2020年7月21日

養護教諭は子育てしながら続けられる職業なのでしょうか?

保健室の先生の呼び名である養護教諭。

仮病を使って保健室で休ませてもらっていたなど、学生時代に養護教諭との関わりがあった人も多いでしょう。

ここでは、そんな養護教諭はママになっても両立しやすい理由についてご紹介していきます。

子育てしやすい職業は貴重です!

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養護教諭ってどんな仕事?

養護教諭は、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校に一人以上配置することが定められている職業です。

仕事内容は、学校教育法には「児童生徒の養護をつかさどる」職務とされています。

具体的には何をしているのでしょうか。

保健管理

児童生徒の健康診断や身体測定、視力・聴力検査などを実施します。

また、日常的には体調不良やケガをしてしまった児童生徒の対応に当たります。

保健室内での救急処置ももちろんですし、病院受診を勧めたり、生活習慣の見直しを指導したりします。

他にも、健康相談活動といって、児童生徒の心身の悩みに向き合います。

内容によっては、保護者や学校の関係者、医療機関などと連携をして対応に当たることもあります。

さらに、校内の衛生管理も養護教諭の仕事です。

毎日飲料水の水質検査を行い、定期的に薬剤師さんと一緒に教室の空気や照度の検査などを行っています。

基準に適合しなかった場合には、教育委員会など学校の管理者に連絡をして、児童生徒の衛生に悪影響がないように努めています。

保健教育

心や体の健康について、児童生徒に指導をするのも大切な仕事のひとつです。

指導の仕方には様々な方法があります。

例えば、学級や教科担任と一緒に、保健の授業や学級活動などに参画し集団指導を行ったり、保健だよりや壁面掲示物を作成したりします。

また、個別の指導を行う場合もあります。

例えば、歯科健診において歯肉の状態が悪かった児童生徒を集めて、歯の磨き方の指導を行うこともあります。

養護教諭は教育職ですので、何か起こってからの対応だけではなく、予防や啓発のための教育に力を入れることができます。

組織活動

養護教諭の仕事は、一人で行うことはできません。

子どもたちは学級に所属していますし、家庭に帰れば保護者のもとで生活をすることになります。

子どもたちの心身の健康を保持増進するためには、教職員や保護者、地域の医療機関や様々な専門機関との連携が不可欠なのです。

そのための組織やネットワークづくり、協力体制を確立することも養護教諭の職務です。

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養護教諭って子育てと両立しやすいの?

養護教諭の仕事が子育てと両立しやすいどうかについては、勤務先や雇用形態、職場との人間関係によって異なるため一概には言えません。

養護教諭の大変なところは、学校に一人(多くても二人)の専門職であるという点です。

例えば、一般の先生の場合、子どもの体調不良で急に欠席することになったとしても、他の先生が代わりに授業を行うことができます。

しかし、養護教諭の場合は、扱っている仕事の範疇を理解している職員がいないため、また資格保持者がいないため、欠勤した穴埋めは出勤した後に自分で行うしかなくなってしまうのです。

ただ、日常的な忙しさに関して言えば、学級担任や部活動顧問を行っている先生方に比較すると、余裕があると言えます。

担任の先生方を疲弊させている、教え子の問題行動によって警察に呼び出されたり、保護者からのクレームの電話に何時間も付き合ったりといった雑事は、養護教諭にはほとんどありません。

