誰もが幼い頃、学校の先生と関わり一緒に過ごす中で、思い出を作ったり、その後の人生に影響を与えられた経験があるでしょう。

子どもだけでなくその保護者にとっても身近な存在である教員の仕事内容は、その校種によって大きく異なってきます。

ここではその仕事内容の違いに触れながら、教員になるための手段、教員の仕事に対するよくある質問にも答えていきます。

教員のおおまかな仕事内容

どの校種においても、教員は常に子どもたちの側でその成長を見守る存在です。

しかし、子どもたちの年齢や発達に応じて、その仕事内容には大きな違いがあります。

ここでは、各校種での教員の仕事内容について簡単に説明します。

小学校教員の仕事内容

小学校教員は、基本的に学級担任として自分の学級を運営していきます。

授業はもちろん、子どもたちが登校してから帰宅するまでを責任を持って指導します。

部活動は基本的にありませんが、希望する子どもたちが所属している部活動の顧問に任命された場合には、朝や放課後に指導する必要があります。

また、低学年の担任をする場合は、学校生活の過ごし方などの基本を教えなければなりません。

中学校教員の仕事内容

中学校教員は、自分が所持している免許の教科の授業を行います。

1学年分だけを担当することもあれば、他学年に跨いで授業をすることになる場合もあります。

また、担任をしている場合は、自分の学級の生徒指導や進路指導も行います。

担任を持っていない場合は、所属している学年の子どもたち全体に寄り添い、学校生活をサポートします。

放課後には部活動指導があるので、各部活の活動場所で怪我やトラブルが起こらないように見守りながら指導します。

実技指導の他にも、大会参加のための申し込みや連絡網の作成、練習計画の作成など事務作業も行います。

自分の経験したことのある部活動の顧問に必ずなれるというわけでないので、ある程度我慢しなければならない場合が多いです。

高校教員(普通科)の仕事内容

高校には農業科や英語科など、専門的な分野を学べる機会が増えてきます。

ここでは、普通科の教員の仕事内容について紹介します。

普通科の教員は、中学校の教員と同様に、自分の持っている教員免許の教科の授業を持つことになります。

高校ともなれば、もはや一人の大人と同様なくらいに身体面でも精神面でも成長が見られます。

高校教員として最も大切な仕事となるのは、子どもたち一人一人の進路指導です。

卒業後に就職するのか、それとも進学するのかをしっかりと考えさせ、進路実現に向けて取り組ませていきます。

また、部活動顧問としての仕事は中学校と異なり、全員の先生が担っているわけではありません。

よって、土日にしっかりと休養できるかと言えばそうではなく、模試や日々の授業準備に追われることが多いです。

また、大学入学試験間近になると学習指導に多くの時間を割くことになります。

教員にはどうやってなれるの?そのなり方とは?

自分が出会った先生に憧れたり、好きな教科を子どもたちにも分かりやすく教えたかったり、教員になりたいというきっかけは様々です。

ここでは、教員になるためにはどのような手順を踏めば良いのかを説明します。

各都道府県での教員採用方法とは?

教員になるためには、各都道府県で実施されている教員採用試験に合格する必要があります。

複数県を受験することもきますが、日程が被っている場合は希望する場所のどちらか一方を選ばなければなりません。(具体的にいうと東北地方は6県が同じ日に試験を行うので、青森県と秋田県の2箇所を同時に受験することができないということです。)

各都道府県ごとに試験内容は異なりますが、大体は1次試験で筆記、2次試験で面接や模擬授業を行うことが多いです。

筆記試験では教職教養や一般教養、各教科ごとの専門知識を問われます。

希望する校種が小学校の場合は、筆記試験に加えて水泳や器械運動などの実技試験をすることもあります。

中学校や高校の場合も、音楽家では弾き語り、理科では実験、英語科では英会話など、専門の教科ごとの実技を行う場合もあります。

2次試験では面接官の前で指定された分野の模擬授業を行うことが多いです。

面接は集団面接と個人面接のどちらも行われます。

教員になるための心構えや専門知識についてなど、様々なことを訊かれることになります。

教員の募集内容とは?

将来を担う子どもたちを育てるという、とても責任のある教員という仕事。

ここでは、教諭として働くにあたっての勤務条件や、どのような人が教員に向いているのかを紹介します。

各都道府県での教員採用試験の募集内容について

教員の仕事に興味があるけれども、どのような条件で働いているのかはあまり想像がつかない人は多いのではないでしょうか。

ここでは、教員の給料や勤務時間などの基本的な労働条件に触れながら、教員の募集内容について紹介します。

募集職種は?

