
養護教諭の給料はどのくらい?私の周りの相場や給料の決まり方を紹介します
養護教諭になるにはどのようなプロセスを踏めばいいのでしょうか?
学校の保健室の先生である「養護教諭」。
学生時代には身近な存在でしたが、大人になった今、「養護教諭になりたい!」という方はどうすればいいのか、どこで資格が取れるのか、採用は多いのかなどなど、詳しく知っておきたいですよね。
そこで今回は、養護教諭のなり方を徹底的に解説します。
養護教諭の資格はどのようなものが必要なのか、どういった分野を勉強すればいいのかなど、気になる内容を詳しくお話していきたいと思います。
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養護教諭になるためには、教員免許を持っていることが必須になります。
教員免許には3種類あり、短期大学を卒業した者や他の資格と付随する形で取得できる2種免許状、4年制大学卒業者の1種免許状、大学院卒業者の専修免許状に分かれています。
養護教諭養成課程がある教育学部や看護学部などで取得することができます。
また、すでに他の種類の教員免許を持っている場合には、通信教育と実習を受けることで教員免許取得を目指すこともできます。
また、看護師の資格がある方は、養護教諭養成の特別別科で取得することもできます。
特別別科については、この後より詳しく解説します。
養護教諭の免許を取得するための進路の選択肢はいくつかあります。
第一に、各都道府県にある国立大学の教育学部です。
学費が私立大学に比べて安く、地元で学び地元で就職するといった将来設計が描きやすいというメリットがあります。
しかし、すべての教育学部で養護教諭免許が取得できるわけではありませんので注意が必要です。
例えば、関東地方の国立大学でいえば、横浜国立大学教育学部と群馬大学教育学部では、養護教諭の免許は取得できません(原稿執筆段階)。
第二に、養護教諭養成コースのある看護学部のある大学で取得することです。
この場合、看護師の免許の取得も目指すことができ、将来の選択肢が広がるというメリットがあります。
しかし、3,4年次には病院と学校の実習があり、とても忙しくなってしまうことは覚悟が必要でしょう。
さらに、看護師が保健師の国家試験に合格すると、養護教諭2種の免許であれば申請するだけで取得することができます。
第三に、養護教諭特別別科で取得することです。
特別別科とは、大学入試資格を有し(高卒)、看護師免許を有する人を対象とした、養護教諭の養成機関です。
1年間という短期間で卒業できるというメリットがあります。
しかし、別科を持っている大学は少なく、全国でも6校しかありません。
6校とは、北海道教育大学・山形大学・新潟大学・金沢大学・岡山大学・熊本大学です。
第四に、養護教諭養成コースのある私立大学で取得を目指す方法です。
心理系や福祉系、栄養系の大学の中に、養護教諭養成を行っているところが近年増えています。
偏差値が必ずしも高くなくても入学できる大学もあり、国立大学を目指すことが厳しい人にとっては良い選択肢と言えそうです。
学費が高いというデメリットがありますが、教員採用試験の対策などには力を入れている学校が多いようです。
関東で有名なのは、埼玉県にある女子栄養大学で、毎年多くの養護教諭を輩出しています。
大学では、どのような勉強をするのでしょうか。
まずは、教育免許取得上の必修の単位を取得します。
内容は、教育学、教育史、授業実践に関する科目、児童心理や教育心理といった心理学、外国語、体育などです。
それ以外に、専門科目の勉強をします。
養護教諭の専門科目は、医療系・心理系・教育系の3種類に大別されます。
医療系では、解剖学、生理学、病理学、看護学、救急処置法、薬学などを学びます。
心理系では、思春期精神保健、カウンセリング法などを学びます。
教育系では、健康相談活動や健康教育について学び、実際に授業を行う練習をしたり指導案を作成したりします。
まずは、前述の教員免許が必要です。
その他、看護師の免許を持っている養護教諭もいます。
20年ほど前は看護師から養護教諭になる方が多かったため、比較的年配の方に看護師免許保持者が多い印象です。
それ以外にあったほうがいいのは、普通運転免許でしょう。
というのは、特に公立学校採用の場合、辺鄙なところに学校が建てられていることが多く、公共交通機関での通勤では不便な場合があるからです。
