小学校の教師は学級担任として、自分の学級の子どもたちを中心として学習指導や生活指導を行います。

休み時間には一緒に遊んだり、おしゃべりを楽しんだりするなど、子どもたちと共に1日を過ごします。

忙しさや責任の重さ、授業指導の大変さなど、多くのことに目が行きがちな小学校教師としての仕事ですが、楽しい点もたくさんあります。

ここでは、小学校教師になるにはどのような手順を踏めば良いのかについて触れながら、筆者自身が実際に小学校で働いていた際にであった先生、小学校教師として働く際に大切なことを紹介していきます。

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小学校の教師になるには?

小学校教員になるためには教育学部のある大学に入学し、小学校教諭になるための課程を経ることで卒業と同時に小学校教諭免許状を得ることができます。

大学4年生のときに希望している都道府県や市の教員採用試験を受け、それに合格することで正規職員である小学校教諭になることができます。

仮に合格できなかったとしても話をもらうことができれば、臨時講師という形で小学校の先生になることができます。

この場合は短いですが、次の年度の教員採用試験まで経験を積むことになります。

小学校教師になるために勉強しておくべきこと

小学校教諭で大切なことは、授業の教え方はもちろん、様々なことに対して子どもたちの興味を引き出せるように、自分自身の知識の幅を広げておくことです。

授業の教え方

教員免許状を得るためには教育実習を経験する必要があるのですが、その過程で必ず授業をすることになります。

授業の指導方法は「これだ!」という的確な正解があるわけではなく、子どもたちの様子に合わせて常に変化させていかなければなりません。

そのための教材研究はもちろん、紙板書を作成したり発問の方法を工夫する必要があります。

子どもたちの興味を引き起こすには、授業の導入が大切です。

実際に教員として働き、実践を経て身につけることもできますが、学生のうちからも紙板書の作り方の練習や既存の教科書を使っての授業の組み立て方を考えてみるなどの練習はできるので、やっておくと良いでしょう。

あらかじめの勉強はもちろん大切ですが、教員として働いてから気づくことも数多くあるので、日々勉強することがあるという心持ちでいることが大切です。

知識の幅を広げる

小学生の子どもたちと関わるにあたって、教員は様々な知識を身につけておくと良いでしょう。

勉強に関係することはもちろん、子どもたちが興味を持っている情報も気にかけてみることが大切です。

小学校教員として勤務すると、学級担任として自分のクラスを持つことになります。

勉強を教えるだけではなく、生活面での指導をしたり、休み時間には一緒に遊んだりすることもあります。

そのように、1日のほとんどの時間を子どもたちと一緒に過ごす中で、教員があまりにも偏った狭い知識しか持っていないと、子どもたちにとって教員がとっつきにくい存在になってしまうかもしれません。

知識の幅を広げることで、教員としての自分の視野を広げることもでき、子どもたちと関わる際のきっかけともなり得ます。

持っておくべき資格とは?

小学校教諭第一種免許状、または小学校教諭第二種免許状が必須です。

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小学校教師の就職先や募集状況は?

昨今は教員採用試験の倍率も受験する都道府県によって様々です。

小学校教師の主な就職先

小学校教員の就職先はもちろん小学校ですが、一口に小学校と言っても大きく3つの種類に分かれています。

ここでは、公立・私立・附属という3つのくくりで紹介します。

各地域における公立小学校

教員採用試験を突破することによって、公立の小学校に勤務することができるようになります。

自分で「〇〇小学校で働きたい」と申請するのではなく、教育委員会から希望勤務地に沿った場所で勤務校を決められるというようになっています。

その希望に沿った勤務地になるかは確実なものではないので、ある程度希望が通らないかもしれないという覚悟はしておいた方が良いでしょう。

私立小学校

公立の小学校は毎年実施される教員採用試験に合格することによって、各学校に教育委員会から配属が決められるものとなっています。

それに対して私立の場合は、欠員が出た場合にその都度職員の募集を行っています。

大学の附属小学校

小学校の中には、各大学の教育学部の附属小学校となっている場合もあります。

国立や県立の大学の附属小学校の場合は、公立小学校で勤務している先生の中から選出されます。

つまり、各大学の附属小学校の教員として勤務したい場合も、各都道府県ごとの教員採用試験を突破する必要があるのです。

一方で、私立大学の附属小学校の場合はその学校ごとの募集がされていますので、一定の私立小学校で働きたいという思いがあるのならば、ホームページの職員募集欄をまめにチェックしたり、募集はないのかを直接問い合わせてみると良いでしょう。

小学校教師の働き口はどの程度あるの?

