私は臨床工学技士として、総合病院で10年以上働いています。

これまでこの仕事を続けてきて、ずっと続けたいと思った理由や、職業としての将来性に関して感じたリアルな思いをお伝えします。

これから臨床工学技士を目指そうとする方や、いよいよ就職活動に臨まれる方などに読んでいただけると嬉しいです。

なかなか待遇やお給料の話って、聞く機会がないですよね。

聞き辛いですし・・・かといって譲れない大切なポイントでもあります。

そこんとこ実際どうなの?

就職活動ではいい話しか聞かないけど?

といった疑問にもお答えできると思います。

臨床工学技士の仕事内容は?

臨床工学技士は病院内における医療機器のスペシャリストです。

比較的新しい資格なのに加え、独占業務(その資格を保有していなければできない業務)はありません。

そのため、なかなか院内での役割が確立せず、最近ようやく資格の強みを生かした業務が確立してきました。

主な業務は、医療機器全般の操作及び保守管理です。

これだけではイメージしづらいですが、病院内の医療機器が安全に効率よく使えるよう管理しています。

使用した機器の動作チェックや、トラブル時の対応・修理、新しい機器の取り扱いをスタッフに教えたり、安全に使える環境を整えます。

また、臨床に密接に関わる業務としては、まず「血液浄化療法」です。

臨床工学技士と言えば「人工透析」とも言える程、携わる人数が多い業務です。

ここでは機器管理以外に、透析治療に使われるシャントという血管に針を刺す、穿刺業務が特徴的です。

医療ドラマでも取り上げられることがあるのは「人工心肺業務」です。

心臓の動きを止めて行う手術で、人工心肺という装置の操作を一手に引き受けるのが臨床工学技士です。

リスクの高い業務であり、花形業務です。

その分、昼夜関係なく10時間以上の手術に入ることもざらにあり、体力と集中力の必要な業務です。

他にも集中治療室に常駐したり、夜勤、当直業務をしている施設もあります。

臨床工学技士をずっとやっていたいと思う4つの理由

私が10年以上この仕事を続けてこられたのも、やはり「臨床工学技士でよかった」と思う数々の理由があったからです。

医療職ですので「やりがい」「患者さんからの感謝」が支えになっているのはもちろんです。

しかし「やっぱりやりがいも必要だけど、待遇はどうなの?」「やりがいだけではやってけない・・・」「聞きにくいけど給料はどうなの?」と思うのももっともだと思います。

そういった、より現実的なポイントを掘り下げていこうと思います。

ただ、私の経験からお話ししていることは、総合病院での勤務経験に基づくものとしてご了承ください。

気になるお給料面は同年代平均より上

まず、働くからには気になるお給料面です。

生活していく上では避けては通れませんし、人生設計をする上でも重要なポイントですね。

幸い臨床工学技士の平均年収は、同年代の平均年収より上であることが多いです。

職場や勤務体制によりますが、年収350〜600万円程度が1番多い層だと思います。

20代の方でも年収500万円前後は良くあることです。

新卒入社で、手取り月収20〜25万程度、それにプラスでボーナスが支給される、といったイメージです。

どれだけ稼げるかは、残業や勤務体制によって大きく変わってきます。

臨床工学技士は残業の多い職業と言われており、体力勝負な一面もあります。

私が以前当直をやっていた時は、20代半ばで手取り月収30万程度ありました。

しかし24時間以上の連続勤務で、夜間は自分一人。

院内のありとあらゆる部署から依頼があり、見たこともない機器を前に途方にくれることもありましたし、仮眠の時間があっても休めることは稀でした。

自由になるお金があることは嬉しいのですが、20代だったからやってこられたのかなと思います。

30代半ばになった今、あの勤務をやれと言われたら厳しいです。

比較的、総合病院は残業が多く、変則的な勤務も多いため高収入なことが多いです。

それに対してクリニックは、時間の自由がきいたり残業も少ない分、収入は低い傾向にあります。

ただ、収入は低いといっても400万円前後が多いので生活に困ることはないですし、安定した業務なので働きやすいです。

収入を取るか、時間的・体力的余裕を取るか、しっかり施設ごとの特色を理解して就職活動をする必要があります。

病院ならでは!手厚い福利厚生

福利厚生はあまり就職活動の時に注目していなかったのですが、これは大切なポイントです。

医療施設ということもあり、職員が受診する時には医療費補助がきく施設も多いです。

体力勝負の仕事をしていると、特に健康は気になりますよね?

