全国的に介護福祉士の人材不足が問題となっており、専門学校は入学者が減る一方です。

しかし高齢者は増加傾向にあり、この人材不足は深刻な問題となっています。

現在、介護の仕事に興味がある方やこれから転職をして介護の仕事をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

介護の仕事をしたいと考えているけれど、自分にできるかどうか不安を感じ踏み出せずにいる方も多いでしょう。

今回は、具体的な介護士の仕事内容や介護士に向いている人・向いていない人、介護士の仕事のメリットなどをご紹介したいと思います。

不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

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介護士とはどんな仕事?

介護の仕事について、ここでは基本的な内容について説明します。

皆さんが介護と聞いてまず連想されるのは、オムツ交換や食事、お風呂のお世話ですよね。

そうです!!

それが基本の仕事です。

身体的・精神的な疾患により日常生活が困難な方に対して、安心して生活を送るための支援をすることが介護士の仕事です。

介護士の職場の種類は大きく7つに分けられます

特別養護老人ホーム

世間一般的に「老人ホーム」と言われる施設は特別養護老人ホームのことになります。

介護士の仕事は「食事」「排泄」「入浴」「レクリエーション」など利用者の生活を支援していくことがメインとなります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は一般的に「老健」と言われている施設です。

なんらかの疾患によって心身機能維持向上が必要な高齢者がリハビリを目的として入所し在宅復帰を目指します。

特別養護老人ホームとの違いは職員体制にあります。

リハビリを専門に担当している「理学療法士」「作業療法士」が利用者のリハビリを日常的に行います。

利用者も「リハビリ」に重点を置いて生活しています。

また看護師も多く「医師」が必ず常勤しています。

介護士の仕事としては特別養護老人ホームと大きな違いはありません。

利用者の生活を支援していくことがメインになります。

ショートステイ

ショートステイは名前の通り「短いお泊まり」のことです。

2泊3日や1泊2日など短い期間だけ施設に入所するというものです。

介護士の仕事は「生活の支援」で変わりありません。

また施設にもよりますが、自宅への送迎を介護職員が行う場合もあります。

デイサービス

介護の仕事をしていない人でも耳にしたことがあるというのが「デイサービス」です。

(原則)施設側の送迎があります。

朝施設へ行き、夕方に自宅へ帰って来るという流れになります。

介護士の仕事としては、基本的に同じです。

レクリエーションをする機会が多くなり、特別養護老人ホームやショートステイの職員よりもレクリエーションの力がつきます。

また、夜勤がないのも特徴です。

デイサービスの場合は、介護職員が送迎を行うところが多いようです。

認知症専門デイサービス

利用者が「認知症」の方に限られたデイサービスです。

この認知症専門のデイサービスについては世間的にもあまり認知されておらず、介護士の中でも知らない人がいるくらいです。

介護士の仕事としては基本的に同じです。

しかし、一般的な「デイサービス」とは雰囲気が全然違います。

どちらのデイサービスも経験している私の個人的な意見ですが、認知症専門デイサービスは精神的な疲れがあり、一般的な「デイサービス」は身体的な疲れがあります。

どちらが楽という話ではありませんが、介護士によって得手不得手が出てくる部分だと思います。

グループホーム

認知症の方が生活する施設のことです。

一見すると普通の家のような施設もあります。

グループホームの特徴は「少人数」ということです。

一人の利用者に一部屋という完全個室で、「施設」というより「家」という雰囲気です。

職員と一緒にご飯を作ったり掃除をしたりと、「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」とは全く違った雰囲気の中で生活します。

慌ただしい雰囲気ではないので、認知症の方に合っていると考えられています。

ホームヘルパー

今まで紹介してきたものは利用者が施設に行くものでしたが、ホームヘルパーは文字通り介護士が自宅(ホーム)に行きます。

ホームヘルパー業務の経験はありませんが、施設で介護するより利用者のペースに合わせて生活の支援ができると思います。

ホームヘルパーの場合、利用者によって「入浴の手伝い」や「買い物の付き添い」など支援することが決まっています。

また、法律的な部分からホームヘルパーがやってはいけないことがあるので注意が必要です。

例えば利用者の居室の掃除はできますが、家全体の大掃除はできません。

ホームヘルパーの職員の9割は女性です。

男性のホームヘルパーもいますが、利用者は女性ヘルパーを希望することが多いようです。

介護士の具体的な仕事内容とは?