通勤しやすい都会で勤務する場合には、必要ない場合もあります。
その他、日本赤十字社や消防署などの救急法・心肺蘇生法の講習で取得できる、認定資格は持っておいて損はないでしょう。
採用試験でアピールできますし、実際働き出したら児童生徒の救急処置が自信をもってできなければお話になりません。
大学でも勉強はしますが、より実践的に詳しく学ぶことができます。
養護教諭の就職先は、私立学校か公立学校かで大きく異なります。
それぞれ解説していきます。
養護教諭免許があれば、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の全ての学校種で働くことができます。
このうち、幼稚園には養護教諭ではなく看護師を採用している場合もありますので、募集としてはあまり多くありません。
公立学校は、都道県や政令指定都市の教育委員会単位で教員採用を行っています。
私立学校では、学校独自に採用を行っています。
また、派遣会社に登録し、私立学校の仕事を紹介してもらう方法もあります。
養護教諭は、学校に1人もしくは2人の採用のため、担任の先生や教科を教える先生に比較すると、募集は多くはありません。
関東地方の公立学校の採用試験では、毎年10倍程度の高倍率となっています。
募集人数も、都道県全体で30~40人程度です。
地方はもっと少なく、「若干名」としか記されていない場合もあります。
公立学校の正規採用の枠は厳しいのですが、臨時的任用講師として働く方法もあります。
臨時的任用講師とは、正規の養護教諭が療養休暇や出産に関わる休暇で長く休職する際に、欠員を埋めるために採用されます。
私立学校は、欠員が出た場合にのみ、募集が行われます。
私立学校は、地方よりも都市部に集中していますので、そういった意味では都会の方が就職には有利かもしれません。
看護師経験のある方が、養護教諭として再就職されることもあります。
特に特別支援学校や私立高校などでは、看護師免許を持っている養護教諭を優先的に採用している場合もあるようです。
確かに、救急処置やフィジカルアセスメントなどの手技は、教育学部出身者より優れていると言えそうです。
「転職」ではありませんが、公立学校に正規採用された場合には、その教育委員会の管轄の範囲内での定期人事異動があります。
例えば、横浜市や千葉市など独自の採用を行っている政令指定都市では、異動の範囲はその市の中に限定されます。
しかし、都道府県の教育委員会に採用になった場合には、便宜上は全県下での異動の可能性があります。
ただ実際には、県を縦断するようなあまりにも広範囲な異動を、本人の意に反して無理矢理行うことは少ないようです。
異動の頻度は、市町村立の学校で7年前後、都道府県立の学校で10年前後が一般的です。
また、例えば旦那さんの転勤についていくために、その学校を退職しなければならないというときもありますよね。
転勤先が違う都道府県の場合には、もう一度、採用試験を受けなおさなければなりません。
教員免許状は全国で有効ですが、採用は教育委員会ごとに行っているためです。
私立学校であれば、基本的には定期の異動はありません。
もし違う学校で勤めたい場合には、募集を待ってエントリーするしかありません。
公立学校の場合、養護教諭も地方公務員の扱いになります。
また、担任の先生や教科を教える先生と養護教諭に給与の差はありません。
ただし、部活動を指導することでもらえる特業手当や主任職を務めることでもらえる主任手当などは、養護教諭がその分掌を担わない限りもらません。
そのため、実際の手取り額については、同じ在職年数者で比較すると若干低い傾向にあるようです。
地方や各種手当によって給与に差はありますが、平均すると概ね40万円程度です。
しかしこれは全年齢の平均給与なので、新卒のころはもっと低い額になります。
4大卒者で、概ね22万円程度からスタートすることが多いようです。
私立学校の場合、学校法人の職員となるため、給与の決定も様々です。
一般的に、有名私立の先生は高給だというイメージがありますが、養護教諭に関しては残念ながら当てはまらないことが多いようです。
進学実績の良い有名私立学校では、それぞれの先生方の教科指導によって学校の評判が支えられています。
教科の指導にほとんど関与しない養護教諭は、そういった面での貢献度は低くなり、給与査定が高くならないのでしょう。
また、私立学校では養護教諭を非正規雇用で賄っている場合もあります。
