こちらの文章では、助産師とはどんな仕事なのか、向き不向きやメリット、キャリアについて書きたいと思います。

助産師についてできるだけわかりやすく解説していきます。

助産師とはどんな仕事?

妊娠、出産、育児における女性と子ども、その家族を支援する仕事です。

それだけではなく、妊娠前の女性や家族も支援することのできる仕事です。

助産師の大まかな仕事内容

母子業務

産後のお母さん(褥婦)と赤ちゃん(新生児)の入院期間を支援し、退院後自宅に帰ってからの生活に困らないように授乳、育児状況を整え、育児環境やサポートを調整する仕事です。

具体的には

  • ①産後のお母さんと赤ちゃんの健康状態の確認
  • ②3時間おきに行われる授乳の支援やライフスタイルに合わせた授乳方法のアドバイス
  • ③沐浴やおむつ交換、抱っこ、着替えなどの育児技術の指導と支援
  • ④産後のお母さんのメンタル支援

などが挙げられます。

入院管理が必要な妊婦や褥婦の業務

妊娠や出産は誰もが嬉しいもので、順調な妊娠生活を10カ月間過ごし、無事に出産を迎えるものというイメージが強いですが、一方で常にリスクと隣り合わせです。

入院管理が必要になる方もいらっしゃいます。

例えば

  • 妊娠悪阻:つわりがひどくなり、水分も食べ物も摂れなくなった状態
  • 切迫流早産:なんらかの原因で流産や早産の危険性が高い状態
  • 前置胎盤:本来子宮の上の方にあるべき胎盤が、子宮の出口の近くにある状態。出血などを起こす。
  • 双胎(双子)、品胎(三つ子以上)
  • 羊水の異常:子宮の中で赤ちゃんを守り、赤ちゃんの呼吸を助けている羊水が多かったり、少なかったりする状態。または分娩が始まる以前に、赤ちゃんを包んでいる膜が破れる状態。
  • 胎児発育不全:お腹の中の赤ちゃんの発育が悪い状態

などなど。

これら以外にも基礎疾患を持っていたり、高血圧や糖尿病を合併した場合には入院が必要になります。

また赤ちゃんが順調に成長するのは奇跡のようなことなのです。

なんらかの原因で子宮の中で赤ちゃんが亡くなってしまうこともあります。

お産が終わった後も特別な管理が必要なお母さんがいます。

例えば帝王切開後のお母さんや分娩の時に出血が多かったお母さんなどです。

このように特別な管理が必要なお母さんと赤ちゃんの入院を支援します。

分娩業務

上に書いたような業務は産科スタッフの看護師や助産師が行いますが、分娩に立ち合い、介助をすることは助産師に許された業務になります。

お産において助産師は医師と同じように裁量を持ち、判断を下し、分娩を介助することができます。

一言に分娩と言ってもその経過は人それぞれです。

初産では平均12~24時間、2人目以降の出産では平均6~10時間かかると言われています。

生まれる瞬間だけでなく、陣痛に耐えている時間も助産師のできることはたくさんあります。

食事、睡眠、環境を整え、無事安全で安楽な分娩に導くことが助産師の仕事です。

外来業務

妊娠、出産、育児を支えるのは入院中のことだけではありません。

妊婦健診や1か月健診などは外来で行います。

外来では妊娠生活や出産の準備について指導したり、赤ちゃんを迎える準備の状況やサポート状況を確認して、必要な時に必要な支援が受けられるよう、そして困っている状況を早期に発見し対応できるよう努めています。

