多感で多くの悩みや葛藤を抱えながら成長していく中学生を教え導く立場として、多くの責任を背負う中学校教員としての仕事。

勤務時間の長さや、その業務内容の複雑さがニュースなどでも取り上げられていますが、実際に働いてみるとどのような悩みを抱えることがあるのでしょう。

ここでは、実際に中学校で働いたことのある筆者自身の経験も交えながら、中学校教員が抱えることの多い悩みやその解決方法、そのような悩みを抱えながらも中学校教員を続けたいと感じるやりがいについて紹介していきます。

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中学校教師に多い6つの悩みとは?

どのような職業に就いたとしても、楽しいことばかりではなく、悩みは尽きないものです。

子どもたちを相手にする教員にはあまり悩みはないのだろうという印象が持たれがちですが、実際は悩みが尽きません。

ここでは、筆者自身が中学校で勤務したときに感じた6つの悩みについて紹介します。

時間が足りない

中学校教員は小学校教員と異なり、自分の担任学級を持つ先生とそうではない副担任の先生がいます。

授業は自分の所属している学年を中心に、複数の学級へ自分の専門の教科を指導することになっています。

授業をしている時間以外は「空きコマ」と呼ばれ、教材研究や事務作業、生徒たちの提出物のチェックやその成績管理を行うのですが、圧倒的に時間が足りません。

学級担任を持っている先生は、空きコマに生徒の生活記録ノートなどの日々の提出物を確認する作業も加わります。

業間休みには次の授業の準備も入り、放課後には部活指導があるので、一日中休むことなく動き続けていると言っても過言ではありません。

そんな時にどんな風に解決したの?

筆者を含めた多くの先生方は、朝早くから出勤したり、夜遅くまで残業することで自分の仕事を進めていました。

筆者自身も学年を跨いでの教科指導や、複数の部活動指導、毎日の事務作業に担任の専制型のサポートを行うなど、学級担任を持っていなかったにも関わらず、めまぐるしい毎日を過ごしていました。

時間がいくらあっても足りないというのは、教員にとって永遠の課題と言っても良いでしょう。

休日がほとんどない

中学校教員は、管理職と養護教諭を除いたほとんどの先生が部活動顧問として、放課後は生徒たちの指導を行うことになります。

平日はもちろんのこと、休日にも部活は行われるので、顧問である先生も必然的に出勤することになるのです。

運動部であれば練習や練習試合などの引率をすることも多く、1日いっぱい完全オフという日を作れることはあまりありませんでした。

文化部の中でも吹奏楽部はコンクールも多く、休日はもちろん長期休暇中も他の運動部よりも熱心だった記憶があります。

そんな時にどんな風に解決したの?

学校の校内人事によっては、一つの部活動に対して二人の顧問をつけるなどして教員の体力的・精神的な負担を減らそうと考慮してくれる場合もあります。

学校全体で教員一人一人の体調やメンタルを慮ってくれる場合はいいのですが、どうしても人手不足で顧問が一人になってしまう場合もあります。

そのような時は、計画的に練習に休みを設けるなどして負担を軽減するように言われていました。

休日にしっかりと休むことができなくて辛いのは教員だけではなく、生徒たちも一緒なので、週に最低でも1日は完全オフの日を作るように教育委員会の方から指示をされていましたが、実際はそううまくはいかず、保護者の方々からどんどん練習をしてくれと言われてばかりでした。

筆者自身は複数の部活動の顧問をしていた際、20連勤になってしまったことがありました。

そのときは周りの先生たちがフォローして助けてくれたので、学校全体として教員同士が支える姿勢が出来上がっていたので救われましたが、どこの学校でも同じだとは限りません。

部活動は学校ごとの問題ではなく日本全体の課題の一つでもあるので、これからの働き方に期待しても良いでしょう。

生徒同士のトラブルがなかなか解決しない

中学生は心身ともに成長が著しい時期です。

成長が嬉しい反面、様々なことに対する悩みも多く、自分の心をうまくコントロールすることが難しい生徒も多いです。

自分の中でうまくその苛立ちや怒りを処理できると良いのですが、中学生にはまだ難しいものがあります。

その際に、友だちに八つ当たりしたり、自分の思ってもないようなトラブルを引き起こしてしまうことがあるものです。

教員も解決に努めますが、表面上での解決になってしまうことも多く、その後の生徒同士でのわだかまりが残ったまま…ということも多くあります。

小さなトラブルが、後々大きなものとなってしまったりいじめに繋がったりすることもあるので、生徒たちの関係に気を配らなければなりません。

そんな時にどんな風に解決したの?