小学校教員は、教員採用試験に合格することによって、各都道府県や市によってその年度ごとに決められた人数が採用されることになっています。

正規職員である教諭として働きたい場合は全国平均約4.6倍の試験を突破する必要があります。

希望する都道府県によっては倍率が2倍であったり、7倍であったりと差はあります。

首都圏では教員の数が足りていないため、倍率は低めになっていますが、一方地方では高倍率である場合が多いです。

少し前までは狭き門とされていた教員採用試験ですが、昨今では少しずつその倍率も下がってきています。

正規職員にこだわらず、臨時講師として勤務する教員もいます。

こちらは決められた期間しか働くことはできませんが、待遇は教諭のものとほとんど一緒です。

講師登録をしておくことで、教育委員会から声がかかりますので、小学校教員を臨時講師という形で働くこともできます。

正規職員か、そうではないかの違いはありますが、希望することで小学校教員としての働き口は予想以上にあります。

小学校教師の平均給与はどれくらい?

各都道府県ごとに多少異なりますが、初任給で基本給と様々な手当を含めて総支給額が24万円ほどです。

年功序列式の給与体系となっているので、年齢やキャリアを重ねるごとに昇給していきます。

また、正規職員である教諭か、非正規職員である臨時講師かにもより、もらえる給与やボーナスにも多少の差はあります。

小学校教師の将来性

小学校教員をはじめとして、教員という仕事はその責任の重さゆえに精神的な重荷を感じてしまうことが多く、退職に繋がってしまうケースが多い職業です。

子どもたちと汗を流しながら一緒に遊んだり、一生懸命学習指導をしたりと、体力的にも精神的にもハードな小学校教員としての生活ですが、ほとんどの先生が、体調を崩されない限りは定年退職まで勤め上げることが多いです。

小学校教員としての将来性は、学校内での役職に限られてしまうことが多いので、ここでは2つの道について紹介します。

校長や副校長などの管理職

小学校教員として長年勤務していくことで、一定の年数以上教員としての経験を積むと、管理職になるための試験を受けるかどうかを決めることになります。

この試験は一回しか受けられないわけではないので、一度失敗したとしてもなんども受けることができます。

教員として子どもたちを導いてきた先生が、次は学校を経営する立場として、子どもたちのお手本になることはもちろん、地域との連携、学校としてのあり方を今一度考え直したり、教員たちの労働環境を整えることが必要になるなど、管理職独特の仕事が始まります。

校長や副校長になると、ほとんどの場合は授業をすることがなくなるので、必然的に子どもたちと接する時間は減ってしまいます。

しかし、教員として歩んできた経験を次代の教員たちに託し、その教員たちを支えるという意味でもとても意味のあるものになると言って良いでしょう。

管理職は学校を経営するという大きな役割を担うことになるため、一般の教員よりもさらに大きな責任を担うことになります。

しかし、その大変さの一方で校長の人となりがその学校独自のカラーとなり、また新たな学校のあり方を作り上げていくものです。

筆者自身、様々な校長先生と仕事をご一緒させていただきましたが、教員として、人として、とても素晴らしい人ばかりでした。

最後まで最前線、一教諭としての道

教員として最も大切にしたいこと。

それは人によりけりかもしれませんが、多くの人が大切に感じていることは子どもたちと過ごす時間です。

管理職という道を進む人も多いですが、定年退職を迎える年まで、学級担任として勤め上げる先生もいます。

管理職として、学級というくくりよりもはるかに大きな学校という存在を動かしていくという責任も計り知れませんが、将来を担う子どもたちを育てるということもとても責任が伴います。

言動、行動、立ち振る舞いの一つ一つが子どもたちに影響を与える教員という仕事を、最後までやり抜くという芯の強さが必要ですし、何よりも教員という仕事に対して誇りを持っていなければできないことでしょう。

