2018年現在、離職率トップ3の職種には必ず教師などの教育業界が入っているそうです。

私たちが子どものころには担任の先生はとても楽しそうに見えたものです。

何がそんなに変わったのでしょうか?

それとも大人の世界を知らない子どもの気楽さからそう見えただけなんでしょうか?

ここでは小学校を例にとって、教師を辞めたくなる原因とその乗り越え方について考えていきます。

小学校教師を辞めたいと感じてしまう5個の原因とその乗り越え方とは?

辞めたい理由が様々なのは当然です。

大っぴらに言えないこともあるかと思います。

それらの声を集めてみると、小学校教師を辞めたい原因は大きく分けて以下の5つと考えられそうです。

指導することが多岐に広がりすぎて対応できない。

小学校教師は母親であり、父親であり、師匠であり、ガキ大将でなければならない

小学校の場合、6年生といえどもまだまだ子どもです。

1年生に至ってはトイレの使い方から教える必要があります。

小学校教師はそんな多種多様な子どもたちをひとつにまとめていくのですから、身のまわりのお世話をする母親であり、厳しくしつける父親であり、学問を教える師匠であり、遊びの中ではガキ大将になる必要があります。

いくつもの役目を毎日一人でこなしていくわけですから負担は大きいです。

指導することがどんどん増えていく

小・中学校には「指導要領」という教える内容を全国で統一した決まりごとがあります。

その「指導要領」が何年かごとに改訂されるのですが、その都度教える範囲が変わり、内容も増えてきています。

様々なメディアでよく取り上げられていますが、2018年から順次実施されていく改訂では「3年生からの英語教育」「道徳の教科化」「プログラミング教育」などが追加されています。

学校現場では「専門知識がないから難しい!」「今でも手一杯なのにもっとやることが増えるの?」といった悲鳴が広がっています。

その乗り越え方とは?

長期計画でメリハリをつけて、得意なことから始めてみましょう。

そんな多岐にわたる指導内容をこなしていくのは、一度に全部は無理だと割り切ることも大切です。

もちろん全てを同時進行でこなしていける人はそれが望ましいですが、そもそもそんな人は教師を辞めたいとは思わないでしょう。

長期計画を立てて「しばらくはこの指導だけを重点的に充実させよう」「軌道に乗ったら次はこの内容に力を入れよう」といった風にメリハリをつけて長い目で取り組んでいくと随分と気が楽になります。

まずは得意なこと、できそうなことから始めましょう。

そのうちに、他のこともいつの間にかこなせるようになっていた、ということもあります。

得意でない分野は「子どもが困らない程度に指導しておく」と考えておくといいと思います。

指導が通りにくい時代。

指導?パワハラ?

「子どもへの指導がうまく通らなくなってきている」というのも教師を辞めたい理由としてよく挙げられます。

昔は「愛の鞭」という都合のいい言葉があって、どんなに厳しくしても子どもたちはついてきたし、保護者からのクレームもありませんでした。

しかし今はあまり厳しくすると「パワハラ」だったり「指導の行き過ぎ」という言葉が飛び交います。

教師は腫れ物に触るようにして子どもたちを指導するしかないのです。

子どもたちもそれをよく知っていますので、教師が必要以上に強く言ってこないと分かっています。

子どもたちが担任の言うことに耳を貸さないようになって、崩壊が始まっている学級は少なくありません。

多分ほとんどの教師は、そんな子どもたちに失望しているのではなく、指導力のない自分を責めて「教師を辞めたい」と考えるのです。

まじめな人ほどそう考えます。

そして教師にはまじめな人が多いです。

その乗り越え方とは?

保護者を味方につけましょう。

まずは保護者とうまくつながりましょう。

保護者の理解が得られれば、子どもへの指導も通りやすくなります。

「自分はこんなことを大切にしている」「こんなときには厳しく指導します」といったことを保護者や子どもたちに高らかに宣言しておきましょう。

保護者にきちんと伝わっていれば、何かあっても「それは先生の言うとおりだ」と味方になってくれます。

やることが多すぎる!

トイレに行けない!

小学校の教師の一日は、まさに「走り回っている」という表現がぴったりです。

「教師は授業が終わるたびに休み時間があっていいじゃないか」と言う人がいますが、教師にとっての休み時間はゆったりと休憩しながら過ごす時間ではなく、次の授業の準備をする時間です。

ほとんどの学校が10分ほどの休み時間を設定していますが、授業の準備は10分では足りないことが多いです。

そのため「トイレに行く時間もない」というのが現状です。

昼休みっていつ?