妊婦健診をするだけでなく、入院や分娩の準備について説明します。

健診と並行し、アンケートを行い、妊婦や出産後のお母さんのメンタル状況を把握し、困っているお母さんやその家族を支援します。

不妊治療業務

多くは外来で行われますが、不妊治療の妊娠や出産を支える上で重要な要素の1つです。

現在不妊治療を受けたカップルは6組に1組と言われ、不妊治療での妊娠は珍しいことではなくなっています。

しかし地域や国からの不妊治療への支援はまだまだ少なく、地域差も大きいのが現状です。

経済的な負担が大きい。

そして何よりも不妊治療は精神的負担が大きい。

まず不妊と認めるのは辛いこと。

それを認めて話を聞き、実際に治療が始まります。

治療が始まり、ホルモン注射等に耐えたとしても、妊娠できないかもしれない、妊娠しても流産してしまうかもしれないという不安や恐怖といつも闘います。

周りの妊娠や出産をしている人を恨めしく思ってしまうことも。

それは当たり前の感情です。

さらに経済的負担がのしかかります。

どこでピリオドを打つのかも難しい問題です。

そんな夫婦にそっと寄り添い、カウンセラーとの仲介役になったり、判断や治療の助けになるように、身体的・精神的に支援するのが、助産師の役割です。

助産師の仕事はどんな人に向いている?

助産師の免許の取得には様々な方法がありますが、共通しているのが、看護師の免許を所持、もしくは取得見込みの状態で1年間の助産学履行が必要となります。

看護師の免許を持っている以上、看護師として働く選択肢もあります。

どんな人が助産師に向いているのでしょうか。

以下はあくまで私の個人的な意見です。

私が助産師として働いた経験で感じたことを書かせて頂きます。

助産師として誇りを持ち、お母さんと赤ちゃん、その家族の味方になれる人

どの領域の看護師でも、患者中心の看護をできることは大前提だと思います。

産科領域でも同じです。

家族にはさまざまな形があります。

自分が信じられないような考えや行動をする人もいます。

どんな家族でも、退院後に赤ちゃんとお母さんが地域に戻った時、家族が困らないようにはどうすればよいか、を最優先に考えることができる人である必要があります。

助産師として、患者の生涯で数回しかない貴重な時間に立ち会えることを、喜び、感謝できる人でなければ、助産師は務まりません。

女性との人間関係がうまい人

現在の日本の法律では助産師は女性のみが慣れる職種。

産科のスタッフは女性看護師と助産師のみのため、完全なる女性社会です。

医師の中には男性もいますが、他科に比べ女性医師が多いのも事実です。

助産師は自身で裁量を持ち、分娩介助ができます。

実習も厳しい学校が多いです。

その結果、自分の意見を強く持ち、上司や医師にも物申す女性です。

女性の世界ですから、意見がぶつかることも。

同僚や上司、医師とコミュニケーションを上手く取り、好かれ愛される性格というのも向いている人の特徴です。

逆に助産師の仕事に向いていない人の特徴は?

上記の通り、女性の世界である助産師。

向いていない人の特徴とは何でしょうか。

患者のメンタル状況に影響されない

産科と言えば、幸せなイメージが強いですが、幸せなことばかりではありません。

流産、早産、子宮内胎児死亡(お腹の中で赤ちゃんの心拍が止まってしまうこと)、時には中絶に立ち会うこともあります。

中絶というと、世間のイメージでは望まない妊娠をしたり、妊娠に対する知識が乏しい人が妊娠した場合に行われる印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、それだけではありません。

望まれ、計画的な妊娠であったにも関わらず、児になんらかの疾患や先天的異常がある場合や、母自身が妊娠・分娩に耐えられない場合、中絶を選択せざるを得ない方もいます。

そのような分娩にも立ち会うことになるのが助産師です。

どんな分娩でも、最善の看護を行おうとしますが、どうしてもメンタルが落ちてしまうこともあります。

患者と共に悲しむことは重要ですが、患者のメンタルに影響され、自身のメンタルが落ちてしまう方や、メンタルが落ちた状態から自力で復帰できない方は向いていないと思います。

忙しくなると、患者に敬意をもって接することができなくなる

分娩中、陣痛に耐えながら、長い時間を過ごさなければいけません。

痛みの中でもお母さんや家族は私たち助産師の言葉や態度に敏感です。

分娩の時には、痛みで叫んでしまい、なかなかこちらの言葉が届かなかったような方でも、分娩の後に話を聞くと、助産師や医師が発した言葉を鮮明に覚えていることは稀ではありません。

患者に寄り添い、信頼し合う関係になることは重要ですが、適当な距離を保ち、丁寧な言葉遣いで接することが必要です。

助産師の仕事をするために活かせる、今までの経験は?

