老人ホームと一言でいってもたくさんの種類があり、厳密には施設であるとか在宅であるとか、公的なものから民間のものまで多種多様です。

とはいえ、種類は違えど基本的にはひとつの建物に高齢者が入所もしくは入居して暮らす場所を老人ホームと称しますので、働き方や必要な資格、仕事内容にはそう大差ありません。

いつでもたくさんの求人が出ている老人ホーム、そこで働くにはどうすればいいのか、ひとつづつ説明していきたいと思います。

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老人ホームで働くには?

老人ホームで働きたいと思った時、まずは何から始めれば良いのでしょうか。

老人ホームで働くために勉強しておくべきこと

まずは老人ホームの種類とその違いを把握しておきましょう。

後ほど詳しくご説明しますが、どんな方を相手に仕事がしたいか、老人ホームによって少し入居者の傾向は違います。

ある程度各老人ホームの特色を知っておいた方が、自分の希望から外れないと思いますので、働く前に勉強しておいて下さい。

また、介護技術や介護の知識に関しては、仕事を始めてから現場で学んでも良いとは思うのですが、認知症に関する勉強だけはきっちりとしておいた方が良いでしょう。

老人ホームに入居している人は、在宅で生活している人よりも圧倒的に認知症の方が多いです。

そして、在宅生活が不可能なレベルの重度の方も少なくありません。

そういった認知症の方に対する基本的な対応の仕方や知識は、ぜひ勉強しておくべきであると考えます。

持っておくべき資格とは?

老人ホームで介護職として働きたい場合、今は無資格でも可能なところは少なくありません。

有資格者だけを採用していたら全く人手が足りないという理由が大きいです。

とはいえ、後に述べる住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅で働く場合、ヘルパー2級もしくは初任者研修以上の資格が必須となります。

初任者研修は施設実習こそないですが、介護に関する基礎をしっかり学ぶ事ができる資格です。

無資格で働く事ができるとはいえ、全く知識なく仕事を始めるのは不安が大きいと思いますので、とりあえず何か資格を取っておこうというのであれば、この研修を受講しておく事をお勧めします。

老人ホームの就職先や募集状況は?

一言に老人ホームといっても、その就職先は多種多様。

募集状況に関しては、どの老人ホームでもそう大きな変わりはないかなというのが実感としてあります。

詳しく見ていきましょう。

老人ホームの主な就職先

各老人ホームの特色を抑えて説明致しますので、自分のイメージする就職先探しの参考にして下さい。

特別養護老人ホーム

いわゆる「特養」と呼ばれる施設で、老人ホームと聞いて一番初めにイメージする施設ではないかと思います。

公的な民間施設であり、入居基準が現在は原則要介護3以上となっていますので、介護度は重度の方がほとんど。

その介護度も、寝たきりや麻痺で身体的に介護がたくさん必要な方と、認知症による精神的なフォローが必要な方がおり、単純に身体介護の仕事が大変という訳ではありません。

基本的には終身まで生活する施設ですので、一旦入居された方が退去される事はほとんどありません。

病気で長期入院したり療養型病床に移ったりする以外は、亡くなるまで生活されており、施設で看取りを行うところも多いです。

社会福祉人や医療法人の経営で安定しているので、就職先としては人気が高いです。

老人保健施設

「老健」と呼ばれる、リハビリを目的とした施設です。

脳卒中や骨折等で急に入院となり、状態が変わって自宅に帰れなくなった方が、当面のリハビリを目的として退院後入所される事の多い施設です。

一応は3ヶ月程度老健でリハビリを行い、自宅に帰る事を前提としていますが、実際のところ在宅復帰される方は少なく、そのままずっと入所されていたり他の施設へ転所され、施設生活を続ける方も多いです。

この老人ホームの特色としては、リハビリを主としている施設ですので、リハビリ職を始めとする医療従事者が常在している事。

看護師も24時間勤務ですし、一緒に仕事を行います。

ですから、医療の知識を得たい方にはとても勉強になる老人ホームです。

経営は医療法人、社会福祉法人で、こちらも安定しているので人気は高いです。

老人保健施設の仕事内容は、こちらの記事を参考に!