具体的な業務

日常生活の支援

食事・排泄・入浴の支援をします。

利用者によって介助量は変わるので、その人に合った介助をする必要があります。

介護士の基本となる業務です。

経験を重ねると殆どの利用者の介助に対応できるようになります。

ですので、最初からできないと焦る必要はありません。

夜勤

日常生活の支援とは別枠で説明します。

イメージとして夕食の時間帯あたりに出勤し、次の日の朝食後まで働くとい形になります。

単純に勤務時間も長いですし、夜を越します。

勤務時間も長く職員の人数も少ないので、身共にキツい状況で仕事をすることがあります。

私の経験からも、自分が思っている以上に負担がかかります。

私は現在夜勤を始めて4年くらい経過していますが、夜勤を終えるといつもヘトヘトです。

基本的に自分の担当しているフロアを一人で担当するという施設が多いです。

昼間と違って一人で対応しないといけません。

コール対応が重なった時などは、優先順位を考えて動かないといけません。

また、多くの利用者は眠っているので、ドタバタと走り回ったり大声で話したりすることもご法度です。

いわゆる「平和な夜勤」と言われるようなコール対応も少なく事故も何もなかった夜勤だったとしても、心身の疲労はかなりのものになります。

これから夜勤を始める人は、慣れるまでは夜勤当日と夜勤から帰った後はゆっくりと休むことをおすすめします。

個人的には、夜勤当日の過ごし方が夜勤を乗り切るのに重要だと思っています。

私は夜勤当日は出勤まで家で過ごし、できる限り体力を消費しないようにしています。

担当者会議への出席

あまり一般的なイメージにはないかもしれませんが「担当者会議」の出席という業務があります。

「担当者会議」とは、介護士だけでなくリハビリスタッフ・調理スタッフ・ケアマネジャー・家族など様々な人が集まる会議で「生活の目標」を話し合いをすることです。

具体的な「生活の目標」とは〈毎朝自分で髭剃りをする〉〈自分で着替えの用意をする〉〈車椅子で廊下を一往復する〉といったもので、利用者様によって内容は様々です。

「担当者会議」はおおよそ3ヶ月に1回のペースで定期的に行われます。

毎回書類作成が行われるので、パソコンが苦手な人には厄介な作業になります。

送迎

デイサービス・ショートステイの職員限定になりますが、利用者を自宅から施設、施設から自宅へと車で送迎します。

見落としがちですが、普通免許を持っていることが重要となります。

利用者を車に乗せて送迎することは、想像以上に緊張します。

自分の車で事故を起こしたことがない人でも、送迎中に事故を起こすということは当たり前くらいに思っていた方が良いです。

もし送迎の仕事をすることになったら、普段以上に安全運転を意識してほしいと思います。

委員会の仕事

施設には、種類は様々ですが「委員会」というものがあります。

介護の仕事を始めた1年目から何かの委員会に入ります。

日常の業務以外に任された委員会の仕事をしないといけません。

委員会によって負担度は違いますが、いずれにせよ残業で行う業務の一つにこの「委員会」の仕事があります。

仕事の流れ

施設の「日勤」の仕事の流れを私の経験からご紹介します。

大まかに書いていくと、下記のようになります。

排泄介助(8:30~)

出勤する時間帯が朝食後になるので、各利用者の排泄介助をします。

申し送り(9:10~)

その日のリーダーから申し送りがあります。

記録(9:30~)

ここからは早出などで業務内容が分かれます。

日勤は記録業務に入る場合が多いです。

排泄介助(11:00~)

この時間に、排泄介助をする利用者に対して声掛け・誘導・介助をします。

休憩(11:45~)

勤務によって休憩時間は異なります。

排泄介助(12:30~)

