専門学校は、自分のなりたい職業に必要な知識や技術を習得し、社会に出た際即戦力として働ける人材を育成する事を目的としています。

専門学校講師は自分が歩んできた道と同じ世界を目指そうとしている人を指導する仕事になりますので、やりがいを感じる仕事と言えるでしょう。

そんな専門学校講師の仕事ですが、実際のお給料がいくらくらいかご存知でしょうか?

今回は実際に専門学校教員として専門学校に勤めていた私が、専門学校講師の年収や収入アップのポイントをお伝えしたいと思います。

専門学校講師の年収の相場はどのくらい?

平成28年度に厚生労働省が調査した賃金構造基本統計調査のデータによると、専門学校講師は全国で約37000人いるとされています。

年齢や勤続年数によって年収は異なってきますので、ここでは新卒入社と転職者、それぞれの年収について挙げていきたいと思います。

正社員で新卒入社した場合

まず、専門学校講師として就職できる年齢から説明していきます。

専門学校の多くが入試の出願条件として「高等学校卒業もしくはそれに準ずる学校を卒業した者」としています。

専門学校講師はその学校で取得できる資格を持っている事が募集内容として挙げられる事がほとんどです。

専門学校の修業年数で多いのは2~3年ですので、新卒として入社する方の年齢は20歳~22歳が大半であると考えられます。

しかし、その資格を取得してから現場で経験を積む事を条件として課せられる学校も多いため、新卒での入社は狭き門と考えて良いでしょう。

厚生労働省が調査した平成28年の賃金構造基本統計調査によると、20~24歳の専門学校講師の平均年収は男性が314万9200円、女性は279万6500円となっています。

新卒入社の方はその金額より多少下がる可能性が高いです。

正社員で転職した場合

次は正職員として転職した場合です。

過去に専門学校講師として働いていて転職した場合と、現場から転職して初めて専門学校講師として働く場合とで年収は異なります。

現場から転職して初めて専門学校講師となる場合は、新卒入社の方と変わらない年収と考えて頂いて良いと思います。

学生に対して指導した経験が無いため、一から育てていかなければならないためです。

前項で挙げた20~24歳の専門学校講師の平均年収程度が初任給と考えて頂ければと思います。

次に専門学校講師として働いていて転職した場合です。

多くの専門学校で経験加算を導入しておりますので、経験年数×月数千円~10000円程度が上乗せされる事となると思います。

加えて、一講師としてではなく教務主任や教頭・校長職等の管理職採用であれば、その役職手当が付きますので、月に数万円程度の加算が付く事となると考えられます。

非正規(パート職員・契約社員等)の場合

非正規の場合は、時給制か月給制によって給与額が変わってきます。

時給制の場合は一時間あたり2000円~3000円程度が給与相場となります。

授業は1コマ60~90分で設定している学校が多く、一科目につき半期で15~30コマ程度の設定がなされます。

一科目につき担当するコマ数は一週間に1~2コマ程度と考えられます。

それを踏まえると、非正規の方の場合は月に数万円程度の給与となります。

非常勤講師の場合は基本的にその学校に所属せず、学校の外から授業がある時のみその学校に通って担当科目を指導する事になります。

そのため、ほとんどの場合は時給とは別に交通費が実費で支給されます。

契約社員の場合は、仕事内容は正規職員と同じ場合も多く、月給は基本的に正規職員と同じ金額を設定しています。

その代わり賞与の支給が無かったり、支給されても割合が低かったりします。

平成28年の賃金構造基本統計調査によると、専門学校講師の平均月収は34万7000円となっています。

年収にも響いてくる基本給以外のものは、どうなっているの?

賞与

賞与はその学校によって様々です。

もともと賞与の設定が無く、月給に振り分けてしまっている学校もありますが専門学校講師が働く学校の多くは賞与が支給されています。

私の周囲で働いていた専門学校講師の方の賞与は年1~3回、金額は年間で基本給の1~3か月程度を頂いている人が多かったです。

平成28年賃金構造基本統計調査データによると、年間賞与の平均支給金額は86.6万円となっています。

昇給

昇給は年次昇給が一般的です。

大きく学校に不利益を与えたという事が無ければ、月数百円から5000円程度毎年昇給していきます。

しかし近年、少子化や大学進学率の増加等に伴い、一部を除いた専門学校の多くで定員割れが起こっている現状があります。

専門学校の収入源は学生から集める学費です。

学生の定員割れが大きかった場合は収入が減ってしまうため、昇給が無く給与額が据え置きとなる事もまれにあります。

各種手当

私が勤めていた専門学校では「調整手当」という名目で、基本給に4%を掛けた金額が手当として支給されていました。

この手当はいわゆる「みなし残業代」のような設定となっており、残業をしてもしなくても全ての教員に一律の割合で支給されている手当です。

学生が全員帰宅するまでは学校を閉めるわけにはいきませんので、ほぼ毎日残業はあると言って良いでしょうが、私が勤めていた学校では調整手当以上の残業代は支給してもらえませんでした。

