ケアマネージャーと言えば、「試験が難しい」「なんとなく仕事が大変そう」「しかし介護職の中では給料が高い仕事」というイメージがあると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?
この記事では、ケアマネージャーの仕事内容、気になる給料事情や転職方法、向き・不向きからやりがいまでお話していきます。
ケアマネージャーになろうと考えている人や介護に興味のある方はもちろん、将来なりたい職業を迷っている方も、この記事を読んでいただければケアマネージャーの魅力が分かるはずです。
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ケアマネージャーとはどんな仕事?
ケアマネージャーの正式名称は「介護支援専門員」で、一番の仕事は利用者のケアプラン(居宅サービス計画・施設サービス計画)の作成となります。
しかしながら実際の仕事は多岐にわたり、一言では説明できない複雑さです。
ケアマネージャーの仕事は大きく3つの役割に分けられる
1.ケアプランの作成
ケアマネージャーの最も重要な仕事は、このケアプランの作成です。
ケアプランは利用者本人が作成することも可能とされていますが、実際介護保険の自己負担もありませんし、下記に挙げる煩雑な作業を個人が行うことは非常に大変なので、介護保険利用者の殆どがケアマネージャーと契約を結んでいます。
介護保険を利用するなら必ずこのケアプランが必要で、ケアプランに記載していないことは介護保険が算定できなくなるので、非常に責任の重い仕事となります。
2.介護保険に関わる手続き
担当する利用者は基本的には高齢で介護、支援が必要なので、沢山ある介護保険の手続きはケアマネージャーが代行することになります。
また介護保険上の請求業務等もケアマネージャーの仕事の一つです。
その他にも細々したことで役所とやり取りする機会は非常に多いです。
3.相談業務
ケアプランと並び、これも最重要業務の一つとなります。
利用者本人の不満や不安を聞くのは元より、その周囲の人々の相談に乗ることも大切な仕事です。
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ケアプランの作成の4つの業務
1.アセスメント
利用者の生活歴や既往歴、家族構成から年金の種類に至るまで、事細かに情報を聞き出し記録します。
もちろんADLの情報や認知症の症状等もしっかりと聞き取り、このアセスメント表を見れば利用者のことが全て分かるようにしておく必要があります。
既往歴、現病歴はもちろん、生活歴や趣味嗜好を聞き取ることでデイサービスなどを探す際の参考になりますし、家族間構成に関しても、誰に決定権があるのか、揉めている関係はないかなど後々必ず必要となる情報です。
社会保険や年金のこと、子供の有無など、関係性のできていない時に全てを聞き出すのは難しい事柄もあります。
人によっては警戒心を持たれてしまうことも。
基本的なことだけしっかりと聞いておいて、後は普段の会話から拾った事柄をまとめるという形が最も抵抗がないと思われます。
2.担当者会議
アセスメントをしたら、その利用者の意向や状況に合った介護サービスの提案をします。
許可が出た場合は事業所を探し、担当者会議を行います。
この事業所探しというのがなかなか大変な作業で、デイサービスであれば様々なスタイルや特色の中から利用者に合う所を選ばなくてはなりません。
訪問介護等も今は人手不足で空きが少ないので、利用者の希望に沿う所をあちこちに電話をかけて探します。
そして事業所が決まれば、各事業所の担当者が集まって今後どのように利用していくか、回数や時間、曜日などを詰めていきます。
この時ケアマネージャーは暫定的に作ったケアプランを持って会議に臨み、利用者や事業所に配布、プラン通りであればサインを貰いますが、この会議で内容が変わることも多々あり、その場合はプランは作り直しとなります。
担当者会議の開催も法的に決められたものなので、然るべき書面に整理し、記録を残しておかなくてはなりません。
3.ケアプランの作成
ケアプランは決められた雛形がありますので、そこに必要事項を記載して作成します。
本人や家族の意向、サービスの利用による支援の方向性、サービスを使うことでどうなりたいか長期目標や短期目標を立て、そしてサービス内容を記載していきます。
