食品メーカーの転職理由には何がある?年収・人間関係・身体的な辛さなど。でもやっぱりやりがいはありますよね!
インターンシップなど、就職活動を控えた方々には企業研究のための機会が多くあります。
一生の内で唯一とも言える、非常に多くの企業に接することができる新卒の就職活動を、ぜひ有意義なものにしていただきたいです。
そのためには、しっかりとした企業研究と、自分がどんな仕事に向いているか、自分の性格や価値観を見つめ直すことが必要になります。
就職内定をもらうことが目的ではなく、入社後いかに情熱を持って楽しく仕事を続けることができるか、10年後、20年後の未来を見据えた活動が必要です。
真摯に自分自身と向き合いましょう。
さて、今回はその様な就職活動を控えている皆様向けに、食品卸業の仕事についてご紹介していきます。
食品に携わる仕事の中で特に卸売業とはどのような業界で、どのような仕事を行うのか、この仕事がどのような人に向いているのかなど、様々な角度から説明したいと思います。
目次
閉じる食品卸とはどんな仕事?
食品卸の仕事は、食品製造、食品小売の仕事を一括りに「流通業」と呼ばれる業界になります。
流通業とはその名の通り商品の生産から消費までの流れ全てに携わる業界のことであり、一般的に川の流れに例えられます。
川上の業界が「食品製造業」であり、原材料を調達して様々な加工食品を製造します。
農業や漁業などの一次産業も、この川上の中に含まれます。
そして、川下の業界が「食品小売業」であり、店舗を構えて消費者へ直接商品を販売していきます。
消費者は産地直送の食品など直接川上から買い付ける場合もありますが、一般的には食品小売業の店舗で商品を買い消費します。
このようにして生産と消費のサイクルが完成するわけですが、食品卸は川上の「食品製造業」と川下の「食品小売業」を繋ぐ役割を持つ業界として、商品の流れを円滑に保つ役割を担っています。
食品卸の大まかな仕事内容
食品卸の大まかな仕事内容として、「倉庫業」と「運送業」の二つの仕事があります。
倉庫業
商品を川上から川下へ円滑に流す場合、最も重要なのは、その商品の「需要」と「供給」のバランスを取るということです。
商品の価格は、市場原理により上下動を繰り返します。
例えば、消費者の「需要」が高いときに商品の「供給」が低いと、欲しがっている人は多いのにモノは少ないという状況になりますので、価格は上昇します。
逆に、「需要」が低いときに「供給」が高いと、モノが多いのに欲しがっている人が少ないという状況になりますので、価格は低下します。
価格が高いと消費者の生活に影響しますし、逆に低いと流通業に関わる企業全体の収益が悪くなります。
このように、価格は高くなりすぎても低くなりすぎても良くありません。
そのバランスを上手く取ることが重要です。
一般的に倉庫業は、郊外に大きな倉庫を持っています。
製造業より出荷された商品の在庫をストックし、小売業へ卸す物量を調整することでバランスを取っています。
倉庫業は在庫を持つ役割
製造業にとって商品を大量に生産することは原材料などを大量に仕入れて消費することができるため、価格を安くすることに繋がります。
また、小売業にとっても、そのように安い商品を多く仕入れれば仕入れるほど原価が安くなるため、利益を稼ぐことができます。
このように製造業、小売業の双方にとって「大量に製造し、大量に販売する」ことはメリットがあります。
しかし、消費者が消費をする量は一定、もしくは年々下がっているため、製造し仕入れることができても、消費者に全てを販売することができません。
食品であるため賞味期限があり、ある一定の期間を過ぎると廃棄しなければならず、売れ残った商品があると小売業に取ってロスとなってしまいます。
このような問題を解決するために、卸売業は大量に製造した食品製造業の商品を一括で引き受けます。
それを複数の小売業の店舗へ必要なときに必要なだけ分配し出荷することで、大量製造、大量販売におけるリスクを少なくし、安定的に安価な商品を供給する役割を担っています。
運送業
食品卸のもう一つの重要な仕事は、倉庫から小売業の各店舗へ商品を運ぶ「運送業」になります。
食品卸の運営する倉庫には、1社だけではなく多くの食品製造業から商品が搬入されます。
もし、食品卸がなかったとすると、食品小売が食品製造へ直接商品の発注をし、三つの会社から三つの商品を運ぶ場合は別々に3台のトラックが必要になります。
また、通常トラックは4トン〜10トンの積載量がありますが、例えば一つの商品を一括で10トン仕入れることは、どの小売業も販売する力はなく不可能でしょう。
そのため、10トンより少ない物量でトラックを送ることになり、効率が悪くなってしまいます。
食品卸における運送業は、各食品製造業から10トントラックに満載で運ばれてきた商品をストックします。
小売業の注文に応じて、1台のトラックにストックしておいた商品を小分けにして積み込むことで、運搬にかかるリスクを少なくしています。
分かりやすく言えば、同じ10トンでも、食品卸のトラックには1社の商品が10トン分入っているのではなく、10社の商品が1トンずつ入っている状態であるということです。
このような「集荷」と「分荷」が食品卸の運送業における主な役割になります。
食品卸が向いている人の3個の特徴とは?
