ケアマネージャーを辞めたいと思う4個の理由とその乗り越え方とは?
2000年に介護保険制度が始まり、介護サービスの利用はそれまでの措置制度から契約制度に変わりました。
それと同時に誕生した資格がケアマネージャーです。
ケアマネージャーが誕生してから約20年経ちましたが、まだその役割は十分に知られていないのではないかと感じます。
今回はケアマネージャー経験者である私が仕事をする中で感じた事や、ケアマネージャーという仕事のおすすめポイントを紹介したいと思います。
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ケアマネージャーのおおまかな仕事内容とは?
ケアマネージャーの正式名称は介護支援専門員といい、仕事内容は大きく分けて3つあります。
一つ目は介護を必要とする方の相談を受け、解決方法を一緒に考えた上で支援させて頂く仕事です。
病気やけがが原因で突然介護が必要になったご本人やその家族の方は特に、混乱し不安に陥る事が多いです。
その方達が安心して生活できるように不安を取り除いていく事が大切になります。
二つ目は介護保険サービスの利用を希望する方の相談を受け、ケアプランと呼ばれる書類を作成した上で給付管理等を行う事です。
介護サービスは、受けたサービス全てが保険給付の対象となるわけではありません。
介護サービスの利用希望者の目指す生活に必要なサービスを、その方の置かれた状況と照らし合わせながら利用できるようケアプランを作成する事は、ケアマネージャーの重要な仕事となります。
最後の一つは、介護サービス事業所やそこに所属する専門職、その他地域住民等と繋がりを持てるよう調整する仕事があります。
その方が望む生活を送るためには介護サービスを利用するだけではそのニーズを充足させる事は難しいです。
介護サービスを提供する専門職はもちろん、その方を支えてくれそうな人や場所、役立ちそうなものなどを活用できるように調整する事で、その方の生活が豊かになっていく可能性があります。
ケアマネージャーの仕事内容は、こちらの記事を参考に!
実際にケアマネージャーとして働いてみて、私はこんなことを感じました!
ケアマネージャーとして働く中で、様々な方と知り合う事が出来、一人ひとり異なる生活や価値観に触れる事ができました。
ケアマネージャーとして仕事をさせて頂く機会が無ければ、関わる事は無く、様々な感情を持つ方達の価値観を知る事も出来なかったでしょう。
介護サービス利用を希望している方や生活に不安を感じている方々と接する事で、人として成長させて頂く事もでき、物事を深く考える事も出来るようになったと感じました。
また、深刻な問題に遭遇し一人で解決が困難だった時に、身近な人と繋がりを持ち、協力する事で問題解決に繋がった時はやりがいを感じる事もでき、その時の仲間とはその後も関係を続ける事ができています。
ケアマネージャーは悩みを抱えている人の問題解決のみならず、自分自身の生活の豊かさにも繋がる仕事であると感じました。
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ケアマネージャーとして働くのがおすすめな8個の理由とは?
福祉の世界にはさまざまな職種があります。
その中でも特にケアマネージャーとして働く事をおすすめする理由とは何なのか?