11時の排泄介助でトイレに行かなかった利用者に対して、声掛け・誘導・介助をします。

曜日によって業務内容が変わります(13:30~)

曜日によって日勤の仕事内容は変わります。

レクリエーションや入浴の準備、シーツ交換などをします。

排泄介助(14:45~)

日勤帯で一斉で行う最後の排泄介助です。

記録(15:30~)

夕方の記録業務をします。

一人でするのではなく、何人かで手分けをして行います。

遅出・夜勤の人の手伝い(16:30~)

記録を終えると、残っている雑務をします。

口腔ケアの用意・ポータブルトイレの用意など遅出や夜勤者の業務が行いやすいように準備をします。

業務終了(17:00)

委員会などがなければ、業務終了です

一応の流れは、以上のようになります。

施設や出勤する曜日によって業務の内容・流れは当然変わってきます。

一つの目安として参考程度にしてもらえればと思います。

業務を終えてから記録をする施設が多いような印象を持っています。

介護士はどういう人と仕事で関わるの?

介護士が仕事でどんな人と関わるのか解説していきます。

ケアマネージャー

デイサービスやショートステイなど在宅での生活が基本となる利用者の場合は、特にケアマネージャーとの関わりが多くなります。

利用者全員にケアマネージャーがいます。

ケアマネージャーは利用者とその家族の橋渡し役となっていますので、介護の仕事において重要な役割を果たしています。

利用者の家族

利用者の家族とは、場合によっては利用者以上に話し合いを重ねることがあります。

家族との信頼関係は非常に大切になります。

リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)

特に介護老人保健施設での仕事の場合、他の介護施設より「リハビリ」に重点を置いています。

そのため、リハビリスタッフが多く配置されています。

ほぼ毎日リハビリスタッフと顔を合わせることになるので、日々の情報交換が重要となります。

看護師

看護師も必ず介護施設に配置されています。

介護士がしてはいけない業務を看護師がする場合もあります。

その辺りの知識も重要です。

介護士と看護師の情報交換はとても重要です。

介護士の仕事はどんな人に向いている?

