広告代理店というと、華やかでカッコいい業界というイメージの反面、激務で過酷な仕事なのでは?と思っている方も多いのではないでしょうか。

昨今は、働き方改革によって職場環境が改善しつつあるとはいえ、日々変化し時代の最先端を行く広告業界では、スピードと即応力を求められ、長時間労働は避けられない部分もあります。

特にインターネット広告の拡大によって、メディア環境はここ数年で急激に変化しており、広告代理店が持つ役割や、求められるものは幅広くなっています。

この記事では、そんな広告代理店の仕事が「きつい」と言われる理由と、それを乗り越える方法を、筆者の経験をもとにお伝えします。

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広告代理店のおおまかな仕事内容とは?

まず広告代理店の仕事がどんなものか、簡単にご説明します。

会社の規模によっても異なりますが、広告代理店の仕事は、営業部門、メディア部門、マーケティング部門、クリエイティブ部門、プロモーション部門の大きく5つに分けられます。

そして、それぞれの部門のスタッフが集まってチームを作り、連携して同時に複数のプロジェクトを進行していきます。

営業部門の仕事

広告代理店の核となる営業部門は、日々の受注活動の他に、プロジェクト全体の進行や、予算管理・売上管理を担っています。

広告主との窓口となり、社内の各部門間の調整も行うプロデューサー的な役割で、すべての業務の中心となる重要な存在です。

メディア部門の仕事

メディア部門では、広告媒体のプランニングや、テレビ、ラジオ、新聞などの広告枠の買い付けを行います。

各媒体の特性を知り尽くした上で、最適な媒体計画を立案したり、より良い条件で買い付けできるよう各メディアの担当者と折衝します。

また媒体社と協力して、新たな広告企画を立案し、広告主に提案することもあります。

マーケティング部門の仕事

マーケティング部門では、マーケティングリサーチなどにより、広告主に最適なマーケティング戦略を構築します。

また広告を実施した後の結果の分析も行い、次の戦略策定に活かします。

マーケティング部門は、広告代理店の頭脳とも言える重要な仕事です。

クリエイティブ部門の仕事

クリエイティブ部門では、実際の広告制作を行います。

会社の規模によっても異なりますが、広告代理店では、デザイン制作やCM制作などの実際の制作は外部に発注することが多く、クリエイティブ戦略の立案とディレクションが主な仕事になります。

プロモーション部門の仕事

プロモーション部門では、キャンペーンやイベントなど、販売促進のプランニングと運営を行います。

クリエイティブ部門と同様に、実際のイベント運営は外部の運営会社に発注することが多く、ディレクションが主な仕事になります。

広告代理店の仕事がきついと言われる5個の理由とそれを乗り越える方法とは?

広告代理店の仕事は、決してラクなものではありません。

他業種と比べると、実力次第では高待遇・高収入が期待できる業界ではありますが、その分、過酷な労働環境であると言えます。

なんとなくクリエイティブでカッコいいし、たまには芸能人に会えたりするかも…などという見た目の華やかさや、待遇面だけで安易に志望するのは、あまりおすすめできません。

実際に広告代理店に入社してみたら、思っていた以上に仕事がきつすぎて、ついていけなかったということになるかもしれません。

では実際に、広告代理店はどんなところがきついのでしょうか?

また乗り越えるにはどうしたらよいのでしょうか?

過酷なスケジュール

職種にもよりますが、広告代理店の中でも特に営業の仕事は、毎日のスケジュールが過密で常に多忙です。

新規の受注活動、既存の広告主との打ち合わせ、クリエイティブのチェック、社内会議、メールチェックや企画書の作成といったデスクワークなど、業務は多岐に渡ります。

昼食をゆっくり取ることもできず、夜遅くまで残業になることも多く、常に慌ただしい日々を送っています。

そんな多忙な状況でも、広告作りのための情報収集や企画アイデアも考えなければなりませんので、日常的に多くのストレスを抱えることになります。

過酷で不規則な勤務を我慢し続ければ、身体を壊してしまったり、精神的に病んでしまったりする危険もあります。

それを乗り越えるための方法とは?

