな部分には関わらない分業制になる傾向もあります。

広告営業には、どの業界のどのような広告を手がけたいかによって様々な切り口があることを分かって頂ければ幸いです。

広告営業求人を探す時は、こちらの記事を参考に!



関連キーワード