グループホーム

正式名称は「認知症対応型共同生活介護」、認知症の確定診断の下りた方が、少人数のユニットで自分の出来る事をしながら、今まで住んできた地域で生活し続ける事を目的とした施設です。

ですから、入所者は全員認知症。

とはいえ、小さな施設で共同生活を営む老人ホームですので、他傷行為等、他者に危害を加えてしまうようなタイプの方は入所できません。

また、コンセプトが「認知症があっても自分のできる事は自分で行う」ですので、入所基準として身の回りの事は自分で行える、と定めている施設も多くあります。

認知症の方と食事を作ったり洗濯をしたり、外に買い物や散歩に行って過ごす、そういった介護をしたい方にはお勧めです。

もちろん高齢者が入所しますので、入所当時はある程度できていた事ができなくなり、ADLの低下や介助量が増えたりする事はあり得ます。

そうなった場合に最後まで施設で看取りを行うのか、それとも他の施設へ移るのかは、グループホームの考え方によって大きく異なります。

看護師がいるところいないところありますので、できる医療処置には限りがありますし、医療法人や社会福祉法人の他、民間の経営の場合も多いので、施設ごとに様々なやり方を取っています。

家事が得意で、身体介護よりも認知症の方とのんびりした時間を過ごしたい、そういった方にはお勧めの就職先です。

介護付き有料老人ホーム

介護保険上では「特定施設」に位置付けられ、要介護度に応じて介護保険の負担額が決まるシステムは、上記の3施設と同じです。

ほとんどが民間の経営で、施設の特色や料金は様々。

入居金数千万円の高級有料老人ホームから、一時金無しで月額が特養と変わらない老人ホームまであります。

施設の特色に合わせて入居者のカラーも変わっており、高級なところはもちろんお金にゆとりのある方が多いですし、医療に特化しているところでは医療ニーズの高い方が多く、一言で「こういった施設です」とは言い切れない部分があります。

ですから、この介護付き有料老人ホームを就職先として選ばれた場合、まずはその施設のホームページを見るなりして、どういった方がターゲットで、どういう仕事が求められるかは調べておいた方が良いでしょう。

給料や待遇も施設によって大きく開きがあります。

サービス付き高齢者住宅、住宅型有料老人ホーム

最近増えているのがこの老人ホーム。

老人ホームとは言いますが、この2つの施設は介護保険上では「在宅」扱いになります。

つまり、設備の整った建物を賃貸なりの方法で部屋を借りて住み、在宅で生活するのと同じように、ヘルパーやデイサービス等利用しながら生活します。

老人ホーム内にある訪問介護事業所からヘルパーを派遣し、日常の介護を行う施設が多いので、この老人ホームで働く場合は訪問介護事業所のヘルパーとして勤務する事が多く、そうすると初任者研修もしくはヘルパー2級以上の資格が必須となります。

介護付き有料老人ホームよりも効率がいい点が多く、今新しく建つ民間の老人ホームはこの2つが主流となっています。

入居者のタイプはこちらも施設により異なりますが、比較的自立した方も住まれています。

老人ホームの働き口はどの程度あるの?

ある大手介護求人サイトで、上記の老人ホームにチェックを入れて検索した場合、求人数は2万件以上に上りました。

もちろん地域性はありますが、老人ホームはとにかく人手不足であり、また、転職する方も多いので、いつでも求人はたくさんあります。

ただ、老人ホームは365日24時間誰かが働かなくてはいけませんので、交代勤務をこなし、フルタイムで働ける方を一番求めています。

時間や曜日に制限があれば、少し選び方を工夫しなくてはいけません。

老人ホームの転職事情

老人ホームに限らずですが、介護職の転職は非常によくある事で、全く珍しい話ではありません。

特に老人ホームは続々と新しい施設が建っているので、より良い条件を求めて転職する人がたくさんいます。

自分の環境に合わせて仕事を変えたいと思った時、仕事探しがそう難しくないのが介護職の良いところですが、老人ホームの介護職に関しては特に仕事がたくさんあります。

過去に老人ホームで働いた経験があれば、その後どの施設に行ってもその経験は生かせます。

転職に対し、不安に思う事はないでしょう。

老人ホームの平均給与はどれくらい?