まずはスケジュール管理をきちんとして、デスクワークはまとめて行うなど、できるだけ効率よく仕事をすることが肝心です。

入社して1年目は、とにかく周りのスピードについていくのがやっとという状況ですが、2年目、3年目と経験を積んでいくうちに、要領よくこなせるコツが掴めてきます。

また、早く帰宅できる日や休日には、自分の時間を楽しむことも大切です。

オープンしたばかりのお店を見つけて友人と食事や飲みに行ったり、話題の映画を観たり、趣味に時間を使ったりして、しっかり気分転換をすることで、仕事に集中するエネルギーも湧いてきます。

また、常にアンテナを張って新しいものに触れることは、新たなアイデアを生み出すきっかけにも繋がりますので、上手に時間をやりくりして、オフの時間を充実させるようにします。

複数のプロジェクトを同時進行する難しさ

広告の仕事は、多くの場合、複数のプロジェクトを同時進行で行わなければなりません。

よほど大きなプロジェクトでない限り、1つの案件に集中して業務にあたることは稀です。

複数のプロジェクトが、常に予定通りに進んでくれればそれほど難しいことではないのですが、広告主からの依頼で急な内容変更やスケジュール変更が発生するケースは少なくありません。

頭の中をしっかり整理して、自分がやるべきことを把握できていないと、すぐにキャパオーバーになってしまいます。

またプロデューサーやディレクターのポジションならば、他のスタッフのスケジュールや進捗管理もしなければなりません。

変更が発生した都度、他のプロジェクトへの影響も考えながら、全体の調整をしていくためには、ある程度の経験と判断力が必要です。

自分の仕事だけでなく、プロジェクト全体を見渡せる力がないと、かなりきつい仕事だと感じてしまうでしょう。

それを乗り越えるための方法とは?

前述のスケジュール管理と同様に、まずは自分自身でしっかりとスケジュールとやるべき仕事を把握して業務にあたることが重要です。

予測できない急なスケジュール変更が発生した場合は、自分のスケジュールとスタッフのスケジュールの両方を確認し、焦らずに落ち着いて軌道修正します。

同時進行している複数のプロジェクトの進捗状況をきちんと把握できていれば、迅速かつ冷静に対応することができます。

これも入社したばかりの頃は難しいかもしれませんが、経験を積むことで要領を掴めて、上手くコントロールできるようになります。

入稿締切りは絶対

広告の入稿締切りは、絶対に守らなければなりません。

もちろん、どの業界でも納期は守らなければならないものですが、広告の場合は特に、入稿締切りに間に合わなければ、その媒体の広告枠に穴を開けてしまうことになります。

スケジュールに余裕があるものなら、ある程度調整はできるのですが、非常にタイトなスケジュールで進行しなければならないプロジェクトの場合、入稿締切りに間に合わせるために、残業や休日出勤など長時間労働を強いられることもあります。

また、担当する広告主が締切りギリギリまで最終確認をしてくれなかったり、締切り直前に作り直しの依頼をしてくる場合もあります。

タイトスケジュールだからといって制作物の質を下げてしまえば、次の受注にも影響してしまいますので、どんな状況でも手を抜くことは出来ません。

担当する広告主が気難しい相手だったり、決裁権が課長や店長クラスではなく、部長や社長クラスの広告主だった場合は、何度もデザインや原稿の確認をする必要があるため、さらに厳しい進行になります。

最近では、月の残業時間の上限を低くしたり、深夜残業を制限したりする会社も増え、長時間労働は改善されつつありますが、それでも広告業界の性質上、入稿締切りの前には、ある程度の時間外労働は避けられないのが現実です。

それを乗り越えるための方法とは?

繁忙期の長時間労働は避けられないことですが、広告代理店の仕事は忙しい時期ばかりではありません。

取り扱う広告媒体や広告主の業種によっては、比較的出稿量の少ない時期もあり、夏季休暇や年末年始などに長期休暇を取りやすい業界でもあります。

経験を積んでいくうちに、担当する広告主の年間の販売計画を知ることで、ある程度、出稿量の予測も立てられるようになります。

忙しい時には集中して仕事をして、休む時には思い切り休む、そんな気持ちのメリハリを持つことができれば、入稿締切り前の目の回るような忙しさも乗り越えられるでしょう。

誤植やミスへのプレッシャー

誤植やミスは、もちろんあってはならないことですが、広告の仕事をする上で、まったく無関係ではいられません。

日々の業務の中で、誤植やミスへのプレッシャーは常に感じています。

特に繁忙期で出稿が立て込む時期には、校正漏れなどのミスを起こさないかという精神的なプレッシャーは強く、刷り上がったサンプルをチェックする時は、毎回とても緊張します。

広告は多くの人の目に触れるものですから、一度世に出た広告は取り返しがつきません。

もしも重大な誤植があったり、法的に問題があることを見逃して出稿してしまったりすれば、広告主に多大な損害を与えてしまうことになります。

また、意図せずに広告が独り歩きして見る人の誤解を生み、企業や商品イメージに悪影響を及ぼしてしまうという場合もあるかもしれません。

そういった意味で、広告の仕事は、社会的責任が大きい仕事だと言えます。

校正・校閲担当者だけでなく、営業担当もクリエイティブ担当も、プロジェクトの大小に関わらず、すべてのスタッフがプロ意識と緊張感を持って広告制作にあたらなれけばなりません。

それを乗り越えるための方法とは?

