栄養士の働く施設の中でも、福祉施設と病院は一日三食の食事提供であるため、利用者や患者の健康を担う重要な役割をしています。

中でも病院の食事においては、外科的治療で入院されている方などを対象にした「一般食」と内科的な治療(糖尿病や脂質制限、塩分制限など)の方を対象にした「治療食」があります。

治療食の分野は病気の種類により数々の栄養制限があるため、献立作成が難しくなってきます。

しかし、様々な病態に関わることで自分の知識を広げていくことは、大きな飛躍になることと思います。

また治療食の業務に関わることで、管理栄養士国家試験の内容を仕事で経験できる機会も多くなります。

そのため病院栄養士を経て管理栄養士の資格を取得することは、受験にも有利になること間違いありません。

病院栄養士求人の仕事内容とは?

委託会社か病院の直営かによって仕事内容は変わります。

委託会社の場合は調理が中心となりますが、発注業務や献立作成をすることもあります。

しかし、献立作成は直営の栄養士が担当する場合が多いです。

一方で病院直営栄養士は献立作成を中心に、栄養相談にも関われる場合があります。

栄養指導は管理栄養士が行った場合でないと保険点数が取れないので栄養士は関わる程度になるかもしれませんが、管理栄養士を目指していく場合には勉強になると思います。

一般常食の献立作成

一般常食の献立作成は、全ての献立の基本となる献立になります。

年齢別、性別などから個別の給与目標量を計算します。

そこから食料構成を作り献立を作成していきます。

一般常食は病院の規模によりますが三種類くらいに分け、患者に見合った種類の食事を提供します。

主に三大栄養素と塩分の数値を合わせます。

治療食への献立展開

一般常食から、各治療食に献立を展開していきます。

提供の多い治療食は、糖尿食(エネルギー制限)、脂肪制限食、塩分制限食、潰瘍食などが挙げられます。

それぞれの制限に応じて、各栄養素の数字を細かく合わせていきます。

しかし数字だけに囚われずに料理として成り立つように考えないと、調理の段階で困ってしまいます。

厨房内の管理

病院の給食は、患者に合わせて計算された治療食となっています。

調理担当者の中には、治療食に関する知識が不足しているため塩分や調理法をいい加減に行っている場合があります。

また調理担当者が独断で献立自体を変えてしまうこともあるため、常に献立と調理法に問題がないかを確認しておかなければなりません。

更に、調理担当者へ治療食の知識を伝えることも栄養士の役割になってきます。

ベテラン調理師に治療食の重要性をしっかり理解してもらい、上手く連携ができることで治療食の献立が活かされてきます。

発注業務

職員食も提供している病院では、患者食と職員食の発注を分けていることがあります。

発注する食材の数量も多くなるため、間違いがないよう確認をしっかり行う必要があります。

最近はパソコンでの管理が多く見られますが、場合によっては献立上から食材を拾いながら発注を行う施設もまだあるようです。

その場合は、漏れがないように確認が重要になってきます。

当日に食材がないというアクシデントが起こらないように注意が必要です。

また、不足食材の買い出しや予定発注と実施人数の差が大きくある場合は、追加発注が必要になります。

治療食の調理の担当

栄養士は調理も担当しますが、中でも治療食を担当することが多くなります。

塩分制限などの制限食は量を間違えると時には患者の生命に関わってしまうので、調理も全てにおいて計量が必要になるためです。

料理を作ることはできても、計量できる人が少ないと聞きます。

食物アレルギー食も栄養士が担当し、食物アレルギーの種類ごとに代わりの食材を考え献立作成することが多いです。

病院栄養士求人でよくある募集内容とは? 

