この記事では、養護教諭が抱えやすい悩みをご紹介します。

保健室の先生として、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の保健室を運営する養護教諭。

漫画やドラマにもよく登場しますよね。

他の先生に比べると養護教諭はのんびりしているようで暇そうに見えますが、現実はどうなのでしょうか。

ここでは養護教諭の本音や悩み、その解決方法についてまとめました。

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養護教諭の悩みで多い6個のこととその解決法とは?

新卒の場合・・・仕事が山積みで、何から手を付けたら良いか分からない!

850人以上の大規模校でなければ、一人で勤務することが多い養護教諭。

新卒であっても、未経験であっても、採用されたからには一人の養護教諭としての働きが期待されます。

新卒の場合に多い悩みは、一つ一つの仕事が分からないということです。

年度はじめは、健康診断の準備や新学期の配付物の準備、保健室の整備など仕事が山積みです。

更に会議や打ち合わせが多く、自由に使える時間は余りありません。

4月1日の着任から実際に児童生徒が登校するまで4日間くらいしかないため、目まぐるしいスピードで仕事をしなければなりません。

しかし、校内に保健室の仕事を熟知している教職員はいないため、相談相手がおらず悩んでしまう養護教諭が多いようです。

その解決方法とは?

まずは仕事の優先順位を明確にします。

前任者との引継ぎの際に、各仕事のデッドラインを確認しておくと良いでしょう。

例えば健康診断の準備の中には学校医や協力医療機関との連携が必要なため、期日が厳格に設けられているものがあります。

また児童生徒への配付物も、全校で「始業式に配付する」などの約束事がある場合もあります。

配付物は管理職の校閲を受ける必要があるので、余裕をもって仕上げなくてはなりません。

もし前任者と充分に引継ぎができなかった場合には、地域の学校の養護教諭に聞いてみても良いですね。

困ったことをすぐに相談できる関係を作っておくと良いのではないでしょうか。

臨時採用の場合・・・採用試験に合格することが難しい

養護教諭として勤務する場合、勤務先は公立学校か私立学校に大別されます。

公立学校での勤務を希望している場合は、正規採用になるには各自治体が行っている教員採用試験に合格しなければなりません。

養護教諭の採用試験は、どこの自治体でも9倍~30倍程度と狭き門です。

私立学校の場合は、東京都のように適性試験が設けられている所もありますが基本的にはその学校に対してエントリーするため、募集や採用があるかはタイミングと縁が重要となります。

そのため、多くの養護教諭が臨時採用の講師として働きながら正規採用を目指している現状があります。

講師の場合1年ごとの契約となることが多く、毎年学校を異動することになります。

せっかく学校の環境に慣れて人間関係ができてきたのに、来年度にはまた初めから…と悩む人も少なくありません。

その解決法とは?

公立学校の教員採用試験は、多くの自治体で5月に願書提出、7月に一次試験、8月に二次試験が行われます。

9月~10月に結果が分かり、合格した場合は翌年度の4月から勤務開始となります。

講師をしながら採用試験を受けている養護教諭にとっては、1学期の忙しい時期に並行して試験対策や準備を行うことになり非常に大変です。

そのため、教員採用試験の勉強や対策は早め早めに勉強を開始しましょう。

養護教諭の専門科目の内容は日々の職務に直結するものなので、業務をこなす中で関連法規などを意識するようにしましょう。

また、現場で働いている利点を活かし、管理職や地域の養護教諭に頼ることも手です。

例えば願書の志望理由を添削してもらったり採用面接や模擬授業の練習をしていただいたりと力になってくれることが多いです。

正規採用の場合・・・勤務先が遠くて大変!

晴れて採用試験に合格し正規採用となっても、悩みは出てきます。

その最大の悩みとして、勤務地の問題があります。

公立学校に勤務する場合は赴任する学校を自分で指定することはできず、教育委員会の人事に委ねられます。

多くの自治体では都道府県単位の採用を行っているため、全県下で着任や異動の可能性があります(横浜市やさいたま市、千葉市などでは独自の採用を行っているため、範囲は市内に限定されます)。

また自治体によっては、異動に様々な制約を設けている所もあります。

例えば同一市町村内に10年以上勤務できない、新卒から10年以内に僻地勤務(山岳地や豪雪地、離島など)を経験しなければならない、県内を三つのエリアに分けた内の全てのエリアでの勤務を経験しなければならないなど…。

勤務地によっては引っ越しをしたり新幹線通勤をしたりする場合もあります。

また、ほとんどの自治体では3月下旬に勤務地が発表されます。

そこから4月の勤務日まで1週間程度しかありません。

引っ越しをする必要がある場合には、ほとんど日がない中で住居探しから引っ越しまでを行うことになり、非常に負担が大きいです。

その解決法とは?