これは本当は違法なんですけどね…。

その他の手当としては一般企業と同じく、福利厚生の一環として「扶養手当」や「家賃手当」「通勤手当」等が支給されていました。

学生が取得する資格で実習が必要な場合は、一定条件を満たした場合のみ「実習巡回手当」もありました。

通勤手当は実費相当、家賃手当は家賃の1/3~1/2程度が補助される事が多いです。

扶養手当は数千円×人数、実習巡回手当は1000円程度でした。

専門学校によっては「皆出勤手当」を設定、支給している所もありました。

給与が高い人は何が違うの?

同じ専門学校講師であっても、当然給与には違いがあります。

同じ仕事で働くのであれば、給与が高いに越したことはありませんよね?

ここでは給与に差が付く理由や項目について挙げていきたいと思います。

役職

一般の職員よりも責任ある立場になると、当然収入が上がります。

一つの例ですが、私が勤めていた学校では学科のトップである学科長、学科長の上には教務主任、その上に教頭、校長がいました。

それぞれに一般職員とは別に、それぞれの役職に応じた手当が毎月支給されていました。

勤続年数

平成28年賃金構造基本統計調査のデータによると、専門学校講師の平均年齢は43.3歳、平均勤続年数は9.9年となっています。

調査の結果によると年齢が上がると給与も上がっていっています。

60歳以上になると年収が下がります。

これは定年年齢が60~65歳に設定されているためと考えられます。

定年後も再雇用等で専門学校講師を続ける人は少なくありませんが、定年前の収入よりは若干下がります。

地域

厚生労働省が発表した平成30年度の地域別最低賃金で一番高額なのは東京都の985円となっています。

しかし、専門学校講師の年収は、最低賃金の額と連動はしていません。

平成28年賃金構造基本統計調査によると、専門学校講師の平均年収が最も高いのは和歌山県の715.1万円となっています。

和歌山県の最低賃金は803円(平成30年10月現在)で、一番最低賃金が高い東京都と比較すると100円以上の差があります。

ちなみに一番最低賃金が高い東京都は549.8万円と、平均よりは上ですが年収はさほど高くないといえます。

専門学校講師の年収の決まり方

経験年数が長い

他の職種にも言える事ですが、経験年数が長いと「経験加算」が付けられる事が多いです。

新人よりも指導する必要性が少なく、自分で業務をこなせる部分が多いためです。

しかし、経験年数が長かったとしても、専門学校によって業務内容に多少の違いがあります。

その学校の求めている業務内容に合わせて自分の力を発揮できる人は重宝されると言えるでしょう。

関連資格を複数保有している

専門学校によっては複数の学科を開講している事があります。

学科ごと取得できる資格は異なるため、専門学校ではその学科で教える事が出来る人材を複数名探す必要があります。

もし一人で複数の資格を保有していて、専門学校教員として指導ができる現場経験を有している場合には給与が加算される場合があります。

専門学校講師で年収をあげるためにやっておくと良い2個のこと

どうせ仕事をするのであれば、なるべく多くの収入を得る事ができれば仕事に対するモチベーションにも繋がってきます。

ここでは専門学校講師が年収をあげるためにやっておくと良い事を挙げていきます。

関連資格を多く取得する

前項でもあげましたが、専門学校では複数の学科を開講している事が少なくありません。

複数の学科で指導する事が出来れば、あなたを雇っている専門学校の人件費を削減する事ができ、その削減できた分が加算として給与に上乗せされる可能性が高いです。

自分が勤務する専門学校で開講している学科に関連する資格はなうべく取得しておく方が良いでしょう。

自分の学校の魅力・おすすめポイントを紹介できるようにする

専門学校の収入の大半は学生からの学費になります。

専門学校ではそれぞれ学科に定員が設けられていますが、専門学校の多くは定員割れを起こしている状態です。

学生数を増やす事が専門学校の収入を安定させる事に繋がります。

学生数を増やすためには専門学校に進学するメリットを高校生に分かりやすく伝える事が必要です。

なおかつ自分が所属している専門学校に進学を決めてもらうためにはそこの専門学校の魅力やおすすめポイントを説明する事が必要となります。

