技術職の中でも男女問わず活躍できる職業として人気の美容師。

一人前の美容師になるために、必ず通らねばならないのが「美容師アシスタント」です。

この美容師アシスタントは、一般的に3年間と言われているのですが、その3年間で美容師アシスタントはどのような仕事をこなしているのでしょうか。

美容師経験をもとに美容師アシスタントの仕事内容について解説していきます。

美容師アシスタントの仕事は大きく4個の役割に分けられる

美容師アシスタントの仕事は多岐に渡りますし、店舗によっても様々です。

しかし、どこの店舗でも共通している仕事というものがあり、それが基本的な美容師アシスタントの仕事となります。

その内容を4つに分類してご紹介します。

接客

美容師の仕事において接客は基本中の基本であり、主軸でもあります。

どのような接客が好まれるかは店舗によっても変わってきますし、お客様によっても変わってきます。

マニュアルを元にどこまで広げる事ができるのか、毎日の接客を通して学んでいくのです。

正直な所、美容師は人気商売なので、技術はもちろんですが顧客は美容師の人間性に付くと言っていいでしょう。

幅広い顧客を付けるためには、多様な引き出しを作らなければならないのです。

掃除、整理整頓

一昔前の美容室では、先輩やオーナーが厳しくアシスタントの掃除をチェックしたものです。

指先で埃の有無を確認したり、セット面に汚れや曇りがないかを色んな角度から見てチェックされる事もありました。

もちろん出来ていなければやり直しです。

タオルやクロスのたたみ方、道具の片付け方なども厳しくチェックされていました。

現在ではそこまで厳しくされる事もありませんが、一般的な感覚よりは厳しい事には違いありません。

これは、清潔な印象をお客様に与える事、細部まで配慮ができる事、道具を大事に扱う事、この3つを学ぶ目的があるからです。

不潔な店舗、気配りのない店舗、がさつな店舗に期待を寄せる人はいませんので、そう考えると納得できます。

施術補助

アシスタントが唯一単独で行える施術はシャンプーです。

カットを除くその他の施術については、必ずスタイリストの指示に従う必要があります。

この補助については、技術を近くで見る事や施術時間の短縮、そしてお客様対応なども目的となっています。

この補助に関しては、必ずしも入らなければならないというわけではありません。

店舗やスタイリストの意向によって変わる事もありますが、技術を間近で見れるというのはアシスタントにとっては大きなメリットです。

スキルアップのための練習

スキルアップは、美容師である以上辞めるその日まで続くものではありますが、アシスタント時代のスキルアップは美容師としての土台作りの様なものです。

美容学校で習う事は、あくまで国家試験を合格するためのものです。

全く役に立たないというわけではありませんが、実践には使えない事の方が多いのです。

また、技術というのは経験あってこそ身に付くものです。

これはまた後に解説します。

接客の3個の業務

受付とご案内

店舗によってはレセプションがある事もありますが、中小規模の店舗であれば受付はほぼアシスタントの仕事です。

お客様にとっての第一印象を良くするための大事な仕事です。

事前に何時にどなたが来店するのか、頭にいれておくとより気持ちよいお出迎えができます。

スタイリストに指示を受けてからご案内をし、必要があればアクセサリー類のお預かりもします。

上着や荷物などは貴重品扱いとして丁寧に扱い、誰が見てもすぐにお返しができるように配慮もします。

美容師の仕事としては、まずはここからスタートと言っていいでしょう。

お客様との会話

美容室での会話は、何気ない日常会話であったり個人的な話であったりと様々です。

そして、話をしたい人や聞きたい人、放っておいて欲しい人など、お客様も十人十色です。

このさじ加減をいかに短い時間で見極めていくか、スタイリスト同様アシスタントも気配りをしなくてはなりません。

また、接客業では「タブーの話」というものがあり、政治・宗教・野球の3つは話を振られても濁せ、と言われています。

それは、個人的な偏りがある事ともめ事になる可能性があるからです。

