グラフィックデザインとはどういう仕事?大変なことは何?やりがいについてもお話しします
クリエイティブな響きがあり何だか言葉だけで憧れてしまいそうな「デザイナー」という職業。
でも、この世の中にはいろいろなモノがあり、それらそれぞれに姿形があって、そこには「デザイン」があります。
筆者の経験した印刷・広告・出版の業界だけでもいろいろな「デザイナー」と呼ばれる業態があります。
ここでは、それらをできるだけわかりやすくわけて、その業種・業態ごとの仕事内容の詳細をご案内し、業界入りを考えている人に特性的な向き・不向きをご紹介していきましょう。
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目次
閉じるデザインの仕事種類はどれくらいあるの?
この世の中にはモノが溢れ、そのモノの形を作る「デザイン」の仕事はモノの数だけあると言えます。
ただ、ここでは世の中に存在する「デザイン業」を、全てピックアップすることはできませんので、筆者が経験した印刷・広告・出版のカテゴリーの中での「デザイン」の仕事を取り上げます。
とは言うもののこの業界だけでもいくつもの「デザインの仕事」があります。
まずは、それを洗い出してみましょう。
グラフィックデザイン
主に印刷物の見た目、体裁をデザインする職業です。
パソコンで作る事が多くなってから、DTPオペレーター(DeskTopPrepress=印刷前工程をデスクトップで)と区別して待遇する場合があります。
ざっくりとわけると、実際に頭で紙面を考えラフから起こしてデザインを提案できるデザイナーと、指示に従ってパソコンで紙面体裁を作る作業だけをする人をオペレーターと言います。
エディトリアルデザイン
印刷物でもページ物、刊行物・出版物の紙面や装丁を、その本などのテーマ、内容にそって編集・デザインしていく職業です。
雑誌を出版している出版社の多くは取材・記事執筆する編集スタッフとは別にこのポジションのスタッフを抱えていることが多いです。
DTPデザイン
さきほどグラフィックデザイナーの項で少し触れたDTPオペレーターのうち、アートディレクターなどの指示のもとでオペレーションだけでなく、もう少しデザイン寄りの作業をする人をDTPデザイナーと呼ぶ会社があります。
webデザイン
今や紙の広告メディアを凌駕する勢いのweb関連メディア。
がっつり作り込む企業のカンパニーサイトから、一時的な施策を案内する特設ページへ誘導するためのLP制作、古くなったホームページデザインのリニューアルなどいろんな機会、形態で受注するデザイン業務。
昨今では動画要素も盛り込めるので、多少なりとも動画の知識もあったほうがいいです。
グラフィックデザインの3個の仕事内容
打ち合わせ
まずは、どういった方向性の広告、印刷物にするかをクライアント、営業、その他コピーライター、カメラマンなど内部連携するスタッフと打ち合わせします。
まずクライアントと話をしてから内部スタッフと打ち合わせるか、関係者みんなでクライアントの意向を直接聞くオリエンテーションを開くか、またはクライアントの意向は営業が取りまとめ、後は社内スタッフで打ち合わせるか、作るものの性質やボリューム、クライアントの考えで打ち合わせの規模やタイミングはまちまちです。
いずれにしろ関係する組織やスタッフとのコミュニケーションなしにはデザインが立ちあがりませんので、仕事にかかる前のブリーフィングやオリエンはかなり大切な仕事です。
制作
アートディレクター的な役割をするデザイナーさんなら、配下のデザイナーやオペレーターに仕事をアサインし、制作をはじめていきます。
この場合、スケジュール管理やトータルのクオリティー保持はディレクターの責任となりますので、しっかり手を動かしてくれるスタッフの動きとスケジュールを管理します。
自分で手を動かして制作をするポジションにいるデザイナーさんなら、事前の打ち合わせの内容を落とし込んでラフスケッチをあげ、考えがまとまったら制作をしていきます。
訂正作業・出稿作業・色校正チェック
ひとまずデザインが出来上がると、社内で関係者がチェックし、クライアントに見せます。