助産師の仕事をするために活かせる経験はたくさんあります。

私は看護課程を終了し、そのまま助産課程へと進みました。

そのため、助産師としての経験しかありません。

私が産科で働く中で、こんな経験があったらいいなと思うような経験を書かせて頂きます。

看護師の経験

産科は特有の部署なのでしょう。

たとえ産科としては何の問題もない患者でも、妊娠しているということが理由で産科に入院することがあります。

また病院のベッドには限りがあります。

婦人科病棟のベッドが満床であれば、産科に婦人科の患者が入院することもあります。

助産師は産科のプロですが、私のように他の科の経験がない助産師も多い。

他の科の患者が来た時には、どんな看護や治療をすれば良いのか分からないことも多くあります。

そんな時ありがたいのが、他の科の経験がある看護師さんです。

産科しか経験のない助産師だけでは思いもつかないような治療法やケアの方法を教えてくださったりします。

使ったことのない治療機器の使い方を教えてくださったりもします。

看護師として、助産師としての他の科での経験は、産科でも必ず活かすことができます。

妊娠、出産、育児の経験

私にはまだ妊娠、出産、育児の経験はありません。

ですが、妊娠中や産後のお母さんたちを支援する上で重要なのが、その人の家庭や生活をイメージし、困らないように、困ったときに適切な場所に適切なタイミングで助けを求められるように、環境や人を調整することです。

私の働く産科にもママ助産師やママ看護師が多くいますが、彼女たちがお母さんと話すと、家庭の環境や生活の中での問題点が明確になり、スムーズに支援につなげることができていたり、一度の短い時間での話だけで、多くの情報が収集されています。

例えば、上の子の育児は?

旦那の仕事は?

サポートしてくれる人はどの程度いるの?

1人目の時には何とかなったことも、2人目以降では、上の子を抱えた状態での育児になるけれど、無理はないか、など。

また実際に経験をしているので、何にどのくらいお金がかかるのかも知っています。

分娩費用や保育園・幼稚園の情報、どんな場所で買い物をしているのか、区や市にはどんなサービスがあり、どんな制限があるのか。

民間のサービスにはどんなものがあり、どのくらいのお金がかかるのか。

経験がなくても調べることはできますが、経験者にはかないません。

ママ看護師やママ助産師は産科の大きな財産であり人材です。

助産師の仕事をするメリットとは?

フルタイムで働くことができなくても仕事がある

女性のライフイベントとして大きく影響するのが妊娠、出産、育児です。

産休のみを取得し、サポートを充実させることで、早期から仕事復帰する方もいますが、どうしても1か月半程度は法律で休まなければなりません。

そして育児となると、仕事との両立は大変なもので、中には長期間休みを取ったり、一度仕事を辞め家庭に入る方も少なくありません。

助産師は病院やクリニックで働くだけでなく、両親学級やおっぱいケア(授乳ケアや卒乳支援)、大手育児物品販売店舗での相談コーナーや出産準備教室の実施等、地域や民間でもたくさんの働き方があります。

病院やクリニックなどで、非常勤としても働くことが難しいという女性だとしても、このように働く方法がたくさんあるのはメリットだと思います。

経済的なメリット

少し下品な話になりますが、助産師として働くには、看護師に加えて助産師の国家資格が必要です。

また分娩を一人で介助することが許されているため、給料には、「技術料」というものが追加されます。

その金額は病院によって様々ですが、5000円~2万円/月程度でしょうか。(給与体制は病院によって異なります。基本給が異なる場合や、基本給は同じでも技術料として上乗せされている場合等様々です。)