ここに記載されたサービス以外は介護保険の算定が許されていないので、ケアマネージャーに言わずに勝手にデイを利用したりケアプランにないサービスをヘルパーに頼むということはできず、かなり重要な書類です。
このケアプランを利用者に交付し、同意の上で署名・捺印を貰えば、その写しを今度は関係事業所に交付します。
事業所はケアプランを基に各事業所の計画書を作成することとなります。
このケアプランの作成は、新しいサービスが始まる時やサービスの変更があった時、介護保険の更新時などの節目節目に行いますが、上記のアセスメントと担当者会議もその都度行い書面に残さなくてはいけません。
そのため、体調の変化等で頻繁にサービスが変わる人の場合はなかなか大変な作業です。
4.モニタリング
こちらも法的に決められたケアマネージャーの業務の一つで、要介護の場合は毎月訪問しモニタリング…つまりは今のサービスで過不足はないか、困っていることはないかなど聞き取りを行い書面に残します。
要支援者の場合の訪問は3ヶ月に1度で、残りの2ヶ月は電話でのモニタリングとなります。
モニタリングは原則自宅で、必ず本人を交えて行わなくてはなりません。
介護保険に関わる手続きの3つの業務
1.申請代行
介護保険は期限があり、時期が近づけば更新手続きを行って認定調査を受け、次の要介護度を出してもらう必要があります。
この更新申請の代行手続きも居宅のケアマネージャーが行うことが多く、更新時期をきちんと把握し、役所に書類を持って手続きに行きます。
必要があれば認定調査に立ち会い、しっかりと情報を調査員に伝えなくてはなりません。
結果が届き次第教えてもらい、次のケアプラン作成を行います。
基本的には認定満了日の60日前より更新申請を行うことができ、申請をして調査に来てもらってから概ね1ヶ月程度で次の結果が出ます。
2.給付管理
月初10日目までに前月のサービスの利用実績を事業所から受け取りレセプトに入力、国民健康保険団体連合会に提出します。
この給付管理は、実績がきちんとケアプラン通りに行われているかを確認する作業でもあります。
ケアマネージャーが国保連に請求した単位と事業所が請求した単位とが一致しないとその金額が入金されませんし、ケアマネージャー側が何かしらのミスをしてしまうと事業所に一切お金が入らず翌月に持ち越しになってしまったりするので、かなり責任の伴う業務です。
3.必要時は区分変更を行う
介護保険の認定期間は現在6ヶ月~2年に設定されていますが、高齢者の場合この間に病気や怪我等で大きくADLが低下することがあります。
そうなると、元々出ていた介護保険の結果では必要なサービスが補えなくなります。
その場合は区分変更申請を役所に出し、期間満了前に再度認定調査に来てもらうことができます。
状態が悪くなっていてもサービス量に不足がなければ行う必要はないので、どの段階でこの区分変更を行うかはケアマネの裁量に委ねられている部分が多いです。
相談業務の3つの業務
1.利用者の相談
ケアマネージャーは利用者と契約を結んでいるので、利用者本人の相談に乗るのは当然の業務です。
介護保険のことのみならず、必要時には生活全般の相談に乗り対応します。
2.家族
利用者と同じくらい重要な業務が家族の相談に乗ることです。
ある程度以上の介護が必要な方や認知症の方の家族の負担やストレスは尋常なものではなく、そのまま放置しておくと虐待や事件にも繋がりかねません。
介護疲れがあれば、きちんとそのことを相談してもらえるような関係性を日頃から築いておき、必要時には一時的なサービスの利用を提案します。
家族が介護疲れから病気になってしまったり倒れてしまえば利用者の生活も脅かされますし、昨今は老々介護や介護離職が社会問題にもなっています。
普段から事業所とも連携を図り、家族の様子がおかしい時にも教えてもらう必要があります。
3.事業所
利用に際して利用者が問題行動やルールに反する行動をしている場合、事業所からケアマネージャーに相談が入ります。
このような行動は困ります…といった話を直接事業所が行うと関係が悪くなることもありますので、そういう時にはケアマネージャーが間に入り上手に利用者に伝えなくてはなりません。
ケアマネージャーではどういう人と仕事で関わるの?