大学を卒業してそのまま教師として学校に赴任した人たちは、民間企業の「昼休み」の様子を見て驚きます。

12時になって「今日は何食べる?どこで食べる?」「昼休みには近くのジムで筋力トレーニングをするのが日課です。」なんて会話を聞くと「え?昼休みってそんな自由な時間なの?」と思ってしまいます。

教師にとっての昼休みは学級事務のかき入れ時なのです。

宿題のチェックやテストの採点、連絡帳に目を通して保護者に連絡を取る、配布用のプリントや教材を作る等、とにかく大忙しです。

「先生、○○ちゃんがまだ給食片付けていません!」「先生、けんかです!」といったトラブルも頻発する時間帯でもあります。

昼休みにゆっくり休んでいるという小学校教師はあまり見たことがありません。

その乗り越え方とは?

過去の資産を活用しましょう。

時間は限られているので効率よく短時間で片付けていくしかありません。

紙媒体を使う作業はうまく工夫すると短時間で片付けられることがあります。

「過去の資料を日付を変えて使う」「パソコンに保存している教材をそのまま使う」などの方法があります。

多少の違いはあっても修正液を使えば最新の資料に変えることができますし、パソコンのデータならもっと簡単です。

先輩教師から資料や教材をもらっておいたり、インターネット上の教材を探して使うなどして効率化しましょう。

ブラックな労働環境。

早く帰れって言われても…

働き方改革が学校現場にも浸透してきています。

校長や教頭などの管理職から「勤務終了時間になったらすぐ帰るように」という指導がありますが「早く帰りたいのは山々だけれど、やらなければならないことがいっぱいで帰れない…」というのが教師の正直な気持ちです。

朝は勤務開始の1時間前にはほとんどの教師が職員室にそろっています。

夕方(夜?)最後に帰る職員は10時前後。

教師は「ブラックな企業」と指摘されている会社の様に、残業がとても多い職業です。

部活孤児と行事孤児

小学校で部活動の指導をしている教師は、土・日に対外試合が入ります。

同じ日に家庭のイベントが入っていても、部活動の方を優先せざるを得ません。

「部活孤児」になる教師の子どもは多いです。

「行事孤児」になる子もいます。

小学校にはいろんな行事がありますが、そのほとんどが同じ日なので、我が子の大切な学校行事に参加できなくなるのです。

例えば、自分の子の入学式、運動会、卒業式に行ったことがない教師は多いです。

かわいそうですが教師の子どもは「行事孤児」になりがちです。

その乗り越え方とは?

朝の時間帯や隙間時間を上手に使いましょう。

ブラックな労働環境をどうにかするのは個人では難しいですが、時間の使い方を工夫することはできます。

家庭で過ごす時間をもっと作りたいのであれば、朝の時間帯をうまく使うという方法があります。

今まで放課後にやっていたことのいくつかを、始業前に持ってくることはできませんか?

それだけでも帰る時間をちょっと早くできます。

また、隙間時間をうまく使うことを考えてみましょう。

給食の準備の時間、掃除が終わった後の5分間や、朝の会や帰りの会の合間など、隙間時間に一つでも仕事を終わらせておくと放課後の仕事が一つ減ります。

その分早く帰れるようになります。

「仕事が速い人」「帰るのが早い人」は、この隙間時間の使い方が上手だと言われています。

責任の重さにつぶされそうになる

子どもへの責任

教師の子どもへの責任は重いです。

ある程度の学力はつけないといけないし、礼儀作法を大切にする態度も育ててやりたい。

体を動かして体力をつけてほしいし、自立した人にもなってほしい。

だからといって学校に行くのが苦痛になるようではいけないしと様々な点での指導のバランスを考える必要があります。

しかし子どもたちの現実を見ていると、できていないことばかりが見えてしまいます。

「自分のやり方が間違っているのか?」「もっと出来るのではないか?」と、学級担任は試行錯誤しながら自問自答を繰り返します。

そんな責任の重さにつぶされそうになる教師は多いです。

自分を追いこみすぎて、鬱状態になる教師もいることは事実です。

保護者への責任

保護者は学校への期待の大きさから、たくさんの要求をしてくることがあります。

的を得ている内容が多いのですが、時には学校では対処できないことまで求めてくることもあります。

そんな時教師は保護者への説明で神経をすり減らすことになります。

モンスターペアレントと呼ばれる保護者への対応も難しいです。

学校は裁判所や警察とは違うので「理論的に一刀両断」という方法はとれません。

説得と妥協案を示しながら、子どものための最善の解決策を探らないといけません。

言葉をよく選びながらの話し合いになるので時間もかかります。

そんな保護者への責任感に押しつぶされそうになる教師は多いです。

その乗り越え方とは?