民間企業と比較してみましょう。

民間企業では、多くの育休明けの女性社員は時短勤務を選択します。

学校現場においても、時短勤務という制度は存在します。

しかし、養護教諭で時短勤務を選択する方は少数派です。

養護教諭が時短勤務で保健室がカラになっていようと、児童生徒は登校してきます。

ケガや体調不良は日常的に発生していますし、中には命に関わるような傷病もあります。

その際に、養護教諭が不在だと、救急体制に遅れが生じてしまうのです。

また、時短勤務にしたところでこなすべき業務量(特に事務作業系のもの)が減るわけではありません。

結局持ち帰り仕事や休日出勤をする羽目になるなら時短にする意味がない・・・と時短勤務を選択しない人が多いのです。

例外として、大規模校などで養護教諭が複数配置されている学校においては、時短勤務を選択する方が増えます。

さらに、正規採用の身分でありながら、週に3回など出勤日を減じて勤務することも可能です。

その際は、保健室がカラになってしまわないように、代替の講師などを雇用する必要があります。

人件費がかさむことから、こちらの制度もなかなかハードルが高く、活用している人は少ないのが現状です。

養護教諭が子育てしやすい理由とは?

両立が厳しい面を述べてしまいましたが、もちろん子育てしやすい面もあります。

ここでは、養護教諭が子育てしやすい理由を解説していきましょう。

産休・育休が保障されている

養護教諭の勤務先は、公立校か私立校かに大別されます。

また、雇用形態としては正規採用・臨時的任用講師・非常勤講師の3種類です。

臨時的任用講師は、産休代替や年度毎の契約になりますが、基本的には1日勤務しボーナスも支給されます。

非常勤講師は、特定の時間や曜日にのみ出勤し、時間給で働きます。

正規採用の場合は、公立校では3年間の育児休業を取得することができます。

私立学校の場合も、法人により異なりますが、産休・育休の制度は保証されています。

産前産後休暇は、出産予定日の概ね前後4か月間取得することができ、給料も支払われます。

育児休業になると給料は支払われませんが、給料の半額~7割程度の金額を手当金として受け取ることが可能です。

育休明けは、再び正規採用として働くことができ、その年度は異動をすることも基本的にはありません。

多くの先生方は、子どもが1歳になる頃までじっくり子育てをすることができるのです。

制度上は3年間取得することも可能ですが、手当金が切れてしまうこと、仕事にブランクが生じてしまうことなどを理由に、1~2年で復帰する方が多い印象です。

一人で仕事を進めることができる

児童生徒の対応以外にも、養護教諭には様々な仕事があります。

意外に事務処理系の仕事も、多く抱えています。

これらの事務仕事は、基本的に一人で進めることになります。

大変な面もありますが、自分のペースで仕事ができると言うことはメリットも大きいのです。

例えば、民間企業でチームを組んで企画を進めている場合に、他のメンバーの都合で業務が滞ったり、打ち合わせに膨大な時間がさかれてしまったりということが往々にして起こります。

しかし、マイペースに仕事を進めることができる養護教諭の場合には、自分の都合により仕事を組み替えることができるのです。

例えば、「夫が早く帰宅できる日には、保育園のお迎えも夕食づくりも夫の仕事。自分は残業をしてがっつり仕事をして帰るんです。」「土曜日は子どもが習い事なので、午後は休日出勤してがっつり仕事をしています。」というワーキングママの話をよく耳にします。

部活動指導の担当になることが少ない

特に中学・高校の先生方を疲弊させている業務の一つとして、部活動指導があります。

養護教諭は、よっぽど突出した特技がない限りメインで部活を任せられることはありません。

なぜなら、養護教諭が特定の部活動の顧問になってしまうと、部活動指導の時間に保健室がカラになってしまうからです。

部活動中はケガの発生も多いため、養護教諭は救急処置に集中できるような体制が組まれているのです。

顧問を担当するとしても、第2顧問・第3顧問といったサブ的な立場になることが多いようです。

職場に女性が多い

学校現場は女性が活躍している職場です。

小学校では7割、中学校では6割、高校では4割が女性職員と言われています。

女性が多いということは、それだけ子育てをしながら働く人が多いということ。

産休や育休、子育てに関わる休暇を取得する人も多いため、管理職も対応に慣れています。

職場の理解が得られやすい

女性が多いこと、また教育現場であることから子育てには理解が得られやすい傾向にあります。

特に我が子の学校行事に参加するために休暇を申請する際には、快く送り出していただけるように感じます。

ちなみに子育てのための休暇は、年次有給休暇を消化せずに、特別休暇をとることができます。

子育て中、もしくは子育て経験者が多いため、子育てに関するアドバイスや情報をたくさんもらえることもメリットです。

お勧めの習い事や、評判がよく待ち時間が少ない小児科の情報など、職場の先輩ママから教えていただけることが多いです。

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子育てと両立するために意識すべきこととは?必要なこととは?