もし勤務地にこだわりたいのであれば、私立学校での採用を目指すという手があります。

私立学校は基本的には異動がないため、希望の地域の学校に募集があればラッキーです。

また公立学校の臨時採用の講師として働く場合も、勤務地をある程度選ぶことができます。

正規の採用や異動は全県下で行われているのに対して、講師の登録は市区町村単位で行われている場合が多いからです。

公立学校で正規採用を目指したい!でも勤務地にもこだわりたい!という場合には、採用面接の際に希望を伝えましょう。

結婚して住居を構えた、実家から通わなければならない理由があるなど、のっぴきならない場合は考慮されることもあります。

自治体によって制約なども異なるため、よく情報収集をしてからエントリーすることが大切です。

働き出してから・・・救急処置が上手くいかない

養護教諭の仕事の中で最も重要度が高いものは救急処置でしょう。

救急処置は怪我や体調不良をきたした児童生徒の対応を行うことを指します。

保健室での手当てや休養の他、医療機関への受診や救急車要請の判断をする場合もあります。

養護教諭が各校に必ず配置されている理由は、児童生徒が安全に学校生活を送るため、救急処置を万全に行う必要があるためです。

普段は平和な学校でも、時に思いがけない大きな怪我や病気が発生することがあります。

例えば、体育の授業で鉄棒から落下した際に開放性骨折(皮膚から骨が突き出している状態)をしてしまう、転倒した際に顔をついて永久歯が根元から折れて出血してしまう、教室でふざけていて後頭部をぶつけて意識消失してしまうなど…。

これらは全て医療機関の受診が必要な事例です。

しかし、ただ病院に頼れば良いわけではありません。

怪我をしてすぐの処置が正しく行われているか否かで、予後は大きく変わります。

ショック症状を起こさないように体位を変えたり、止血をしたり、バイタルサインを確認したり、養護教諭がやるべきことは沢山あります。

養護教諭は、緊急時の対応をした後に「この対応で本当に良かったのか?」と悩むことが多いです。

子どもたちの命を守る役割を担うということは、非常に責任が重いことなのです。

その解決法とは?

経験を積んだとしても、救急処置の対応は非常に悩むものです。

その悩みを完全になくすことはできませんが、日々の研鑽や工夫で解決できることもあります。

第一に、日頃から最新の医療知識を勉強しておくことです。

機会があれば実技研修などを受けるのも良いでしょう。

第二に、大きな怪我や原因不明の体調不良の場合は記録をしっかり残すようにしましょう。

バイタルサインや症状の変化、学校で行った対応を記録することで、医療機関にかかった時の貴重な資料になります。

また、児童生徒にもしものことがあり裁判などに発展した際も、学校の対応を示すことができます。

第三に、迷った場合にはより丁寧な対応を選ぶことです。

例えば捻挫か骨折かの判断は、病院でレントゲンを撮らなければ分かりません。

どうせ捻挫だろうと甘く見るよりも、骨折かもしれないと丁寧な対応をするほうが保護者や児童生徒本人も安心できるでしょう。

自動車の運転でよく言われるような「かもしれない」対応を心掛けましょう。

働き出してから・・・体調管理が難しい

保健室では体調を崩した児童生徒と関わることが多いです。

感染症が流行る時期には、インフルエンザやマイコプラズマ肺炎、感染性胃腸炎や溶連菌感染症などの診断がつく前の子どもたちが保健室で休養をしたり家族のお迎えを待っていたりします。

換気をしたり消毒をしたりとどんなに気を付けていても自分も感染症にかかってしまうことがあり、体調管理の難しさを感じます。

その解決方法とは?