教諭

小学校、中学校、高校、特別支援学校において学習指導や部活指導、生徒指導の全般を担うことになる先生のことです。

団塊の世代の退職により、少しずつ教員採用試験の倍率も低くなってきているようです。

養護教諭

教諭と同じく、小学校から高校、特別支援学校の保健室において、怪我をしたり体調不良を訴える子どもたちのケアを行う先生のことです。

養護教諭の免許を取りたい場合は教科を教えるための教員養成課程とは異なる大学の課程を選ばなければならないので、注意が必要です。

給与相場

各都道府県の県職員の給与に準じており、年功序列の給与体制で、等号給ということになっています。

大学を卒業してすぐの新任の教員でも、最初の給与で手取り月給18万円ほどはいただくことができます。

臨時講師として数年間学校で勤務したことのある人が教員採用試験に合格した場合、その経験に応じて初任給に加算されます。

勤務時間や休日、残業

勤務時間は8:20〜16:50であることが多いです。

休憩を含めての勤務時間となっていますが、子どもたちと一緒に過ごしていると、休憩時間は全くと言って良いほど取ることができません。

休日は土日祝日のカレンダー通りです。

小学校教員の場合は部活動の顧問をしていない限りは休養できる人が多いですが、中には授業や行事の準備のため休日も出勤していることもあります。

中学校や高校の教員は部活指導や大会の引率のために、土日も学校に行くことが多いです。

高校では部活動に加えて、模試があります。

どの校種であっても、放課後に課題の準備やチェックをしたり、授業の評価や次の日の準備を行わなければなりませんので、残業はほぼ毎日あります。

部活動顧問をしている場合は、子どもたちが帰宅するのが教員の終業時間であることが多いので、子どもたちが帰ってから仕事を始めるしかありません。

また、トラブルがあったときなどは、その子どもの保護者の方の帰宅を待ってからの連絡になるので、8時や9時になってしまうこともあります。

残業だけでは仕事を全て終えることが難しいので、朝早くから学校に来て仕事をしている先生方も多く見られます。

福利厚生

各種保険に加入することができます。

また、教職員組合を利用して、各都道府県ごとの様々な施設を組合員価格で利用することができます。

求められる人物像

小学校から高校まで、相手にする子どもたちの年齢には大きな違いがあるものの、教員として最も大切なことは責任を持って子どもたちを見守りつつ指導するということです。

子どもたちは日々成長します。

そのような小さな変化によく気付くことができ、声をかけてあげられるような細やかな配慮ができると良いでしょう。

また、子どもたちの学力向上のため、常に自身の指導力を向上させられるような熱意が大切です。

更に子どもたちと毎日を楽しく過ごすためにも、様々なことに興味を持ち、子どもたち一人一人の個性を受け入れられるような心の広さも必要です。

必要な資格

各校種の教員免許が必要です。

中学校と高校の場合は、それぞれの教科ごとの免許状になります。

必要なスキル

物事をわかりやすく説明するスキル

教員の仕事の中で最も大きな部分を占めるのが、授業です。

小学校ではこれから続いて行く中学・高校への入り口として、また、生きて行く上で必要な基本的な学習を行います。

中学校では小学校の頃よりも複雑な内容や新しいものを学び、高校では進路実現に向けて更に専門的な行動な知識を学習します。

どの校種であっても、教員の授業における指導力は重要な役割を果たします。

そして、子どもたちが新しく知る内容を理解できるように、簡潔に分かりやすく説明する能力は不可欠と言えます。

子どもたちの理解を深めるためにも、教員の知識量や言葉や例えの引き出しを沢山持っていると良いでしょう。

自分の知識を増やすためにも、様々なことに対する好奇心も大切です。

集団の中で個をよく見られるスキル

学校生活は集団で行われます。

学級内には沢山の生徒がいて、一人一人に個性があります。

勉強が苦手だけど運動は得意だったり、運動が得意だけど鉄棒は苦手だったり…など、個々の持っている実力も様々です。

そのような沢山の個性の集まった学級を運営して行くからこそ、一人一人の子どもに目を向けることが大切なのです。

毎日の授業などはその最たる例で、全員が完璧に分かるというのは難しいです。

だからこそ、つまづいている子どもにさり気なく支援したり、理解の早い子どもには更にレベルの高い課題を与えたりするなど、個に応じた指導が重要視されています。

集団の中に個を埋もれさせることなく、一人一人の子どもと向き合うことが教員に求められます。

適切な言葉遣いのスキル

