ケアマネージャーを辞めたいと思う4個の理由とその乗り越え方とは?
今回は、ケアマネージャーの給料事情について見てみたいと思います。
以前は介護職の中では一番の高給取りのイメージだったケアマネージャーですが、今では仕事の割には給料が安いと言われることが多いそうです。
そんなケアマネの給料をアップさせる方法を経験者がお教えします。
ケアマネの平均年収や給料の相場を知って、自分の希望に合う求人を上手に選びましょう。
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ケアマネージャーの給料や年収の相場はどのくらい?
正職員の場合のケアマネージャーの給料相場
ケアマネの平均給与は月給25万円前後となっており、年収は350万円前後とされています。
一般的な介護職に比べてやや高めには設定されていますが、現場の介護職の多くに付く「介護職員処遇改善加算」はケアマネには付きませんので、トータルとしてはそう変わらない印象を受けます。
ケアマネは施設ケアマネ、居宅ケアマネがありますが、どちらかと言えば前者の方が給料は高めです。
パート・アルバイトの場合のケアマネージャーの給料相場
時給相場は1,200円~1,500円程度。
こちらも介護職よりは高めです。
こちらの場合は施設ケアマネの募集はあまりないのですが、ケアマネが常勤でなくても良いグループホーム等ではパートでの募集があります。
その場合の施設ケアマネは、介護職よりも時給は高く設定されています。
年収にも響いてくる基本給以外のものは、どうなっているの?
賞与
正職員ですと、賞与のある所がほとんどです。
賞与のない場合は月給が比較的高くなっており、トータルの年収で見た場合にさほど変わらない額になる事が多いです。
とは言えやはり普段の月給が低くても賞与があるほうが嬉しいという人も多いのではないでしょうか。
そういう場合、医療法人や社会福祉法人に注目して仕事を探すと、稀に賞与が年3回の所があります。
私自身が以前働いていた老人保健施設(医療法人)や特別養護老人ホーム(社会福祉法人)では賞与が年3回でした。
介護業界の場合は業績不振で賞与がなくなるということは想定しづらいので、賞与目的で仕事を探してもまず問題ないかと思います。
昇給
これも事業所によりますが、大きな法人ほど定期的に昇給する傾向があるようです。
昇給しない所は全くしません。
各種手当
ケアマネ業務をする以上その資格を持っているのが当然ですが、全ての職場でケアマネ手当が付くかというと意外とそうではありませんので、必ず確認しておいたほうが良いでしょう。
私自身はケアマネになってから民間の会社が運営する事業所でずっと働いていますが、働いた3ヶ所の中でケアマネ手当が付いた所は実はありません。
これは他の事業所のケアマネと話をすると大変珍しいようで、介護の事業所をいくつか手がけている所でしたらほとんどの場合で手当が付くようです。
ただし正職員は付くけどパートは付かない、もしくは額が違うという所もあるようなので、はじめに確認しておきましょう。
もちろん、それ以外にも一般的な通勤手当やその他の手当の確認もされることをおすすめします。
給与が高い人は何が違うの?
ケアマネと一口に言っても様々な条件によって給与の額に差があります。
高い給与を得るにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
スキル
ケアマネ未経験と経験者ではやはり経験年数の長い方が給与は高くなります。
経験を積めば積むほど専門的な知識も増えますし、その分担当したケース数が多いので、仕事も効率的にこなせるようになります。
また今後需要が増える主任ケアマネの資格は実務経験5年以上で取得が可能ですので、これくらい働いていればますますの給与アップも望めるでしょう。
役職
居宅介護支援事業所では、必ず一人が常勤専従で管理者にならなくてはなりません。
文字通り事業所全体の管理やシフトの作成、役所に提出する書類の作成などを行うので、管理者手当が付く事業所は多いです。
また、移行期間はあるものの平成30年度以降の居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネの資格が必須となってきますので、その分の資格手当も見込めます。
地域
介護保険のサービス全てがそうですが地域加算というものがあり、都会ほど介護報酬が高く設定されています。
これは人件費や土地代を加味して事業所が取得することのできる加算で、都道府県によっては市町村をまたぐだけで加算の等級が変わります。
例えば大阪では、大阪市内が最も高く設定されており、郊外に行くほど加算率は低くなります。
どうしても自宅近くで働きたい場合ならばともかく、少し仕事場を選ぶ余裕があるのなら地域加算の高い場所で仕事を探すとその分給与に反映されます。
地域加算の率は3年に1回の法改正で変わることもあるので一概には言えませんが、一応参考にされることをおすすめします。
