長年子供のなりたい職業の上位に位置するにも関わらず、「ブラック」と揶揄されることの多いパティシエ業界。

クリエイティブでやりがいのある仕事であることは間違いありませんが、他業種に比べて離職率も高く業界全体で人手不足に陥っています。

働き方が重視され始めた近年、従来通りの縦社会や厳しい労働環境ではなり手が減ってしまい、将来的に業界全体の衰退に繋がってしまいます。

今回はパティシエとして長年働いてきた私が、この業界がブラックと言われてしまう所以や実際に経験した事例、しかしながらやりがいを感じる瞬間などをご紹介していきます!

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経験者の私が思う、パティシエの仕事がブラックな理由とは?

私は10年以上パティシエとして勤務していました。

今は転職し全く違う仕事に就いていますが、思い返してみるとやはりパティシエ業界は、ブラックと言われても仕方のない働き口が多かったです。

もちろんお店にもよりますが、日本の飲食業界は労働者を大切にしていないと感じるお店が多いです。

どうしてなのでしょうか。

パティシエと言う言葉の発祥地であるフランスでは、飲食業界の労働環境は決して悪くはありません。

労働者は年に一度は必ずバカンスを取りますし、パティシエのなり手がいないなんてこともありません。

私は、日本のパティシエ業界においての価格競争が原因の一端だと考えています。

フランスでは安くてそこそこ美味しいものより、多少値段は高くとも本当に美味しいものが売れるのです。

もちろん日本にも、少し値段の張るものでも良いものであればお金を出す消費者もいます。

しかし、その割合はフランスに比べると低いと感じます。

ケーキの値段を下げるためには商品に使う材料のランクを落とすか、人件費を削るのが手っ取り早いです。

しかし、経営者であるパティシエはケーキに対するこだわりが強く、美味しいと思うものを作りたいため材料のランクを下げることはほとんどないでしょう。

そこで削られるのが人件費なのです。

確かに職人の世界は厳しいと言われていますし、きちんとした技術を学べるならそれでも構わないと考える人もいるでしょう。

しかし、私は技術を身につけることと労働者の権利は別物であるべきだと考えています。

皆さんはどう思いますか?

