現代日本は急速に高齢化が進んでいます。

総務省統計局が発表した2018年9月現在の高齢者(65歳以上人口)は3557万人、高齢化率は28.1%となり、高齢者人口は増加の一途を辿っています。

高齢者の方が増えた事に伴い、介護施設も増え、福祉の仕事に就く人も多く存在するようになりました。

「福祉の仕事」と言われ、多くの人が連想するのは、身体支援等を生業とする「介護」の仕事です。

しかし、福祉の仕事の中でも身体支援を主とする仕事ではない職種がある事はご存知でしょうか?

今回はその中でも施設の顔となる「生活相談員」とはどんな仕事なのか、現役の生活相談員でもある私が、皆様にご紹介したいと思います。

生活相談員とはどんな仕事?

施設を利用される方やそのご家族の生活がより良いものとなるよう、生活上の困り事などを聞き、その解決を図る仕事になります。

その人その人で困り事の内容は異なり、置かれている生活環境も異なります。

生活相談員は相手の方と信頼関係を築きながら、その方が感じている困り事や悩み事をなるべく詳しく聞き取ります。

それを聞き取ったうえで、様々な人との連携やサービスの利用等ができるよう調整する事が仕事になります。

生活相談員の役割とは?

生活相談員は、様々な福祉の現場で配置義務があり、各職場で活躍しています。

職場によって担っている役割は大きく異なりますが、ここでは生活相談員と呼ばれる職種の人が共通して担っていると思われる事についてまとめていきます。

サービス利用を検討している方への相談対応

2000年に介護保険法が成立してから、福祉サービスを利用する際は、利用希望者が利用したい事業所を含め、選ぶ時代となりました。

利用希望者やその家族の方は、提供されるサービス内容やその利用料金等様々な事に疑問を持たれています。

それらの疑問に対して分かりやすく説明し、不安を解消できるように支援する事が、生活相談員の大きな役割と言えます。

介護サービスを利用する前に、見学をご希望される利用者の方や、そのご家族の方も近年増えてきています。

その対応等についても生活相談員が行います。

自事業所サービスの良い所・悪い所をご本人様・ご家族様にお伝えし、自事業所のサービスを選んでいただけるように働きかける事も大切になります。

サービス利用中の利用者やその家族の相談対応

介護サービスを利用し始めると、サービスを利用している利用者の方や、その家族の方はサービスに対して様々な事を感じるようになります。

介護サービスを利用する事で、利用開始前とは異なる希望が出現する事も珍しくありません。

生活相談員は、サービスを利用している利用者の方や、その家族の方の側に立って希望を聞かせて頂いた上で、解決ができるように周囲と調整を図っていけるよう援助していきます。

介護支援専門員(ケアマネジャー)との連絡調整

介護支援専門員(ケアマネジャー)と呼ばれる職種は、その希望を聞き取り、ケアプランを作成する業務を担っていますので、その方に情報提供を行う事も生活相談員の仕事となります。

特に自宅に住んでいる方の担当をされている介護支援専門員の方は、おおむね月に1回程度の訪問が義務付けられていますが、特別な事がなければそれ以上訪問する事はありません。

介護サービスの利用は週単位で組まれている事が多いため、生活相談員は介護支援専門員よりも多くサービス利用者の方にお会いする機会を持つ事ができます。

その方の変化に気付く機会も多く持てるため、変化があったらすぐに介護支援専門員に報告し、調整を依頼する事が大切な役割となります。

苦情対応

介護サービスを利用する中で、サービスを利用している利用者の方や、そのご家族の方が自事業所のサービス内容に不満を感じる事もあります。

苦情を受けた場合、生活相談員は、相手の方が何に不満を持ち、どのように改善してほしいのか、要望をなるべく詳しく聞き取る必要があります。

それを聞き取った結果、改善していく事が可能か否かを判断し、対応可能な要望であれば改善をしていくよう周囲の調整をはかっていきます。

サービスを利用している利用者の方や、そのご家族の方が不満を感じている内容が、自事業所で働く職員の対応である場合、生活相談員はその職員の対応を確認した上で指導する業務を担当する事もあります。

生活相談員の具体的な仕事内容とは?