では、実際ケアマネージャーとして働き出すと、どのような人たちと関わるのでしょうか?
介護職の中でもケアマネージャーが関わる職種は断トツに多いです。
具体的にご説明していきましょう。
サービス事業所
事業所を紹介することがケアマネージャーの仕事です。
実に沢山の現場の人達と関わります。
訪問介護やデイサービス、レンタルなど、年間で100枚の名刺がなくなる程沢山の人と出会います。
実際に利用者を紹介し、わりを持つ事業所ももちろん多いのですが、意外と多いのが様々な事業所の人が営業に来ることです。
新しくできた事業所、もしくは空きのある事業所、施設が入れ替わり立ち代り営業に来ますので、そういう方の対応も大切な仕事なのです。
紹介する人や利用する人がいなくても、ふとした時に現れたりしますので、営業に来た事業所の方のことも覚えておかなくてはなりません。
実際に利用者がサービスを開始すれば事業所に訪問や電話などで様子を訊くので、関係はもっと密になります。
役所
「保険者」とのやり取りは非常に多いです。
各種申請やサービスの問い合わせの他、市町村で行っている研修等に出たり、認定調査の委託を受けていれば調査票を持って行ったりもします。
その他に生活保護課や障害福祉課に出向くこともあります。
自分が働いている市町村の窓口とは顔なじみになるほどなので、他の介護職の方より役所との関わりは大きいかもしれません。
認定調査員
自分の利用者の介護保険の認定調査に同席することも多いです。
然るべき要介護度が出ないと、サービス調整に支障が出たり実際の状況が利用者だけで調査をすると伝わらないことも多く、きちんと同席し、どういった点で困っているのか、実際のところはどうなのか、認知症の症状などを調査員に伝えます。
市町村によっては居宅介護支援事業所のケアマネージャーが認定調査員として役所から委託を受けることもあります。
その場合は、都道府県での認定調査員研修を受講してから各市町村に認定調査員として登録をします。
1件につき約3,200円~約4,000円が相場です。
自分の利用者は担当ケアマネージャーが認定調査をするという所もありますが、そうではない所が殆どなので、初めての方のお宅に訪問し認定調査を行うこととなります。
地域包括支援センター
地域に必ずある高齢者のためのサポートセンターです。
要支援の利用者は原則この地域包括が担当することになっていますが実際のところ人員的にそうもいかないことも多く、その場合は地域包括から居宅介護支援事業所のケアマネージャーが委託を受けて利用者を担当する…ということになります。
以前は一般のケアマネージャーが担当できる要支援は8件までという決まりもありましたが、要支援は包括のやり方によっては非常に書類が煩雑なこと、単価が安いこと(1件3,700円前後)、総合支援事業の開始で要支援者のサービスの斡旋が難しくなったことなどから、委託を受ける居宅介護支援事業所は減ってきているのが現状です。
要支援者の委託以外にも地域包括では高齢者世帯の把握や困難事例の対応や相談などを受け入れているので、自分の持っているケースが大変である場合は相談を持ち掛けたりもします。
また高齢者虐待を見つけた場合には地域包括への報告義務があり、関わりは多いです。
この地域包括でも定期的に研修が開かれるので、参加することもあります。
病院関係者
利用者が入院すると、在宅の情報を病院に提供すれば加算を取ることができます。
また病院によっては退院するときには「退院時カンファレンス」として会議があることが多いのですが、その場合の在宅でのサービス事業所を召集するのはケアマネージャーの仕事です。
その他、医療系のサービス(訪問看護やデイケアなど)を利用するには主治医の指示書が必要です。
認定調査の際にも主治医の意見書をお願いしなければならないので、病院に行き話をしたりもします。
医療と介護の壁は昔から言われており医療関係者が介護保険に理解がなく苦労することもあるのですが、ここ数年は随分改善されてきた印象です。
病院側から、サービスのアドバイスをもらうことも増えてきました。
要介護者にとって医療はなくてはならないものなので、積極的に関わっていきたいものです。
ケアマネージャーの給料事情は?