経験者が語る!できる小学校教師はこんな人

小学校教員は、自分一人で学習指導から体育などの実技教科の指導、そして生活指導までもをこなしているスーパーマンのような存在です。

子どもたちを指導していくだけでも骨の折れる仕事ですが、そんな中でも能力の長けた先生はいます。

ここでは、筆者自身が出会った、仕事のできる先生について紹介します。

子どもたちの変化を敏感に察知できる

子どもたちは毎日成長していく中で、その日ごとに表情や行動に変化があります。

小学校教員に限らず、教員という仕事はたくさんの子どもたちと接するにあたり、どのような小さな変化であっても見逃してはならないものです。

いじめのSOSサインなのかもしれませんし、体調不良などで、偶然その日だけ元気がないだけなのかもしれません。

しかし、どのような場合であれ、子どもたちの一挙一動にはアンテナを高くしておく必要があるのです。

いつもと違うと感じたら、すぐに声をかけることが大切です。

そうすることで子どもたちにとっても、先生は自分のことをよく見てくれているのだという安心感を持つことができますし、何かあったとしても早期発見につながります。

筆者自身が出会ったできる教員は、いつでも子どもたちの側にいました。

どのようなときでも子どもたちから目を離さず、見守り、声をかけていました。

その先生の学級はいじめもなく、お互いを褒め合う温かい学級に成長していきました。

また、できる教員は子どもたちのマイナス面だけではなく、プラス面や、なんて事のない日常生活の過ごし方にもすぐ気付くことができます。

「髪型を変えたね。」「〇〇が食べられるようになったね。」など、褒めたり会話のきっかけになるような気付きがたくさんあります。

このような先生は、やはり子どもたちからの信頼が厚く、子どもたちも教員も、みんなが笑顔で学校生活を送っていました。

同僚を思いやることができる

教員に限ったことではありませんが、同じ職で働く同僚を気にかけられる人は、子どもたちだけでなく、周りの教員からも信頼されていました。

子どもたちを指導する立場にある教員も、職員室の中では想像以上に複雑な人間関係に悩まされているものです。

子どもたちのお手本となるべき教員ですが、中には嫌がらせをしてくる教員もいるほどです。

そのような意地の悪い教員に対して、仕事のできる人は職員室内の雰囲気を明るくしてくれます。

一緒に働いていて、頑張ろうという気持ちにさせてくれるのです。

人に優しくできる人ほど心労もあるものですが、それを感じさせないほどの心の強さをもっており、そしていい意味で鈍感でした。

また、優しくするだけではなく、良くないことは良くないとしっかりと伝えてくれる愛情も併せ持っており、周りの教員からも一目置かれることが多かったです。

子どもたちのより良い成長のためには、指導する教員たちの心の豊かさや思いやりの心、そしてある程度の余裕が大切です。

教員たちの精神面での安定のために、できる先生は思いやりの心を忘れずに過ごしています。

時間の使い方がうまい

小学校教員としての仕事は、毎日が時間との戦いです。

子どもたちの様子を良く見ながら授業の準備をし、提出物の確認、保護者の方々への連絡事項の確認、評価などを一気に並行して行います。

子どもたちにできる仕事は係活動の一環として、子どもたちから手伝ってもらうこともありますが、ほとんどの仕事を一人でこなします。

できる先生は時間の使い方がうまく、子どもたちが帰るギリギリまでチェックをしているということがほとんどありません。

同じ時間を過ごしているはずなのに、残っている仕事の量が違うのです。

筆者自身も時間の使い方は上手くなく、その先生にどのように過ごしているのかを聞いてみましたが、「メリハリをつけているだけ」とのことでした。

なるほど…という印象でしたが、そのメリハリのつけ方が難しいものです。

経験を積めば、次第と身に付くそうなので、地道な頑張りが必要です。

学級通信を頻繁に作成している

学級通信は、子どもたちに楽しく読んでもらうだけではなく、日々どのようなことが起こっているのかを知っていただくための、大切な手段の一つです。

学級通信の作成には時間がかかりますが、できる先生はほぼ毎日、多い日は何枚も作成していました。

毎日配布されるお便りに、子どもたちは「えー、またー?」とか「毎日配られるの?」と文句を言っていましたが、段々とその内容が楽しみになっていくことが多かったです。

保護者の方々にとっても、学級の雰囲気や、自分の子ども以外の話題、普段知る事のできないような学級の様子を知ることができる大切な機会となり得ます。

毎日配布するたった一枚のお便りですが、このコツコツとした積み重ねが子どもたちだけではなく、保護者の方々からの信頼を獲得するための道のりとなるのです。

実際に小学校で働いてみると、圧倒されるのがその仕事量と忙しさ。

その忙しさの中で、学級通信を毎日配布するのは難しいことですが、実際にこなされている先生をたくさん見てきました。

きっと、上記の「時間の使い方がうまい」先生方のなせる業なのでしょう。

アイディアが豊富

小学校には運動会や学習発表会など、子どもたちの表現力を活かした行事がたくさんあります。

それらの行事の中で基盤となるのが、教員陣のアイディアを出す力です。

何をするのか、どのような動きをつけるか、衣装、必要なもの、練習するための手立てなど、下準備が山ほどあります。

できる先生はアイディアが豊富で、企画力があります。

さらに凄いポイントとしては、自分の考えたものを基盤として、子どもたちのアイディアをさらに引き出し、子どもたちの想像力をかき立てるパワーが飛び抜けています。

子どもたちのアイディアを実際の発表に生かすことにより、教員が全て考えたものではなくなるので、子どもたちも自然とやる気になり、より良い形で練習から本番までを迎えることができるのです。