生徒同士のトラブルがあった際は、表面上だけでの解決にならないように、生徒の話にしっかりと耳を傾けます。

生徒の気持ちをしっかりと理解した上で解決にあたることで、わだかまりが少しは解消に向かいます。

生徒同士のトラブルはどこの学校にもあり、大きなものから小さなものまで、毎日何かしらが発生していると言っても過言ではありません。

教員がその解決に手を入れることで、また複雑化してしまったり、ギクシャクさせてしまったしすることもあるので、見極めが大切です。

生徒同士でしっかりと解決できるようになるのが最も望ましいことですが、話がこじれてしまわないように手助けが必要なときもあります。

まずは、トラブルが発生しないように、生徒一人一人が気持ちよく学校生活を送ることができるような環境づくりをすることと、生徒たちの様子をよく見て理解しようと努める姿勢が重要です。

一緒に組んでいる先生との意識の違い

中学校の教員は、自分の思ったように授業を行ったり、部活動で指導をしているというイメージが持たれがちですが、実際はそうではありません。

同じ教科の先生と一緒にどのような力を身につけさせたいかを突き詰めたり、部活動顧問が複数人いる場合は、部活動でどのようなことを最終目標にするのか、見据える方向性を一緒にしておく必要があります。

自分の持っているイメージや考えと完全に一致するという場合は絶対にあり得ませんが、似たようなものなら擦り合わせたりできます。

しかし、中には全く合わない方もいるものです。

そんな時にどんな風に解決したの?

これは、筆者自身が実際に体験したことなのですが、単刀直入に言って解決したとは言えません。

生徒たちから多くのことを相談され、不満を言われ、ときには涙を流す姿を見て、自分の無力さに打ちのめされました。

一緒に部活動顧問をしている先輩教諭に、筆者なりの意見や生徒たちが、今どのような想いを持っているのかを伝えましたが、話を聞くだけ聞いて取り合ってはもらえませんでした。

管理職にも相談しましたが、その時の筆者の立場は臨時講師。

周りの先生方も、先生としての経験年数の長い教諭を守るような姿勢だったのが思い出されます。

今思い起こせば、筆者も生意気なことを言っていたとは思いますが、生徒たちのために動こうという姿勢を持っていたことは理解してもらいたかったと、未だに感じています。

兎にも角にも、生徒たちのために、部活動顧問が二人以上いる場合はしっかりと意思疎通を行い、共通認識を持っておくことが大切です。

自分の希望した勤務先になる可能性が低く、転勤先が分かるのが遅い

教員採用試験を突破した教諭であっても、臨時講師であっても、自分の希望した地域で勤務できる可能性があまり高くないというのは、先生方の悩みの一つでしょう。

この勤務先の希望もほとんど年功序列型となっているようで、経験の浅い若年層の先生方はただ希望を取られるだけと言っても過言ではないようです。

また、転勤先の辞令が出るのが3月近くと遅く、育児をしながら働いている先生にとっては、引越しや保育園を探す活動をしなければならない時間がほとんど取ることができないのが大きな悩みとなっています。

そんな時にどんな風に解決したの?

残念ながらこの悩みに関しては、実質的な解決は難しいです。

筆者の知っている先生方も、3月に入ってからのギリギリの時期に次の転勤先を知らされ、そこから住居を探し始め引越し、4月からの勤務に無理やり間に合わせるという形でやってきているようです。

教育委員会の辞令の出し方が変わってくれることを祈る他ありません。

経験のない部活動の顧問をすることになる

中学校で部活動顧問を持つことになると、自分のやったことのない競技についての部活を持たせられることがほとんどです。

全く知識がなく、ルールすらもわからない世界に飛び込んで、さらに生徒に技術指導を行わなければならないのは、負担が大きいものです。

大会や練習試合のときなどは、監督として席についているのに何も指導できない自分にやきもきすることが多かったです。

そんな時にどんな風に解決したの?