最近は人手不足もあり、栄養士の募集も沢山あります。

よく見かけるのは調理現場の仕事少なめ、ブランクがあってもOK、丁寧に指導します、などです。

給与相場

経験年数や働く施設によって多少は異なりますが、栄養士の給与は月12万円~25万円のようです。

更に女性と男性でも、年収の平均が100万円ほど違っています。

ちなみに、男性の平均年収が394万円に対し、女性の平均年収は282万円となっています。

勤務時間や休日、残業

病院や福祉施設では勤務形態がシフト制で、朝4時~5時に出勤というところもあります。

終業は20時~21時くらいです。

土・日曜、祭日も交替での勤務になります。

ゴールデンウイークや年末年始も交替です。

しかし考えようによっては、交替制なのでショッピングモールやテーマパークなどが空いている平日に休みが取れるということです。

残業については人員が充分に配置されていればないでしょうが、最近は人手不足が深刻なため残業はあると思った方が良いでしょう。

人手不足の場合は現場の仕事が優先となるため、就業時間内に事務作業の時間が確保できず、必然的に事務仕事をするための残業が発生してしまうことになります。

福利厚生

社会保険・退職金・交通費・資格手当・住宅手当・ボーナスの有無などは会社によって違いがあります。

産休・育児休暇・介護休暇などもしっかり取れる環境なのか、確認しておきましょう。

普段の休暇も一週間あたりの休暇日数を確認することも必要です。

併せて、有給休暇の取得も可能なのか聞いておきましょう。

求められる人物像

栄養士としての経験内容を、募集施設は知りたいと思います。

前職があれば、どのような仕事でその施設にとって有益な仕事ができたかをアピールポイントにしましょう。

例えば献立作成に関わっていたならば、対象者に喜ばれる献立作成をしていたこと、その献立で対象者の喜ぶ様子があった、残菜が減った、健康的になったなど具体的な内容を説明できると良いと思います。

病院栄養士求人のおすすめ求人のポイントとは?

