ケアマネージャーになるにはどのようなことを具体的にすべきなのか皆さんはご存知でしょうか?

私はケアマネージャーの仕事をして今年で10年目になります。

初めは施設ケアマネ、現在は居宅ケアマネとして日々働いています。

そんな私から皆さんへ、ケアマネはどのくらい勉強をするのかや、就職するにはどうしたらいいか、どのような点を押さえておくべきか、お話させて頂きます。

ケアマネージャーになりたいという方は、ぜひ参考にしていただけたら嬉しく思います。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
(正社員希望の人限定)

ケアマネージャーになるには?

ケアマネージャーは、正式には「介護支援専門員」という名称で、このケアマネの資格はもちろん公的資格ではありますが、国家資格ではなく都道府県知事主体の任用資格になります。

なりたいなと思ってすぐに取得できる資格ではありませんので、その辺りも詳しくご説明します。

人気の資格、ケアマネージャーとは?

そもそもケアマネージャーとは一体どういう資格でどういう仕事をするのでしょうか?

ケアマネの資格は介護保険の施行、平成12年4月に誕生しましたので、資格としてはまだまだ新しく、現在も法改正に伴いながら仕事内容が若干変化しています。

しかしながら基本的な考え方としては、介護保険を利用するにあたって必ず必要になる、ケアプランを作成する人という位置付けです。

このケアプランは、原則利用者本人が作成する事も可能なのですが、これ以外にも利用するには様々な手続きが必要なのが介護保険。

ケアマネの利用には自己負担も無いですし、ほとんど全ての方がケアマネと契約を結んで介護保険を利用されているのが現状です。

ケアマネージャーの受験資格

まずは介護、福祉、医療業界で実務経験を5年以上積む必要があります。

医師、歯科医師、看護師、理学療法士や作業療法士等リハビリ職、介護福祉士、社会福祉士等の資格を持った上で、実務経験5年以上の人、もしくは相談員等の相談業務で5年以上実務経験を積んだ方が受験資格を得る事ができます。

各都道府県ごとに実施案内のホームページがありますので、必ずそちらをご確認される事をお勧めします。

一つの事業所で5年以上働いている場合はそうでもないのですが、あちこちで働き合計が5年、という場合ですと、必要年数に達する分の実務証明を退職した職場から集めないといけませんので、ケアマネや介護福祉士等実務経験証明の必要な資格を検討されている方は、円満に職場を退職しておいた方が良いでしょう。

ちなみに、無資格者の場合は介護業務10年以上で試験を受ける事が出来たのですが、2018年度の試験より受験資格が厳しくなり、介護業務経験のみでの受験は出来なくなりました。

また、初任者研修(ヘルパー2級等)での経験が5年ある、という受験資格も廃止されています。

元々取得まで時間がかかる事の多い介護福祉士の場合、ケアマネを受験するには「介護福祉士を取得してから5年以上」働く事が必要となり、介護現場関係職のケアマネ取得の道のりが厳しくなっています。

ケアマネージャーの資格取得ルート

ケアマネの資格を取るには近道は無く、筆記試験を受け、合格し、研修を修了、各都道府県で介護支援専門員名簿に登録されて資格者証を交付される、それしか方法はありません。

保持資格によって一部試験問題が免除される制度も2015年に廃止されました。

上記の受験資格の変更もそうですが、研修時間も長くなり、年々資格取得は難しいものとなっています。

筆記試験

年に一度、例年10月の日曜日に開催される「介護支援専門員実務研修受講試験」で合格する事がまず必要です。

基本的には居住する都道府県で受験する事になります。

介護支援分野、保健医療福祉サービス分野の計60問がマークシート方式で出題され、どちらの分野でも正答率70%前後を取る事が合格基準とされています。

介護支援専門員実務研修

上記の試験に合格すると、数ヶ月かけて実務研修を受講します(各都道府県によって日程は異なります)。

平成28年度の試験合格者以降研修時間が増え、合計87時間にも及びますので、働きながら資格を取得する方にとっては研修時間の確保に苦労する事となります。

ただ、増えた研修に関しては実務に結びつくケアマネジメントに関わるものが多いので、しっかりと勉強をしてから現場に臨めるようになるという点ではいいのではないでしょうか。

修了証明書を受け取り登録

実務研修を無事に修了すると各都道府県の介護支援専門員名簿に登録され、介護支援専門員証が交付されてようやくケアマネージャーの業務に就く事が出来ます。

私の場合ですと10月に試験、合格し1月から研修が開始され、資格者証を手にしたのは7月。

交付日も7月7日になっています。

研修を受講するタイミングによって異なりますが、試験を受けてから数ヶ月以上しなければケアマネになる事は出来ません。

ちなみにケアマネの場合は5年に一度更新研修があり、こちらも数日間受講しなくてはいけません。

一度資格を取ったから終わりというものではなく、ケアマネの職に就いている限り、研修は付いて回ります。

ケアマネージャーの合格率はどれくらい?