私自身の経験や、ケアマネージャーという職種が福祉の世界においてどのような役割を担っているかの現状を交えてご説明したいと思います。
人として成長する事ができる
ケアマネージャーは、生活する中で困り事や悩み事を抱えている方を支援させて頂く仕事を担っています。
支援させて頂く相手の方は、様々な価値観を持っており、困り事や悩み事も人それぞれ異なります。
自分とは違う価値観を持っている方の気持ちに寄り添い、その方にとって最善の問題解決方法を提案する事ができるようにケアマネージャーは働きかけていく必要があります。
相手の方の気持ちに寄り添うためには、相手が持つ価値観や習慣を否定する事無く、ありのままに受け入れていく事が大切になっていきます。
中には自分が持っている常識と真逆の考えをお持ちの方もいらっしゃるため、ともすると相手の思考を否定してしまい、相手の方と信頼関係を築くことができなくなってしまう事もあります。
自分と異なる価値観の人の存在を受け入れ、信頼関係を築いていく事が出来た時、専門職としてまた人として成長する事に繋がっていきます。
仕事を行う上での仲間を作る事ができる
ケアマネージャーは介護職員と異なり、身体支援をはじめとした直接援助をする機会は少なくなります。
利用者の方の困り事や悩み事を解決して、その方自身が望む生活に近づけていく事が仕事とされていますが、問題解決を図るためには専門職をはじめとした様々な人と連携を取る必要が出てきます。
一人の利用者の方の生活を支えるためにはたくさんの人の力を借りる事が必要なため、担当している利用者の方の支援を通して自施設以外の人たちと関わる機会も増えてきます。
一人の方の支援を協力して行う事で仲間意識が生まれ、その方以外の支援を行う時に力を貸して頂けたり相談相手になって頂ける事も少なくありません。
施設に勤めていると、どうしても自施設の中のみに目を向けてしまいがちですが、ケアマネージャーは仕事の性質上様々な人と知り合い、連携を図る機会があるため仲間を作りやすく、孤立しにくい職種と言えると思います。
利用者と落ち着いて向き合う事ができる
福祉の仕事、こと介護の仕事に関しては利用者複数名に対して介護職員は1名で対応しなければならない事が多く、ゆっくり話を聞きたくても向き合う時間が取れないという事も少なくありません。
福祉の仕事を選択する方の多くは、相手の方の望む生活の手助けをしたいという気持ちを持っています。
しかし、相手の希望している支援を行う事が出来なかったり、意向を聞き取る時間すら取れずに介護に追われてしまえばそれを行う事ができず、不満が募っていってしまいます。
ケアマネージャーは複数名の利用者を担当する事になりますが、身体的な介護を行う場面が無い、または少ないため、担当利用者と話をし、希望を聞き取る事ができます。
担当利用者自身の生の声を聴く事も出来、その方の意向に沿った支援を利用者と一緒に組み立てる事ができます。
担当利用者と協力して作った目標をその方が達成できた時には充実感を感じる事ができるでしょう。
相手と落ち着いて向き合う時間が取れるという事も、ケアマネージャーという仕事のおすすめポイントの一つになります。
様々な知識を得る機会がある
利用者の方を支援させて頂く上では、様々な専門職と連携していく必要があります。
特に自宅で生活している方を支援させて頂く場合は、建物がバリアフリーになっていない場合も多々あり、福祉用具を選定したり、時には自宅内の改修を行ったりする事もあります。
その必要性をケアマネージャーの試験を受ける際には様々な分野の勉強をしたと思いますが、その分野を専門に仕事をしている専門職と比べると、どうしても知識・技術とも劣る面があります。
ケアプランに記載されている内容を実践に移す前には原則サービス担当者会議と呼ばれる会議が開催され、その場には各専門職が集まる事となります。
サービス担当者会議でその分野を専門にしている専門職の方から意見を頂く事ができるため、専門職の視点を学ぶ事ができます。
また、自分が考え付かなかったような支援方法を提案して下さる事も多くあるため、自分の知識を深める事が出来、将来担当する別の利用者のより良い支援に繋げていく事も出来ます。
体を壊しにくい
福祉の仕事は身体支援を行う場面も多く、特に介護職員の大半は多かれ少なかれ腰痛等体の不調に悩まされています。
私の周りにいる福祉の仕事に従事している方からは「福祉の仕事は好きだけど、体を壊したから続けていく事が出来なくなった」と泣く泣く福祉の仕事から離れた方もいらっしゃいます。
