介護の仕事内容は部署によって違います。

そこで今回は、介護職の仕事内容を三つの役割に分けてお話します。

それぞれの業務内容の違いを参考にしていただければと思います。

私が勤務経験のある部署については経験談も交えて紹介していきますので、介護職で自分に合う部署がよく分からないとお悩みの方はぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

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介護職の仕事は大きく3個の役割に分けられる

介護職の仕事の役割1:施設職員

介護職でよくイメージされるものが施設職員です。

夜勤や早出・日勤・遅出などがあり、施設によって違いはありますが、変則勤務となっています。

夜勤手当の分、給料的には恵まれています。

給料が少ない介護業界の中で給料面での充実を望むなら、施設職員で夜勤をするというのが一番の近道です。

介護職の仕事の役割2:デイサービス

家族の祖父母が通っているという人も少なくないと思います。

朝から夕方までを施設で過ごすデイサービスの職員です。

送迎があり夜勤がないという特徴があります。

施設の経営の鍵を握っているのがこのデイサービスです。

施設職員よりもレクリエーションをする機会が多く、その能力も大切となってきます。

個人的には、介護の仕事のデビューとしてデイサービスから始めると今後施設職員やケアマネジャーになった時も役に立つことが多いと感じています。

介護職の仕事の役割3:ケアマネジャー

介護支援専門員という資格を取得することでできる仕事です。

資格取得のための受験資格である実務経験を得るために、数年の時間を要します。

「ケアマネ」と略して呼ばれることがほとんどです。

デイサービスや施設職員が現場の仕事とあるのに対し、ケアマネは関連機関や利用者様やご家族との調整など事務系の仕事と言えます。

現場の仕事をしていたけど、腰痛や体力的に厳しいなどという理由でケアマネに転身するというケースも少なくありません。

ずっと現場で仕事をするつもりでいる人でも、ケアマネの資格を取っておくことで今後の選択肢を増やすという意味で効果的です。

施設職員の4個の業務

介護職は利用者様の日常生活の支援をするというのが重要な役割です。

これはどの部署に所属していても同じです。

ここからは、部署・業務内容に分けて細かく紹介していこうと思います。

施設職員の業務1:食事

施設に入所されている利用者様は介護度にかなりの差がある場合があります。

もしくは、全体的に介護度の高い方が多いというケースがあります。

特に最近は医療の発達もあり、介護度が高い利用者様が増えています。

一般的に介護度が低い人ほど普通の食事を自分で食べます。

介護度が上がるにつれ食事がキザミになったりミキサーになったりと咀嚼しなくても食べやすい形状になる方が多いです。

また、自分で食べることができない人も多くいらっしゃいます。

その理由としては、手が思うように動かせない方や認知症で食べるという行為が理解できなくなっているというケースがあります。

いずれの理由にせよ、自分で食べることができない方には介護職が介助します。

介助の際は、介助する側のペースではなく利用者様の食べるペースに合わせることが大切となります。

高齢者は誤嚥しやすいので常に注意をしていないといけません。

自分で食べている人も危険はありますので、気配りをする必要があります。

施設職員の業務2:排泄

これも利用者様の状況によって介護職がする役割というのは大きく変わってきます。

施設に入所されている方の場合、排泄の全てをご自分でするという人は少ないと思います。

認知症などで場所が分からない人にはトイレの場所を教えるということをします。

また車椅子の利用者様が手すりに掴まって立っている時にズボン・パンツを下ろすことをします。

立位を取ることができない利用者様の場合は、職員が二人で介助を行うこともあります。

寝たきりの利用者様や立位が全く取れない利用者様の場合はベッド上でオムツ交換をします。

初めはオムツをあてることも難しく感じると思いますが、慣れてくると当たり前のようにできるようになります。

排泄介助で大切になってくることは、オムツ交換・トイレでの排泄に関係なく利用者様の「羞恥心」への配慮です。

トイレのドア(カーテン)は必ず閉めます。

認知症が進行していても「羞恥心」はあります。