そんな時、半額補助や全額補助があると、本当に安心します。

ちなみに私の職場は、全額負担してくれますし、2親等までの家族も3割負担してくれます。

体調が悪くても職場内なので、(業務状況にもよりますが)勤務中に受診に行くこともできます。

さらに健康診断もきっちり受けさせてもらえますし、もちろん自己負担はありません。

歯科検診、婦人科検診や人間ドックも、病院が指定した年齢で受ける時には自己負担0です。

他の福利厚生ですが、指定されたホテルや娯楽施設の割引や、格安ツアーの実施、院内での季節ごとのイベントなど・・・得することがたくさんです。

福利厚生は学生の時は盲点かもしれません。

でも、とってもとっても大切ですと声を大にして言いたいです。

就職活動の際にはぜひチェックしてください。

業務範囲は増える一方!ますます需要のある職種です!

一昔前は、知名度が全くなく「病院の何でも屋さん」だった臨床工学技士。

今では「医療機器のスペシャリスト」として、最前線でバリバリ活躍できます。

業務独占のない職業ですが、やはり「工学」という専門性を持っていることで、院内では欠かせない存在となっています。

しかも、他の職種と違うのは、これからどんどん新しい仕事が増えて、業務が確立していくという点です。

例えば、「臨床検査技師」であれば、すでにどこの施設でも「どんな業務をするか」ということは決まっており、これから新しく獲得する業務は少ないと思います。

それに対して臨床工学技士は、専門性を生かした業務がやっと確立しつつある、新しい分野なのです。

自分たちで新しく業務を切り開いて、体制を整えていくという他ではできない経験が可能です。

一緒に業務を作り上げていきたい、というやる気のある若い力を現場は必要としています。

個性的な若い世代の仲間たちと、横のつながりの濃さ

臨床工学技士は、施設ごとの人数が少ない分、同職種の横のつながりがしっかりしています。

同じ養成校を卒業して、全国各地に就職した同級生の活躍する情報も、どこからともなく流れてきます。

学会などで顔を合わせることも多く、何かあればすぐ相談することができるのはとてもありがたいです。

働く施設が違っても、とても仲が良いのが臨床工学技士の世界です。

そして「臨床工学」という分野に興味を持った面々は、かなり個性的なメンバーが多いです。

医者や看護師、薬剤師など知名度の高い医療職はたくさんあれど、「臨床工学技士」というちょっとマイナーな職業に興味を持った人たち。

バリバリの工業系出身者もいれば、高校は文系だったという女性技士も多いし、サラリーマンなど別の職業を経て大学に入りなおしたという経歴の持ち主もたくさんいます。

また、臨床工学技士は平均年齢がとても若い職業です。

各施設のトップでも50代より若いことが多いですし、職場の平均年齢も30代前半~半ばくらいです。

同年代の仲間が多いので先輩後輩の仲も良く、たくさんの頼りがいのある仲間ができ頼もしい限りです。

仕事で疲れることがあっても、皆でパーっと飲みに行ってわいわい騒いで、明日からも頑張ろう!という活力が湧いてくる。

そんな環境です。

けど、臨床工学技士って大変なところも・・・。

ここまで、臨床工学技士を続けたいプラスの理由をお伝えしてきました。

その一方で、やはり大変なこと、しんどくてつらかったこともたくさんあります。

どんな職業でも大変なことはありますが、就職してから「こんなはずではなかった!」とならないように、いくつか大変だったこともお話していきます。

残業が多く体力勝負!

