パティシエがブラックな仕事だな…と感じた9個の瞬間と、それでもこの仕事は楽しいと思う4個の理由
美しいケーキを作り出すのが仕事のパティシエと言う職業。
昔は「ケーキ職人」と呼ばれていましたが、フランス語の「パティシエ」はすっかり定着しましたね。
ケーキ工房の中やホテルのカフェなど活躍の場はたくさんあるパティシエですが、一体どのような仕事を毎日行っているのでしょうか。
子供の頃はケーキを毎日食べたいからパティシエになりたいと思っていた方でも、「体力仕事」だと聞いて諦めてしまった方も多いのではないでしょうか。
今回はケーキ職人、「パティシエ」について、パティシエ歴10年以上の私が仕事内容ややりがい、求められる人物像などについてお話していきます!
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パティシエの仕事は大きく3個の役割に分けられる
私が働いていたお店は地域でとても有名な「老舗」と呼ばれるパティスリーでした。
シェフはフランスの製菓学校コルドン・ブルーを卒業しており、王道のフランス菓子を作る職人さんでその腕は確かな方でした。
専門学校を卒業後最初に勤めたお店がそのパティスリーで、右も左も分からなかった私にパティシエの仕事のイロハを教えてくださいました。
お店によって細かな業務内容が変わる部分もありますが、大きくかけ離れてもいないと思います。
仕事内容を詳しく見ていきましょう。
シェフの仕事
まずオーナーシェフの仕事を見ていきましょう。
個人店ではオーナーシェフと言えども現場で働くことが多いです。
シェフの仕事は様々ありますが、細やかなデコレーションや温度管理の難しいチョコレートのテンパリング、そこからのチョコレート細工など本当に技術が必要とされる部分を請け負う事が多いでしょう。
季節に合わせた新作ケーキの考案などもシェフ自らが行うお店が多いと思います。
シェフは現場でケーキを作るだけではなく、人材の確保や広報など経営全般を行います。
ケーキ材料の仕入れをシェフが行うお店も多いので、何人か社員のいるお店でしたらシェフが現場にいない、という事もよくあるでしょう。
スーシェフの仕事
オーナー以外に長く勤める方は「スーシェフ」と呼ばれる事があります。
スーシェフの仕事はお店の経営以外のケーキ製造全般です。
ケーキの品質管理や後輩の指導、難しい生地の焼成や仕込みの計画などずっと現場にいるからこそできる仕事を任されることが多いでしょう。
シェフの片腕と言う表現が正しいかもしれません。
シェフと同じくらいの技術を持っているスーシェフが多く、商品のことはスーシェフに尋ねる場合が多いです。
社員のパティシエ
オーナーシェフ、スーシェフ以外のパティシエの仕事は多岐に渡ります。
入社直後はまず販売の仕事を任されるお店が多いでしょう。
接客販売を通してお店の商品の名前や形状を覚えます。
店舗の清掃や販売に必要な資材の発注などパティシエと言えども接客販売の仕事が多くなります。
多くのお店でこの時期は新入社員の仕事への取り組み方や真面目さなどを見ていますので、決して手を抜いてはいけない大事な仕事になります。
ホールでの業務を通してパティシエに向いているかどうか、信用できる人材かどうかなどの確認が行われ、その後キッチンの業務へと移って行くのが一般的です。
キッチンに入ってからは材料の発注、計量作業、洗い物などから少しずつ仕事を覚えていきます。
その次はフルーツカットやケーキのフィルムを巻いて仕上げる、焼き菓子の梱包業務など淡々とこなしていく仕事が多くなります。
パティシエとして入社したからには早く製造業務を覚えたいところですが、お店のレシピは簡単には教えてもらえません。
実は地味な作業の繰り返しが多いのがパティシエの仕事です。
一歩ずつ着実に進んで行きましょう。
ケーキの仕上げを覚えた後は、まず簡単な製造から覚えて行きます。
私の場合、最初に製造したのは「タルト生地」でした。
計量さえきっちりされていれば失敗が少なく高い技術を必要としないタルト生地ですが、ケーキの一部を作れると言う喜びがとても大きかったのを覚えています。
