小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の保健室に勤務する、養護教諭。

養護教諭は、医師や看護師ではなく、れっきとした教員です。

おだやかに仕事をこなしている人が多いような印象がありますが、実際のところはどうなのでしょうか。

ここでは、養護教諭が仕事を辞めたいと感じてしまういくつかの理由について紹介していきます。

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養護教諭を辞めたいと感じる人の5個の理由とは?

一口に養護教諭と言っても、勤務先や雇用形態は様々です。

正規採用の教諭もいれば、非常勤講師、臨時的任用講師もいます。

養護教諭の教員免許を取得すれば、小・中・高校・特別支援学校のどこでも勤務することができるため、学校種が変わると仕事が全く違って戸惑うという悩みもあるようです。

また、私立学校勤務か公立学校勤務かによっても、身分や給与が異なります。

状況によって悩みも様々なため、ここでは場合に分けて紹介します。

若手養護教諭の場合・・・仕事が分からない!

どんなに若くても、大学を卒業したてて実習以外の実務経験がなくても、採用されたからには養護教諭です。

規模の小さい学校であれば、学校に養護教諭は一人しか置かないため、校内に引き継ぎをしてくれたり仕事を指示してくれたりする存在はいません。

それでも児童生徒が来室すれば、救急処置や健康相談を行わなけらばなりません。

また、養護教諭は多くの事務仕事も抱えており、締め切りのある報告物も多くあります。

若手の養護教諭の場合は、何をしていいのか分からず、不安を抱え「仕事辞めたい・・・」と考えてしまう人もいるようです。

それを乗り越えるための方法とは?

第一に、前任者との引継ぎを丁寧に行いましょう。

多くの事務仕事は、毎年度、同時期に同様の内容を処理しているものです。

過去の文書の保管場所や読み方をうかがっておきましょう。

第二に、児童生徒への対応は、経験的に慣れるしかありません。

心肺蘇生法や救命救急処置について、しっかり学んでおくことは大前提ですが、日々の経験も重要な学習です。

第三に、管理職や年長の職員、地域の別の学校の養護教諭などに、分からないことは素直に迅速に聞きましょう。

課題を放置しておくと、大きな問題になりかねません。

若手養護教諭の場合・・・年上の先生方との関係が難しい!

若手養護教諭の悩みは、他にもあります。

一年目だろうと、新人だろうと、学校保健に関する内容については責任をもって行う必要があります。

時には、年上の先生に依頼をしたり意見をしたりすることもあります。

快く受け入れてくれる先生がほとんどですが、中には「今年の養護教諭は生意気」「何も知らないくせにえらそうに・・・」と悪く受け取る人もいます。

私自身の経験談ですが、生徒が過呼吸をおこした際に、現在は医療分野でも禁忌とされているペーパーバック法で対処しようとした担任の先生がいらっしゃいました。

30歳以上年上の大変怖い先生だったのですが、今はペーパーバック法で過呼吸に対処してはいけませんということをお伝えしました。

それを乗り越えるための方法とは?

日頃から良い人間関係を作っておくことが大切です。

日頃は年長者を敬い、気持ちの良い挨拶をしたり雑事を引き受けたりといった社会人として当たり前の行動を心掛けましょう。

「養護教諭としてここは譲れない!」という部分については、しっかりと主張しましょう。

関係性が良ければ、ほとんど悪く受け止められることはありません。

非正規雇用の場合・・・なかなか正規採用になれない!

公立学校で正規雇用の養護教諭になるためには、教員採用試験に合格する必要があります。

養護教諭の採用試験は狭き門で、どの都道府県でも9倍から30倍程度です。

非正規雇用の講師として働きながら、試験を受け続ける人が多くいます。

しかし、非正規雇用の場合、多くは単年度の契約になります。

仕事ぶりを認められて、来年度も契約更新になったとしても、同じ学校勤務し続けられるとは限りません。

人によっては、毎年違う学校に赴き、慣れない学校での勤務を続けることになります。

そのような生活に疲れ、養護教諭を辞めたい・・・と考えてしまう人も少なくないようです。

それを乗り越えるための方法とは?