子育て中は、なかなか独身時代のように働けず自分自身も歯がゆい思いをするものです。

特に一人職種である養護教諭は、抱えている責任も大きい分、ストレスを感じてしまいそうです。

ここでは、子育てと仕事の両立のために、意識するべきことをまとめました。

謙虚な姿勢で

子どもが病気になって仕事を急に休むことになってしまったり、子どもが支度に手惑い遅刻してしまったりと、子育ては予定外の出来事の連続です。

保健行事があるときに、急に仕事に穴をあけてしまうかもしれません。

周囲に迷惑をかけてしまうかもしれないということを念頭に置いて、謙虚な姿勢を心掛けましょう。

体調管理をしっかりする

子どもは体調を崩しやすい生き物です。

保育所に通い始めた時期や、感染症が流行している時期などは、月の半分は発熱していたということも珍しくありません。

また、養護教諭は、業務上たくさんの体調不良者と関わります。

他の職種に比較して、感染症をもらいやすい立場にあります。

子どもが発熱で保育所にいけないとなると、保護者も出勤することができません。

また、自分自身が感染症にかかり感染源となりそうな時も、出勤することはできません。

そのため、体調管理はとても重要です。

よく食べてよく眠り、生活習慣を整えることで抵抗力を高められます。

親子で体調管理に取り組みましょう。

スムーズな引継ぎのために日頃から準備をする

働いていると、保育所や学校からから急に呼び出しを受けることがあります。

理由は、37.5度以上の発熱やケガなど様々です。

仕事を早退しなければいけないときは、管理職に保健室の管理を引き継ぎましょう。

無人の保健室を開放するわけにはいかないので(薬品の管理や生徒指導上の理由から)、保健室を閉鎖するのか、手の空いている職員を保健室に置くのか、管理職の判断を仰ぎましょう。

例えば、保健室登校の児童生徒がいる場合には誰か職員を配置してくれることと思います。

普段から仕事内容をオープンにし、優先順位を明確にしておくと、急な引継ぎでもスムーズに行えるようになります。

預け先は複数確保する

子どもが元気に保育所や学校に登校できている時は、なんとか回っている子育てと仕事の両立も、体調を崩してしまった場合には、次の手を考えなければなりません。

仕事を休んで看病してあげられる時はいいのですが、どうしても出勤しなければならないという日もあります。

そんなときのためにも、あらかじめ、病児保育や病後児保育の預け先を見つけておきましょう。

時期によっては、病児保育の施設はいっぱいで預かってもらえない場合もあります。

その際は、病児専門のベビーシッターやキッズシッターを頼むことになるでしょう。

値段は割高ですが・・・。

また、地域のファミリーサポートに登録をするという手もあります。

子どもの体調不良は突然発生します。

いざというときに焦らずに済むように、平時からの準備が必要です。

感謝の気持ちをアピールする

子育てをしていると、どうしても周囲の先生方に迷惑をかけてしまう事態が発生します。

周囲の支えのおかげですという感謝の気持ちは、積極的にアピールしましょう。

自分の手が空いている時は、他の先生方の雑務を手伝ったり、時々お菓子の差し入れをしたりと行動で示せるといいと思います。

職場全体に「お互い様」の雰囲気が醸成されれば、子育てと両立しやすい職場環境になるでしょう。

まとめ

一人で働くことが多いため、子育てをするうえでもメリット・デメリットの両面を感じる養護教諭。

せっかく得られた仕事を、子育てを理由にあきらめてしまわないように、家族や周囲の協力を得ながら仕事に当たれるといいですね。

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