高齢化が進む昨今、在宅での生活が難しくなったり、体が動かなくなった時のことを考え、有料老人ホームに入る方が増えてきています。

要介護度等で入所に制限のある公的施設と違い、民間の施設である有料老人ホームは、入所しやすいという事情から人気が高くなり、たくさん新しい施設が建っています。

有料老人ホームには、特定施設である「介護付き有料老人ホーム」と、施設の形態は取っているけれども、介護保険上は在宅サービスに位置付けられる「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者住宅」等があります。

様々な形の有料老人ホームがあり、その分求人もいつでもたくさんあります。

そんな有料老人ホームの給料事情について見ていきましょう。

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有料老人ホームの給料の相場はどのくらい?

未経験・正職員で就職した場合

介護職が全く初めてで有料老人ホームに就職した場合の給料は、大体月給20万円~23万円程度が相場です。

これに賞与を足して年収300万円前後のところが多いでしょう。

月給がこの相場よりずば抜けて高い場合は、賞与のない場合が多いかと思います。

公的施設の場合は介護報酬に決まりがあるので、そう給与がずば抜けて高いとところはないのですが、有料老人ホームの場合は施設独自の費用の計算があるので、それが給与に反映されていることもあります。

経験あり・正職員で就職した場合

経験年数や保持資格にもよりますが、月給22万円~25万円程度の給料が多いです。

こちらも賞与を合わせて年収は330万円~360万円くらいが多く、月給が高くて賞与のない年棒制のところもわりと多くあります。

のちに説明しますが、ある程度の経験や資格を保持しての転職であれば、何らかの役職について給料が高くなることもあり得ます。

3年他で働いた経験があれば、給料の交渉にも有利でしょう。

パート・アルバイト

1000円前後が相場です。

資格、経験、時間帯等によってはもう少し高くなることもあります。

日勤帯だけ働くことができるパートよりも、早出、遅出、夜勤等の変則勤務に対応できる方が時給は高くなったりしますし、逆に食事時や入浴時等、人手の欲しい時間帯に短期間で働くパートも、少し割のいい時給が設定されていたりします。

ホームヘルパー

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅の場合、施設の介護職員が働くわけではなく、施設に併設されている訪問介護事業所から、ホームヘルパーとして介助に入ることになります。

ですので、施設によっては介護職員という募集ではなく、ホームヘルパーとしての募集をかけています。

施設に併設している訪問介護事業所は、介護報酬が減算になりますので、その分一般のヘルパーよりも時給は安く、大体1200円前後が多いでしょう。

ただし、移動が施設内だけですので、仕事は格段にやりやすく、楽です。

派遣社員

有料老人ホームは人手不足ですので、派遣会社から派遣社員が働きに来ることも多いです。

この場合、契約先は有料老人ホームではなく派遣会社になります。

パートやアルバイトよりも時給が高く、1200円~1400円程度の求人もたくさんありますし、紹介予定派遣の求人も多くあります。

紹介予定派遣の場合は月給での契約が多いので、正職員の場合と同じような額が相場です。

年収にも響いてくる基本給以外のものは、どうなっているの?