介護保険施行当時、ケアマネージャーの給料は介護職に比べて破格の高さでした。
今でもそのイメージを持たれがちですが、実際のところ最近はそうでもありません。
一つには、介護保険の改正が繰り返されケアマネージャーの担当件数に上限ができたことがあります。
しかも上限件数マックスを持っているケアマネージャーはそうおらず実際は入院したり亡くなったり施設に入居する度に件数が減るので、なかなか効率良く収益が出ないという点があります。
また一般的な介護職では算定できる「処遇改善加算」がケアマネージャーには付かないので、今では他の介護職の方が給与が良いことも増えてきました。
しかしながらやはり専門職ですので、低賃金ということは当然ありません。
事業所によっては1件あたり幾らという歩合が付く所もあるようです。
ケアマネージャーの仕事でやりがいを感じること
では、実際にケアマネージャーとして働いていて、どのようなときにやりがいを感じるのか?
沢山ありますが、幾つか挙げてみます。
困っていたことが解決した時
ケアマネージャーに相談をする時というのは、何かしら身のまわりで困っていることがある場合が殆どです。
例えば家の掃除ができない、買い物に行けない、お風呂に入れないなどの具体的な相談があることもあります。
しかし、実は利用者本人も気付いていない問題点というのがアセスメント上で浮上してくることも少なくありません。
例えば足が弱ってきて歩けなくなってきたからリハビリを受けたいという相談は多々あるのですが、訪問してみると手すりが付いていなかったり、ベットではなかったり、然るべき補助具を使っていなかったりということがあります。
そういった場合は、介護保険で住宅改修ができ手すりを付けられることや福祉用具貸与のことを説明し、環境を整えたりします。
また、歩けないなら買い物はどうしていますか?ご飯は食べられますか?ということにも広げ、訪問介護の利用を勧めたりもします。
介護保険は煩雑です。
全てのサービスを利用者が知っているわけではないので、状況を聞いた上で本当に困っていることを洗い出し解決に導けた時はとても達成感があります。
利用者や家族の状況が良くなった時
上記のように適切なサービスを説明し利用に結び付けることで、本人の状況のみならず家族の状況も良くなることが沢山あります。
サービスが順調に動き出し状況が改善されることで利用者の笑顔が増えたり家族間の諍いが減ったりもするので、その過程を見られるのはケアマネージャーならではだと思います。
様々な人と協力できること
利用者から相談を受けても、ケアマネージャーが掃除をしたりリハビリをしたりデイサービスに連れて行くわけではありません。
あくまでもサービスの仲介が仕事なので、実際の介護は事業所の出番です。
利用者の状況や性格などを考えて、ここが良いかなと思う事業所を紹介し、双方の合意があれば後はお任せです。
このあたりはお互いの信頼関係がなくては成り立ちません。
サービスが始まってからも当然様子を見に行ったり利用者と事業所双方の話を聞いたりする仕事はありますが、事業所のことを信頼し協力を仰ぐことも大切な仕事です。
ケアマネージャー1人では何もできないので、事業所との協力は本当に大切です。
ケアマネージャーに向いている人のタイプは?
ケアマネージャーの仕事内容を解説しましたが、実際働くにあたってどのような人が向いているのでしょうか?