具体的な業務

介護サービスの利用開始、終了手続き

2000年に法律の改正があり、介護サービス利用希望者の方は、自分で利用したいサービスを選ぶ事ができるようになりました。

それを利用するためには利用前に契約を結ぶ事が必要となります。

生活相談員は利用を希望する方が本当に自社のサービスを利用できる状態の方か確認・判断する役割を担います。

利用が可能と判断した利用者の方と契約を結び、サービスの利用ができるように支援していきます。

利用者及び家族の方からの相談対応

介護サービスを利用していく中で、サービスの内容に疑問がわいたり、困り事が出てくる事もあります。

そのような疑問や困り事を解決する役割は、生活相談員の業務となります。

相手の方が何に困り、どのような解決を望んでいるのか、話を聞かせて頂き、一緒に解決していくような姿勢が求められます。

他職種との連携調整

サービス利用者やその家族の困り事を解決するための支援は、生活相談員一人で行うのが難しい事も多いです。

困り事を解決し、利用者の方により良い生活を送って頂けるように、生活相談員はその方を取り巻く様々な人やモノ(社会資源)と繋がりが持てるよう調整します。

もちろん、施設の中にいるそれぞれの専門職とも連携をはかれるよう調整する事も生活相談員の仕事です。

仕事の流れ

サービス利用希望者との面談

利用者の家族やケアマネジャーなどから、自事業所のサービス利用希望者を紹介される事から支援が始まる事が多くあります。

生活相談員は、サービス利用希望者の紹介を受けた後、自宅などに出向いてその方の身体的な情報や、サービスの利用に対する意向などを聞き取ります。

面談の結果、サービスの利用が可能と判断された場合、利用者の方と契約を結び、サービスの利用開始に繋げていきます。

通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護(ショートステイ)など、自宅を生活の拠点にしながら受けるサービスは、担当のケアマネジャーにケアプランと呼ばれるプランを立ててもらい、サービス担当者会議の開催をした後から利用する事が一般的です。

サービス利用契約手続き

サービスを利用する前に、必ず契約を行います。

事業所のサービス内容を説明し、対価となる料金についても説明します。

契約を行う際には契約書と重要事項説明書と呼ばれる物を使用する事とされています。

規約内容は法律に基づいて作成されているため、一般の方にはなじみのない言葉も多くあります。

利用者やその家族の方に分かりやすく、丁寧に説明する能力が求められます。

疑問点があったらその点について説明する事も生活相談員の役割となります。

生活相談員の給料事情は?

厚生労働省が実施した、平成29年度介護従事者処遇状況等調査の結果によると、生活相談員の平均月額給与は205,910円とされています。

看護師や、理学療法士・作業療法士などの医療の専門職や、一定の経験を積まないと受験する事ができない介護支援専門員などと比較すると、生活相談員の年収は低めに設定されています。

国税庁が行った民間給与実態統計調査によると、正規雇用されている人の平均年収は487万円となっているため、他の職業と比べると年収が低いと言わざるを得ません。

しかし、福祉の仕事では給料だけで図る事ができないやりがいがあります。

生活相談員の仕事で良い面とは?