採用試験に合格できれば万々歳なのですが、そう上手くいかないのが現実です。

たいていの都道府県では、採用試験の願書提出が5月中、一次試験が7月、二次試験が8月に実施されます。

一学期はとくに養護教諭にとって忙しい時期なので、十分に試験対策ができないまま、試験を迎えることになってしまうのです。

まずは、時間をかけて試験対策をすることです。

講師として働いている学校で、管理職から面接練習をしていただけることもあります。

地域の別の学校養護教諭に、願書や小論文をチェックしてもらうこともできるでしょう。

お金はかかりますが社会人向けの予備校もあります。

やれることをしっかりやって、合格を目指しましょう。

また、公立学校での正規採用ではなく、私立学校での正規採用を目指すという方法もあります。

地方に比較して、私立学校が多い都市部の方が、採用も流動しています。

複数配置の場合・・・相方養護教諭との人間関係が辛い

全校生徒が850人以上いるような大規模校の場合は、養護教諭が2人配置されます。

また、特別支援学校では、通っている子どもたちの障害種別によって、養護教諭の人数が多かったり看護師が配置されていたりします。

保健室に複数養護教諭がいるというのは、頼もしい反面、人間関係の軋轢も生まれやすくなってしまいます。

基本的に、養護教諭として採用されている限りは、そこに職位の上下はありません。(例えば経験を経るごとに、主査や主任といった肩書がつくわけではありません。)

しかし、相手の方がベテランの場合は、なんとなく上下関係が生まれてしまい、相手のやり方に合わせざるを得ない、上司のように指示をされてしまうという状況もあるようです。

逆に、相方が仕事のほとんどわからない新人の場合は、教えることに時間がかかってしまい、「これなら一人でやった方がよっぽど早く仕事が終わる!」とフラストレーションを溜めている養護教諭もいるようです。

広いオフィスの中に苦手な人がいる場合と違い、せまい保健室で二人きりで過ごすことが多いと、人間関係の辛さがより堪えてしまうのでしょう。

「あの人の顔を見たくないから仕事をやめようかな・・・」と思い悩む人も少なくないようです。

それを乗り越えるための方法とは?

まず、理不尽なモラハラやパワハラに悩んでいるようなら、管理職などしかるべき立場の人に相談しましょう。

公立学校であれば必ずお互い異動があります。

状況によっては、どちらかの異動を早めてくれることもあります。

続いて、相手が非正規雇用の場合は、仕事ができる人を雇ってもらえるように、管理職に進言しましょう。

保健室の仕事が滞ることは学校にとってもマイナスですから、きっと力になってくれることと思います。

難しいことですが、あまり相手を気にしすぎず、自分自身の仕事を粛々と丁寧に行うことが大切です。

子育て中の場合・・・家庭との両立が大変!

子育て中の養護教諭も、なかなか悩みが絶えません。

民間企業などでは、育休明けの社員は短時間勤務を選択し、始業や就業の時間を調整して勤務に当たります。

給与が減ってしまうというデメリットはありますが、朝や帰宅後に子供と向き合えるゆとりの時間が生まれたり、仕事を同僚に少し受け持ってもらったりすることができるというメリットがあります。

しかし、一人で勤務している養護教諭の場合、短時間勤務を選択する人はあまりいません。

なぜなら、勤務時間を短くしても、仕事量自体は変わらず、結局持ち帰りや休日出勤で仕事を片付けることになってしまうからです。

保育所に預け始めたと同時に、フルタイムでバリバリ働かざるを得ない状況にあります。

複数配置の養護教諭は、比較的短時間勤務を選択している人が多いようです。

また、我が子の体調不良などにより、仕事を休まなければならない事態も頻発します。

事務仕事はたまる一方で、夜帰宅した旦那さんとバトンタッチして、深夜に出勤して仕事を片付けたという話も聞くほどです。

さらに、運動会やマラソン大会など、ケガの多い行事の際に養護教諭が不在というのは、危機管理上よろしくないため、基本的に休むことはありません。

つまり、我が子の行事と重なっても、仕事を優先せざるを得ないのです。

こういった状況に悩み、子育てに集中するために仕事をやめようか・・・と考える方もいるようです。

それを乗り越えるための方法とは?