パティシエの仕事にブラックだと思う9個の瞬間

続いてパティシエの仕事がブラックだなと感じる瞬間をご紹介して行きましょう。

パティシエ業界に携わった者として、紹介するようなお店がまだあることは非常に嘆かわしく思います。

しかし、覚えておいて欲しいのは「全てのお店・会社がブラックではない」と言うことです。

労働環境の良くないところは確かに存在します。

皆さんがこのようなお店に間違えて入社してしまわないために、正直にお話したいと思います。

労働環境が整っていないことがある

パティシエと言えども会社員です。

会社員なら当然受けられるべき社会保障、健康保険や厚生年金などが全く会社の援助を得られず、全て自分で支払わなければならないことが多いです。

以前私の働いていたお店でも、社会保険は何も付けられていませんでした。

正社員として何人もの雇用があるにも関わらずです。

一度正社員が団結して「保険をつけて欲しい」と持ちかけたこともありましたが、うやむやにされ続け結局何も付けられないまま私は転職を選びました。

社会保険は学生の方にはピンと来ないかもしれませんが、加入が全くない状態だと全額を自分で支払わなければいけません。

会社員であれば所属する会社が半額を負担してくれるシステムなのです。

大手企業であれば必ず加入はありますが、個人店の多いパティシエ業界では、未だ未加入のまま従業員を雇っているお店が後を絶ちません。

労働時間が長い

「パティシエの労働時間は長い」と良く言われていますね。

この噂、本当かそうでないかは店によりけりです。

従業員を大切にしている就労場所であれば、法定労働時間がちゃんと守られているお店も多くあります。

しかし、長時間労働が常態化しているお店も少なくありません。

私がパティシエとして働いていた頃は朝6時半出勤、帰宅は夜の9時をまわると言う生活が当たり前でした。

一週間仕事を続けるとヘトヘトで、休日は何もできずに寝るのみ。

私がパティシエ業界からの転職を決意したのもこの労働時間の長さが一番の原因でした。

休日が少ない

1日の労働時間は長く、休日は少ないのがパティシエの世界ではよくあることです。

週休2日なんて夢のまた夢。

お正月休みやお盆休みがあるお店なんて、普段どれだけ忙しいお店であってもとても羨ましく感じてしまいます。

月の休日は多い時で5回、つまり週に1日休みがあれば良い方だと思っていました。

パティシエ業界から転職後、週休2日の仕事を始めた時は「こんなに休日があって大丈夫なの?」と思ったものです。

仕事量が多い

パティシエの仕事はとにかく仕事量が多いです。

商品が売れれば売れる分だけ仕込みをしなければいけませんから、忙しいお店であればどんどん仕事が増えることも珍しくありません。

基本は数人で手分けをして仕込みを行うのですが、人手が十分でない場合ひとりひとりにかかる仕事の量がとても多くなってしまいます。

一人にかかる負担が大きくなるため社員が居付きにくく、さらに負担が増えると言う悪循環から抜け出せないお店も少なくありません。

賃金が安い

先程お話をしたように、材料費よりも一番先書に削られるのが人件費です。

店の運営に必ず必要なほどの能力のあるパティシエや、長く勤めているパティシエはそれなりの賃金がもらえますが、新人や未経験であればその賃金はとても低いです。

全てのパティシエは経済的に苦しい時期を乗り越えて一人前になるのですが、離職率はとても高く一握りのパティシエしか満足のいく給与はもらえません。

新人の頃は多くても月給17万円。

そこから自分で全ての社会保険料を負担しなければいけません。

労働時間、労働内容と賃金のバランスが取れておらず「ブラックだな」と感じることもあるでしょう。

賞与がないこともある

月の賃金が思うほどいただけなくても、賞与があるならまだ良い方です。

個人のお店では社会保険がない上に給与も低く、賞与もないことが珍しくありません。

本当に珍しくないのです。

アルバイトの方が稼ぐことのできる状態で、労働者を雇っているお店があるのは紛れもない事実です。

体育会系であることが多い

過酷な労働環境をなんとか乗り越えるために、従業員たちは「根性論」「精神論」を持ち出したりもします。

壁に「気合」や「根性で乗り切れ」「将来のため」などと書かれているところもありました。

確かに体力仕事ですし、従業員たちを鼓舞する気持ちも分かりますが根性論はあまりにも時代遅れです。

縦社会である

パティシエの世界はオーナー、先輩シェフの言うことが絶対に正しい縦社会でもあります。

若い頃はどんなに理不尽なことを言われても従うのが基本と言うお店が多く、厳しく指導されることもあります。

教育体制が整っていないこともある

店舗によっては教育体制が全く整っていないことも少なくありません。

専門学校を出て1年未満の新人パティシエに新入社員の指導を任せたり、従業員であるパティシエたちは自分の仕事で手一杯、新人教育どころではないこともあります。

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それでもパティシエの仕事は楽しいと思う4個の理由

上記のようなブラックな店舗が少なからず存在するパティシエ業界ですが、良いお店で働くことができればこんなに楽しい仕事はありません。

職場環境を見極め、良いお店で力を付けることができればとてもやりがいを感じられる仕事です。

パティシエの仕事でやりがいを感じる部分、楽しい部分を見ていきましょう。

技術が身に付く

パティシエは技術職です。

自分の手に生涯なくなることのない技術が身に付くのはとても楽しいですし、成長を感じることもできます。

数ヶ月前にはできなかったことができるようになったり、仕込みを時間内に終わらせることができるようになったりと、自分の成長を自分で感じられるのはやりがいに繋がります。