担当件数
ケアマネの仕事の報酬は厳密に介護保険で定められており、忙しさなどは関係なく純粋にその月に何人利用者を担当していて、何人が介護保険サービスを利用しているかでシビアに決まります。
要支援者で4,000円前後、要介護1~2で10,000円程度、要介護3~5で13,000円程度と、その時の加算によって多少は前後しますが、この額はしっかり決められています。
1ヶ月に20回訪問しても1回訪問しても額は同じですし、入院等でその月に介護保険を利用しなければ何度訪問しても報酬はありません。
このあたりがケアマネの仕事の儲からない所以ではありますが、逆に言えば担当件数を多く持てばその分収益が増えるので、昇給等の評価に結びつくことも少なくありません。
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給料をアップさせるための求人の選び方
上記を踏まえて、より良い求人を選ぶ方法をまとめてみました。
給与相場が今よりも高い所を探そう
ある程度の給与相場はありますし収益となる単価も決まっているケアマネの仕事ではありますが、それでも元々の給与のベースは各事業所によって様々です。
介護の事業所を持つ大手の所よりも細々と介護事業所をしている所のほうが給与が高いこともあるので、できるだけ多くの事業所を比較検討し、仕事を選びましょう。
ちなみにケアマネの仕事の場合はとにかく利用者個人相手なので、仕事内容自体は変わりません。
給与が高いから、その分忙しくて大変ということもないのです。
病院系列等で忙しければ担当件数をぎりぎりまで持つということもあるでしょうが、担当が少なければ少ないなりに営業に回って仕事を取りに行かなければならないことも多く、そちらのほうが仕事としては辛いことも…。
ケアマネの仕事に限って言えば、給与水準が高いからと言って何かあるのかな?などと構える必要はないでしょう。
しいていうなら、有料老人ホーム等では施設長兼施設ケアマネの募集をたまに見かけます。
給与としては一般のケアマネよりも高く設定されています。
仕事内容は大変かもしれないですが施設の切り盛りはやりがいもありますので、もし忙しくてもしっかり稼ぎたいというのであれば、そういう仕事も良いかもしれません。
賞与や昇給制度をチェック
こちらも必ず最初にチェックしましょう。
どこの会社もそうだとは思いますが、介護業界も賞与は事業所ごとに大きく差があります。
少ない所では月給半月分や1ヶ月分もありますし、多い所では5ヶ月分ちかくの賞与が出ています。
賞与に関しては、先に述べたように社会福祉法人や医療法人のほうが良いことが多いです。
民間経営では賞与自体がない所も少なくありません。
昇給制度もきちんと確認しておきましょう。
介護業界は、きちんと昇給していく所と全く昇給しない所に二分化されている印象があります。
ケアマネの報酬に関してはすでに述べているように単位が決まっており、担当件数の上限も決まっています。
そのため、長い経験がある、知識があるからと言って売り上げが上がるかというとそうではありません。
その点を、売り上げが変わらないから昇給はしないと取るのか、いやいや経験分を認めて昇給しましょうとするのかは経営側の介護職に対する考え方が反映されていることも多いので、できるなら昇給や賞与に関してはきちんと面接の場で訊くことをおすすめします。
ケアマネのみならず介護職は慈善を前提として考える方針の会社はまだちらほらとあります。
報酬や売り上げ云々よりも積んだ経験の分はしっかりと評価してくれる所のほうが給与面以外でも認められることが多く、働きやすいのは間違いありません。
残業代はきちんと出る?それ以外の保障も大切
ここは非常に大きなポイントです。
介護施設に限らずですが、サービス残業が当たり前の事業所も少なくありません。
決められた時間以外の仕事に対しては全く保障されない所、15分刻みの所、きちんと残業代が出る所がありますが、一方で全く出ない所も多くあります。
またケアマネの場合は利用者や事業所、病院都合で会議等が決まることも多く、休日出勤になったりすることも…。
そういった場合も出勤として認められるのか、そうでなければただ働きということになりますので確認が必要です。
また、ケアマネを続ける以上は必ず5年ごとに更新研修があります。
数日間指定された場所に行って半日ないしは1日研修を受けなくてはなりませんし、その都度数万円の費用がかかります。
この研修に対する保障も各事業所によって様々です。
私が研修で出会った人を例に挙げてみると、有給休暇を使って来ている人、公休日を利用している人、勤務時間として認められている人など様々な対応をしている事業所がありました。
もちろん費用や交通費も出してくれる所もあれば、そうでない所もあります。
仕事に必要な資格の維持なので、この研修に対する保障も必ず確認しておきましょう。
交通費や福利厚生は?