教員の仕事は、人と人との関わり合いで成り立つものです。

教員から子どもたちへの声のかけ方や、その言葉遣いは適切なものであるのかを常に意識しながら行動しなければなりません。

何気なく言った一言が、誰かを傷つけることになってしまう可能性もあります。

子どもたちを教え導く立場として、無責任な発言や誰かを傷つけたり不快な思いをさせるような言葉を多用するのは良いこととは言えません。

子どもたちに肯定感を与え自信を持たせるためにも、プラスな印象のある言葉を使えると良いでしょう。

トラブルにも動じず、解決に向かうスキル

大人たちが社会人として働いている中でも、人間関係には悩まされることが多々あります。

それが子どもたちなら尚更です。

子どもたち同士のトラブルは本当に多く、学年が低いほど自分たちのトラブルの原因や状況をうまく説明することができないものです。

そのような中で、トラブルを起こした子どもたちに状況を確認しながら双方に不満が無いように納得させ、解決させるというのは至難の業です。

その後に気持ち良い学校生活を送らせるためにも、当事者たち以外からも話をよく聞き、原因や状況を整理して確認しながら物事を進めていく必要があります。

子どもたちのやる気を引き出させるスキル

自分が子どもだった頃に、大人から「勉強しなさい!」と言われたらやる気をなくしてしまったという経験はありませんか。

教員はその立場上勉強するように促すことが多いのですが、あまりにも直球すぎたり何回も勉強するように促すと、当然子どもたちはやる気を失くしてしまいます。

しかし、やはり勉強は大事なもの。

しっかりと取り組んで欲しいものです。

そのような場面で子どもたちのやる気スイッチをそっと押してあげられるようなスキルを持っていると、とても役に立ちます。

例えば、課題に子どもたちの興味のありそうなキャラクターを取り上げてみたり、できなかったことを叱るのではなくできたことを大いに褒めたりするなどです。

子どもたちがやる気を出したら、物凄いエネルギーになります。

一人一人やる気の入る条件は違うので、根気良く向き合っていくことが大切です。

教員という仕事におけるおすすめのポイント

給料が安定している

教員は地方公務員なので、等号給での給与支給となります。

毎月の給与に加えて、ボーナスもきちんと貰うことができるので、経済面で安定していると言えます。

給与には住宅手当や通勤手当など、一通りの手当が付随しています。

様々な子どもたちとその保護者に出会うことができる

学校で働いていると、多くの子どもたちとその保護者の方々に関わる機会があります。

そのような中で感じるのは、親子の絆の深さです。

既に家庭を持っている先生も、まだの先生も、様々な家庭を見ることで影響を与えられるものです。

家庭の雰囲気や子どもとの関わり方など、学ぶところが多々あります。

教員は子どもを育てるという仕事をしていますが、教育と育児は似て非なるものです。

仕事をしながらも沢山の親子を見て多くの学びを得られることも、教員の仕事の魅力の一つです。

教員についてよくある疑問

小学校に入学してから高校を卒業するまで誰もが関わってきた先生という存在ですが、その仕事内容や職場環境は想像がつきそうではあるけれども、実際はよく分からないものですよね。

ここでは、筆者自身が実際に友人に聞かれたことのある教員に対してのよくある質問にお答えします。

自分にどの校種があっているのかが分からない

自分はどのようなことがしたいのか、何ができるのかを軸に考えてみると良いでしょう。

子どもが好きだからといって小学校が向いているなどと言うのは、短絡的な話です。

子どもたちと一緒に体を動かして遊んだり学校生活を送るための基盤を作るための指導をしっかりとやってみたいのならば小学校が良いかもしれませんし、最も多感な時期でちょっとしたことにでも大きな影響を受けてしまう思春期真っ只中の子どもたちと関わってみたいのならば中学校も視野に入れてみても良いでしょう。

高校生ともなったら、未熟ながらも一人の大人です。

卒業後の進路を一緒に悩み抜いてあげられるのならば高校教員も魅力的です。

しかし、どの校種が向いているのかは、実際に働いてみないと分からないことなのです。

つまり、悩んだとしても決めるのは自分です。

どうしても決められない場合は、3校種全ての免許を持っておくと良いです。

教員採用試験を突破した後に、免許があるならば別の校種に異動願いをすることができます。

周りの人に「〜が向いてそう」と言われたからその校種にした、という決め方をすると後悔してしまうので、自分の意志で決定しましょう。

モンスターペアレントって本当にいるの?

