ケアマネージャーの資格を取得するためには、規定に示されている資格を取得した上で、福祉の現場で5年以上900日以上の経験を重ね、「介護支援専門員実務研修受講試験」と呼ばれる試験の受験資格を取得する必要があります。

受験資格を取得した後は、その試験に合格、実務研修を受講し登録を済ませることで、ようやくケアマネージャー資格が取得できます。

その資格を取得した後で初めて仕事に就くことが許されます。

それだけの苦労を重ねてようやく就職したケアマネージャーの仕事でも、辞めたいと感じることが出てくるかもしれません。

今回は、ケアマネージャーを辞めたいと思う理由とその乗り越え方について記していこうと思います。

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ケアマネージャーを辞めたいと感じた4個の理由と乗り越え方とは?

努力して取得したケアマネージャーの仕事を辞めたいと思う理由は、人によって様々です。

ここでは、私自身が辞めたいと感じた理由や、周囲でケアマネージャーとして働いている方から聞いた辞めたい理由とその乗り越え方について書いていこうと思います。

利用者やご家族から責められてしまう

ケアマネージャーはサービス利用希望者が希望する生活を送ることができるように調整する役割を担っています。

しかし、何かのきっかけでサービスを利用する利用者やそのご家族から責められたり怒られてしまうことがあります。

怒られたり責められたりすることで自信を喪失し、ケアマネージャーを辞めたいと感じる気持ちに繋がってしまうことがあります。

その乗り越え方とは?

まずは自事業所に戻ってから、上司や先輩などに相談してみましょう。

自分が怒られたり責められたりした理由を専門職である先輩や上司に第三者として客観的に見てもらうことで、問題解決が図れる場合があります。

自分が取った行動に間違いがあったのであれば、指導をいただくことで次回からの支援に活かすことができます。

また自分に非がない場合であったとしても責められたり怒られたりしてしまうことが皆無というわけでもないので、その場合は担当者の変更等も含めて相談する必要が出てきます。

どちらの場合であったとしても自分一人で解決することは難しいと思われますので、抱え込まずになるべく早く相談するようにしましょう。

書類の多さに圧倒されてしまう

特にケアマネージャーになったばかりで仕事に慣れていない内は、今まで見たことのないような書類が沢山出てきて困惑してしまうことが多いです。

アセスメントやモニタリング、サービス担当者会議の記録や支援経過記録など今までの職種では作成したことがなく実務者研修でサラッと教わっただけ…自分で学ぼうにも定期的にそれらの書類を作成しなければならず、請求業務等も担わなければなりません。

書類作成業務をこなすことができず、ケアマネージャーを辞めたいという気持ちに繋がってしまうこともあります。

その乗り越え方とは?

経験者である先輩に教わることが一番の近道だと思います。

先輩ケアマネージャーも皆毎月行っている業務なので、先輩の作成した書類のお手本を見せてもらったり自分の作った書類を確認してもらうなど指導を受けるようにしましょう。

他事業所のケアマネージャーの書類を見る機会はなかなかないと思います。

新人ケアマネージャーの方には、最初に勤務先を決める際に、ある程度の人数のケアマネージャーが在籍している事業所に勤め指導を受けながら仕事ができる環境を選ぶことをおすすめします。

他職種とのコミュニケーションが取りにくくなった

特に介護現場から施設ケアマネージャーになった方が陥りやすい問題です。

今まではあまり問題なく一緒に仕事をしていた介護職員と、業務内容が異なるケアマネージャーになってからは上手くコミュニケーションが図れなくなり、職場に居づらくなってしまうことがあります。

面と向かって「ケアマネージャーになってから(自分が)変わってしまった」「業務が楽で良いね」など他職種から責められてしまうとメンタルに負担がかかり、ケアマネージャーを辞めたいという気持ちに繋がります。

その乗り越え方とは?

