超高齢化社会と言われる現代では、圧倒的に介護施設と介護士の数が不足しています。

そんななか、自身の介護の経験やニュースなどを見るなかで、使命感をもって介護士になろう!と考える若者も少なくありません。

しかし、せっかく資格を取得して介護士になったとしても、その働く職場の現状や待遇に不満や失望を抱き転職したいと考える人が多いのも事実です。

とはいえ介護職しか経験がない場合、自分は本当に転職したほうが良いのか、あるいは少し検討した方がいいのかは人それぞれです。

今回はそのいくつかケースと、介護士の転職活動で気を付けた方がよいことなどについて解説していきます。

介護士って転職する人って多いの?

そもそも、介護士から他業種や他業界への転職をする人は多いのでしょうか。

介護士や福祉業界の現状からみていきましょう。

年々増加する介護職員数

2000年から2013年の間に、介護士を含む介護職員の数は約3倍へと大幅に増加しています。

2018年までの間には更に増加していることが予想できます。

しかし、急激に介護士を含む介護職員の数が増加しているにも関わらず、介護士の有効求人倍率は常に高いのです。

平成28年度のデータでは介護職員の有効求人倍率は、他業種は、平均約1.3倍なのに比べなんと約3倍という現状です。

これはどうしてなのでしょうか。

要介護人口も多い

介護士を含む介護職員の数は大幅に増えているにも関わらず、有効求人倍率が約3倍の理由……それは、介護職員が3倍に増えた2000年から2013年の間に、要介護人口の高齢者も同じく3倍に増えていたからです。

しかも、どの年も微妙に介護士を含む介護職員の数を、要介護の高齢者の数が上回っており、常に介護の現場では「人手不足」が続いています。

そのため、どんなに介護士や介護関係の仕事を志す人材が増えたとしても、いつまでたっても有効求人倍率が高く、人が足りない状況となっています。

離職する人も多い

そんな状況に加え、介護士の職場は決して恵まれた環境とは言えません。

ただでさえ「人手不足」のため、残業や長時間労働や無理なシフト、有給が取れないなどの無理を強いられることがあります。

そこに加え、介護施設や福祉施設での「人間関係」に悩む人や、「給料が低い」「高齢者やその家族からの理不尽な要求」「介護の仕事にやりがいや達成感がない」「待遇が悪い」など、さまざまな不満を抱える介護士が増えています。

これは、どうしても少子高齢化社会により、国からの金銭的補助やサポートが十分ではないこと、「お客様」である高齢者は自身が要介護状態になったことを受け入れられず、介護士に対し辛くあたったり、病気や老化により非人道的な行動に出てしまうことなども理由としてあります。

そのため、使命感や理想の介護観を持って入職したにも関わらず、現状とのギャップや、長時間労働のわりに少ない給料で生活が厳しいと感じたり、精神的に疲弊して離職を選んでしまう介護士が多いのです。

介護士で転職したほうが良い6個のケース

とはいえ、介護士としてキャリアを積んできたにも関わらず、介護業界以外の仕事への転職には勇気がいります。

本当に自分は介護士として転職すべきなのか迷うことも多いでしょう。

そこで、介護士で転職をした方が良い場合について、6つのケースをご紹介します。

他業界でのアルバイト・正社員勤務経験がある

もし、介護士をする以前に他業界で正社員や契約社員として勤務していた経験があるのであれば、その業界に戻るというのも選択肢のひとつです。

例え少し前の話であったとしても、経験があるというだけでかなり転職には有利になります。

また、正社員でなかったとしても、例えば、学生時代のアルバイトで4年間飲食店に勤務していた、接客業で店舗勤務経験があるなどであれば、その経験がアピールできることもあります。

ご自分の過去の職歴やアルバイト経験を振り返ってみて、その経験を活かせる業界や仕事がないかどうかを考えてみましょう。

介護関係以外の資格を保有している

介護士以外で、何か資格を持っていればその資格を活かすことを考えてみましょう。

例えば教員免許を大学で取得していた、趣味で取った資格があるなどの場合は、その資格をアピールして、転職が有利になる可能性があります。

もし、介護や医療関係の資格しか保有していないのであれば、逆に医療・介護の道を究めるという方が良い場合もあります。

介護士+理学療法士や、介護士+介護支援専門員(ケアマネージャー)など、複数の資格を保有している場合は、そのことをアピールし、保有資格を最大限生かせるような介護関係の他の職場に転職するか、現職での給与アップを交渉してみることも必要です。

20代である

20代であれば、未経験の業界にも比較的容易に転職が可能です。

さらに第二新卒扱いとなる25歳以下であればさらに有利です。

高校卒業後や専門学校卒業後に何年か介護士として勤務してみたものの、待遇面やその他の理由で転職を考えた場合は、早めに転職活動をすることで、他業界・他業種への転職が叶います。

第二新卒の場合、一般的な大学生の就職活動と同様、自分が全く知見のない業界にもチャレンジすることができますし、第二新卒でなくとも20代であれば「未経験可」の職種はたくさんあります。

ただ、在職しながらの転職活動は、ハードな介護士との両立がとても大変なため、転職エージェントを利用することで効率よく行うことをおすすめします。

転職エージェントであれば、あなたの20代である若さと、介護士として活躍してきた経験やキャリアを上手にアピールしてくれることも期待できます。

チャレンジしてみたい仕事がある

たとえ30代であっても、チャレンジしてみたい仕事がある場合には転職をする価値は多いにあります。

例えば、昔からの夢であった仕事や、友人と一緒に事業を立ち上げるなどといったことです。

しかし、その場合には入念な準備と現実を見据えたプランを練る必要があります。

特に、「夢だったから」と勢いで辞めてしまっては、そのチャレンジしてみたい仕事につけるかどうか、その事業などが軌道に乗るかどうかもわかりません。

まずは転職活動を水面下で進めつつ、その実現可能性を考えてみる慎重さは必要です。

また、お店の開業や事業を立ち上げるなどの場合は、体力に余裕があれば副業のような形で介護士と並行して進めつつ、軌道に乗ったタイミングで介護士を辞めるという選択をすることをおすすめします。