話をきちんと聞くことができる
これはもう大原則です。
裏を返すと、ケアマネージャーに対する不満の多くは「話を聞いてくれない」「なかなか捕まらない」だそうです。
忙しい中での訪問…中には話が非常に長い人もいます。
実際の仕事としては今使っているサービスの満足度を聞くのがモニタリングなのですが、それ以外の話がとにかく長い人もいます。
しかし普段の何気ない会話にも本人が困っていることが隠れている可能性があるので、信頼関係を築く上で傾聴はとても大切です。
家に閉じ篭っている利用者や介護している家族は、ケアマネージャーが来て話を聞いてくれるのを楽しみにしている人が多いのです。
フットワークが軽い
突然の呼び出しや急な入院等で訪問することも多い仕事。
それ以外にも提供票を持って行ったり、利用者の様子を聞きに事業所に行ったりすることもあります。
電話やFAXで済ますケアマネージャーも多いですが、顔を見て話すほうが信頼関係を築けるので、できるだけ動けるようにしておくほうが喜ばれます。
精神力が強い
働いてみると分かるのですが、とにかく大変なことを言われたり無茶を頼まれたりする仕事です。
できないことをするように詰め寄られることもありますが、そこでメンタルをやられていてはキリがないです。
時には柳に風で受け流す精神力が必要です。
ケアマネージャーのお仕事に向いていない人はどんな人?
では逆にケアマネージャーに向いていない人とは、どういう人なのでしょうか?
次のような人は、ケアマネージャーとして働くと自分も利用者もしんどい思いをしてしまうかもしれません。
何でも引き受けてしまう人
ケアマネージャーは基本的な仕事内容の他にも、とにかく雑用を頼まれることが多い仕事です。
サービス事業所ができないことを利用者が頼んでくることはもちろん、家族や時にはサービス事業所や病院も依頼してくることがあります。
できる範囲で引き受ける分には構わないのですが、何でもしてくれる人に認定されてしまうとどこまでも利用されますので、本来の仕事以上に業務が膨れ上がり、やるべき仕事が回らなくなります。
特にお金を預かってほしいとか下ろしてきてほしいなどの依頼が多いのですが、これはトラブルにも発展するので絶対に止めましょう。
思い込みの激しい人
柔軟な発想で様々なサービスを提案し、その中から本人に選んでもらうというのが正しい形ですが、「これしかありません」「これを利用して下さい」と思い込みの激しいケアマネージャーが沢山います。
自分に自信がないとできない仕事ではありますが、その裏返しで押し付けがましいケアマネージャーも存在し、なぜこんなサービス内容になっているのか唖然とすることも沢山あります。
押し付けではなく、利用者には納得した上でサービスを利用してもらえるように勧める必要があります。
すぐに感情的になる人
利用者や家族から理不尽な訴えや無理な要求を言われることが多々あるのですが、それに対して感情をむき出しにし説教などするような人にはケアマネージャーは務まりません。
感情的になるケアマネージャーには利用者も怯えてしまい、実際の気持ちや状況を素直に話せなくなってしまいます。
あくまで利用者はお客様なので、その意識を忘れてはいけません。
仕事が雑な人
聞いたことをすぐに忘れたり適当に書類を作ったりすると、利用者だけではなくサービス事業所にも多大な迷惑をかけます。
そもそもケアマネージャーがきちんとした仕事をしないとサービス事業所が困ります。
給付管理等は特にそうです。
依頼や相談を受けたことはすぐに解決する、きちんとメモを取り一つ一つこなす、それを書面に残すという作業は確かに大変ですが、雑に仕事をしていると結局自分も困ることになるので、迅速且つ丁寧に仕事をこなさなければなりません。