賞与

有料老人ホームの母体は、社会福祉法人や医療法人のほか、民間企業の場合もあります。

民間企業の場合は年棒制で賞与がないケースもありますので、賞与があった方がいい場合はあらかじめ確認をしておきましょう。

また、賞与があっても何か月分出るかは施設によってかなり差がありますので、そこもしっかり調べておきましょう。

昇給

こちらも、定期昇給する有料老人ホームもあれば、資格を取ったり役職が付いたりしたタイミングで昇給になるところとあります。

そして、そもそも昇給がない施設もあります。

社会福祉法人や医療法人等が母体の施設や、民間経営でも、介護事業を手広く手掛けている会社が母体であれば、比較的きちんと昇給する印象があります。

ただ、働き始めてから昇給がないと気がついても困りますので、募集要項や面接時の質問できちんと確認しておきましょう。

各種手当

通勤手当、資格手当のほか、施設によっては休日出勤手当等が付く場合もあります。

介護付き有料老人ホームの場合は、早出・遅出・日勤・夜勤の勤務体制が多いのですが、必ず手当が付くのは夜勤です。

ただ、早出や遅出にも手当が付く施設もあります。

在宅扱いの施設の場合、夜勤という形での勤務の他、当直、宿直の形を取っているところもありますが、こちらも泊まり勤務に関しては必ず手当が付きます。

この手当の額は給料の額を大きく左右しますので、必ず調べておきましょう。

給与が高い人は何が違うの?

では、有料老人ホームで給料が高い人について、いくつか共通するポイントをまとめてみました。

保持資格

有料老人ホームに限らず、介護職として働く上で、一番給与を左右するのは資格の有無です。

介護付き有料老人ホームの介護職は、無資格でも働くことができますが、一番取得しやすい初任者研修を受講しておくと資格手当が付くこともありますし、ある程度の基本的な知識を身に着けているので、仕事がしやすいでしょう。

在宅扱いになる住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者住宅の場合は、訪問介護事業所からホームヘルパーとして派遣して介護をする、という形を取っているところがほとんどですので、初任者研修(ヘルパー2級)以上の資格は必須です。

給与に一番反映され、価値のある資格は、国家資格でもある介護福祉士です。

簡単に取れる資格ではないですし、今は実務者研修も受けないと取得できなくなり、ハードルがさらに上がった資格ではありますが、その分この資格保持者への信頼は絶大で、給与も高くなります。

在宅に位置付けられる施設の場合は、次に説明する理由から、実務者研修修了も価値ある資格にあります。

役職

有料老人ホームでは、様々な役職があります。

介護付き有料老人ホームの役職としては、施設長や管理者の他、ケアマネージャー等があり、やはり仕事の責任が重い分、給与は高いです。

こういった役職のほかにも、リーダーやフロア長など、各施設ごとに役職を設けている場合もあります。

その分給与が高かったり、手当が付いたりしています。

住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅での役職は、訪問介護事業所のサービス提供責任者もあります。

この役職がいないと訪問介護事業所はできないですし、書類作成の仕事も多く、大変な仕事ではありますが、やりがいも大きいです。

こちらは介護福祉士もしくは実務者研修の修了が必要です。

勤続年数

昇給のある施設であれば、勤続年数が伸びるほど給与は上がります。

また、勤続年数が長くなると、前述しました役職に就く可能性も高くなりますので、そういった意味でも給与に反映されるでしょう。

同じ施設で長く働くということは、その施設の細かいルールにも精通しますし、何より入居者からの信頼も厚くなります。

頑張って働き続けることが立派なスキルになる仕事です。

夜勤の数

有料老人ホームに限らず、施設ではどこも夜勤者不足に悩んでいます。

夜勤専門の職員の募集も、以前に比べてずいぶん多くなりました。

夜勤をすると、時給が割り増しになるか手当が付くかしますので、その分がダイレクトに給料につながります。

もしお金を稼ぎたくて、施設のニーズと自分の環境が合うようであれば、夜勤にどんどん入ることをお勧めします。

時間が長くて夜に働くのは確かにきついですが、基本的には入居者が寝ている時間も長いので、夜勤中ずっと忙しいということはそうそうありません。

意外とマイペースに仕事をすることができる勤務です。

有料老人ホームの給料の決まり方

以上のことを踏まえ、重複する部分もありますが、有料老人ホームでの給料の決まり方について考えていきましょう。

保持資格の種類

介護付き有料老人ホームの場合は無資格者でも働くことが可能ですが、高級有料老人ホームですと、無資格者の求人がないこともあります。

住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅の場合は、前述しました通り訪問介護事業所のヘルパーとして介護に入ることが多いので、その場合は初任者研修もしくはヘルパー2級以上の資格が必要となります。