月の給与から見ると、ほんの少しの差かもしれませんが、うれしいメリットです。

一度関わったお母さんや赤ちゃん、その家族に何度も会うことができる

これはメリットというよりは、助産師のやりがいに繋がるかもしれません。

私が産科に勤めていて嬉しいと感じることのできる1つです。

他の科、いわゆる病気を治す科では、一度関わった患者さんには、二度と関わらないことが一番いい。

ですが産科は違います。

1ヵ月健診でお母さんと赤ちゃんが遊びに来てくれた時や、1人目で関わらせてもらったお母さんが、2人目、3人目の妊娠でまた同じ病院を選んでくれ、上のお子さんを連れて、「またお世話になります。」と来てくれた時、助産師として、とても嬉しく思います。

その後のキャリアについて

この仕事についた後のキャリアアップの道は?

母性専門看護師

詳細についてここでは書ききれませんので、興味のある方は調べてみてください。

母性専門看護師とは、助産師を経験した後に、大学院で所定の課程を修了すると得られる資格です。

役割は周産期母子援助、女性の健康への援助が挙げられます。

仕事内容については、所属する病院によって様々ですが、ハイリスク妊娠と言われる人の妊娠、出産、育児、退院した後の援助を行っています。

ハイリスク妊娠とは、例えば若年妊娠(未成年での妊娠)、高齢妊娠(40歳以上での妊娠・特に初産)、合併妊娠(妊娠や出産に影響を及ぼす疾患を合併しての妊娠、精神疾患も含む)、外国人、サポートレス、経済的に不安定、虐待歴やその可能性がある、胎児になんらかの異常が指摘されている、妊婦自身に障害があるなどです。

このような妊婦は大学病院に紹介され、設備や人員の整った状態で支援を受けます。

支援の窓口でありコーディネーターとなるのが、母性専門看護師です。

助産院の開院

助産師には医師と同じように開業権があります。

看護師でも訪問看護ステーション等、株式会社などを開業することはできますが、助産師には助産院として医療機関を開院する権利が認められています。

助産師の経験を積んだのち、地域で助産院を開き、地域に密着し、地域のニーズを満たした助産ケアを行うことができます。

訪問助産

助産院と似たようなものではありますが、助産院での活動だけではありません。

患者の自宅に訪問し、分娩介助をしたり、授乳支援をしたりすることもできます。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

助産師として病院で関わることができる患者の多くは、妊娠の少し前から産後まで。

生まれてから妊娠適齢期になるまでや、適齢期になっても妊娠を考えていない女性、産後子どもが大きくなった女性と関わることは、なかなか難しいのが現実です。

しかし助産師は女性のライフステージ全てを支援できる女性のプロ。

私もいつかは、自分が今関わることのできない、妊娠前や産後のお母さんと家族を支援できる女性になりたいと思っています。

私の知り合いには助産師の資格を持ち、助産師としての経験を経て、エステティシャンとして働いている女性がいます。

彼女は働いていた病院で関わることのできなかった女性、特に若い女性の生活を整え、輝かせるお手伝いがしたいと言って、エステティシャンに転向したそうです。

そのエステでは肌のケアだけでなく、食生活や生活習慣、女性にとって避けては通れない、月経や避妊などの支援もしているそうです。

助産師としての経験は、女性やその家族のためになる仕事なら何でも、活きる経験だと思います。

例えば営業職だとしても。

女性が妊娠出産を迎えるにあたって役に立つサービスの営業であれば、助産師としての経験は活きるのですから。

まとめ

私地震もまだまだ助産師として学びの最中です。

この文章を読んでくださったあなたが、助産師って面白い職業かもしれないと、少しでも興味を持ってくだされば、大変嬉しく思います。