直近の平成29年度の試験の合格率は25%前後とされていますが、これはそれまでの数年間の中で断トツに高い合格率です。

それ以前は10%台の合格率の年も多くありました。

試験の中では合格率も低く難しい部類には入りますが、ケアマネ試験の勉強は為になる内容も多く、現場で5年働いてから改めて学び直すと面白いものです。

ケアマネになるつもりは無いけど資格だけは欲しいから受験するという人が介護業界には多くおり、実際合格したけど他の職種に就いている人もたくさんいます。

純粋に、勉強をしてみるつもりで受験するのもいいのではないかと思える試験内容です。

ケアマネージャーの就職先や募集状況は?

ケアマネは大きく二つ、施設ケアマネと居宅ケアマネに分かれます。

また、都道府県の認定調査員研修を受講すれば、介護保険の認定調査員になる事も可能です。

募集は他の介護職に比べると少なく、経験者募集の所が多いですが、求人が全く無い訳でもありませんし、もちろん未経験可の所もあります。

ケアマネージャーの主な就職先

施設ケアマネの就職先は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、介護付き有料老人ホーム等になります。

要するに、介護報酬が包括性で、単位を計算する事が無い施設で働く事になりますので、利用表を作成したり、モニタリングの為に自宅を訪問したり、事業所を探したり調整したりする事が無く、ケアマネ独特の業務は少ないです。

では、施設ケアマネは何をしているかといいますと、もちろん施設ケアプランの作成をします。

しかしながらその業務よりも、入居者の面談であるとか現場の手伝いの方がメインの仕事になります。

居宅ケアマネは在宅で生活する人の為のケアプランを作成するので、仕事内容は多岐に渡り、介護保険の知識をフルに活用して仕事をこなします。

一般的にイメージされているケアマネの仕事はこちらになるかと思います。

正職員としてバリバリ働いて経験を積みたい人向け

特養や老健の施設ケアマネは人員配置の関係上、正職員でケアマネを募集している所が多いです。

そして施設であるという特徴から、固定休がない所がほとんどで、時にはケアマネが夜勤や当直もこなします。

ケアマネ業務をバリバリする訳ではないですが、泊りがあればその分手当てが出ますので、ある程度の収入が見込めます。

居宅ケアマネで正職員として働く場合、忙しく仕事がしたいなら、仕事量が確保できる病院系列や大手の法人で働く事をお勧めします。

利用者が入院したり亡くなった場合には仕事が無くなるのですが、こういった事業所ですと次々に仕事が舞い込んできます。

また、地域包括支援センターのプランナーとして働く事もお勧めです。

地域包括ではプランは要支援者しか扱わないという特色がありますが、とにかく忙しいので件数はたくさん担当する事ができます。

子育てや介護などある程度プライベート優先で働きたい人向け

施設ケアマネの中でも、グループホームは入居者数が少なく、ケアマネは週に二回勤務すれば良いとされていますので、扶養内や少ない日数働きたい方にはお勧めです。

また、居宅ケアマネでもパートの募集はあります。

ケアマネは一件働いていくらの報酬とはっきり決まっているので、働く時間が短ければ担当件数を少なくする、といった形を取る事が出来ます。

ただし、あまり出勤回数が少なく連絡がつかないと利用者から不信感を買いますので、状況が許すようであれば、携帯電話等でいつでも連絡は受けられる形にしておいた方が良いでしょう。

それが出来れば、自分でアポを取る仕事ですので、用事のある時は訪問を入れない等、プライベートを優先させる事ができます。

介護の現場が好きな人向け

施設ケアマネや、数は少ないですが小規模多機能施設のケアマネですと、現場の仕事に入る事もありますし、常に利用者と関わる事が出来ます。

介護職が好きでこの業界に入った人にはお勧めです。

ケアマネージャーの転職事情

介護職全般に言えることですが、転職は珍しい事ではありません。

この間まであそこで働いていた人が次はここでケアマネをしているな、という事も少なくありません。

ただ、他の介護職と違ってケアマネは退職する時には、必ず他のケアマネに担当する利用者を引き継がなくてならず、それがなかなか大変な作業です。

スムーズに引継ぎをしないと利用者がサービスを使えなくなるので、すぐに辞めますという訳にもいかず、その点が大変です。

後任が入っていたり、同じ事業所のケアマネに余裕があれば担当してもらえばいいのですが、そうでなければ引継ぎ先を全て決めてから退職しなくてはいけません。

そういった理由からかもしれないですが、他の介護職に比べれば、一ヶ所で長く働いている人が多い職種だとは思います。

実際に転職する時は、こちらの記事を参考に!