病院直営の栄養士は、比較的待遇が良い場合が多いです。

直営の場合は病態栄養に関われるため、その後管理栄養士にチャレンジしやすくなると思います。

病院直営の栄養士

病院直営の場合は、人員の配置に余裕を持たせてくれているように思います。

休みや福利厚生も充実しています。

有給休暇も取りやすいでしょう。

給与面でも、資格手当や住宅手当などしっかりしている場合が多いので働きやすいでしょう。

ただし欠員が出ている場合は代わりの人員がいないので、人員の確保ができないとハードになる面も考えられます。

クリニックの栄養士

クリニックでも厨房を構えています。

20床以下の小規模ですが、入院患者がいる場合は食事の提供があります。

食事の提供に関わる献立作成、発注業務、調理にも関わる場合があるということです。

20床以下なので、人員の配置も少ない人数でのやりくりになると思います。

栄養士は事務作業中心という場合もありそのような環境では、時間も9時~18時となり働きやすくなるでしょう。

歯科医院の栄養士

数は少ないですが、歯科医院での栄養士という募集があります。

仕事内容は、受付(電話対応や会計、予約など)と歯科助手(患者の後片付け、セッティングなど)をやりながら、栄養指導を行うという内容です。

歯科医院の場合、外来では栄養指導の診療報酬は得られないため栄養士でも可ということなのでしょう。

最近のトレンドとして、口腔ケアは重要になっています。

口から病気が発見できたり、口から思わぬ病気の進行が起こることもあります。

また食事を美味しく食べられる口内環境は、高齢者にとって健康を維持できるかの重要な課題になっています。

口から食事が摂れることで、認知症の予防や健康に生きるための筋肉の強化に繋がると考えられています。

嚥下の問題や歯槽膿漏の予防など幅広く知識が求められる分野になっています。

今後も益々需要が期待できると思います。

訪問栄養士

高齢者や障害のある方の家に訪問し、食事の内容や嚥下、健康管理を総合的に考える仕事です。

地方自治体や病院と連携して行われていることが多いです。

嚥下障害がある場合は個人個人に違いがあり、食べ物の柔らかさにも違いがあります。

内容が合っていないと食事が食べられず、体調不良を引き起こしてしまいます。

嚥下の分野も「摂食嚥下リハビリテーション」という栄養専門管理士の資格も出てきています。

受験には、まず管理栄養士の資格を取得しなければなりませんが、栄養専門管理士の補佐という意味合いでは栄養士でも充分です。

また各家庭での調理の実演などもありますので、その場合は調理現場での経験豊富な栄養士の方が有利なのでしょう。

産婦人科の栄養士

産婦人科の食事は自費会計のため、最近はとても豪華な食事となっています。

妊娠中毒症などの合併症がある患者には、病状に合わせた治療食の提供になります。

出産後の食事においては、ステーキなどが出されたりするという話もあります。

また、授乳におけるミルクの調合なども管理する場合があります。

産婦人科というデリケートな環境のため、女性栄養士限定のことが多いようです。

病院栄養士の働く場所による仕事の違い

病院の種類によって、作る食事も違ってきます。

急性期の病院の場合は?

急性期の病院の場合、食事の種類は複数あるので複雑になってきます。

また、濃厚流動や経管栄養の種類も複雑化する場合があります。

ただし長期入院の患者はいないため、サイクルメニューは短期間のサイクルで充分になります。

介護療養病床Ⅰの場合は?

特定の疾患で医療が長期的に必要な患者が入所しています。

急性期の病院で治療は行い、その後の経過観察又は長期療養などの患者を扱っています。

透析の患者や寝たきりで継続的な治療が必要な患者の入院がほとんどです。

介護療養病床Ⅰの場合は診療報酬が多く出ているため、基準も厳しくなっています。

献立作成においても、厳しく制限があり栄養士泣かせのところもあります。

また入院期間も長くなるため、サイクルメニューも期間も長く取らないと、患者からクレームがくることもあります。

介護療養病床Ⅱの場合は?

介護療養病床Ⅱの場合、介護療養病床Ⅰよりも基準が低くなりまた診療報酬も低くなります。

最近は厨房の人員不足が深刻であり、給食の簡素化が進んでいます。

人員が確保できないため日曜日は院外弁当の提供になったり、クックチルやニュークックチルを導入し人員を機械で補う方向に進んでいます。

院外調理になると介護療養病床Ⅰの基準から外れてしまうことも多いようですが、働く側からするとこちらの方が休みが取りやすくなります。

外科病棟の場合は?

整形外科や肛門外科のような、短期入院の患者が対象になります。

退院するまでの時間も早いのですが、食事の提供は必要です。

サイクルも早いので、メニューは幅広くなくても済むようです。

比較的働きやすい職場だと思います。

心療内科病棟の場合は?

心療内科系も社会的な問題によって、患者数が増えています。

摂食障害などは、栄養士も関わる分野となります。

入院中の患者の食事提供を行うのは他の病院と変わりありませんが、心の病なので気分的なものが重要になってきます。

退院後も、食事の管理ができるような工夫が必要です。

患者本人はもちろん、家族との連携も必要になってきます。

個別の対策を考えていくことが栄養士の仕事になってくるでしょう。

まとめ

病院栄養士の仕事内容は治療の一環としての食事提供であるため、専門の知識が必要になってきます。

それだけ栄養士という職業が必要とされ、栄養士の資格を活かせる場所ということになります。

働く上では病院の規模や診療の内容により、休日の取り方や給料に差が出てきます。

ほとんどが患者に合った内容の調理と献立作成になり、厨房業務は必須になってきます。

病院の献立作成を経験することで、病院以外の施設へ転職した場合は献立作成が楽になるという話を聞きます。

それだけ病院の献立作成は栄養制限が厳しく、その中でいかに美味しい給食を提供することができるかが鍵になってくるため、献立作成の力も鍛えられてくるのだと思います。

栄養士から管理栄養士へと飛躍を考えている方なら、ぜひ病院栄養士として働いてみてください。

きっと、やりがいを見つけられると思います。



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