「福祉の仕事は続けたい、しかし体が思うように動かないから申し訳ない」とおっしゃる方も少なくありません。
そのような方にはぜひケアマネージャーを目指して頂きたいと思います。
ケアマネージャーは身体的にご利用者様の支援をさせて頂く機会は無い事が多いです。
「福祉の仕事を継続して行いたい、しかし体が心配である」という方は是非、ケアマネージャーの資格を取得し、実践していく事をお勧めします。
女性が働きやすい
福祉の仕事というと、日勤帯の勤務だけでなく、早番や遅番、夜勤帯といった様々なシフトで働く事をイメージされる方が多いと思います。
介護職員で正規職員であるとその通りの事が多いですが、ケアマネージャーは違います。
求人の募集内容を調べて頂ければ、そのほとんどが日勤帯の仕事で募集をしている事が分かるでしょう。
また、土日祝日が固定休みであったり、フレックス制を採用している事業所も多くあるため、子育て中の女性は学校行事等で休みを取る必要が出ても、比較的調整しやすい職種と言えます。
日本ではまだまだ女性が家事や子育てを中心に行う事が一般的であるため、日勤帯のシフトで働く事ができたり、土日祝日の固定休みが取りやすいケアマネージャーの仕事は家庭と両立できる可能性が高く、女性にとって働きやすい職種と言え、おすすめのポイントと言えるでしょう。
転職がしやすい
ケアマネージャーの資格を取得するためには介護支援専門員実務研修受講試験を受け、合格したのちに研修を受け、登録手続きを行う事が必要となります。
介護支援専門員実務研修受講試験の受験をするためには、対象となる国家資格を取得または対象となる職種(生活相談員、支援相談員等)の実務経験が5年以上かつ900日以上ある事が必要です。
試験を受けるだけでもかなりの時間を要する事と合わせて、試験の合格率は15~20%と低めです。
現行の制度では介護支援専門員を入居者100人に対して1名配置しなければならないという決まりがあるため、欠員が出ると補充する事が非常に難しい職種と言われています。
ケアマネージャーとして今後転職を考えている方は比較的仕事先を選びやすいと言えるでしょう。
また、ケアマネージャーとして5年以上働いた後に所定の研修を修了する事で、主任介護支援専門員(主任ケアマネ)の資格を取得する事も可能です。
主任介護支援専門員は各市町村に必ず設置されている地域包括支援センターに、原則1名以上配置されなければならないという決まりがあります。
2018年4月の法改正で、居宅介護支援事業所の管理者は主任介護支援専門員が担う事とも定められました。
そのため主任介護支援専門員としてステップアップする事ができれば、さらに就職口は広がると言えるでしょう。
給与アップを狙いやすい職種である
特に自宅で生活している方を支援させて頂く居宅ケアマネージャーに言える事です。
居宅ケアマネージャーの収入源は、担当利用者の方のケアプランを立案した事で得られる介護報酬になります。
ケアプランを立案する事で得られる報酬は、担当利用者の要介護度や担当する件数によって異なりますが一人当たり月に10000円~15000円程度になります。
担当する人数が多ければ多いほど得られる報酬も増えるため、会社によっては「〇人以上担当したら一人に就き△円給与にプラスします」などと謳っている会社もあります。
仕事量が増える事にはなりますが、増えた仕事の分だけ自分の収入アップに繋がる可能性もありますので、やりがいにも繋がっていくと考えられます。
居宅ケアマネージャーがケアプラン作成を行って、標準の介護報酬を得られる人数は、「要介護」と認定を受けている方35名を担当する事が基準とされています。
担当人数が40人以上になると「減算」という扱いになり報酬が下がってしまいます。
そのため会社は39名により近い人数を担当する事をケアマネージャーに求めます。
担当件数によって給与をプラスしている会社は、おおむね35~39名を超えた時にインセンティブとして手当が支給すると謳っている会社が多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ケアマネージャーの資格を取得するまでには様々な苦労を乗り越えてこられたことと思います。
今までと異なる仕事に変わる方も多く、不安を感じてしまう事もあるかもしれません。
その不安解消に少しでも役立つようであれば幸いです。
ケアマネージャーの資格を取得した皆様が、慣れ親しんできた福祉業界において新しいフィールドに踏み出し、ご活躍する事をお祈りいたします。
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