羞恥心はもうなくなっているように見えるかもしれませんが、一般的にドアを開けっぱなしでトイレをしたいと思う人はいないはずです。

人間の尊厳を守ってあげましょう。

一日中寝たきりの利用者様に対しても同じことが言えます。

働いているとトイレのドアを開けっぱなしで介助している職員を見ることがありますが、そういう人は他の場面でも失礼な言い回しや態度をしていることが多いです。

施設職員の業務3:入浴

これも利用者様によってどんなことを介助するのかを考えて行動しないといけません。

普通のお風呂に歩いて入るという利用者様はごく少数です。

車椅子のまま入れる浴槽や、寝たきりの人でも入れるように寝たままの姿勢で浴槽に入れるようになっている入浴方法があります。

洗髪や洗身も職員が全てをするのではなく、利用者様ができる部分はしてもらうようにします。

職員が全てを介助したほうが速いので、職員・利用者様どちらも楽です。

しかしそれでは利用者様の「できること」を奪うことになります。

施設の利用者様には少しでも普通の生活に近い状態を維持してもらうことが大切です。

「今できること」を介護職が奪わないようにしましょう。

介護職の立場から気を付けるべきポイントは「湯温」です。

利用者様にかける前にまず自分で湯温の確認をしてから、利用者様に確認をしてもらいましょう。

そして、常に湯温を確認しながらシャワーを使いましょう。

勝手に湯温が変わるというケースもあります。

利用者様によって温度の好みはかなり違うものです。

前の利用者様が大丈夫だからと言って次の利用者様も大丈夫だと決めつけず、毎回利用者様に湯温の確認をしましょう。

入浴時は転倒などの事故が起こりやすくなっています。

また転倒した際にケガが大きくなりがちです。

裸で硬い床ですから、想像はしやすいと思います。

普段は一人で歩いているような利用者様でも水や泡で滑ることがありますので、歩くときは必ず付き添うくらいに思っていたほうが良いです。

施設職員の業務4:夜勤

施設職員にしかない業務が夜勤です。

勤務時間は施設により違いますが、少なくとも12時間以上は働くことになります。

主な業務内容としては、定時での巡回・排泄介助(トイレ・オムツ)・コール対応です。

昼間と比べて圧倒的に少ない職員数で多くの利用者様の介助をします。

単純に身体的な疲れもありますし、1人で見なくてはいけないというプレッシャーもかかってきます。

夜勤に慣れるまでは、夜勤当日はゆっくり過ごし体力を可能な限り温存しましょう。

また夜勤経験のある人なら分かると思いますが、意識していなくてもプレッシャーを感じていることで気が立ってしまうことがあります。

利用者様のコールが続くとイライラしたり…というのをよく聞きます。

私は夜勤中は特に「怒ったら負け」ということを強く意識しています。

ただただ目の前の業務をこなしていくという感じです。

夜中に全く寝ない利用者様がいてもイライラしないように努力しています。

もし働いている施設の夜勤で仮眠時間があるのなら、短時間眠る方が良いみたいです。

人によっては仮眠を全くしないという人もいますが、人間の健康という観点から10分でも眠る方が良いそうです。

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デイサ-ビスの4個の業務

基本的には施設の利用者様と比べるとデイサービスの利用者様の方が介護度が低く、自分でできることが多いです。

このことを原則としてそれぞれ見てもらえたらと思います。

施設職員で書いているようなことが基本となってきますが、デイサービスということで少し違ってくることもありますので、その辺りを中心に説明していこうと思います。

デイサ-ビスの業務1:食事

デイサービスでも介護度が重い利用者様がいますので、食事介助をすることがあります。

認知症専門のデイサービスの場合は特に、他の利用者様のご飯を自分のご飯と思い込んで食べてしまうということがあるので注意が必要です。

また、かなり自立している利用者様(特に女性)が近くの利用者様の食事介助をしようとする場面を目にするということもあります。

手伝ってあげようという優しさからの行動ですが危険なことになる場合もあるので、職員が介助するようにしましょう。

そのときも「○○さん!それはしてはいけません!!」と強く言うのではなく、手伝おうとしている利用者様への配慮も忘れずに声掛けを考えましょう。

デイサービスだと特に食事の準備を利用者様と一緒に行うということも普通にあります。