ケアマネジャーの仕事をするにあたり覚えなければならないこと
1.介護保険
ケアマネージャーをする以上、介護保険のことは何を訊かれても答えられるようにしておかなくてはなりません。
例えば訪問介護事業所で働いていれば訪問介護のことを、デイサービスで働いていればデイサービスのことを、利用者から何を訊かれても答えられるようにしなくてはいけないと思います。
ケアマネージャーの場合は、全ての介護保険のサービスに関することを利用者から訊かれます。
サービス以外にも更新の方法やショートステイ等を利用する時の減免のこと、認定調査の内容など、ありとあらゆる介護保険のことに即答できるようにしておく必要があります。
介護保険は3年に1度改正をしてその都度大なり小なり内容が変わるので、試験の時に頑張って覚えたことがいつまでも生きている情報というわけではありません。
日々の生活で介護保険に関するニュースに気を配っておくなど、常に勉強が必要です。
2.事業所の特徴
ケアマネージャーの仕事はアセスメントをして必要なサービスを提案するので、事業所の種類、各々の特徴をきちんと把握しておく必要があります。
例えばデイサービスはここならこういうレクがある、ここは延長サービスがある、また入浴設備なども各事業所によって違います。
訪問介護も、ここは男性ヘルパーが多いやフットワークが軽いなど日頃からきちんと情報を仕入れておかなければスムーズにサービスが動きません。
情報収集も大切な業務の一つです。
ケアマネージャーの仕事で大変なこと
精神力が必要と書きましたが、大変な仕事というイメージも強いケアマネージャー。
実際どういうところで苦労するのでしょうか。
施設によっては介護職員の業務をお手伝いすることも・・・。
これは施設ケアマネならではですね。
自分のケアマネージャーの業務が溜まっているのに現場の仕事に駆り出されることも本当に多いです。
自分に余裕があるときは良いのですが、そうでない時や、言い方は悪いですが都合良く現場の手伝いをさせられている時などは、何のためのケアマネージャーなのかな?と思ってしまうことも少なくありません。
法律がころころ変わる
これは本当に大変です。
介護保険は3年に1度の改正と6年に1度の大改正があり、根本を揺るがすような変更も起こります。
しかも、案は秋頃からちらほら噂として流れ出すのですが、4月1日施行の法律がいつも3月末頃に決定されますので、その年はもう現場は大混乱です。
利用者にとってあまり良い改正はないので、結局はケアマネージャーがバタバタと説明に追われる羽目になります。
介護保険を理解してもらえないことがある
何度か説明しましたが介護保険には非常に細かいルールがある上に煩雑なので、利用者や家族に理解してもらうのが難しいことがあります。
同居家族がいるので生活援助が受けられない、通院介助は中抜きが発生する、デイサービスや訪問介護の要支援は月額固定で回数が決まっているなどの法律で決まっていることが理解してもらえず、ケアマネージャーのせいにされたりすることも…。
説明するしかないのですが、怒られることも多くなかなか辛いです。
ケアマネージャーになるためにはどうしたら良い?
では、実際にケアマネージャーになるにはどうしたら良いのでしょうか?
ケアマネージャーの資格を取るには
介護や医療の現場経験原則5年を経て試験を受け、合格すれば数日間の研修、その後ようやく資格を手にすることができます。
試験の合格率も低いですが、研修がとにかく大変です。
ようやく資格を取っても5年毎の更新研修があり、その都度数万円費用がかかり、数日間研修に通わなくてはなりません。
働くにあたり、必要なスキルや資格、経験は?