社内のチェック、クライアントの意向により出てきた訂正・修正箇所の直しと、それの戻しとを繰り返してデザインや紙面の内容をブラッシュアップします。
そしてOKが出たら、印刷所への出稿作業、カラー印刷で特に色にシビアなアイテムを作る場合は色校正で印刷の色具合を確認し、それもOKとなると、いよいよ印刷工程に移ります。
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エディトリアルデザインの3個の仕事内容
打ち合わせ
グラフィックデザイン同様、作る書籍・刊行物のコンセプトに則してデザインのコンセプトも決めていきます。
グラフィックデザイナーが作るものに比べて、編集寄りのエディトリアルデザイナーが手掛けるのは、どちらかというと「パッと見するもの」と言うより、「読み込むもの」に近いので、エディトリアルデザインのクオリティーは、その書籍や刊行物の読みやすさに直結します。
そういった意味では、最初の方向性の舵取りが非常に重要なデザインの仕事とも言えます。
制作・訂正
1枚モノのアイテムよりページモノは当然のことながらボリュームがありますので、原稿が揃い、制作開始可能になったページからどんどん作っていき、同時進行で訂正・修正指示が入ってきたらそれもこなします。
集版・出稿
全ページのOKが出たら、ページのデータをとりまとめ、面付けをして印刷所に回します。
色校正を確認することもありますが、作る物の種類によっては出さないものもあります。
webデザインの2個の仕事内容
打ち合わせ
webデザインの現場も、やはりサイトコンセプトに則したデザインワークをする必要があるので事前の打ち合わせ、ブリーフィング、オリエンは必至。
工程によって担い手が変わりがちなwebサイト制作においては、対クライアントだけではなく、内部的な確認のためのミーティングや打ち合わせも非常重要になります。
webデザイナーの下で動くオペレーター的な役割としてコーダー、つまりwebサイトを作るためのコード(コンピュータープログラムのようなもの)を書く人がいますが、そういったスタッフとのやりとりもかなり重要です。
また、webはデザインと機能とが一体となった媒体ですから、より見やすく使いやすいサイトにするための構造や仕組みを考えないといけないので、webディレクターとデザイナーがしっかり密なやり取りをすることも重要です。
ラフデザイン・mock
従来のやり方では、まず紙ベースでデザイン案をあげ、それである程度OKがでれば、コーダーがコーディング(プログラミング)していきます。
訂正・修正も紙ベースでやり取りをしている段階で煮詰めていきますので、コーダーに仕事が回る時には既にサイトデザインについてはレイアウトの構築とシステム的な要素の実装作業のみになります。
web制作に必要な言語を自分で使えるwebデザイナーは自分でコーディングする人もいます。
紙ベースでのやり取りは一部では効率的な反面、機能的な要素やアニメーションさせるところなど動きのある部分の振る舞いがわかりずらく、それが気に入らなかった場合は構造やベースデザイン自体から作り直しという事態にもなります。
それを受けて、昨今ではmockベースでのデザイン制作も増えています。
mockとはまだサーバーにはアップしないものの機能的にはwebサイトとして見られるものを構築しながら、機能や体裁に訂正を加えてブラッシュアップする手法です。
デザインの仕事が向いている人
コミュニケーション能力が高い人
全てのデザイン職種にもれなく必要な特性といっても過言ではありません。
クライアントとの折衝から制作、納品まで全て何もかも一人で完結する「スーパーデザイナー」であっても、少なくともクライアントの意向を聞き、リクエストに応えるデザインをあげるためには少なくともクライアント側の担当者とのコミュニケーションは必須です。
もちろん、チームで仕事をする場合は、そのコミュニケーションの輪と線はどんどん拡張していきます。
要望や希望やコンセプトをしっかり聞き、そして伝える能力はデザインという仕事においてキモです。
流行に敏感な人
デザインには王道があればトレンドもあります。
トレンドを掴むためには、巷のデザインに広く興味を持ち、自分の中のアンテナ感度を高めるのが一番大切です。