ここまで生活相談員の仕事内容や給与事情についてお伝えしましたが、どんな仕事でも良い面と悪い面があります。

ここでは実際に私が勤務する中で感じた、生活相談員の仕事の良い面をご紹介したいと思います。

色々な人と関わりを持つ事ができる

生活相談員は、仕事の性質上、様々な人と関わる事が必要となります。

施設の中で仕事をする他の職種とは異なり、外に出る事も多くあるため、様々な考えや価値観を持つ方と知り合う機会を持つ事ができます。

様々な人と関わる事で得る知識や経験は、自分自身の成長に繋がっていきます。

また、生活相談員は施設の中で必要な配置人数が少ない関係上、孤立してしまう事も少なくありません。

そんな時、自事業所の仲間がいる事で、自分自身の不安感を和らげる事ができると言えるでしょう。

勤務日時が一定であることが多い

福祉の仕事というと、ローテーションでシフトを組んでいると思われがちですが、生活相談員は日勤帯で勤務する事が多いです。

休日も土日祝日とされている事業所が多くあります。

勤務時間が決まっており、土日祝日がお休みであるという事は、子育てをしている女性にとって働きやすい職種であると言えます。

福祉業界に従事する方は、女性の方が多くいます。

生活相談員は仕事と子育てを両立できる可能性の高い職種と言えるでしょう。

キャリアアップがはかりやすい

生活相談員として経験を積んだ後に取得できる可能性がある資格として、介護支援専門員(ケアマネジャー)が挙げられます。

介護支援専門員も生活相談員と同様、サービス利用を希望されている方の困り事を解決する相談援助の職種であるため、生活相談員の経験があると、仕事の流れを理解しやすいと考えられます。

また、生活相談員の配置義務がある介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では、生活相談員と介護支援専門員を兼務させる事が多くあります。

生活相談員の経験を持つ介護支援専門員は働き口も広がると考えられます。

身体的な負担が少ない

生活相談員の求人には介護業務が少ない、または全く担当しないという求人も存在します。

デスクワーク中心の求人も存在していますので、体を壊してしまって介護業務は身体的に難しくても、福祉の世界で働きたいという方にとって、生活相談員という職種は希望に合った職種であると言えます。

生活相談員の仕事で辛い面とは?

上記では生活相談員の良い点と思われる点を挙げました。

その反面、生活相談員として従事する中で辛いと感じる事も当然あります。

ここではその内容を挙げていきます。

苦情対応

サービスを継続して利用する中で、利用者の方やそのご家族の方から苦情を頂くこともあります。

その苦情を最初に受ける可能性が高い職種は生活相談員です。

また、生活相談員は苦情解決責任者として位置づけられている事業所も多くあります。

利用者の方やそのご家族の方が苦情を申し立てるという事は、それまで相当の我慢をした上で苦情を申し立てています。

頭に血が上っている状態で、激しく責めたてられるような事もありえます。

自分たちのためを思って意見を言って下さっているのかもしれませんが、激しい口調で責めたてられていると感じるような話し方をされれば、ストレスとなってしまい、辛く感じてしまいます。

人との板挟みになりやすい

生活相談員は、人と人との間に入り、調整を行う仕事を主としています。

この世の中には様々な考えや価値観を持っている人がおり、それらは時に対立してしまう事もあります。

生活相談員は両者の間に入り、調整を行うため、板挟みとなって辛い思いをする事もあります。

営業ノルマを課せられる事がある

介護サービスで利益を上げるためには、施設の稼働率をあげる必要があります。

努力次第でどこまでも利益を上げられる一般企業とは異なり、介護サービスは上げられる利益の上限が決まっています。

その上限になるべく近づけるために、経営者はなるべく空きを作らず、定員いっぱいまで利用者を増やす事を要求します。

多かれ少なかれ利用者を増やすための取り組みを促される事があると思いますが、売り上げが低迷している時や、それ以外の時でも稼働率を上げるよう経営者から注意される機会は、生活相談員が一番多いです。

まとめ

福祉の仕事では裏方の仕事も多く、黒子の役割に徹する事が多い生活相談員の仕事です。

注目される事は少ないですが、介護サービス事業所にとって、なくてはならない職種となります。

今後、生活相談員になりたいと考えてくれる人が増える事を期待しています。

生活相談員の仕事を探すときは、こちらの記事を参考に!


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