そういったことは利用者様の自立度の維持という観点からも大事なことなので、大切にしていきましょう。

デイサ-ビスの業務2:排泄

施設の利用者様と違ってデイサービスの利用者様は生活の基本が「自宅」です。

自宅での生活を少しでも長くできるようにしたいという考えが根本にあります。

自宅ではトイレで排泄している人がデイサービスに来ている間はオムツでする。

ということは普通はあり得ないということになります。

自宅での排泄方法を続けられるように支援する必要があります。

それと同時に家族様の要望にできる限り沿って対応する必要もあります。

例を挙げ

ると、「自宅に帰る前に必ずトイレに行っておいてほしい」というようなことです。

デイサ-ビスの業務3:入浴

デイサービスの利用者様は、自宅でお風呂に入れないからデイサービスに通っている…というケースが多いです。

デイサービスでの入浴の場合、同性介助で対応しているという所もあります。

男性職員が少ない場合が多いので、女性利用者のお風呂の時は女性職員のみがしているという所は多いように感じています。

デイサ-ビスの業務4:送迎

送迎はデイサービス職員の業務の大きな特徴です。

普段車に乗っていて無事故無違反の人でも、送迎に出ると大なり小なり事故を起こすものと思っておいた方が良いです。

初めて利用者様を送迎する時は、思っている以上に緊張します。

更に、行ったことのない場所や通ったことのない道を通る。

普段運転していない車を運転する。

お迎えや送りの時間が決められている人もいる。

などの理由でただ運転をしているというのとは違うので、事故が起こってしまうのだと思います。

これを読んでいる方で送迎をしたことがない人は、もし今後送迎をすることがあった時のために「送迎は簡単なものではない」ということを覚えておいてほしいと思います。

車椅子のまま車に乗れる「リフト車」の操作もすることになります。

慣れてくると簡単なものなのですが、操作を誤ったりすると事故に繋がるので、毎回注意して行う必要があります。

ケアマネジャーの3個の業務

ここからは、ケアマネジャーの業務について説明していきます。

私自身ケアマネとして働いたことはないのですが、見聞きしたことなどをもとに書いていこうと思います。

ケアマネジャーは利用者様・家族・利用するサービスの橋渡しの役割を受け持ちますので、ケアマネの能力がその利用者様のサービス利用を有効的なものにできるかどうかに関わってきます。

また利用者様側からすると施設で初めて会う職員ということになりますので、好印象を与えるような配慮も必要となってきます。

ケアマネジャーの業務1:介護計画の作成

利用者様には必ず「介護計画」というのがあります。

各部署はケアマネが作成した介護計画をもとに利用者様の支援をしています。

利用者様の希望や状態・家族の希望を踏まえて介護計画を作成します。

ケアマネジャーの業務2:利用者様の情報収集

利用者様には必ず担当のケアマネジャーがいます。

今後のデイサービス利用や施設入所の有無に関わらず、利用者様の情報収集をします。

主に今後利用するデイサービスや施設の職員が困らないようにADL等の情報をまとめていきます。

利用者様本人の話だけを鵜呑みにすると間違った情報になってしまうこともありますので、家族からも聞くことが多いです。

デイサービス・施設などの部署に関わらず利用者様の情報を得るために初めに確認するものなので、とても重要な業務になります。

ケアマネジャーの業務3:担当者会議

担当者会議は定期的に利用者様・家族・関係する部署の職員が集まり、現在の状況の確認や今後の計画について話し合いを行います。

その日程調整をケアマネが行います。

また話し合う内容についてのすり合わせも行います。

担当者会議の司会も行いますので、中心的な役割を担います。

まとめ

介護職の業務内容について詳しく書いてきました。

基本的には施設職員の項目にあるものが根底になります。

利用者様によって対応方法を変える必要があることと、利用者様のできることを介護職側が奪わないことが大切になります。

介護の仕事を続けていくと、利用者様によって対応を変えるということは自然とできるようになります。

しかし、羞恥心への配慮は忘れがちになります。

オムツ交換などが当たり前となりすぎた結果「羞恥心」への配慮をしなくなることがありますので、初心を忘れないようにしたいですね。

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