ケアマネージャーの平均給与はどれくらい?

月給は25万円前後、年収は350万円前後が正職員の相場です。

パートの場合は、時給1200円~1500円程度が多いようです。

専門性のある仕事ですので給与は低くは無いですが、実際は多くの介護職に付く処遇改善がケアマネには付かないので、他の介護職に比べて高給であるということはありません。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
(正社員希望の人限定)

ケアマネージャーの将来性は?

ケアマネという仕事は必要無いのではないか、無くなるのではないかと噂される事も多いですが、今の所そういった方向に進む様子はありません。

現在研修時間が長くなり資格の取得も難しくなっているところを見ると、専門性は高くなるように求められていますが、ケアマネの活躍に対する期待も大きいのではないでしょうか。

高齢化社会ではなくてはならない職種

ケアプランを作成する、給付管理を行うといった法的に定められた仕事以外にも、ケアマネの業務は多岐に渡ります。

特に、家族を含めて支援することが出来る職種であるケアマネは、独居老人や老老介護、介護疲れをしている家族にとっては絶対に必要な人物です。

この先2025年にピークを迎えるとされる高齢化社会ではなくてはならない職種で、活躍の機会は多くあるでしょう。

主任ケアマネを取得する方法も

居宅介護支援事業所においては、平成30年度より管理者を主任ケアマネにするように決まりました(移行期間は設けられています)。

ケアマネの仕事をさらに5年行わなければ受講できない主任ケアマネは、困難事例はもとより、他のケアマネへの指導も重要な業務になっています。

今後ますます需要が増える資格で、現在も主任ケアマネの募集は多く見かけます。

実務経験がある人は受講し資格を取得する事でさらなるキャリアアップが臨めます。

経験者が語る!できるケアマネージャーはこんな人

ケアマネージャーをしている上で、これを心掛ける事で利用者からも事業所からも「いいケアマネさんですね」と言われるポイントがいくつかあります。

信頼第一のこの仕事、しっかりとポイントを押さえて、良いケアマネを目指しましょう。

コミュニケーションスキルが高い

介護職全般に言える事ではありますが、ケアマネの仕事はとにかく傾聴が大切。

こちらから一方的に話をするだけでは利用者も家族も心を開いてくれず、本当のニーズを聞きだす事ができません。

実際私の所に「他のケアマネと合わなくて」とケアマネ変更で依頼が来る事も少なくないのですが、ほとんどが「こっちの話を聞いてくれない」「否定ばかりする」という理由です。

人間同士の事ですから相性というのはもちろんあるでしょうが、きっちりと築く為にはコミュニケーションスキルを高くする努力をケアマネ側がしなくてはいけないと思います。

フットワークが軽い

これも大切なポイント。

聞きたい事がある、相談がある、困っている、連絡があれば出来るだけ迅速に訪問し対応します。

また、利用者のみならず、事業所にもまめに顔を出し、利用者の様子を聞くと事業所からの信頼も厚くなります。

忙しいときは仕方がないですが、出来るだけその忙しさを悟られないようにしないと利用者も事業所も「あのケアマネはいつも忙しそうだから」と相談してくれなくなります。

とにかく足を運んで顔を出す事が信頼関係の第一歩です。

連絡が取れて対応が早い

ケアマネに対する一番の不満がこの「連絡が取れない」「電話に出ない」だそうです。

上記ともかぶりますが、忙しい忙しいではどんどん利用者は離れていきます。

今は携帯電話もあるわけですし、せめて着信があればすぐに折り返し、何か要望があればすぐに対応するようにしましょう。

まとめ

ケアマネのなり方や押さえておいた方が良いポイントを、私の経験を踏まえてご説明させて頂きました。

大変な仕事じゃないかと言われると確かにその通りですが、やりがいもあり、とても面白い仕事です。

取得は年々難しくなっていますので、もし興味があるようでしたら出来るだけ早く試験を受けられる事をお勧めします。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
(正社員希望の人限定)



関連キーワード


ケアマネージャー求人についてもっと深堀りした情報を見る

ケアマネージャーの仕事がおすすめな理由は?女性が働きやすい?!経験者がお話しします!