また、大きな学校行事だけでなく、毎日の授業にもこのアイディアの豊富さは生かされます。

どのように発問すれば子どもたちの答えが返ってくるか、理解を深めるためには何をするべきか…など、子どもたちの成長の手助けになることに間違いはありません。

子どもたちの成長はもちろん、周りの教員にとってもとても助かる存在でした。

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小学校教員として働く上で大切にしたいこと

小学校教員として大切なことは一人一人違うかもしれませんが、筆者自身が実際に感じたことや、先輩教員たちからアドバイスをもらったことについて紹介します。

子どもたちの思い

小学校教員として子どもたちを導くという仕事は、やりがいや楽しさを感じる反面、時にはその責任の大きさに押しつぶされてしまいそうになることもあります。

子どもたちを立派に育て上げなければならないという教員の思いが強すぎて、子どもたちの気持ちを汲み取って活かすということを忘れてしまいがちです。

しかし、子どもたちにとって成長の一番の肥料は「やる気」です。

子どもたちのやる気は大人や教員など、周りの人から与えられるのではなく、自分の心の中から生まれてくるものです。

教員は、子どもたちのその思いを大切にし、彼らの成長に生かすことが大切なのです。

教員による押し付けがましい指導では、子どもたちの自発性は育ちません。

特に小学生の子どもたちは発想力が豊かな分、今しか考えることのできないようなアイディアや思いを発揮させてあげるような機会が大切なのです。

子どもたちにとって、自分自身の考えや行動を実際に生かすことのできる機会は、とても貴重なものです。

それが成功したか失敗したかにかかわらず、教員は子どもたちのうちに秘められている思いを汲み取ってあげることが重要です。

自分の軸

教員として働くにあたって大切にしたいことの一つに、「自分」としての軸をしっかりと持っておくことが挙げられます。

子どもたちと一緒に過ごすにあたって、自分自身の大切にしたいことや自分なりのこだわりの部分を持っておくことが大切です。

教員はその多忙さで、休日も学校に行って仕事をする人が多くいます。

しかし、小学校には部活動がないことがほとんどなので、休日は必ず学校に行かなければならないと言うわけではありません。

休日と平日のオンとオフをしっかりと分けることで体にも心にも余裕が生まれ、子どもたちと接する際にも良い影響があります。

また、休日に自分の趣味の時間を取ることでリフレッシュできると共に、子どもたちとの会話の話題作りをすることもできます。

子どもたちは基本的に先生自身の話を聞くことが好きです。

「先生はこんなことが好きなんだ」「先生はこんなことを知っているんだ」という気持ちが生まれ、先生と話すのが楽しいと感じてもらえるようにもなりますよ。

教員としての自分にとらわれすぎてしまうと、自分にとって大切にしたい軸を見失ってしまいます。

自分のためにも、楽しく働いていくためにも、自分の軸をしっかりと持ちましょう。

好奇心旺盛な姿勢

教員として働く上で重要なことが、どのようなことに対しても好奇心旺盛な気持ちを持って知ろうとしたり、関わっていこうという気持ちです。

授業をする際も子どもたちがどのような発問に対して興味を持つのか、また、休み時間はどのような遊びをしているのかを、積極的に理解しようという姿勢が求められます。

子どもたちのことを理解しようとするときに大切なのは、一緒に体を動かしたり、遊んだりするということです。

そっと見守るときも必要ですが、子どもたちと楽しみながら様々なことを体験していくことが大切なのです。

また、子どもたちがどのような話題について興味を持っているのかを知っておくと、子どもたちとの会話のきっかけにもなります。

学習指導をする際にも、子どもたちと関わっていく上で、先生自身が多くのことに対して好奇心旺盛な気持ちを持つことが大切です。

子どもたちはもともと好奇心旺盛なものですが、教員も一緒になって楽しみながらたくさんのことを知ろうとする姿を見て、もっと大きな成長を遂げることに繋がります。

まとめ

小学校教員になるためには、まずは教育学部のある大学に入学する必要があります。

教育学部以外でも教員免許状を取得することはできますが、免許を取るための授業は単位にならなかったり、他学部だと特定の免許状しか取ることができない可能性があります。

なので、小学校教員を目指している場合は、小学校教員養成課程のある大学を選ぶのが無難です。

小学校教員の仕事は大変なことが多いですが、子どもたちと一緒に過ごす日々は飽きませんし、毎日が思い出となります。

子どもたちを育てるにあたって大切にしたいことはたくさんありますが、自分の軸しっかりと持って、教員であることに対して誇りと責任を忘れなければ大丈夫です。

もし、小学校教員になりたいという気持ちがあるのならば、ぜひその思いを実現して見てください。

きっと尊敬できる先生に出会うことができますし、話で聞くよりももっと刺激的で楽しい生活が待っていますよ。