まずはケアマネージャーの役割を再度理解するようにしましょう。

ケアマネージャーは介護職員をはじめとした様々な職種と連携・調整を図り、利用者がより良い生活を送れるようなケアプランを作成することが役割となっています。

前職に就いていた時とは立場が異なりますし、考え方が前職の時と全く変わらないという事はそれこそ問題となってしまいます。

同時に、自ら積極的に他職種の方とコミュニケーションを図るように心がけましょう。

ケアマネージャーになると、前職に就いていた頃は意識しなくても得られていた情報が得られなくなってしまうことも多くあります。

現場に積極的に出向き、他職種から「情報を教えていただく」という立場でコミュニケーションを図るようにしましょう。

もしそれでも理不尽に責められたり無視されるようなことがあるならば、それはきちんと上司に相談し職場環境の改善を図ってもらうようにすることをおすすめします。

困難ケースの担当を任され、支援方法が見つけ出せない

自宅で生活している方を支援する居宅ケアマネージャーが多く陥る問題です。

現代日本は多様な価値観を持ち、生活環境も複雑化しています。

それに伴い、それぞれの利用者やそのご家族が抱える問題も複雑化・多様化している現状があります。

そんな中、ケアマネージャーが調整する介護サービスを利用することで全て問題が解決することはほとんどないと言えます。

大きな社会問題となっている金銭的な問題を抱えている方や老老介護、虐待、アルコール依存症、社会的孤立などの問題を抱えている方などは「困難ケース」と呼ばれ、どのような支援を行って良いか見当もつかないという状態に陥ることも少なくありません。

支援方法を考えても良い方法が浮かばなかったり支援の実践が困難で問題を解決に導けなかったりすることが続くと、自分の無力さを痛感し、ケアマネージャーを辞めたいという気持ちになってしまいます。

その乗り越え方とは?

自分一人で抱え込まないことが第一に挙げられます。

困難ケースを支援するのは難しいことであり、ベテランのケアマネージャーであったとしても一人で支援することは不可能です。

担当ケアマネージャーであるあなたの力不足で支援ができないわけではないということを念頭に置きましょう。

困難ケースの方の担当ケアマネージャーになった場合は、まず相手の方が置かれている状態をなるべく詳細に把握し、様々な専門職やサービス事業所の職員などと協力して支援方法を考えていくことが必要です。

所属事業所に上司や先輩がいるのであれば、必ず相談するようにして下さい。

相談した上で困難ケースと呼ばれる方達の支援方法や関わり方を一緒に考えてもらったり、場合によっては上司や先輩などと一緒に同行訪問してもらい打開策を一緒に考えることも効果的と言えます。

また地域包括支援センターは困難ケースを担当するケアマネージャーの支援を行うことも業務に含まれているので、必ず相談と協力、場合によっては地域ケア会議の開催をお願いするようにしましょう。

特に高齢者虐待防止法において、高齢者虐待を受けているであろう高齢者は発見次第通報する事が義務と定められています。

高齢者虐待を発見した場合は個人情報保護の適用除外規定に該当するので、躊躇することなく地域包括支援センター職員に通報するようにしましょう。

色々と試したけれど、やっぱり辞めたい!辞める前にやっておきたいこととは?

「上記に挙げたような内容は試した」「試しても現状は打開しなかった」ということもあると思います。

ここでは、いきなり辞めてしまう前に少しやっておく必要があること、やっておいたほうが良いことを挙げてみたいと思います。

次の仕事を探しておく

仕事をする理由は人によって様々ですが、仕事をする必要がないという方以外は在職中に次の仕事を探しておくことをおすすめします。

退職してから仕事を探すということも、時間的に余裕があり職場を色々と見極めることができたり、失業手当の受給も人によっては可能だったりとメリットはあります。

しかし次の仕事に就く前に退職してしまうと、怪我をしたり体調を崩して一定期間就業不可能になった時などに支給される「傷病手当金」が受け取れないなどのデメリットもあります。