2000年に介護保険制度が始まり、介護サービスの利用はそれまでの措置制度から契約制度に変わりました。それと同時に誕生した資格がケアマネージャーです。ケアマネージャーが誕生してから約20年経ちましたが、まだその役割は十分に知られていないのではないかと感じます。今回はケアマネージャー経験者である私が仕事をする中で感じた事や、ケアマネージャーという仕事のおすすめポイントを紹介したいと思います。ケアマネージャーのおおまかな仕事内容とは?ケアマネージャーの正式名称は介護支援専門員といい、仕事内容は大きく分けて3つあります。一つ目は介護を必要とする方の相談を受け、解決方法を一緒に考えた上で支援させて頂く仕

ケアマネージャーを辞めたいと思う4個の理由とその乗り越え方とは?

ケアマネージャーの資格を取得するためには、規定に示されている資格を取得した上で、福祉の現場で5年以上900日以上の経験を重ね、「介護支援専門員実務研修受講試験」と呼ばれる試験の受験資格を取得する必要があります。受験資格を取得した後は、その試験に合格、実務研修を受講し登録を済ませることで、ようやくケアマネージャー資格が取得できます。その資格を取得した後で初めて仕事に就くことが許されます。それだけの苦労を重ねてようやく就職したケアマネージャーの仕事でも、辞めたいと感じることが出てくるかもしれません。今回は、ケアマネージャーを辞めたいと思う理由とその乗り越え方について記していこうと思います。ケアマネ

ケアマネージャー正社員求人の年収や仕事内容、おすすめ求人の特徴とは?よくある募集内容や正社員として求められることを解説!

ケアマネージャーで正社員になりたい方は必見です。「将来はケアマネージャーになりたい」「せっかくケアマネージャーの資格を取ったのだから、一度はケアマネージャーとして働いてみたい。できたら正社員で!!」このような考えを持った方は多いのではないでしょうか?福祉の業界に身を置く私が考える、ケアマネージャー正社員の年収事情や良い求人の探し方、具体的な業務内容などをお伝えします。ケアマネージャー正社員の仕事内容とは?仕事内容はどこで生活している利用者の方を対象にするかで重要視される点が異なります。自宅で生活する方を対象にするケアマネージャーは「居宅ケアマネージャー」、介護保険施設等で生活する方を対象にする

ケアマネージャーの転職を成功させるために!狙い目な会社や施設の5個の特徴と上手に転職するための3個の注意点

人手不足の介護業界の中で、ケアマネージャーの求人はそう数多くはありません。どちらかと言えば飽和状態で、未経験から応募してもすんなり採用にならない唯一の職種であると思います。しかしながら全く求人がないわけではありませんし、経験者の転職はそう難しいものではありません。ケアマネージャーとしての転職を考えた際に押さえるべきポイントをまとめましたので、参考にしていただければと思います。ケアマネージャーで転職する人は多い?介護業界全般に言えることですが、転職する人は多いです。他の職種ほどではないにしろ、先日まであそこでケアマネをしていた人が今ここにいるな…ということはよくあります。そして転職がマイナスにな

ケアマネージャーの年収はどのくらい?相場は?給料をアップさせたい方も必見!

今回は、ケアマネージャーの給料事情について見てみたいと思います。以前は介護職の中では一番の高給取りのイメージだったケアマネージャーですが、今では仕事の割には給料が安いと言われることが多いそうです。そんなケアマネの給料をアップさせる方法を経験者がお教えします。ケアマネの平均年収や給料の相場を知って、自分の希望に合う求人を上手に選びましょう。ケアマネージャーの給料や年収の相場はどのくらい?正職員の場合のケアマネージャーの給料相場ケアマネの平均給与は月給25万円前後となっており、年収は350万円前後とされています。一般的な介護職に比べてやや高めには設定されていますが、現場の介護職の多くに付く「介護職

ケアマネジャーとは?仕事内容や向いている人・向いていない人の特徴・やりがいなどを解説

ケアマネージャーと言えば、「試験が難しい」「なんとなく仕事が大変そう」「しかし介護職の中では給料が高い仕事」というイメージがあると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?この記事では、ケアマネージャーの仕事内容、気になる給料事情や転職方法、向き・不向きからやりがいまでお話していきます。ケアマネージャーになろうと考えている人や介護に興味のある方はもちろん、将来なりたい職業を迷っている方も、この記事を読んでいただければケアマネージャーの魅力が分かるはずです。ケアマネージャーとはどんな仕事?ケアマネージャーの正式名称は「介護支援専門員」で、一番の仕事は利用者のケアプラン(居宅サービス計画・施設