体力のある人
製造業より運ばれてくる商品の検品と集荷、そして小売業に搬送する商品のピッキングによる分荷が主な仕事です。
商品を下ろしたり積み上げたりなど、体力を使うことが多くあります。
また、倉庫は郊外にあり、広大なスペースを持っていることが多いため、一日に歩く距離も長くなります。
まずは体が資本となり、体力のある人が向いている仕事ということができるでしょう。
自己抑制力のある人
食品卸の仕事は製造業ほど一つの職場単位で従事している人数が多くなく、小売業のように不特定多数のお客様と接しながら仕事を行うということはありません。
トラックのドライバーなどもそうですが、周囲の目がない場所で仕事をすることが多いため、仕事のやり方や段取りなど、自分自身で決めることになります。
人に言われないと仕事に身が入らないのではなく、常に一日の仕事に対して高い目標を持ち、自分を律しながら目標達成に向けて努力していくことが理想になります。
人に言われなくても自分に厳しくできる自己抑制力のある人には向いている仕事と言えるでしょう。
細かい判断のできる人
食品小売業にとって、商品の発注ロットは少ないほうが販売結果によるロスを抑えやすいため、メリットが高いです。
理想は1個単位での発注ができる状態になります。
そのような小売業のニーズに対応した場合、食品卸の行う分荷作業は非常に煩雑なものになります。
1個単位で細かい発注データを確認して商品を分荷し梱包して出荷するためには、それぞれの業務に対して細やかな判断力が求められます。
決して雑にならず、一つ一つの注文に対して丁寧に対応できる人は、食品卸の仕事に向いている人と言えます。
食品卸が向いていない人の2個の特徴とは?
大雑把な人
食品卸の仕事は肉体労働の側面もあるため、仕事自体も大雑把なイメージがあるかもしれません。
実際には小売業からの受注データを集計し、1個単位の発注にまで対応して商品を分荷する、きめ細かい対応が必要な仕事です。
あまり繊細な仕事をしたくない人には、向いていない仕事と言えます。
食べ物に興味がない人
食品卸で取り扱う食品は段ボールなどで梱包されており、それ自体では食品であるというイメージが付きにくいものです。
ただし、中身は食品であるため温度管理を徹底し、集荷や分荷の取り扱いには食中毒などの事故が起きないよう充分に注意する必要があります。
食べ物に興味がない人はそのようなときに取り扱いが雑になる可能性がありますので、向いていないと言うことができます。
常にその商品を消費するお客様の立場になり、業務を行うことが必要です。
食品卸の仕事経験は、その後どんな職種・仕事に活かせる?
食品製造業、食品小売業など他の流通業
食品を取り扱う業務として共通点のある流通業内の他の業界には、違和感なく移動することができます。
製造業のように商品を出荷する立場、小売業のように商品を入荷する立場のどちらに立っても、食品卸としての経験が充分に活かせるでしょう。
運輸業全般、通販事業
商品の集荷と分荷という業務が共通している運輸業全般にも、仕事経験を活かすことができると言えます。
郵政や宅配便などの業界のみならず、最近ではインターネットによる商品販売が大きく成長をしていることから、ネット通販などの業界でもその経験を活かして仕事をすることができます。
これから食品卸の仕事を始めるには、どうしたらいい?
ここまで読んでいただいて食品卸の仕事に興味を持たれた方に、食品卸の仕事に就職するためのいくつかの方法について紹介します。
新卒採用
食品卸業界も新卒採用を盛んに行っていますので、採用サイトやホームページなどにアクセスしてみましょう。
食品メーカーやスーパーマーケットと比較すると、知名度が低い企業もあります。
丁寧にサイトをチェックしながら、自分に合った会社を見つけてください。
中途採用
食品卸業界全体での中途採用者はあまり多くありません。
例えば、大型2種免許が必要など専門資格を必要とする求人などもあり、小売業や食品メーカーと比較して敷居が高いと言うこともできます。
お中元やお歳暮などの期間アルバイトは大量に採用しますので、まずはアルバイト形態で入社し、社内での存在感を強めながら正社員登用を目指すという手段もあります。
いずれにせよ正社員の人数としては流通業の中でも最も少ない業界ですので、入社するためにはある程度の努力が必要となってくるでしょう。
他の流通業界からの転職
先ほど説明したように、流通業を構成している食品製造、食品卸、食品小売の三つの業界は、食品を取り扱う仕事であるという他にも、商品自体の知識や商品の取り扱いの際の注意点、発注と受注、商品手配など、多くの点で共通項が多く、相互間の転職がしやすい業界であるということができます。
例えば、食品卸より多くの求人を出している食品小売や食品製造の仕事に一旦就職し、それぞれの企業で経験を積んでから食品卸に転職するという道もあります。
仕事を通じて各企業間の人脈も形成されます。
転職の際に能力や性格を把握されているため、採用試験などにも合格しやすくなります。
求人数が少なく直接の応募が難しい場合は、他の流通業界を経由したルートを考えてみても良いでしょう。
まとめ
食品卸の仕事は他の業界と比較してテレビCMやマスコミなどの露出度が低いため、仕事の内容を理解する機会が少ないです。
また、元々の募集人数も少ないため、就職活動における選択肢に入りづらい業界であるかもしれません。
しかし、主たる仕事である倉庫業と運送業を通じて、種類、物量共に多くの食品に触れることができますし、製造業や小売業など沢山の取引先と接することにより多様な人脈を作ることができる業界でもあります。
また、郊外の倉庫が職場であったり、トラックなどドライバーの仕事に携わったりなど、周りに人が少ない環境の中で自分のペースで集中して仕事をすることができます。
食品に関係する仕事に就職を希望しているが、小売業のように店舗で不特定多数のお客様に接したり、製造業のように流れ作業で同じ製造ラインの人に合わせながら製造を行ったりなど、周囲の人間関係に気を使うことが苦手な人には向いている仕事であると言えるでしょう。
食品卸は人が生活していく上で必要な「食」を安定的に、安価に提供することを使命としています。
消費者が豊かな食生活を送り、製造業や小売業が収益を確保し安定的に発展していくために、なくてはならない業界であると言うことができます。
食品に携わる仕事に就きたい方は、是非選択肢の一つに入れていただければと思います。
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