生活していくのが今の介護士の給与ではどうしても厳しい

どんなに介護士としての仕事に充実感を持っていても、生活していくのが厳しいレベルの給与の場合、転職せざるを得ない場合もあります。

その場合は、まずは他の介護施設などに転職することで給与アップできないかを探りましょう。

どこも総じて厳しい給与事情ではありますが、手当などで生活が楽になることもあります。

また、寮を提供してくれている職場であれば、住居費が浮いてその分、生活が楽になる可能性もあります。

まずは「生活をしていく上であと月にいくらあれば問題ないのか」「年間あとどのくらい年収をあげたいのか」「そのネックとなっている大きな出費は何か」などを分析してみましょう。

その課題を解決してくれる転職先を見つけることができるのであれば、介護士としてのキャリアや経験を活かしつつ転職をすることができます。

高齢者に対し、イラッとする感情を抱いてしまうようになった

最初は希望や理想の介護観をもって、「高齢者のリハビリがしたい」「高齢者が尊厳を持って生活できる環境を整えたい」「高齢者とのコミュニケーションが好き」などと思って入職したにも関わらず、実際に介護士として勤務するとかなり理不尽なことが多くあります。

そんな理不尽なことや、家族からの想像以上に高い要望や要求に対し、例え裏で愚痴を言いながらでも業務として割り切ってできているうちは良いのですが、「高齢者に対しイラッとする」ように感じたら要注意です。

近年多くの介護老人保健施設や、特別養護老人ホームなどでは介護士や介護職員に対する、高齢者への虐待や最悪の場合、命すら奪ってしまう事件が多く発生しています。

そのほとんどの介護士や介護職員が、連続勤務による疲れや、人材不足による疲れ、給与などの待遇に対する不満などと高齢者やその家族からの理不尽な要求に対するストレスが爆発したことにより事件を起こしています。

同じ介護の仕事に携わる立場として、ニュースなどで見ていると「ありえない」と思うこともありますが、決して他人事ではありません。

精神的に追い詰められると自分もそうなってしまう可能性がないとは言い切れません。

そんな自分へのひとつの「見極めポイント」として重要なのは「高齢者に対し、イラッとする感情を抱くかどうか」です。

多くの介護士や介護職員は介護の仕事を志して入職し、高齢者とのコミュニケーションを楽しいと感じて仕事をはじめる方が多くいます。

楽しいと思わない場合であっても、リスペクトの気持ちや使命感や課題意識などを持っていることが多くあります。

しかし、そんな気持ちが消えてしまい、「高齢者に対し、イラッとする感情を抱く」場合には危険信号です。

一旦立ち止まり、介護の仕事への自分の想いや希望、転職をしたいと思っているのかどうかなどを見直してみましょう。

介護士の転職で気を付けた方がよいこととは?

それでは、介護士が転職する場合に気を付けるべきことにはどのようなことがあるのでしょうか。

4つのポイントを見ていきましょう。

介護士として高齢者への温かい「サービス」を心がけてきたことをアピールする

どのような仕事をする場合であっても「その商品やサービスを受け取る人への配慮」は欠かせません。

そこで、介護士として高齢者への温かい「サービス」を心がけてきたことをアピールすることはとても良いアピール材料となります。

特に営業職や接客業などのサービス業への転職を考えている場合にはアピールとしても効果があります。

介護士として緊張感のある現場や危機管理を乗り越えてきたことをアピールする

介護以外の医療関係の仕事への転職や、危機管理を必要とされる仕事への転職をする場合には、介護士として緊張感のある現場や危機管理を乗り越えてきたことをアピールするのがおすすめです。

介護の仕事の経験がなかったり、介護施設を見たことがないという人事担当者であっても、高齢者と接する介護の仕事には常に緊張感があり、さらに細かい危機管理能力や準備が求められることがイメージできるはずです。

介護士としてそういったことへの意識を高く持って仕事をしていたことや、そのノウハウを持っていることをアピールすることはとても有効であるといえます。

経験がない仕事でも前向きに勉強しチャレンジしたいという意欲を伝える

多くの介護士が転職をする場合、経験のない仕事や業界への転職をすることがほとんどだと思います。

そのこと自体は仕方がなく当たり前のことなのですが、それでも面接などの場で前向きに「これから一生懸命仕事を覚えます!」「頑張って勉強します!」と言い切ることができるかどうかは採用に影響するとても大切なポイントです。

同じように経験がない人材であったとしても、「経験がないので自信がありません」「できるかどうかはわかりません」と言っている人材に対しては「未経験であることを言い訳に、これから覚えていこうという気がないのでは」「向上心がないのではないか」と思われてしまう可能性があります。

前向きにこれからがんばるという意欲はしっかりアピールしましょう。

年齢が上がるほど転職は不利になることを忘れずに決断は早めを心がける

前述のように、年齢があがるほど転職は不利になります。

これは一般の転職活動でも同じですが、もし転職を考えている場合は少しでも早く転職活動を開始するようにしましょう。

まとめ

介護士からの転職について、自分は本当に転職したほうが良いのか、あるいは少し検討した方がいいのかについてのいくつかケースと、介護士の転職活動で気を付けた方がよいことなどについて解説しました。

ご自身の状況やご年齢、キャリアや目指すべきことなどに合わせ、最適な決断をするようにしましょう。

介護士の転職をする時は、こちらの記事を参考に!


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