まずは、その競技についての知識を得るためにルールブックを読んだり、生徒に聞いたりしました。

また、生徒と一緒に活動することで、競技のルールを知ることができると同時に、生徒たちとの距離を縮めることにも繋がります。

分からないことばかりの世界に飛び込んで行くのは、最初は自身がないかもしれませんが、気付いたときにはその競技について詳しくなっていたり、興味を持ったり、新しい世界が開けるかもしれませんよ。

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悩むこともあるけど…中学校教師のやりがいとは?

上記の通り、中学校教員として働いていると、たくさんの悩みに直面します。

しかし、実際に働いてみなければ感じることのできないやりがいに溢れています。

ここでは、筆者自身も感じていた4つのやりがいについて紹介します。

生徒との日々の関わり合い

どんなに疲れたり悩んでいたりしたとしても、毎日の生徒たちとの関わり合いは全てが帳消しになってしまうほどに楽しいものです。

教員という責任ある立場にあるがゆえ、自分の発した言葉や行動によって、生徒たちに大きな影響を与えてしまうかもしれないと考えてしまうものですが、生徒たちと一緒に話したり遊んだりふざけ合ったりしていると、まるで自分も中学生に戻ったのではないかと感じるほど、童心に帰って自然体になれることがあります。

授業中や業間休み、部活動など生徒たちと関わる時間が教員にとっては最もやりがいを感じる瞬間です。

目標に向かって生徒と一緒に進むこと

中学生としての最終的な目標は、自分の希望している進路に進むことです。

しかし、毎日が成長の中学生たちにとっては大きなゴールを決める前の小さなゴールもたくさんあります。

中学校教員としての仕事は生徒たちの成長をサポートしたり、道を示したりなど、「教え導く」ということも大切です。

一方で、生徒たちと一緒になって小さな目標に向かって努力することがとても重要です。

生徒たちと一緒の目線に立つことで見えてくることが多くありますし、信頼関係を深めることもできます。

生徒たちの成長

中学校教員として働くと、生徒たちの成長をとても如実に感じることができます。

新学期が始まったばかりの4月から年度末の3月までの間に身長もぐんと伸びますし、精神的な面での強さも備わってくるものです。

生徒たちの成長は、1日と言えません。

昨日できなかっことが、今日はできるようになるかもしれませんし、そのできるようになったきっかけが教員としての自分の声かけとなることもあります。

さらに長い目で見ると、中学校1年生の頃はまるで小学生のようだった生徒たちも、最高学年として卒業することになると、まるで人が変わったかのような大きな変化を遂げます。

生徒たちの成長は、中学校を卒業した後もずっと続いて行きます。

卒業後の進路で生徒たちが活躍している様子を見られるのも、教員が感じることのできるやりがいの一つと言えるでしょう。

筆者自身も、卒業生が甲子園で力を尽くしている姿を見て、嬉しくなると同時に当時のことが思い出され、中学校教員として勤務していたことにやりがいを感じることができました。

「中学生」という難しさ

中学生という期間は、長い人生の中でたったの3年間しかありません。

しかし、その3年間の中で多くのことに影響を受け、感じ取り、自分なりの考え方を持つようになり、葛藤しながらも成長して行きます。

中学生独自の多感さから、多くの生徒が思い悩むことがたくさんあります。

そんな生徒たちを相手に様々なことを教え導いて行く中学校教員という仕事は、正直とても大変です。

何の気無しの言葉や行動で、生徒の心を傷つけてしまったりすることもあります。

しかし、その難しさがある分、生徒たちと心を通わせることができたり、一緒に何かをやり遂げられたときは、最高に幸せなものなのです。

まとめ

中学校教員は、人様の大切なお子様をお預かりして、その成長を見守りながらも教え導いていく責任ある立場です。

大変なことや難しいことも数え切れないほどある仕事ゆえに、悩みも尽きません。

実際に働いてみると、マイナス面が感じられなくなるほどのやりがいを感じることがあります。

何より、たったの3年間という短い期間の中で大きな成長を遂げていく生徒たちをそばで見られるのは幸せなことですし、生徒たちと関わることができるというのは尊いことです。

働き方や多忙さから、ニュースで取り上げられがちな中学校教員としての仕事ですが、もし興味があるのならば、あなたの情熱を生徒たちに伝えてみませんか。