残務整理をきちんと行う

仕事を退職すると決めると張り合いややる気がなくなり、いい加減な仕事をしてしまう人がいます。

正当な扱いを受けていない、ブラック企業に勤務しているなどの特別な理由がないのであれば、最後の日まであなたはその会社に雇用されている社員です。

きちんと仕事を行うことが社会人としての義務なので、退職が決まっていたとしても自分が任されている仕事を全うするようにしましょう。

福祉の業界は横の繋がりが多いため、別の職場に移ったとしても前職での仕事っぷりが噂として入ってくることも多々あります。

自分が次の職場で仕事をしやすくするためにも、全力で仕事に取り組むようにしましょう。

担当利用者やそのご家族、関係機関に挨拶をしておく

退職する意思を固め退職日が決まったら現在担当している利用者やそのご家族、お世話になっているサービス事業所などの関係機関に挨拶しておきましょう。

特に現在担当している利用者やそのご家族には多かれ少なかれご迷惑をおかけしてしまいますし、次に引継ぐ担当の紹介なども必要になります。

退職理由を詳しく話す必要はありませんが、ご挨拶はきちんとしておくべきでしょう。

関係機関はその仕事を退職した後でもお付き合いが発生する可能性が高いです。

自分が担当している利用者が利用しているサービス提供事業所には、特に丁寧にご挨拶をしておくことをおすすめします。

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ケアマネージャーを辞めた後にはどんな仕事がおすすめ?

どんなに努力や工夫をしても、ケアマネージャーの仕事が合わないという場合もあります。

しかし、ケアマネージャーを辞めたとしても働かなければならない場合も多々あることでしょう。

ここでは、ケアマネージャーを辞めた後におすすめする仕事をいくつか挙げていきます。

介護職員

利用者と接する時間が減ったことや給与面の問題でケアマネージャーの仕事を辞めた方におすすめです。

高齢者を支援する上では様々な職種がその方に関わることになりますが、利用者と接する時間が一番多いのは介護職員です。

またケアマネージャーの仕事は日勤帯が基本となりますので、夜勤に入ることができる介護職員であればケアマネージャーの給与より高くなる可能性もあります。

就業先によっては介護職員にのみ処遇改善加算を財源とした手当などが支給されることもあるため、更に給与に差がついてくる可能性もあります。

介護認定調査員

市役所等で募集をかけていることがあります。

募集条件としてケアマネージャーの資格を持っていることを挙げている所も多いです。

日勤の時間帯で介護認定の申請をされた方の家に行き、その方の日常生活についてご本人またはご家族から聞き取りを行った情報を書類に転記していく仕事です。

介護業務とは違い身体的な支援は一切ないので、身体的なことが理由で介護職員に戻ることが困難な方や日勤帯の時間での仕事を希望される方にはおすすめです。

しかし、この仕事の求人募集はほとんどが契約社員や嘱託社員であり日給制を採用している所も多いため、正規職員での仕事を探している方にはおすすめできません。

訪問介護事業所のサービス担当責任者

訪問介護サービス利用者に対する訪問介護計画書を、ケアマネージャーが作成したケアプランに基づいて作成したり、所属する訪問介護員の指導や育成、ケアマネージャーとの調整役などの業務を担う仕事です。

調整役が主となるケアマネージャーと業務内容で重なる部分がありますが、専門職に対する調整という仕事は少なく、自事業所のまとめ役という役割のほうが強くなります。

まとめ

せっかく取得したケアマネージャー資格なので、活かして働きたいという気持ちを持つ方は多いでしょう。

しかし自分に合わない仕事を無理してずっと続けてしまうと、体や心に不調をきたしてしまいます。

安易に辞めてしまうことは考えず、且つ自分の心と体は無理させすぎずに上手にバランスを取り、自分に合った仕事を見つけられることを願っています。




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