ケアマネージャーの元職(実務経験を積んだ資格)は介護福祉士や看護師、リハビリ系職種から栄養士まで幅広くありますが、特にこの元職の方が仕事に就きやすいということはないようです。
みんな自分の元職の知識はありますがそれ以外のスタートラインは同じなので、どの資格が必要でどの経験が活かせるとは一概には言えません。
居宅ケアマネの場合は少し飽和状態になっていて、ケアマネージャー実務経験者の方が優遇されることもあるようですが、より新しい試験を受けたほうが直近の法律に詳しいと見る所もありますので、未経験でもあまり気にしなくて良いでしょう。
ケアマネージャーで転職を成功させるために
実際に働いてみないと分からないことも多いですが、できるだけ後悔のない転職をするために以下の点に注意してみて下さい。
まずは居宅か施設かを決める
前述しましたように、居宅ケアマネと施設ケアマネは全くの別ものです。
ここをあまり気にせず「ケアマネージャーなら何でもいいか」と働き出してしまうと、思っていたのと違う…ということにもなりかねません。
どちらでも良い場合は大丈夫ですが、そうでなければどちらにするのかをしっかりと決めておいたほうが良いでしょう。
併設する事業所にも注目
病院に併設する事業所はそこから利用者が流れてきますし、施設に併設する所はそこの当直当番が回ってくる、訪問介護が付いていればその事業所を使いたい人が利用者になることが多いなど、併設する施設によっても特色が違います。
単独のケアマネージャー事業所はあまりないので、そのあたりも考慮した方が働き出してから戸惑うことが少なくて済みます。
ケアマネージャーの仕事の将来性は?
ケアマネージャーという仕事について詳しく説明しましたが、そもそも将来的にもこの仕事は安定しているのか?
気になるところですよね。
高齢化が進む今、絶対的なニーズがある。
実はケアマネージャーを通さずに「セルフケアプラン」として自分でケアプランを立てることも法的に可能ではありますが、その場合は今まで解説した煩雑な介護保険絡みの手続きを全て自分で行うことになるので現実的ではありません。
ケアマネージャーの報酬については自己負担がなく全額介護保険負担になっていますので、そこまで大変な思いをしてセルフプランを選ぶ理由が見当たらないのが実際のところです。
今後高齢者が増えていく中で、この煩雑な介護保険を把握し専門的に扱う職種はケアマネージャーしかないので、将来性は充分にあると思われます。
ケアマネージャーの仕事がおすすめな理由
ケアマネージャーは介護業界でも人気の仕事です。
その理由は何でしょうか?
雇用条件によって柔軟な働き方が可能
ケアマネージャーの募集は正社員以外に、パート、派遣と様々です。
「1件あたり幾ら」の仕事なので売り上げの目標が立てやすく、パートであれば担当を少なくするなど勤務時間に応じて調整ができるので、比較的柔軟な働き方ができます。
派遣の場合は、どちらかと言えば施設ケアマネの募集のほうが多いです。
施設ケアマネなら、常に利用者の側にいる
介護職も好きでケアマネージャーもしたいなら、施設ケアマネはぴったりです。
居宅ケアマネになっても、やはり現場が良かったと言い元職に戻る人も少なくありませんが、施設ケアマネであればいつも利用者と触れ合うことができます。
ケアマネージャーの立場から現場に入り様々な観察をすることができるのは、施設ケアマネならではです。
居宅ケアマネであれば、スケジュールの調整がし易い
居宅ケアマネはほぼスタンドプレーの仕事であり、自分でアポを取って仕事の予定を組みます。
そのため比較的自分の都合の良いように調整がしやすく、急なスケジュール変更でも自分が先方に連絡することで何とかなる場合が多いです。
居宅ケアマネは大変な仕事のイメージがありますが、意外と働きやすい仕事でもあります。
まとめ
以上、ケアマネージャーの仕事についてご説明させていただきました。
ケアマネージャーは受験資格を得るまでも大変で、試験の合格率も低く、合格したらしたで研修三昧。
その上仕事は大変だということがお分かりいただけたと思います。
しかし、自分の知識を活かして利用者の生活のアドバイスができるケアマネージャーの仕事はやればやるほど奥が深く日々勉強になりますし、プランが上手くいった時の達成感は何ものにも代えられません。
難しい分とても面白い仕事でもあります。
興味があれば是非チャレンジしてみて下さい。
【ケアマネージャー求人を探す時は、こちらの記事も参考にしてみて下さい】
ケアマネージャー求人でよくある募集内容とタイプ別のおすすめポイント
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