ここからはどのような人が介護の仕事に向いているのかを説明していきたいと思います。

イメージしやすいように具体的な例も挙げて説明します。

明るく体力がある人

これは最も大切なことです。

家族と離れてしまった、これまでの家での生活ができなくなってしまった…そのことで利用は気持ちが落ち込んでしまうことが殆どです。

そんな中で元気のないスタッフがいては、利用者の気分は更に落ち込んでしまいます。

明るくハキハキしているスタッフが対応することで笑顔を引き出すことができ、「ここでの生活も楽しいな」と感じて下さるはずです。

そして体力は重要です。

沢山の利用者の身体介護をします。

車椅子に乗せる、寝かせるなど力が必要です。

加えて、1日中歩きっぱなしです。

体力がないと自分自身も辛いですし、利用者に怪我をさせてしまうこともあるので、体力はあった方が良いですね。

話すのが好きな人

介護をするにあたって、コミュニケーション能力は重要です。

生活支援なので工場のような流れ作業ではありません。

家族のように日常会話をしながら支援をしていきます。

会話の中で利用者の心情を汲み取ったり、元気付ける、励ますなどは多くあります。

利用者の中には介護士との会話を楽しみにして下さっている方も多いです。

利用者は家族や友人と身体的、精神的なことが原因で離れ離れになっています。

日常的に会話を楽しむ相手が私達しかいません。

「聞いてもらいたい」「話したい」という願望は強いでしょう。

話を聞かない、話しかけないなどは、利用者の不安を大きくさせてしまうのです。

話を聞く、話すことが好きな人は介護士に向いていると言えるでしょう。

話すことが苦手でも大丈夫

人を相手にする仕事なので、話すことが苦手という部分を気にする人もいるかもしれません。

私自身あまり話をする方ではありませんが、利用者相手だと話をすることができます。

こういうタイプなら勿論問題ありません。

誰が相手でも話をするのは苦手だという方もいると思います。

そんな方も大丈夫です。

利用者の中には話を聞いてほしいタイプの人もいます。

こちらから話をしなくても聞いてもらうだけで嬉しそうな人もいるので、心配しなくて大丈夫です。

話をすることに一生懸命になりすぎて肝心な仕事が進まないのは困るので、気を付けましょう。

人の気持ちが分かる

人の気持ちを考えることができる優しさが大切です。

要介護状態になってしまった利用者は、疾患によって言葉が出ない、身体が動かない、覚えられないといった状況になってしまいます。

介護をする側が「どうしてこんなこともできないの!?」という気持ちではいけません。

それは介助にも表れます。

嫌々やっていると介助されている側は感じ取ってしまいます。

要介護者も申し訳ないと感じているのです。

そんな気持ちを理解することができる人、自分がされたらどう思うかを考えることができる人が良い介護士になることができるでしょう。

自分の気持ちをコントロールできる

利用者は認知症を発症している人も多いです。

何度も同じことを言う、同じ行動を繰り返すなどの行動があります。

そこで否定をすると、余計に症状を悪化させてしまうのです。

介護をしている中で、苛々した感情をそのまま利用者にぶつけてしまうのは、最もしてはいけないことです。

自分の気分で態度が変わることがあってはいけません。

自分の気持ちをコントロールできない人は、業務の大変さからすぐに感情を表に出してしまいます。

自分で感情のコントロールをすることが必要なのです。

待てる人

利用者は基本的に動作が遅いです。

また話すペースや考える速度も遅い場合が殆どです。

介護士はそのペースに合わせることが必須となります。

実際に仕事をしていて、同僚が「介護は基本的に待つのが仕事だよね」と話をしているのを聞いたこともあります。

適度に手を抜ける人

これは介護士だけでなく、自宅で介護をする人にも言えることです。

介護は「大変である」ということは、介護をしていない人でも知っていると思います。

特に在宅介護は「介護殺人」が起こってしまうほど酷なものです。

様々な原因がありますが、その一つに、介護者が一生懸命になりすぎて自分を責めてしまうということがあると思います。

私が介護の仕事一年目の時、とにかく一生懸命に仕事をしていましたが、先輩から「ある程度は楽にやっていかないともたないよ」と言われたことがあります。

そうしないと自分の気持ちに余裕が持てなくなってしまうということでした。

そんな私が今は後輩に「適度に手を抜いてやった方が良いよ」とアドバイスしています。

パソコンが使える

これは、パソコンのことなら何でも任せなさい!

というレベルではありません。

「Word」「Excel」「PowerPoint」がそこそこ使えれば良いというレベルです。

介護士は「事務的な仕事」が想像以上に多いです。

特に「Word」「Excel」が使えると自分も楽ですし、職場の人からも頼りにされます。

あくまで介護の職場なのでプロ級の腕は必要ありませんが、ある程度はできると良いでしょう。

逆に介護の仕事が向いていない人はどんな人?