保持資格や夜勤回数、各種手当にもよりますが、正職員で大体18万円~25万円が相場です。

無資格OKの老人ホームはたくさんありますが、やはり資格があればその分給与に反映されます。

特にこの業界で強いのはやはり介護福祉士の資格です。

この資格を取得すれば給料アップは間違いありません。

どうやって老人ホームの仕事を探すの?

各求人サイトで検索すれば、とにかくたくさんの仕事が出てきます。

数が多いので、自分の譲れないポイントをきちんとまとめて、一番条件に合う仕事を探す事をお勧めします。

フルタイムが困難で、日勤帯しか働けなかったり、勤務可能な曜日のある方は、パートで探すのも良いですが派遣会社を通して仕事を探してもらう方が確実ですし、時給も高く設定されている事が多いです。

介護求人を扱っている派遣会社でしたら、老人ホームの仕事もたくさんあります。

特に多少なりとも介護職の経験がある方でしたら、それを売りに仕事を探してくれるので、派遣会社はお勧めです。

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老人ホームの仕事の将来性とは

では、今後老人ホームの仕事を続けて行くとして、どのような良い事があるのでしょうか。

その将来性を考えてみましょう。

身体介護のスキルが上がる

老人ホームで介護職として働いていると、例えばデイサービスや訪問介護に比べて、身体介護を行う機会は格段に多いです。

入浴や排泄、食事などの介助は、数をこなすほど要領をつかみ、技術が向上しますし、体で覚える事なのでいつまでたっても忘れません。

それがその先老人ホーム以外の介護職に就く場合、非常に役に立ちます。

介護職を長くしようと思うなら、まずは老人ホームで働いておくと、下手な学校に行くよりも介護の勉強になります。

将来家族等が介護の必要な状態になった時もこの経験は生かせます。

高齢化社会で需要は増える

述べましたように、老人ホームの仕事はとても人手不足です。

施設によっては、職員の数が足りないのでベッドを空けていたり、このフロアは閉鎖しています、というところもあるほどです。

仕事が大変というイメージがあり、求人を出してもなかなか応募がなく、頭を抱えている老人ホームは少なくありません。

とはいえ、この高齢化社会の現状で、在宅介護に限界のある要介護者が増え、施設がたくさん建っています。

この先も老人ホームの数は増えていくでしょう。

老人ホームの介護職員の給料は、昔に比べて高くなってきています。

それほど需要のある仕事です。

今後も求人がなくなる事は考えられず、給料面は待遇が良くなっていく事が予想されます。

実務経験を積む事ができる

老人ホームで3年間介護職として働き実務経験を積むと、介護福祉士の受験資格が得られます。

試験の他に実務者研修受講も必須にはなりますが、長く介護の仕事をしていこうと思うのであれば、この介護福祉士の資格取得は必ずしておきましょう。

介護の現場資格では間違いなく最高のものであり、給料アップに繋がる他、転職の際にも非常に有利な国家資格です。

そして、この介護福祉士を取得しさらに5年働くと今度は介護支援専門員(ケアマネージャー)の受験資格が得られます。

こちらの資格も、取得しておけば転職やステップアップに繋がります。

まとめ

老人ホームの仕事は、夜勤もありますし介助量の多い方も少なくないので、確かに体力面ではきついところもあります。

しかしながら、そこに常時住まわれている方と仕事に行くたび顔を合わせ話をする訳ですので、職員と入居者の信頼関係や距離の近さは、他の仕事よりもずっと深くなります。

大変なイメージもありますが、介護する為に環境を整えた施設での仕事ですので、在宅で身体介護をするよりもずっと安全でやりやすいですので、その点はご安心下さい。

今後ますます需要が増える老人ホーム、人手不足が深刻な仕事です。

その分待遇は昔よりずっと良くなっています。

興味のある方はぜひ働いてみてはいかがでしょうか。

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