非正規の場合は、賞与が出ないなど給与が低くなってしまうことがあります。
公立学校の養護教諭を目指す場合には、まず、勤務したい地方自治体の教育委員会のホームページを確認してください。
必ず教員採用に関するページがあるはずです。
なるべく早く仕事を見つけたい場合には、講師登録をしましょう。
講師登録の際に、教育委員会で採用面接などをする場合もあります。
講師登録をしておくことで、養護教諭に欠員が出た場合に連絡が来るようになります。
自治体ごとにルールが異なるのですが、複数の教育委員会に講師登録をすることも可能です。
特に年末から年度末にかけては、次の年度からの勤務の依頼が来やすいでしょう。
比較的時間の余裕がある場合には、毎年夏に行われる教員採用試験を受けましょう。
願書の受付は、概ね5月、1次試験が7月、2次試験が8月~9月に実施されることが多いです。
もし勤務地にこだわりがない方は、試験日が被らなければ複数の自治体の試験を受けられますので、併願してみるのも良いでしょう。
試験の内容としては、「教職教養」「一般教養」「専門教養」といった筆記試験の他、面接、実技試験、模擬授業の実演などがあります。
採用試験に合格した場合には、次の年度から正規の養護教諭として勤務することができます。
勤務先が決まるのは、概ね2~3月です。
また、臨時的任用講師として働きながら、採用試験を受けることもできます。
現職者のために、ほとんどの自治体で、採用試験を土日に開催しています。
私立学校では、法人独自の採用試験や採用面接を課しています。
時期は秋から年末にかけてが多いようです。
ただ、前述の通り、養護教諭の採用数は少ないため、働きたいと思っている私立学校で募集があるかは分かりません。
一つの学校にこだわらず、複数の学校の情報を確認すると良いでしょう。
各学校法人のホームページを逐一チェックするよりは、求人情報サイトから検索するほうが効率が良くなります。
公立と違い私立学校は、人材派遣会社やインターネットの求人情報サイトから募集を探すことが可能です。
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(正社員希望の人限定)
将来性という言葉の意味を考えたときに、まず頭に浮かぶのが、「テクノロジー失業」に合わない仕事かということです。
近年、人工知能の開発により、人間の仕事がロボットに奪われるのではと話題になっています。
ロボットに取って代わられてしまう可能性のある仕事は、ルーティンワークや対人コミュニケーションの必要のない仕事です。
一方、将来性のある仕事としては、機械化しにくい臨機応変さやコミュニケーションが求められる仕事だと言われています。
養護教諭の仕事は、生身の子どもたちと日々関わる仕事ですので、近い将来に需要がなくなることはまずないでしょう。
もう一つ、「将来性」の意味合いとして、「成長し続ける業種か」という視点もあります。
例えば、高齢社会における医療や介護は成長分野と言えます。
また、IT業界も伸び盛りと言えるでしょう。
それに比較すると、教育業界は成果を数字で表すことが難しく、一部の私立学校を除いて成果主義的に「稼げる」分野ではありません。
つまり、養護教諭の働く教育業界は、この先も残り続ける安定した分野ではありますが、給与がどんどん上がり稼げるような成長分野とは言えないでしょう。
子どもと日々関わることができ、やりがいのたくさんある養護教諭。
採用されるまでは狭き門ですが、目指す価値のある仕事と言えそうです。
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かつての日本では、一度勤めたからには生涯その会社に勤め続けることが美徳とされていました。しかし今や、経験やスキルを基に転職をし良い条件で働くことを求めるのは当たり前のことになりつつあります。それは養護教諭としても同じことです。養護教諭の場合、転職にはいくつかのパターンがあります。まずは職種を変えずに養護教諭から養護教諭へ転職する場合。これは、自治体や法人、学校種、雇用形態や給与を変えたい場合に行います。もう一つは養護教諭から違う教員を目指す場合。後述しますが、免許状があれば可能です。最後は養護教諭から民間企業に勤める場合。社会人経験を活かして、新卒者とは差別化したアピールができると良いですね。
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