雑誌の誌面デザイン、車内吊り、街中のポスターなどなど、自分で参考になるソースを探し出し、蓄えていけるセンスのある人にデザインの仕事は向いています。
イマジネーションが豊かな人
参考になりそうな他者のデザインに対する感度はあっても、自分のクリエイトするデザインにそのエッセンスやトレンドを応用できない人はデザイナーの適性はないでしょう。
参考、参照したものをそのまま使うというデザインではオリジナリティーがありませんし、また過度なものは盗作です。
トレンドや受ける見せ方への感度は高く、そのうえ自分なりに昇華してそれを使えるのが優れたデザイナーの証です。
デザインの仕事が向いていない人
想像力がない人
何かを見て、そのまま作る行為ができるだけではオペレーターです。
それだけしかできない人はデザイナーの特性はないでしょう。
デザイナーはクリエイティブにトレンドと自分の感性から生まれるアイデアとを結びつけられ、新しく自分なりのものをつくりだせる必要があります。
スケジュール管理ができない人
印刷・広告・出版の世界のデザイナーの仕事は、どれも基本的に納期ありき。
自分の携わっている作業についてスケジュール管理が出来ない人は、クライアントや周囲のスタッフに迷惑をかけることになります。
ディレクターのポジションにいるデザイナーは、自分に加えて他のスタッフの工数・スケジュール管理をしなければ勤まりません。
デザインの仕事で大変なこと
見た目はクリエイティブで華やかなイメージのデザインの現場。
でもそこは厳しいプロフェッショナルの世界であり、当然大変なことがいくつかあります。
納期絶対!の仕事
デザイナーの仕事で大変なことは、やはり「納期絶対の仕事」であること。
どんな短納期でもクライアントとの窓口担当が「できます」と返事をすれば、デザイナーはそれに向かって仕事をするのみ。
極端な短納期にならないよう、クライアントとお互いに規定を定める会社もありますが、やはりオーダーはオーダー。
売り上げの為にデザイナーも短納期の仕事に挑まなければならないシチュエーションが必ずあります。
人の気持ちや思惑を汲んでデザインを作る難しさ
人の気持ちや考えを汲んで、それをビジュアルに落とし込む仕事であることの難しさもデザインの仕事の大変なところ。
デザイナーにとって制作の技術的なレベルは高くて当たり前。
クライアントの思惑通りの、多くの人の心を動かすデザインが、スッと最短の工数で出せるのがプロであるという評価になります。
それはものすごく大変なことです。
また、自分はそうしているつもりでも、お客さんであるクライアントが気に入らなければ作り直しです。
見た目は華やかですが、実はものすごく地道で努力を要する仕事です。
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まとめ
印刷・広告・出版分野でのデザインのお仕事をピックアップし、デザインのお仕事の実際のところと、デザイン業界を目指すにおいての向き・不向きを経験者目線でまとめてみました。
華々しく見えるクリエイティブなデザインの現場も、そういった注目される華やかな面と地道で努力を要する面が存在します。
デザインの仕事のやりがいのある華々しい面は、日頃のデザイナー自身のコツコツとした働き方に紐づいた表裏一体のものだということがわかっていただけたかと思います。
特に広告デザインの世界は紙からwebへ広がり、ますます活躍の場を拡げています。
デザインの世界で成功し、やりがいのある仕事をするために大事な事はコミュニケーションと流行などに対するアンテナ、そして溢れる想像力です。
もはや制作に使うソフトの技量の高さや単にキレイに作る能力は、「あって当たり前」の評価をされる時代です。
デザイン業界を就職先として選ばれる場合は、この業界の実際のところをしっかりと認識して、必要とされる人材になるように努力をしたいもです。
華々しい業界だからこそ、勉強することや努力するポイントも多いということを理解して飛び込めば必ず活躍できると思います。
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