ここでは、介護士に向いていない人はどんな人なのかを解説していきます。

あくまで個人的な見解ですので、参考程度にご覧下さい。

せっかちな人

介護士に向いているのはどんな人なのかの項目で「待てる人」と書きました。

ですので、その反対です。

利用者のしていることを待てない人は向いていないと言えるでしょう。

介護士のペースに合わせようとすると転倒などの事故に繋がる恐れがあるだけでなく、利用者から反感を受けてしまい仕事がやりづらくなります。

愚痴をこぼしたり、疲れているアピールをする人

利用者の前で愚痴をこぼしたり、「私今日で6連勤目だよ~」と疲れているアピールする人は向いていないと思います。

介護の仕事に限らず仕事は疲れるものです。

それをアピールして誰が喜ぶのでしょうか。

その場の空気を悪くするだけだと思います。

そんな人に介護されたら、利用者も良い気分にはなりません。

利用者の前では勿論、どんなに疲れていてもなるべく表に出さないようにしましょう。

職場の雰囲気が悪くなります。

介護士の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

ここでは、介護士の仕事のやりがいを紹介します。

給料が低いことで有名な介護士。

それでも続けていられるのは「やりがい」があるおかげです。

ぜひ見てほしい内容です。

利用者から認められる

介護の仕事のやりがいと言えば「利用者からのありがとう」が基本です。

これも勿論「やりがい」なのですが、私は「利用者から認められる」というのも大きなやりがいだと思います。

利用者の中で認知症の方は意外と多いものです。

毎日のように挨拶をしていても覚えてもらえない、というのは日常茶飯事です。

しかしずっと丁寧に介助していると、いつもと違う反応をする場合があります。

「ありがとう」が「いつもありがとう」に変わるのが一例です。

家族から感謝される

利用者は認知症や物忘れなどでいつも同じような反応をすることが多いです。

しかし、家族は別です。

家族から感謝されることも「やりがい」になります。

利用者の家族の中には、いわゆる「クレーマー」と言われる方がいるのも現実です。

しかしそんな家族も、こちらの真摯な対応を見て優しく言葉をかけてくれることがあります。

家族は職員の仕事の様子をよく見ているものです。

そんな家族から認められるということは、体験してみるととても嬉しいことだと実感できると思います。

できることが増える

介護士の新人として就職したての頃は、日常の介助に慣れることで精一杯です。

しかし、月日が経つにつれ日常の介助以外の仕事も任されるようになります。

例えばデイサービスの職員だと「担当者会議」に出席するようになります。

利用者の家に行き、その利用者に携わっている職種が全員集まって現状や今後の計画について話し合います。

福祉用具の会社の人やホームヘルパーなど普段会うことのない人と話をしたり、普段見ない利用者の話を聞くこともできます。

介護士として一段階ステップアップしたことを実感できる良い機会です。

面白いポイント

これは「やりがい」と似ている部分もありますが「面白いポイント」について「面白い」=「笑い」という視点で紹介していきます。

相性の良い利用者と出会う

あくまで仕事として割り切って接している部分はあるのですが、やはり「特に相性が良い」利用者と出会うことがあります。

介護の仕事はどうしても強いストレスがかかります。

利用者だけでなく同僚(職員)に対してのストレスもあります。

そんな時、息抜き代わりに「相性が良い」利用者と話をして一笑いして仕事に戻るということをしています。

利用者同士の話が面白い

利用者同士の会話を聞いていても面白いと思う時があります。

認知症が進行していると「何を言っているのか分からない」ということがあります。

これは、小さな声で話すので聞こえにくい時もあれば、利用者が言っていること自体が支離滅裂で分からないなど、様々なケースがあります。

しかし「重度の認知症の利用者同士の会話が何故か成立する」という現象に立ち会うことが多々あります。

お互いに全く違うことを話しているのに、二人共満足そうに話をして笑顔になっているのです。

介護士の仕事で大変なこと

3Kと言われ大変なイメージがある介護の仕事ですが、私の経験からどんなことが大変なのかを解説していきます。

様々な利用者(職員)