オープンキャンパスや出前授業などを通して所属している専門学校のアピールができるよう、普段から練習しておく事が大切であると感じます。

経験者が教える、実際に年収がアップしたのはこんなとき

年次昇給

一般企業でも多くある年次昇給を取り入れている学校は多いです。

正規職員は月給制が多いため月単位での昇給となります。

ほとんどが年度替わりの3月頃に昇給額が決定し、翌年度の4月からその金額が適用されます。

前年度の評価によって金額が変わりますが、ひと月あたり数百円~5000円程度昇給する事が多いです。

非正規の方は時給制が多いため、年に一回、一時間当たり10円~100円程度の昇給がある学校が多いです。

資格を取得した時

専門学校講師になるために現場経験やその学校で取得できる資格を持つ事は必須と言えます。

その他に専門学校教員としての質を確保するために、専修学校専門課程と呼ばれる研修があります。

この研修は必須ではありませんが、研修を修了すると教員認定証をもらう事が出来ます。

それを取得した時に「教員手当」をもらう事が出来ました。

私がいた専門学校では月に5000円程度加算されていました。

定員数を上回る入学希望の学生を確保できた時

出生率が下がっている昨今では、学生の確保が非常に難しくなっています。

文部科学省が実施した平成30年度学校基本調査によると、高校を卒業した学生の高等教育機関進学率は81.5%を記録しており、高等学校卒業後に進学する事が今や主流となっています。

現役学生の大学への進学率は49.7%であり、過去最高の確率である事が示されています。

反面、専門学校への進学率は15.9%と前年を0.3%下回っています。

このデータを見ても、専門学校が学生を確保する事が困難となっている事が読み取れます。

内部で高等学校と専門学校を併せ持っている一部の学校法人は、ある程度内部での進学者を確保する事が出来ますが、多くの専門学校は併設する高等学校を所有していません。

毎年志願者数が多く、倍率が高い専門学校(看護師養成校等)以外の学校では定員割れを起こしている専門学校が少なくありません。

昨今では専門学校教員が高等学校の要請で出向いて授業を行ったり、専門学校教員がオープンキャンパスに参加する事も多くなってきました。

広報活動の結果、定員数を上回るほどの学生を確保できた場合には年収が少しアップしました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

雇用形態や保有資格によって専門学校講師の年収はかなり異なってきます。

自分がどのように働きたいか、どの程度の年収を得られる可能性があるのかを検討する上で、この記事が少しでも役に立てば幸いです。


関連キーワード

専門学校講師求人

専門学校講師求人についてもっと深堀りした情報を見る

専門学校講師求人の仕事内容とは?この仕事ならではの面白さ、あるあるまで色々とご紹介します。

現代日本では進学率が高まっており、専門学校への進学者も増加しています。また、社会人になってから勉強をしたいと考えている人も多く存在しており、専門学校の存在価値は高まっていると言えます。そんな専門学校で学生を指導する立場に置かれている職種として専門学校講師がいますが、仕事内容の詳細については知られていない事も多いと思います。今回は専門学校講師バイトの仕事内容と仕事の面白さについて、解説していきます。専門学校講師ってどんな仕事をするの?まずは、専門学校講師の仕事内容について簡単に述べていきます。専門学校講師は専門学校に通う学生に、専門知識や技術を教える事や学期末の試験対応などが主な仕事となります。

専門学校の仕事はどんな人に向いているの?仕事内容や向き不向き、やりがいについて解説します

現代日本では、少子化が進んでいますが高校生の進学率は上がっています。進路の選択先も多様化しており、四年制大学はもちろん、近年では目指す職業に直結する技術や知識を得る事ができる専門学校への進学も増えています。そんな専門学校講師の仕事にはどのようなものがあり、どんな人がその仕事に向いているのかを解説していきます。専門学校の仕事の種類と大まかな仕事内容専門学校の仕事は学生が将来目指している職業に就けるようサポートする事が主となります。普段の授業の担当はもちろん、資格取得に向けての実習指導やその先の就職指導等、学生生活のあらゆる部分の支援を行っていきます。また、次年度の入学者を獲得するための広報活動等