誰しもミスをしたいと思ってする人はいませんが、もしも誤植やミスが発生してしまったら、迅速に、かつ誠実に対応することが重要です。

紙媒体であれば、印刷途中ならすぐにストップして刷り直しの手配をするなど、被害を最小限に抑えられるように素早く対応します。

また、広告主にもきちんと経緯の報告と謝罪をします。

誠意ある対応をすることによって、広告主との信頼関係をより深めることにも繋がります。

そして、もしそういった重大なミスをしてしまったら、起きてしまったことにくよくよせずに、気持ちを切り替えることも重要です。

落ち込んでいるよりも、原因を検証して同じミスを繰り返さないよう前に向きに考えます。

ミスへの不安やプレッシャーをストレスと感じるのではなく、よい緊張感に変えて業務にあたることができれば、より良い広告作りができるでしょう。

広告へのこだわりと現実とのギャップ

広告代理店で働く人は、広告に対してこだわりや理想を持っている人も多くいます。

過酷な労働環境でも仕事を続けられるのは、広告作りへの情熱や信念を持っているからなのかもしれません。

そして経験を積むにつれて、自分のこだわりを表現したいという思いは、より強くなってきます。

しかし、広告は広告主から依頼を受けて制作するものですから、必ずしも自分の思い通りになるとは限りません。

広告は、アート作品ではありません。

自分が良いと思ったコンセプトが広告主には受け入れられなかったり、予算的に表現が難しかったりすることもあります。

広告作りは、そんな現実とのギャップにジレンマを感じることが多い仕事です。

それを乗り越えるための方法とは?

これは、自分なりの方法を探って、うまく折り合いをつけていくしかありません。

自分の考えを採用してもらえるように、提案力を磨いたり、良い企画書を作るために勉強したりするなど、自分自身のスキルアップによって解決を目指すという方法もあります。

ただし、自分のこだわりを押し通すことは、あまり良い方法とは言えません。

妥協しないというスタンスは大切ですが、もしかしたら自分の考えよりも、広告主の考えを優先した方が、結果的に良い成果を生むという場合もあるかもしれません。

どうにもギャップが埋まらない時には、一度冷静になって周囲の意見に耳を傾け、検討し直してみるのも一つの手です。

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キツい時もあるけど、広告代理店の仕事がおすすめの理由

自分のアイデアが形になる!

広告を作る上でのやりがいは、なんといっても自分のアイデアを形にできることです。

もちろん広告は、広告主の要望やマーケティング戦略に基づいて制作されるものです。

自分が考えたアイデアやアーティスティックな部分だけを追求しても、良い広告は作れません。

しかし、すべて自分の思い通りの形にならなかったとしても、制作過程での苦難が多いほど、広告が出来上がった時には、やりがいを感じられます。

またそうして培った一つ一つの経験が、自分への自信にも繋がります。

実際に広告が世に出て、テレビや雑誌などで目にしたり、人々が広告に触れるのを目にしたりした時の喜びは、何ものにも代えられません。

チームで作り上げる達成感を味わえる!

広告作りは、社内外のスタッフと協力して、ゼロから作り上げる楽しさがあります。

広告を出稿するまでには、たくさんのスタッフが関わりますので、プロジェクトの進行中には、クリエイティブ面や予算の面など、さまざまな問題でスタッフ間で意見がぶつかることも少なくありません。

実際、デザイナーとデザイン表現の意見が食い違って、思わず喧嘩腰になってしまったことも何度もあります。

しかしそれは、皆がプロ意識を持って広告作りをしているからこそです。

お互いの意見を尊重しあって、良い広告を作り上げることができたときは、この上ない達成感を味わうことができます。

広告主に喜ばれる!

良い広告とは、ひとことで言えば「売れる広告」です。

広告によっては、すぐに成果が出ないものや、効果測定が難しいものもありますが、成果を出して広告主の要望に応えらた時には、感謝の言葉をいただけることもあります。

過去に、お店の週末イベントの折込チラシを担当したことがありました。

週明けの月曜日の朝、店長さんが「チラシを手に来店してくれたお客さんがいたよ」と、わざわざ電話をくださいました。

その週末は、目標来店者数を大きく上回ることができたそうで、チラシの効果があったと大変喜んでいらっしゃいました。

そのチラシの制作は、スケジュールがタイトな上、店長さんのこだわりが強くて何度も修正があり、正直大変な仕事だったのですが、店長さんからの電話でそんな苦労は吹き飛んでしまいました。

広告作りは夢のある仕事!