臨床工学技士は需要が増す反面、まだスタッフの人数が足りていない施設も多くあります。

その結果、需要に応えようとするとどうしても残業が多くなります。

土日どころか朝夜関係なく働くことも多く、お盆・年末年始・ゴールデンウイークといった一般的な連休などもあまり取れません。

医療職という特殊な環境である以上、覚悟して就職してはいますが、やっぱり大変だなぁ・・・と何年経っても思います。

変則的な勤務で体調を崩さないよう、自己管理をしっかりすることも必要です。

少しずつスタッフの補充がされてきたら、このあたりも解消されると思いますが、業務も増える一方なので難しいところです。

シビアな現場が多く緊張の連続

生命維持管理装置を扱うということは、失敗が絶対に許されないシビアな現場であることが多いです。

人の命を扱う以上当たり前のことですが、常時あらゆる所にアンテナを張って、状況判断をしながら動かなければなりません。

そして、いつ何が起きても対応できるように、優先順位を考えた行動やリスク管理が求められます。

業務中は緊張感が張りつめているので、バリバリと働いていますが、仕事が終わったらどっと疲れを感じます。

それだけ責任ある重要なことを任されている、というやりがいも感じる。

そんな現場です。

「病院の何でも屋」はけっこうしんどい

臨床工学技士の知名度は、私が就職した10数年前よりは格段に向上しています。

しかし、今でも「病院の何でも屋」となってしまっている施設もあります。

技士の人数も多く、業務が確立している施設は良いのですが、まだふわっとした立場のところは「できることをやる」「頼まれたことをやる」ことで精一杯のようです。

どこも経験する道とは言え、「パソコンの修理」とか「病室のTVの修理」などを依頼されると、伝わらないもどかしさを感じます。

そして対応せざるを得ない状況もあり、一度対応すると「臨床工学技士さんってTVも見てくれるんだ!」とさらに勘違いが広がってしまいます。

このあたりをしっかりと線引きして、「臨床工学技士たる業務を確立する」ことが必要です。

一度印象付くと早いのですが、それまでが大変難しいです。

一生自己学習が必要

どんどん発展している医学の中でも、医療機器の成長はさらにすごいスピードです。

私が就職した10数年前の知識は、もう全く役に立たないことも多いばかりか、たった数年で古い情報になってしまうこともあります。

例えば人工呼吸器に関して言えば、私が就職した当時のモード・設定の知識で今やろうとすると、全くちんぷんかんぷんなことをやってしまう可能性があります。

設定に対する考え方もまるで変わってきましたし、モードも当時は聞いたこともないものがたくさん搭載されています。

新しいモードや機能、新しい医療機器の登場と共に、私たちも常に学んでいく必要があります。

医師や看護師など、他の医療者がどのような考え方をしているのか、どのようなニーズがあるのかをくみ取り、それに対応できるよう学習を続けています。

やりがいのある反面、忙しい業務の合間に自己学習を続けるのは大変なことです。

臨床工学技士の将来性とは?

まだ医療職としては歴史の浅い職業ですが、臨床工学技士の将来性はどのようになっていくのでしょうか?

臨床工学技士の業務は医療機器に奪われる?

医療機器自体が高度化することによって、もう人が操作する必要がなくなる。

AI(人工知能)などが発達するから、臨床工学技士の専門性は必要なくなる。

最近、臨床工学技士の将来性を考える上で、このように言われることが多いです。

確かに以前は人間がしていたことも、装置が自分で判断して自動でできてしまいます。

だからと言って、臨床工学技士が必要なくなるかと言うとそうではありません。

機械は人間のように「うっかりミス」「思い込みミス」などはありませんが、故障しないことはありませんし、機械を扱うのは人間です。

トラブルが起きた時対応するのは、やはり臨床工学技士の役割です。

医療機器の専門知識はこれからも重宝される

いくら医療機器が発達して自動化されていったとしても、現場で医療機器が使われている以上、臨床工学技士の必要性はなくならないと考えられます。

むしろ、そういった自動化できる業務は機械に任せて、技士でないとできない業務に手を割くことができるようになるので、上手く共存していくことが大切です。

今でも全く新しい部門から、業務拡大の依頼がくることがたくさんあり、臨床工学技士の専門知識を必要とする分野はまだまだ多いのです。

まとめ

私の経験を通した臨床工学技士のリアルな待遇や、これからの将来性をお話してきました。

一つ言えるのは、これからも臨床工学技士の需要は継続してあるということです。

少し前の、どこからでも引く手数多という時代は確かに終わったかもしれません。

それでも高度医療がますます発達していく今の時代に、臨床工学技士は必要な存在です。

就職活動をしていると、良いことばかり情報が入ってきて、実際どうなの?

やっていけるかな?

という不安があると思いますが、少しでもリアルな情報がお伝えできていれば幸いです。


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