います。

殆どの場合は自分のお子さんの言っていることを鵜呑みにしてしまい、周りの話を聞き入れることが難しくなっている場合が多いです。

そのようなお子さんの多くは、自分に落ち度があったとしてもそれを伝えず、トラブルになった相手の悪いところばかりを保護者の方に報告しています。

学校側からトラブルや物事の経緯を説明したとしても、「なぜもっと早くに教えなかったのか」「対応が悪い」など、様々なお言葉を頂戴することがあります。

学校に直接連絡をしてくる保護者の方もいますが、中にはSNSなどで学校や特定の教員の悪口を書いたり、動画を撮影してアップしている人も実際にいました。

部活動は自分で好きなものを選んで顧問をすることができるの?

できません。

しかし、ある程度の希望をすることはできるので、自分のやっていた部活動を申請してみると良いでしょう。

年度ごとに部活動の顧問は変わるのですが、それを選ぶのは校長や副校長などの学校を運営していく先生方です。

若手の先生方は外のスポーツ系の部活動顧問に任命されることが多いので、教員に興味のある方は心算をしておきましょう。

吹奏楽部や美術部などの専門性の高い部活動は、教科担任の先生がそのまま任命されることが多いです。

職員室内の雰囲気はどのようなもの?

職員室内の雰囲気は学校によりけりですが、基本的に和気藹々としていることが多いです。

小学校は殆どの先生が担任を持っているので授業中は職員室に先生が残っていることはほぼありませんが、中学校や高校では自分の授業の時間に空きがあるときは職員室で自分の仕事をしています。

先生方は基本的に話をすることが好きなので、集中して仕事をしているとき以外は楽しく過ごしていますよ。

しかし、先生も十人十色。

明るい雰囲気を壊してしまうような人もいるので、職員室内の人間関係にも気を配る必要はあります。

夏休みや冬休みなどは何をしているの?

子どもたちが長期休みに入り学校に来ない期間は、先生たちの研修や出張の機会が増えます。

学期内では子どもたちのことが最優先となるため、先生方の研修を開く機会も自然と減ってしまうためです。

特に大きな用事もなく学校に残っている場合は、次の学期の授業や行事の準備を進めていくことになります。

また、学期内はどうしても休みを取りづらいので、長期休み中に年次休暇を消化していくことが多いです。

先生にも夏季休暇はありますが、学校自体にお盆休みはなく土日祝日と年末年始以外は基本的に誰か人がいることになっているので、日替わりで日直を担当して電話番などの業務を行っています。

そんなに忙しいの?

正直に言って、とても忙しいです。

これは、教育界以外の友人から筆者自身がよく訊かれた質問です。

同じく教員をしている友人とはその忙しさを分かり合うことができるのですが、教員として働いてみなければ、その忙しさはあまり理解できないかもしれません。

子どもたち相手の仕事だからあまり大変ではないだろう、授業をするとは言っても内容は簡単なものだからそこまでキツくないだろう、など軽視する人も少なくないのが現状です。

しかし実際に教員の仕事をしてみると、時間がいくらあっても足りないくらいに仕事に追われます。

子どもたち一人一人のその日ごとの体調や精神面をよく見極めた上で声をかけたり、子どもたち同士の関係(特にいじめ)を見逃したりしないよう常に意識して過ごす必要があります。

最も大変なことの一つとして、残業が多いことと休日出勤が多いことが挙げられます。

これは仕事のできる・できないに関わらず、どうしようもないことです。

そして、分かりやすい授業を追求すればする程に、教材研究には熱が入ります。

しかし、その教材研究をする時間が子どもたちの帰った後であったり、終業時間を過ぎてしまっているのです。

子どもたち最優先の教育現場では残業は切り離せないものなのです。

まとめ

教員としての仕事は勉強を教えるだけではなく、子どもたち一人一人の人間性を育てる責任あるものです。

昨今はその忙しさを改善するために、働き方改革も視野に入れられています。

忙しさやその責任の重さ、教員としてのあり方を含めて大変なことばかりに目がいきがちですが、実際に教員をしてみないと分からないやりがいも沢山あります。

校種ごとによって発達の段階が異なるので、その分やりがいや面白いポイントも多様です。

教員の仕事に興味のある人は、きっと誰かの役に立ちたいと言う思いが人一倍強い人だと思われます。

その想いは必ず子どもたちに伝わるので、ぜひ教員の世界に一歩踏み出してみてください。


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