得意なことで輝きましょう。

まず自分には「出来ること」と「出来ないこと」があるということを認めましょう。

自分で一度認めてしまうとすっと心が楽になります。

そんなことを認めてしまうと、自分が能力の低い教師であるように感じるかもしれませんが、実は自信を持って全てを完璧にこなしている教師の方が圧倒的に少ないのです。

ほとんどの教師は自分の指導力の不足を嘆きながら、表だってはそれを感じさせないようにしているだけなのです。

「出来ないこと」を認めたら、次に「出来ること」を探しましょう。

今までの経験や趣味でも良いのです。

やってみたいことだけでも十分です。

そしてその「出来ること」を使って子どもたちや保護者に何が返してあげられるかを考えましょう。

すぐには見つからなくても、時間をかけて探していけばきっと見つかります。

子どもや保護者への責任は、担げるようになるまでとりあえず隣に置いておいて、自分の得意なことで輝いてみましょう。

本当に辞めていいの?小学校教師を辞める前に考えたい3つのこと

辞めると決めたら、すぐにでも次のことを考えたくなりますが、その前にちょっと深呼吸して落ち着きましょう。

そして、以下の3つについて考えてみましょう。

子どもたちの顔を思い浮かべてみましょう。

子どものせいではないのだけれど

年度末の退職だったら影響は最小限で済みますが、年度途中で教師を辞めるということになれば、子どもたちにとっては大きなショックです。

自分たちの近くにいた先生がいなくなるのですから。

ひょっとしたら子どもたちは「自分たちのせいで先生が辞める?」と思ってしまうかもしれません。

本当にあなたでなくても大丈夫?

気になる子どもはいませんか?

その子はあなた以外の担任でも大丈夫ですか?

あなたしか分からないその子とのつながりはありませんか?

あなたが辞めた次の日から、別の担任がその子と接することになります。

本当にあなたでなくて大丈夫ですか?

教師の生活は保障がしっかりしていたことを考えましょう。

教師の生活は保障がしっかりしています。

福利厚生、年金や医療保険などの保障が辞めた途端に無くなります。

医療保険が変わります

退職とともに健康保険の所属先が変わります。

再就職する場合

新しい勤務先が健康保険の適用事業所になっている場合は健康保険に加入し、その被保険者になります。

再就職しない場合

共済組合の任意継続組合員(最長2年間)になるか国民健康保険に加入し、その被保険者になることになります。

国民健康保険に加入する場合、前年度の収入が基準になりますので、信じられないくらいの金額の請求が来ます。

60才までは年金を払い続けなければいけない

今までノータッチだった年金の払い込みを、自分でしなければならなくなります。

それが60歳までは続くというのですから、結構な金額が必要になります。

次の職業で収入が保証されていれば問題ないですが、全く収入がなくなるということになったらちょっと大変です。

教師の再就職は意外と難しい。

教師を辞めてもその経験を生かした何らかの仕事ができればうれしいですよね。

ところが、退職した教師の再就職は容易ではないことを知っておきましょう。

何か特別なスキルや資格があれば別ですが、再就職先はかなり限られてくると思っておきましょう。

教師の転職方法は、こちらの記事を参考に!

まとめ

「とりあえず教師を辞める」というのは少々危険です。

というのは「教師は退職後痴呆症にかかりやすい」というデータもあります。

長年多大なストレスと闘い、前頭葉を最大限に駆使してきたことで、辞めたとたんにがっくり反動が来る人も多いのだそうです。(特に管理職に多いとか。)

やむにやまれぬ理由で教師を辞めることはあると思いますから、辞めた後の見通しは何かしら持っておくことをお奨めします。

教師はやりがいのある職業です。

そのやりがいに匹敵する何かがまだないのであれば、もう少しだけ踏みとどまっておいた方が良いのかもしれません。


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