次に「クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)」「ムース」「ジェノワーズ」と言うように徐々に難しいとされるお菓子作りへと進んで行きます。
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オーナーシェフの業務
開店前
ケーキ屋の朝はとても早いです。
私の場合朝は6時にシェフを含め社員全員が出勤していました。
パティシエが一番忙しいのがこの朝の時間です。
開店前までに全てのケーキを仕上げ、店頭に並べなければいけません。
多くのお店でパティシエ全員で手分けをしてケーキを仕上げていきます。
お店の商品にもよりますが、大抵のパティスリーでは前日までにある程度用意されているケーキの土台があり、冷凍保存での劣化が激しい生クリームやクレーム・パティシエールを使用しケーキを仕上げて行きます。
シェフは仕上げの工程が複雑な商品を担当し、店頭に並べて行きます。
開店中
開店中、シェフが現場にいる場合はケーキの味を左右するジェノワーズ(スポンジ)や、チョコレート菓子などを他の社員と同じように製造して行きます。
シェフ直々に指導をしていただけるお店もあれば、部下の教育はスーシェフ以下に任せているお店もあります。
新しい商品を考案する時期は、シェフは新作にかかりきりになる事も多いでしょう。
良い材料を求めて業者との話し合いを行ったり、市場へ足を運んだりするシェフもいます。
また、面接や業者への支払いなど経営に必要な事を全てシェフが行うお店もありますので開店した後は現場にいないことも多いでしょう。
閉店後
閉店後は売上の管理や次の日の仕込みなどを確認し、シェフの一日が終わります。
仕込みが終わっていない場合やクリスマスやバレンタインなどの繁忙期はシェフも遅くまで現場に残る事も多いでしょう。
スーシェフの業務
開店前
スーシェフも朝は次々とケーキを仕上げて店頭に並べていきます。
自分の担当するケーキの仕上げが終われば、後輩パティシエのヘルプに入ることも多くなります。
時間を確認しながら、必ず開店に間に合わせなければいけません。
朝のうちにその日の予約を確認し、後輩パティシエへの指示も行います。
多数の社員をまとめ、営業を円滑にするのはスーシェフの大切な仕事です。
ショーケースにケーキが並んだ後は全てのケーキの品質を確認し、修正が必要であればその旨を伝え店頭に並ぶケーキを完璧に仕上げます。
開店後
開店後は自ら製造に入りながらも後輩の技術的な指導を行います。
スーシェフの仕事は基本的にお店でのケーキ製造ですのでキッチンを離れることはないでしょう。
キッチンで製造を行いながら足りなくなったケーキの補充や必要であればお客様対応もスーシェフが行います。
シェフがいない時間があれば、クレーム対応や業者の発注などの店長代行の業務も行います。
閉店後
閉店後は次の日の仕込みを書き出し、社員に任せた仕事の確認などを行います。
後輩パティシエがその日躓いた作業があればポイントを指導したり、社員のシフト制作などもスーシェフが行うお店が多いでしょう。
この様にケーキの製造以外にも在籍しているスタッフの技術の向上や管理などはスーシェフの仕事となるでしょう。
社員のパティシエの業務
開店前
社員のパティシエも朝はケーキを仕上げショーケースに並べます。
自分の担当分を時間内に終えれば次は洗い物、更に納入された材料を指定された場所に片付けたりします。
店内や店外の清掃を行い、お客様をお迎えする準備を整えます。
開店中
お店の開店後は社員のパティシエも製造業務に入ります。
販売スタッフが足りない場合は接客販売も行います。
社員のパティシエの大事な業務の一つに材料の計量があります。
シェフやスーシェフがすぐに仕込みに入れるよう、全ての材料を計量しておく作業です。
お菓子は少しの計量違いで食感が大きく変わったり、膨らまなかったりするので間違えてしまうと大変です。
確認をしながら、なおかつ素早く計量を行いましょう。
閉店後
閉店後はまず清掃!