まずは、夫や両親など、家族の協力が不可欠でしょう。

また、病児保育やファミリーサポートなどの制度をフル活用しましょう。

自治体によって補助がある場合もあります。

そして、職場でも正直に大変さを話し、温かく見守ってもらえるような関係づくりに努めましょう。

子どもに手がかかる時間は、振り返ってみると短い期間です。

キャリアをあきらめなくても済むようにしたいですね。

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辞めたい時もあるけど、養護教諭をおすすめする理由とは

ネガティブな内容を多く書き連ねてしまいましたが、子どもたちの心身の健康を支え、成長を見守ることができる養護教諭は、とてもやりがいのあるお仕事です。

お勧めする理由をまとめましょう。

子どもたちの存在

学校には、本当に様々な児童生徒がいます。

心も体も元気で保健室に行ったことなんてない、保健室の先生ってだれだっけ?という子もいれば、その一方で、保健室を頼りに思っている子どもたちも大勢います。

持病のある子、アレルギーのある子、なんとなく午前中は元気が出ない子、気持ちが落ち込みやすい子、勉強についていけない子、学級になじめない子、親と離れることに不安がある子、友達といると疲れてしまう子。

様々な「不調」を抱えた子が、保健室で過ごす時間を必要としているのです。

この子たちのために私がしっかりしなくちゃ!と思って、私自身仕事に励んでいました。

今考えると、そういった子どもたちの存在は、自分にとっても支えだったのだと思います。

心のケアに関われる

思春期の悩みの多い子どもたちの、精神面のサポートをする仕事につきたいと考えている人もいるかもしれません。

心のケアというと、カウンセラーの領域のようですが、養護教諭も「健康相談活動」という名目でカウンセリングを行うことがあります。

学校にも非常勤でスクールカウンセラーが配置されるようになりましたが、いきなり知らない人のところに行って心情を吐露するというのは、子どもたちにとってはハードルが高いものです。

普段から顔見知りの養護教諭だからこそ、話しやすいと相談を持ち掛けてくる生徒は多いです。

話を聞いたうえで、カウンセラーにつなげた方がいい、保護者に伝えた方がいいといった判断をすることもあります。

子どもたちが明るさを取り戻せるように支援するのも、大変やりがいのある重要な仕事です。

予防的なアプローチができる

医者や看護師は、病院で子どもたちの治療を行います。

それは、子どもたちの健康を支えるうえで必要不可欠ですが、不調をきたした「後」でしか、子ども達に関われないという側面もあります。

養護教諭は、学校で健康な子どもたちの日常に触れることができます。

そのため、不調をきたさないように、予防的なアプローチをとることが可能になるのです。

アプローチの方法は様々で、集団や個人に対する健康教育、または教室の空気や温度の環境整備など。

子どもたちが、健康なままに過ごすことができるように支援する、それが養護教諭の仕事の大きなポイントだと思います。

公立学校採用であれば、安定した身分保障

公立学校に採用になった場合には、養護教諭は教育公務員の扱いになります。

給与もその自治体の定めた給料表に基づいて支給されることになります。

公務員の給与は、民間企業などの給与平均に近い水準になるように、毎年調整されています。

そのため、同世代の平均的な額を受け取ることができます。

また、公務員は産休や育休の制度が保障されています。

育休明けの年度は、基本的には異動はありません。

育休をとったからといって給料が下げられてしまうこともありません。

職場には子育てをしながら働いている先輩がたくさんいるため、理解も得られやすい環境です。

さらに、毎年昇給が見込めるというのも、この不景気の時代には嬉しいポイントでしょう。

賞与も年2回もらうことができます。

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まとめ

辞めたいときもあるけれど、やっぱり仕事は楽しい!というのが本音でしょうか。

養護教諭の悩みについてまとめました。


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