ある程度の規模の所であれば、交通費に関しては問題ないでしょう。
福利厚生は会社によって異なりますが、充実していればその分組合費や会費を取られることもあります。
大手の法人はやはり福利厚生がきっちりしている印象です。
歩合は付く?
意外と知られていませんが、実はケアマネは事業所によっては歩合が付く所があります。
前述したようにケアプランは1件幾らの仕事ですし、新規を取ればその月には新規加算が3,000円程度入ってきます。
また事業所によっては市町村からの介護保険認定調査の委託を受け調査員としての仕事もするのですが、それに対する歩合がある所もあります。
歩合が付くならその分モチベーションも上がるので、そういう事業所を探してみるのもおすすめです。
経験者が教える、実際に給料がアップしたのはこんなとき
とにかく件数がカギ
私自身がケアマネを始めて定期的に昇給していったのはやはりある程度の売り上げが見込めるようになってきてからです。
今は月120時間を目安にパートとして働いているのですが、件数が20件を越えた年くらいから毎年じわりじわりと時給は上がっています。
私の時給は元々1,500円ですので、比較的高いほうであると思います。
そのためベースアップもかなり少額で、1年に時給が5円上がる程度です。
とは言え件数が全く上がっていない人は昇給もされていないので、やはり認められるには実績を残すのが一番だと思います。
うちの事業所に関して言うならば、正職員で件数が少ない人よりも、すぐに早退や遅刻、時には欠勤をするけど件数の多いパートの私のほうが評価は高いようです。
主任ケアマネの取得
今後飛躍的に給料アップが見込めるとしたら、主任ケアマネの取得をした時だと思います。
これまで述べてきたように、今後居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネが必須になってきますし、主任ケアマネの人数が多ければ特定事業所加算を取ることも可能です。
主任ケアマネの求人は多くなってきているので、取得することでもっと条件の良い事業所に転職することができるのは間違いありません。
雇用形態ごとに違いは出てくる?
月給や年収
月給、年収や時給については初めに述べた通りです。
ケアマネだけでは相場を大きく上回ることはないと思われます。
給料以外における良い点と悪い点
では、雇用形態で給料以外にどんな違いが出るのでしょうか。
正職員
安定感は断トツです。
しかしながら責任も重大。
何度も申し上げているようにケアマネは1件幾らの仕事なので、利用者が立て続けに亡くなったり入院したり入所したりすると一気に売り上げが減ってしまいます。
そうなると、あちこちの地域包括や病院、役所を回って営業をして利用者を獲得しなければなりません。
今はケアマネも若干飽和状態ですので、なかなか新規獲得が難しい状態です。
派遣
正職員のように会社を背負う責任感もないけれども、給料は悪くないし条件も通りやすいのが派遣です。
とは言え、居宅ケアマネでの募集はあまりないことや、とても良い事業所でも継続で勤務ができるかどうかは分からないので、やはり不安定さは否めません。
契約社員
意外と多いのがこの契約社員。
役職に就いたり異動などは少ないというのが一般的です。
しかしケアマネとしての仕事は雇用形態に限らず仕事内容は同じで正職員と同じことをしているのに賞与がなかったり少なかったりするので、そこは悪い点であると言えるでしょう。
パート
割と時給も高めで、長い時間働かなくても良いので、主婦でもケアマネを仕事にしやすいです。
ただ利用者にとってはパートであるかどうかは関係ないので、休みの日に電話がかかってきたり帰る間際に仕事が入ったりすることもあります。
私自身もパートとして働いていますが、件数を多く持っても賞与がない点が不満です。
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まとめ
介護保険施行当時はケアマネと言えば高給取り…というイメージがあったのですが、今はそうでもありません。
しかしながらここまで述べたように介護職の中では決して安月給でもありません。
主任ケアマネを取得すれば更なるキャリアアップも見込める仕事なので、興味があればぜひ挑戦していただきたいです。
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