人相手の仕事です。

どんな仕事もそうですが、当然苦手な人もいます。

利用者もそれぞれ生活歴・習慣が違うので、考え方も異なります。

そんな人が同じ施設に集まって生活しています。

それぞれの利用者が少しでも気持ち良く生活できるように、私たち職員は介助したり気遣いや心配りをしないといけません。

一日の業務を終えると心身共に疲れてしまいます。

また職員もそれぞれ介護に対する考え方や熱意に差があります。

そのギャップに耐え切れず辞めていく人もいるのです。

様々な人と関わる仕事なので、人間関係で悩む人も多いです。

連続勤務

施設によりますが、他の職員の勤務の関係もあり6連続出勤や夜勤が続く勤務になる場合もあります。

毎日同じ時間に出勤する6連続勤務と、夜勤や早出など出勤時間が異なる6連続勤務とでは、後者の方が身体への負担は大きいです。

女性の職場であるということ

これは男性介護者の視点です。

以前と比べて男性の介護士が増えているとは言え、女性が圧倒的に多い職場です。

男性職員として重宝される場合もありますが、男性職員が集まると「女性の職場」であることについての悩みを吐露することも多いです。

女性職員の中には、男性職員というだけで「仕事ができない」と決めつけているような人もいます。

これから介護士を目指そうと考えている男性の皆さん、思っているよりも女性の職場で働くことは大変である、と頭に入れておいた方が良いですよ。

介護の仕事で活かせる経験

これまで経験した職業で介護に活かせることはあるのでしょうか。

全く違った職種から介護職への転職は不安だと思います。

しかし実は、これまでの経験は沢山活かすことができるのです。

こちらでは、それを紹介したいと思います。

サービス業などをしていた人はおすすめです

サービス業の方はお客様と関わることが多いです。

そのため、マナーや言葉遣いがしっかりとできています。

そしてコミュニケーション能力が高いのです。

更にサービス精神が旺盛であるため、利用者の話をよく聞いて喜ばせることができるでしょう。

保育士

保育士は子供の行動や日々の様子をよく観察しています。

対象者が高齢者になっても、日々の生活から利用者の変化などに細かく気付くことができるでしょう。

その観察力は介護士としても大いに発揮できることでしょう。

介護士で働くメリットとは?

勤務体制に慣れてしまえば、自由な時間が多く持てる

シフト制の介護士。

なんとなく決まった定期的な休みがないので大変なイメージがありますが、そうではないのです。

夜勤があれば次の日は夜勤明けで、朝帰ると次の日までは休みとなります。

週末まで休みがない連続勤務をするよりも、1週間の中で夜勤が入ることで自由となる時間は沢山作れます。

資格がなくても働ける

現時点で全く資格がない人でも、働きながら資格の取得ができます。

資格を取ろうと思っていても、働きながらは難しいものです。

介護業界は資格を取るまでに実務経験と知識の取得が同時にでき、働いているので給与も安定させることが可能です。

資格を取得するまでに無収入となってしまっては生活ができないですからね。

自分次第で起業もできる

経験や資格を持つことで、介護のノウハウや経験、資格を活かして個人で事業所を持つこともできます。

ケアマネージャーの資格を取得すれば、個人で事業所を設立して自身で運営もできます。

仲間がいれば、施設やデイサービスも夢ではありません。

仕事がなくならない

これから更に高齢者の数が増えていく日本において、介護の仕事がなくなることはないと思って良いでしょう。

介護施設が倒産しないという認識では痛い目に遭うこともありますが、介護の仕事という観点から見ると大丈夫でしょう。

やりがいが得られやすい

介護の仕事の良い面としてよく言われるのが「やりがいがある」ということです。

これは本当です。

日常的に利用者から「ありがとう」などの言葉をかけられるので、慣れてしまう場合もありますが、利用者の家族から言われる「ありがとう」「頼りにしているよ」という言葉はかなりの力になります。

介護施設に自分の家族を預けに来る方は「家では看られないから」と施設に救いを求めてくるケースが少なくありません。

利用者の為に働くのは勿論なのですが、私は家族の力にもなっているという自覚を持って日々仕事をしています。

その後のキャリアについて

この仕事に就いた後のキャリアアップの道は?

介護福祉士の資格に留まらずに経験を積むと、生活相談員やケアマネージャーといったキャリアアップが可能です。

そして更には、管理者や経営者を目指すこともできるでしょう。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