また、自分の技術一つで道を切り開いて行けるのもパティシエの仕事の魅力です。

土台となる基礎技術を身に着けた後は海外を目指したり、独立をしたりと自分のやりたい道に進むことができるでしょう。

本では勉強できないことが多い

現場でパティシエたちの技術を見ていると、本や専門学校では学びきれないことばかりだなと実感します。

確かに厳しい労働環境ではありますが、お菓子を作ることが好きでおいしい物を作りたいという気持ちが強ければ強いほど、その技術の高さに感動することでしょう。

チームワーク良く働ける

上記したような労働環境の悪い職場でなければ、パティシエたちはひとつのチームとして仕事を行っています。

尊敬できる先輩パティシエに巡り合うこともありますし、閉鎖された空間ですが雰囲気良く働けることも。

少人数制のお店が多いので、協力しあってお店を運営しているという実感を持てるでしょう。

喜んでもらえる

ケーキはお祝い事や何かの記念に使われることが多いです。

買いに来てくださったお客様の楽しそうな表情やケーキを見た時の歓声などは何物にも代えがたい嬉しさがあります。

お客様に喜んでもらえる仕事は多数ありますが、パティシエほどそれを実感できる職種はあまりないのでは?と思います。

経験者がホンネで語ります

新卒パティシエの離職率は3年以内でなんと90パーセント。

普通なら数字をみるだけで「この仕事はキツイに違いない」と思ってしまいますよね。

それでも製菓専門学校は人気がありますし、毎年多くの新人パティシエがパティシエとしての一歩を踏み出しています。

大変な仕事だと理解していながら、それでもパティシエになりたいとその道を選ぶみなさんが、3年で業界を離れてしまわないようにホンネで業界に望む改善点、働きやすい職場の見極めポイント、良くない職場の見極めポイントなどをお話します。

この仕事で、いちばん改善を望む点は?

パティシエ業界がこれからも人の集まる、魅力的な仕事であるために一番望むのは職場環境の改善です。

給与の安さや労働時間の長さはこの情報社会の中、パティシエになることを選んだ方が知らないわけがありません。

新人パティシエたちは「労働条件」や「給与」よりも自分の夢や技術向上を優先して、覚悟を持って入社するのです。

それなのに、この離職率がどうしてこんなに高いのか。

それは「職場環境」が整っていないお店が多いのでは?と個人的には思います。

今、先輩と呼ばれる立場にいるパティシエやオーナーたちも、自分が新人として働いていた時に縦社会のパティシエ業界でつらい思いもたくさんされたと思います。

しかし、様々な「ハラスメント」問題が取り上げられるような現代において昔の「辛かったら辞めろ」的な考えでは新人は育ちません。

労働環境の厳しい業界だからこそ職場の雰囲気作りに努めたり、新人教育をしっかりと行ったりと言う人間関係の部分がとても大事になります。

せっかく、パティシエになろうと希望を持って入社してくる新人を立派に育てるか、3年以内の退職に追い込むかは上司の接し方や職場の雰囲気の部分が大きいと言えるでしょう。

パティシエの仕事をする人にとって働きやすい職場の見極めポイント

お話してきたようにパティシエの仕事は職場選びがとても重要です。

働きやすい職場かどうか見極めるポイントの一つにスタッフの年齢層があります。

3年以内に入社した若いパティシエが頑張っている職場はとても良い職場です。

特に専門学校卒から3年以内のまだ若いパティシエの在籍率はとても参考になります。

かと言って、若いパティシエのみの職場も良くありません。

中堅のパティシエが働いているかどうかも将来を見据える上で重要なポイントです。

パティシエの仕事をする人にとって働きにくい職場の見極めポイント

働きにくい職場を見極めるのは難しいことではありません。

ケーキを販売する「販売員」の表情や対応を良く見てみましょう。

パティシエを観察する必要はありません。

店頭に立つ販売員が素晴らしいサービスをしてくれたり、ニコニコと笑顔で接客してくれるお店は従業員同士の雰囲気の良い証拠です。

従業員同士の雰囲気の悪いお店で、販売員だけが良いということはまず有りえません。

お店の雰囲気を知るのはとても大切です。

ぜひ参考にしてみてください。

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まとめ

今回はパティシエについて、業界の厳しさとそれでもそこにあるやりがい、楽しさなどをご紹介しました。

楽しいことばかりの仕事はありません。

パティシエもきらびやかなショーケースとは正反対のつらい努力や忍耐が必要な世界です。

それでもパティシエになる!と決めたなら、まず良い職場探しから始めましょう。

決して多くはないですが、きちんと指導をしてくれて従業員を大切にしてくれるお店も存在します。

覚悟を決めて望めば、きっと良いパティシエへの一歩を踏み出すことができるでしょう。


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