地道なことですが、感染予防の三原則を実践するしかありません。

感染予防の三原則とは、

  • 感染源の排除
  • 感染経路の遮断
  • 宿主の抵抗力の向上

のことを指します。

具体的には、児童生徒の鼻水や痰、嘔吐物などが付着したものは感染が広がらないように消毒してから捨てたり、うがいや手洗いをこまめに行ったり、充分な栄養や休養をとって抵抗力を高めたり、予防接種を忘れずに打ったりすることです。

働き出してから・・・自分のメンタルヘルスの安定

保健室には様々な児童生徒が来室します。

中には、精神的に不安定で養護教諭に八つ当たりをする子や、明らかに身体所見がないのに教室に帰りたがらない子など心の問題を抱えている事例も多くあります。

また、保護者や担任の先生と児童生徒の間で養護教諭が板挟みになってしまうことも珍しくありません。

自分の心が健康なときは余裕を持って対応することができますが、ストレスが溜まりメンタルが弱っている時は大変辛く感じてしまいます。

その解決法とは?

まずはよく休みよく遊ぶことです。

真面目で一生懸命な人ほど残業や持ち帰り仕事をしたり、一日中仕事のことを考えてしまいいます。

心も体も休息できるように、木曜日は絶対に残業しない、持ち帰り仕事はしない、〇時になったら帰宅する、など自分なりのルールを作りましょう。

また、何か趣味がある人はそれに没頭するのも良いですね。

しっかり心と体を休めたあとは、仕事でも良いパフォーマンスができるはずです。

筆者の経験ですが、新卒の頃、寝る直前に仕事のことを考えてしまう癖がつき不眠気味になったことがありました。

そんなとき、友人の勧めで退勤後に軽いジョギングを始めたところ、程よく疲れてぐっすり眠れるように。

その内に走ること自体が楽しくなり、マラソン大会に出場するなど趣味の一つとなりました。

悩みも尽きないけど、養護教諭のやりがいや楽しさもいっぱいあります

どんなに悩みが沢山あったとしても、仕事を続けられるのはやりがいや楽しさがあるからです。

ここでは、養護教諭のお仕事の良い面を紹介します。

子どもがかわいい!

どんな年齢であっても、子どもたちは本当にかわいいものです。

成長段階によって面白さも変わってきます。

体も小さく無邪気な小学校低学年の子どもたちは、素直に養護教諭を慕ってくれます。

小学校高学年になって少し生意気になってきた子どもたちも、保健室では本音を漏らすことが多いでしょう。

思春期真っ只中で不安定な中学生のことは、こちらもつい親身になってしまいます。

高校生になると、大人同士として本音の会話ができるでしょう。

どんな子どもたちにも良いところがあります。

子どもの対応で悩むこともありますが、元気をくれるのもまた子どもたちです。

教職員との仲が深まる

子どもたちのために日々一緒に働いている内に、教職員同士の仲は深まることが多いです。

職種は違えど、「子どものために何ができるのか」を命題として働いている者同士通じ合うものがあるのでしょう。

学校によっては職員のクラブチームがあったり飲み会が盛んだったりする所もあります。

特に年齢がちかい職員が多い場合には、支え合いながら楽しく過ごせるでしょう。

自分の判断が尊重される

養護教諭は学校に一人(もしくは二人)の専門職なので、その発言には責任が伴います。

それと同時に、自分自身の学んできたことや専門性をしっかり発揮することのできる仕事と言えます。

例えばAEDの設置場所について職員間で検討しているときや怪我をした児童生徒の対応を考えているときなど、「養護教諭としてはこう思います」と発言することができます。

養護教諭は学校保健に関してはスペシャリストなので、若手であっても管理職が発言を尊重してくれることが多いです。

民間企業や他の教科の教職員として働いている場合は、新卒から2年~3年は先輩や上司の意向に沿って仕事をすることがほとんどなのではないでしょうか。

養護教諭の仕事は責任が重く大変な時もありますが、その分やりがいも大きいのです。

養護教諭のやりがいは、こちらの記事も参考に!

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まとめ

悩みも尽きないけれど、やりがいの大きな養護教諭のお仕事について紹介しました。

どんな仕事であっても、頼りにされるというのは嬉しいことですよね。

リクナビNEXTに会員登録をした後、自分の経歴やキャリアプランを匿名で登録してみましょう。そうすると、企業から好条件のスカウトを受けることがあるのでお得です。転職の成功確率も上がりやすくなります。

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