広告は「商品を売る」ことが大きな役割であり、商品やブランド、または企業のイメージアップのために、消費者に情報を伝えて、購買行動へとつなげることが目的です。

しかし多くの人の目に触れる広告は、それ自体が1つのエンターテインメント作品となって、流行を生み出す可能性を持っています。

そんな大きなプロジェクトに関われるのは、大手の広告代理店に限られるかもしれませんが、広告業界で仕事をしていれば、いつか社会に影響を与え、後世に残るような広告を作ることができるかもしれません。

広告作りは、そんな夢のある仕事です。

仕事がキツイから辞めたい・・・と思った時に、辞めるのを決める前に考えておきたいこと

いくら広告が好きだからといっても、過酷な労働環境下で働き続けて、身体を壊してしまったり、メンタルにまで異常をきたしてしまっては、仕事をする意味はありませんよね。

働く会社はたくさんありますが、自分の身体は一つしかありません。

もし今これを読んでいる皆さんが、過労死するのではと思うほど苦しい状況や、精神的に追い詰められるほどの耐え難い状況にいるのであれば、これ以上我慢をせずに、今すぐ会社を辞めるという選択肢もあります。

ただし、辞めてから後悔しないように、辞める決断をする前に考えておいてほしいことがあります。

他の会社と労働環境を比較してみる

今置かれている過酷な状況は、他の会社に移れば抜け出せるでしょうか?

同じ広告業界なら、もしかしたら他の会社でもさほど労働環境や精神的なストレスは変わらないかもしれません。

また、別の業界に転職したとしても、別の苦労や厳しさが待っているかもしれません。

まずは今働いている職場以外の人に話しを聞いて、現在の環境と比較してみるとよいでしょう。

もしかしたら、他へ移っても大変そうだからもう少し頑張ってみるか…という気持ちになるかもしれません。

辞めた後の収入を検討してみる

現在の会社を辞めて転職した場合、年収はどのくらいになるでしょうか?

大手広告代理店から中小の広告代理店、またはベンチャー企業へ転職した場合、高待遇でのヘッドハンティングでない限り、ほとんどの場合、年収は今よりも下がるでしょう。

またフリーランスや起業独立した場合はどうでしょうか?

収入は不安定になり、生活のレベルが下がってしまうかもしれません。

辞めるという決断の前に、まずは今の会社で働き続けながら転職活動を始めて、自分の価値相場を確認してみることをおすすめします。

安定性や社会的信用を考えてみる

大手から中小の広告代理店に転職した場合、大企業の安定性を失うことになります。

フリーランスや起業独立の場合はさらに、社会的信用も大きく落とすことになるでしょう。

今持っているものと引き換えにしてでも会社を辞めたいかどうか、もう一度よく考えてみましょう。

辞めた後の目標があるか

体力的にも精神的にもギリギリの時は、とにかく現状から逃げ出したいという思いで一杯一杯になってしまいがちです。

しかし、後ろ向きな気持ちや、その場の勢いだけで会社を辞めても、面接で転職の理由を堂々と答えられず、思うような転職先を見つけることは難しいかもしれません。

こんなはずじゃなかったと、会社を辞めたことすら後悔するかもしれません。

会社を辞めたいと思う明確な理由や、次の仕事や職場に望むもの、将来的な目標をしっかり考えた上で、会社を辞めるかどうかを考えましょう。

もしも、まだ明確な理由や目標がないという状態であれば、すぐに辞めるのではなく、少し休暇を取って心身ともにリフレッシュして、自分自身を見つめ直してみるとよいでしょう。

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まとめ

いかがでしたか?

今回取り上げた、仕事がきついと言われる5個の理由は、広告代理店だから特別に仕事が「きつい」ということではなく、どの業種でも共通して言えることかもしれません。

ただ、広告業界はトレンドの変化が激しいため、常に最新の情報にアンテナを張り、新しいアイデアを生み出すための努力をしなければなりませんので、他の業種と比べるとスピードが早く、常に気忙しさを感じます。

毎日スケジュールに追われながら、さまざまなプレッシャーと戦わなければならず、肉体的にも精神的にも強いストレスを感じて、「きつい」と思う場面はたくさんあると思います。

その一方で、広告作りは、大きなやりがいや喜びを感じられる、魅力的な仕事でもあります。

この記事を読んだ皆さんが、広告代理店の厳しさを理解した上で「広告の仕事って面白そう!」と感じていただけたら幸いです。


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