介護の仕事は最大のサービス業なのかもしれません。

人の話を聞く、汲み取るなどのコミュニケーション能力、危機管理意識などが自然と身についてきます。

介護の仕事をした人は他職種では上手くいかないなどの意見もありますが、それは人間性の問題です。

介護で培った忍耐力やコミュニケーション能力はどこでも通用します。

自分に合った介護の求人の選び方や注意点

介護の仕事と言っても、どこでも同じわけではありません。

自分の現在の状況に合った施設や事業所を選んで働くことをおすすめします。

せっかく介護の仕事に向いている人でも、働く場所や環境によってはできないこともあるかもしれないので、しっかりと自分に合った介護現場を選びましょうね。

【選び方①】雇用形態から探す

雇用形態は大切です。

これからバリバリ働きたいのであれば、正社員を選びましょう。

ボーナスや基本給なども変わってきます。

ヘルパーなどの募集ではパート募集も多いので、注意して選びましょう。

子育てや家庭の事情などでフルタイムでの勤務が難しいのであれば、パートの募集を探しましょう。

時間や休みの融通が利く場合が多いですよ。

【選び方②】職場の業態から考える

これは最も重要な項目となってきます。

あなたが携わりたい介護事業はどのようなものなのかをある程度明確にしておくと良いでしょう。

介護の基本的業務は各事業所とも大きな変わりはないでしょう。

身体介護やコミュニケーションなどの業務に加え雑務などになります。

勤務形態は業態によって大きく異なります。

入所型の施設では3交代や4交代の交代制のシフト、夜勤や早番などがあります。

また、デイサービスのように日中のみの勤務形態もあります。

ヘルパーでも早番、遅番がある事業所もあります。

あなたが選ぶ業態によって、これだけ大きな違いがあります。

そして在宅支援なのか、ターミナルケアなどの最後まで支援をしていくのかでも違ってきます。

【選び方③】給与や雇用条件から考える

こちらも生活をする上で重要な要素ですね。

給与や年収など考えて選びましょう。

どのような給与体制なのか、準社員での入社で試用期間が終わった後正社員へ上がることができるのかなどの確認も大事です。

【選び方④】エリアから考える

独身で地元での就職にこだわらないのであれば、関東などの方が給与は良い場合が多いです。

東北はまだまだ介護の仕事での高給与は期待ができないのが現状です。

介護士の仕事はどうやって探す?

介護の仕事は求人にも沢山あります。

公共職業安定所でも頻繁に更新されているので、チェックしてみて下さい。

今はネットでも気軽に探すことができます。

また介護士専用の求人サイトなどもあるので、参考にしてみてください。

サイトで注意しなければならないのが、派遣での募集と気付かずに応募してしまうことがある点です。

給与面だけ見て派遣であることに気がつかなかったなどの失敗をよく耳にします。

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介護士の将来性は?

今後の介護業界についてご説明します。

介護士の給料が上がる?

低賃金と言われ続けている介護の仕事。

しかし、介護士にとって嬉しいニュースが飛び込んできました。

それは「勤続10年を超える介護福祉士には月額8万円の賃上げ、もしくは年収440万円以上を実施」というものです。

2019年10月から実施されました。

条件は勤続10年を超える介護福祉士で各事業所の裁量で設定するとなっています。

雇用形態は関係ありません。

また同一の施設でなくても合計で10年に達していれば対象となります。

その人の仕事ぶりや資格などが上げ幅に関係してくるようです。

まとめ

今回は、介護士の仕事内容や、介護士に向いている人向いていない人などを紹介しました。

介護の仕事は決して楽な仕事ではありません。

体力的にも負担が大きいのに給与は安いといったイメージが多いでしょう。

しかし、悪いことばかりではありません。

利用者を一番近くで支援することができます。

一緒に笑ったり時には泣いたり、利用者に励まされることも沢山あります。

家族や利用者からの「ありがとう」の言葉に救われます。

高齢者相手の仕事なので、時には大好きな利用者との別れもあります。

そんな時は本当に悲しく、自分はきちんと介護できたのか?利用者のためになることができたのか?と感じてしまうこともあります。

しかし、大好きな利用者の最後の瞬間に立ち会えたことをありがたくも感じます。

命の重みを感じながら、人の大切さを感じることができるのがこの仕事でもあります。

世間ではあまり印象が良くない介護の仕事に就こうと考えている時点で、あなたはこの仕事に向いているのかもしれません。

人を大切に感じる優しさがない人は、介護の仕事に対して興味も持たないと思います。

あなたが介護の仕事をしたいと考えているのであれば、本日ご紹介した内容を参考にしてぜひ介護の仕事をしてみてください。

実際に自分で体験してみると、そこから自分の介護観が見えてくると思います。芽生えるはずです。

まずは一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。




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