ケーキ屋は卵や牛乳など生の食材を多く使うので、機材の清掃やダスター類の消毒は欠かせません。
店外店内を清掃したら、続いて材料の発注業務に移ります。
スーシェフの書き出した明日の仕込みを見ながら材料を発注します。
材料や資材の発注などは入店後早くに任されることが多いでしょう。
続いて焼き菓子などの日持ちがするお菓子の梱包を行い、店内の売り場へ補充をします。
お菓子の梱包や補充が終わればやっと一日の仕事が終わります。
店内の冷蔵庫の温度や火元を確認し、退勤です。
パティシエの良いところ
「きつい」「つらい」と言うイメージが根強くあるパティシエの仕事ですが、こんなに楽しくやりがいのある仕事はなかなかありません。
パティシエを目指す人がマイナスのイメージだけで入店を迷ったり、その道に進むのを諦めたりと言うのはあまりにももったいなく、寂しいことです。
続いてパティシエの仕事のやりがいや面白いポイントなどをご紹介していきます。
やりがいを感じるポイント
まずやりがいを感じるポイントをいくつか見ていきましょう。
お菓子作りが好きな人や、人に喜んでもらうことが好きな方はとても向いている仕事ですよ。
成長が見える
パティシエは日々成長を感じることのできる仕事です。
最初はできなかったケーキがきれいに作れるようになったり、とても終わらない!と思っていた仕込み量をこなせるようになったりと成長が見えやすい仕事でもあります。
また、最初は地味な仕事が続きますがくじけずに頑張っていれば徐々に新しい仕事を任せてもらえる様になると言うのもはっきりと自分が成長していることを感じられる要素です。
パティシエになろうと決めてこの世界に入った方には、そのお店のケーキを全て作れるようになってほしいと思います。
お客様に喜んでもらえる
仕事のやりがいを上げてください、と質問すると多くのパティシエが口にするのが「お客様に喜んでもらえること」です。
ケーキは誕生日や記念日などには欠かせないもので、大人から子供までを幸せにすることの出来る食べ物です。
パティシエはその「幸せの食べ物」を作る仕事ですから、お客様の喜ぶ顔を見る機会がとても多く、その様子を見ていると「パティシエになって良かった」と感じます。
技術が身につく
パティシエとして仕事を始めると、やはり家でお菓子を作っているのとは違いプロの技術が身につきます。
お菓子作りが好きでパティシエを目指すのが一般的なので、「おいしいお菓子が作れるようになる」と言うのはとても嬉しくモチベーションの維持にも繋がります。
しかもその技術を磨けば磨くほど間違いなく自分のキャリアになり、働く場所も広がります。
自分の腕一本で世界に飛び出すことができるのもパティシエのやりがいです。
面白いポイント
続いてパティシエの仕事の面白いポイントを見ていきましょう!
食材の違いが分かるようになる
例えば、薄力粉や卵など同じようにみえる食材の違いがはっきりと分かるようになります。
薄力粉は実はメーカーによって粒の大きさが微妙に違い、それはケーキ、特にジェノワーズの口溶けにはっきりと違いが現れます。
パティシエになる前は感じられなかった食材の微妙な違いを感じることができるようになるのはとても面白く、興味をそそります。
自分のアイデアでケーキを作り出せる
新作を考えるポジションまで上がることができれば、自分のアイデア一つで全く新しいケーキを作り出すことができます。
ケーキ生地からクリーム、1ピースの大きさからデコレーションまで全て自分でかんがえることができ実際にお店で売られるのです。
こんなに面白い仕事はありません!
日々新しい食材や組み合わせについて考え、それを形にしていくのはとても面白い作業です。
パティシエの仕事はこんな人にはおすすめ!
好奇心が旺盛な人
パティシエに好奇心は欠かせません。
このフルーツとクリームの組み合わせはどうだろう、この産地のチョコレートはおいしいかな?
など、先入観ではなく自分の味覚で判断する好奇心の旺盛さがパティシエと言う仕事にはプラスになります。
デザインが好きな人
ケーキは見た目の美しさも重要な要素です。
フルーツをバランス良く乗せることができたり、カラフルに仕上げることができるなどデザインが好きな人はパティシエに向いています。
コツコツした作業が好きな人
パティシエの仕事は大雑把では務まりません。
細かい作業が好きで、同じ仕事を毎日続けられる忍耐強さは良いパティシエには欠かせない適正です。
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まとめ
今回はパティシエの仕事について詳しくお話してきました。
修行期間が長く、そのつらい部分だけを取り上げられやすいパティシエですが実はとてもやりがいがあり楽しい仕事だとご理解いただけたでしょうか。
お菓子作りが好きな方や、幸せな時間作りに関わりたいという方はぜひパティシエを目指してくださいね。
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