憧れて入ったパティシエの世界・・・ですが、実はパティシエの世界はとても離職率が高く続けられる人が少ない職種でもあります。

仕事の環境や給与の問題、体力的な問題など理由は様々ですが、新卒でパティシエとして働き始めた人の内3割が一年以内に退職していると言うデータもあります。

厳しく長い修行期間の代わりに一生失うことのない技術を身につけられるパティシエですが、目標をもっていたはずの人でも途中で挫折してしまうことが多いのです。

パティシエを辞めたいと感じてしまう人は、一体何が原因なのでしょうか。

今回はパティシエを目指す前に知っておいて欲しい現実や退職理由、その対処方法を見ていきましょう。

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パティシエの仕事環境とは?

キッチンの中での仕事が主なパティシエは外から見えにくい世界です。

実際にパティシエとして働いている人たちは、どのような環境でどのような仕事をしているのでしょうか。

詳しくお話します。

キッチン内は寒い!

温度管理が大切なケーキを作るキッチン内は、夏でも冬でも一定の温度に保たれています。

ケーキを製造するのに相応しい温度は大体20度前後とされており、一流のパティスリーであれば冬でもキッチン内が暖かくなることはありません。

夏は良いのですが、冬になると寒くて仕方ないことも少なくありません。

しかし優先するべきは製造したケーキ。

暖房をきかせるわけにはいきません。

コツコツ地味な作業が多い

修行期間の長いパティシエは、入社してすぐにキッチンでケーキを作れるという事はありません。

最初は材料の計量から始まり、フルーツのカット、バターのカットなど想像しているよりも地味な作業が続きます。

華やかな世界を想像している人ほど現実の壁に当たってしまい、早期に退職してしまいます。

体力がいる作業が多い

繊細なケーキを作るパティシエですが、実はとても体力のいる仕事です。

家庭のお菓子作りでは目にしないほど大きなボウルとホイッパー(泡立て器)で大量のクリームを泡立てたり、一度に40個の卵が入った鍋を混ぜ続けなければならなかったりと、一日の仕事が終わる頃には腕が上がらなくなってしまうことも少なくありません。

また製造業務以外でも重い小麦粉の袋を運んだり、大量のフルーツを運んだり特に女性にとってきつい仕事もたくさんあります。

労働時間が長い

パティシエや料理人の仕事はその他の職業に比べて労働時間が長くなる傾向にあります。

朝早くから開店時間までに全てのケーキを仕上げショーケースに並べ、開店中は次の日のケーキの仕込みに追われます。

細かな作業がとても多いので、人手が足りないお店はどうしても長時間労働になってしまいます。

特にクリスマスやバレンタインなどは本当に夜中まで仕事をすることになります。

上下関係が厳しい

こだわりの強い性格の人が多いパティシエの世界は、上下関係に厳しい世界でもあります。

職人気質と言われる人が多く、にこやかに仕事を教えてくれる人はあまり多くないと言えます。

入社直後の新人パティシエの場合、仕事時間のほとんどがフルーツカットのみや計量のみなど先輩パティシエたちのサポートをすることになります。

下積み時代を過ごし、「この人にならお店のレシピを教えても良い」と認められない限り実際の製造業務が回ってくることはありません。

また、決して広くない厨房内で長時間の業務になるため独特の緊張感が漂っているお店もあります。

パティシエの仕事に興味はあるけど、自分に向いているか心配な人はこちらから相談してみると良いでしょう。

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パティシエ辞めたい…3個のよくある理由とそれの対策とは?

入りたくて入ったパティシエの世界ですが、どうして離職してしまう人が多いのでしょうか。

次にパティシエを辞めたいと感じている人に多い理由と、その山場を乗り越える対策についてお話します。

長時間労働

現在「働き方改革」が国によって進められており一般の企業は残業をなるべくしないようにしようという風潮がありますが、パティスリーではそう簡単にはいきません。

洋菓子業界は長年人手が不足していることもあり、パティシエたちの労働時間が短くなるにはまだまだ時間がかかるように思えます。

パティシエを辞めてしまう人の中には長時間労働に耐えられなくなった、という方が少なくありません。

それに対する対策とは?

ケーキを作ることは好きで、知識も技術もあるのに労働時間が理由で他業種に転職してしまうのはとてももったいない事です。

そのような場合は他の大手のパティスリーへの転職を視野に入れてみましょう。

比較的大きな会社の工場や直営店はたくさんのパティシエが在籍しており仕事を分担して行えるため、労働時間は比較的短いお店がたくさんあります。

お給料が安い

技術を身につけることのできるパティシエの仕事は、薄給であることが多いです。

それは「仕事を教えてもらっている」と言う職人世界独特の考え方が残っているためです。

しかし、技術を教わっていると分かっていてもお給料が安いと言うのは大きなストレスとなり退職を選ぶ人は多いのです。

それに対する対策とは?

お給料の問題は転職で解決できる場合もありますが、まず目に見える資格を取得することをおすすめします。

製菓衛生師、菓子製造技能士などの資格を取れば資格手当をいただける場合があり給与のアップにつながります。

将来に対する不安

パティシエとしてお店に入っていみると、従業員の年齢層が若く驚きます。

実際に私の働いていたお店は30代の中堅パティシエは一人もおらず、専門学校を出たばかりの方やパティシエ歴1年、2年と言うとても若い方ばかりでした。

パティシエの仕事を長く続けることは実はとても難しく、99%のパティシエは10年以内に辞めてしまうと言われています。

年齢を重ねると「いつまでこの体力のいる仕事ができるのか?」と将来に対する不安が出てきます。

その結果、まだ転職の幅が広い20代のうちに辞めてしまう人が多いのです。

それに対する対策とは?

パティシエの仕事を続けるために明確な目標を作ってみましょう。

何歳までに独立するでもいいですし、お菓子教室を開く事を目標にしても良いでしょう。

目標のある人は将来に対する不安を持ちにくくなります。

若く体力のあるうちは精一杯技術と知識を身に着け、年齢を重ねたら無理のない範囲でパティシエとして働けるように環境を整えていけば一生続けることのできる仕事です。

もし、目標がなく将来について悩んでるのであれば、こちらの転職エージェントでアドバイスを貰うと良いでしょう。

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まとめ

今回はパティシエの離職理由やその対処法についてお話しました。

パティシエ歴10年以上になる私も、下積み時代に何度も何度も「もう辞めたい」と思ったことがありました。

実際に違う業種に転職したこともあります。

しかし、結局お菓子作り、パティシエという職業が好きで現在も働いています。

今、つらくて辞めたいと思っている方。

一度初心に返って、仕事としてではなく趣味の一つとして休日にケーキを作ってみてください。

そしてできるなら、それを家族や大切な友人などに食べてみてもらってください。

自分の作るケーキを食べてもらうことの嬉しさや楽しさを思い出して、もう少し頑張ってみませんか?

この山場を乗り越えればパティシエとして一皮剥けることでしょう!

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