給料に反映される順番としては、無資格<初任者研修(ヘルパー2級)<実務者研修<介護福祉士で、それ以上の資格であるケアマネージャーを取得していても、その役職につかない場合は手当が付かないことがあります。

経験年数

勤続年数も大切ですが、転職の場合はそれまでの介護職経験も給料には反映されます。

有料老人ホームは人手不足のところが多いです。

職員の数が充分に集まらず、すべてのベッドを稼働させることができていない施設もあるほどです。

ですから施設側としては即戦力が欲しくてたまりませんので、他での介護職経験はかなりの強みになります。

施設の種類

介護付き有料老人ホームの場合は、要介護度に応じて介護報酬は決まっていますし、入居者の定員もあれば雇わなくてはいけない職員の数も決まっており、どんなに満床でも儲けの上限はある程度決まっています。

介護職員の給料がどこも大差ないのはこのあたりの介護報酬の額が関係するのですが、いわゆるハイクラスの高級有料老人ホームに関しては、職員の給料が相場より高いこともよくあります。

そういったところは介護保険以外の費用を上乗せしているので、その分職員に還元することができます。

有料老人ホームの仕事を探す際には、その施設の費用面も少し注目してみてください。

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有料老人ホームで給料をあげるためにやるべき3個のこと

働き始めてから、有料老人ホームでどうすれば給料が上がるのか、まとめてみました。

長く続ける

すぐにできることではないですが、給料を上げるためには間違いのない方法です。

よほど嫌な施設でなければ、少なくとも3年は頑張りましょう。

そうすればスキルも上がりますし、その施設での古株になることができます。

介護業界、特に施設職員は移り変わりが激しいので、3年働けばプロフェッショナルです。

もしその後でどこかに転職することになっても、一つの有料老人ホームで3年働いた実績は高く評価されます。

資格を取る

これもすぐにできる方法ではないですが、介護の資格は普通に仕事をしているだけで実務経験を稼ぐことができ、上級資格にどんどんチャレンジすることが可能です。

有料老人ホームで介護職として働くならば、まずは介護福祉士を目指しましょう。

資格手当も見込めますし、役職につくことも可能になるかもしれません。

夜勤を増やす

すぐにできる一番手っ取り早い方法はこれでしょう。

介護付き有料老人ホームは必ず夜勤者がいますし、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅の場合も、夜勤もしくは宿直勤務者が必ずいます。

泊まり勤務を増やして夜勤手当を稼ぐことは誰でも可能です。

有料老人ホームは夜勤専従パートを募集しているところも多いので、回数を増やしてほしいと言えばそうしてくれる可能性は高いです。

夜に働くので体が慣れるまでは少し辛いかもしれないですが、基本的に入居者は寝ている時間帯なので、そう大変な業務ではないですよ。

経験者が教える、実際に給料がアップしたのはこんなとき

夜勤の回数を増やしたとき

私が働いていた施設は、夜勤手当が一回5000円で、月の平均夜勤回数が4~5回でした。

一年ほど働いた時に退職者が増えたり、体調を崩して夜勤をできる人が少なくなったりしたタイミングで、昼間の勤務を減らして夜勤をメインにしてくれるように交渉、喜んで了承されました。

しばらくは月に8回ほど夜勤をしていました。

単純に夜勤手当が倍になるので、その分給料はアップしていました。

介護福祉士を取得したとき

もともとヘルパー2級(現・初任者研修)は取得していましたが、私が働いていた施設は、その資格に対する手当はありませんでした。

介護福祉士を取得したときに初めて手当がついています。

その施設では5000円だったので、それだけ上がりました。

まとめ

以上、有料老人ホームの給料事情についてご説明いたしました。

公的な施設と違うので、経営母体の考え方や施設の費用によって給料は差があります。

自分に合った良い施設を見つけて仕事をしましょう。

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