会話は一人としかしていなくても、他の誰かが聞いているかもしれないという事を肝に銘じておかなければなりません。

そういった事を踏まえつつお客様と楽しく会話をする、それも一流の美容師と言えるのではないでしょうか。

細かい気配り

シャンプーをするようになると、施術としてはスタイリストより先にお客様に入る事になります。

その時に気づいた事があれば配慮をする、スタイリストに報告するといった気配りが必要になります。

例えば、妊娠している方なら膝掛けを用意する、皮膚にトラブルを抱えている方ならアレルギーがないか等です。

こういった事は必ずスタイリストと共有しなければなりません。

押し付けたり決めつけるのではなく、あくまで自然に尋ねる。

難しく感じるかもしれませんが、これも経験を積むしかありません。

女性を相手にする機会の多い美容室では、気配りは信用に繋がるのです。

掃除、整理整頓の3個の業務

開店前の掃除

基本的に掃除はスタッフ総出で行いますが、先にもお話ししたように、特に新入のアシスタントは掃除のチェックをされる場合があります。

私がよく先輩から言われた「お客様は意外な所を見ている」という言葉のままで、中途半端な掃除はお客様に分かってしまうのです。

それが「汚い店」という印象を与えてしまい、口コミで広がってしまったらどうでしょう。

口コミは、今も昔も広告よりも効果があるので、誰から見ても綺麗だと胸を張れる掃除を心がけなくてはならないのです。

私が勤めていた店舗はとても掃除が厳しく、鏡拭きを何度注意されたでしょうか。

短時間でいかに綺麗にするか、掃除を何のために誰のためにしているのか、この考える力もまた修行なのです。

床掃き

お客様が席を立った時に床に落ちた髪の毛を掃く。

美容師アシスタントの仕事としては、誰もが知っているものではないでしょうか。

私が勤めていた店舗では、お客様がシャンプーブースまたは受付に移動されたら床を掃くというルールがありました。

これは、切り落ちた髪が一つのエンターテイメントになるという考えからと、できるだけ掃除をしているというのをお客様に見せないようにするためです。

このように、仕事としては地味なものであってもちゃんとオーナーの思いや気配りがあるのです。

また、短時間で効率よく仕事をこなしていく練習にもなっています。

道具の準備・片付け

パーマやカラーリングの場合、必ず道具を準備しなくてはなりません。

パーマであれば、薬剤、ロッド、ラバー、ペーパー、専用のクロスとタオルです。

特殊パーマであれば更に道具が必要となります。

カラーリングであれば、薬剤、刷毛、グローブ、イヤーキャップ、専用のタオルやクロスです。

指示されたものを素早く準備するには、道具をきちんと片付けておく必要がありますし、誰でもすぐに用意ができるように整えておかなければなりません。

足りないものはないか、使用不可のものはないかを準備や片付けをしながらチェックするのです。

そして、消耗品以外の美容室にある道具は、どれも高価なものばかりなので大切に扱わなくてはなりません。

この道具を大切に扱うという事も気配りに繋がります。

施術補助の3個の業務

施術のための準備

パーマは施術前に必ずカットが入り、その後クロスを専用のものに変えなくてはなりません。

そして、施術者が作業しやすいように床に落ちた髪の毛を掃きます。

もうすでに使用する薬剤やロッドが決まっているようであれば、事前に用意をしておきます。

カラーリングの場合は、カットなしで施術に入る事があります。

しかし、スタイリング剤などを落とすためにまずシャンプーをしてドライをする必要があります。

カラーリングの薬剤はパーマ材よりも複雑で、薬剤を混合して作ります。

そして、必要分しか作ってはいけないので、ある程度経験を積むまでは作らせてもらえない場合もあります。

スタイリストは大抵1回しか言ってくれませんので、正確に聞き取らなければなりません。

施術補助(ヘルプ)

店舗によって呼び方が変わりますが、私の勤めていた店舗では施術の補助をする「ヘルプ」と呼ばれるものには二種類ありました。

一つは施術者を補助するヘルプ、もう一つはスタイリストともに一緒に施術に入るヘルプです。

前者の場合、パーマの施術が始まった時に施術者にロットやラバーを渡します。

このヘルプは店舗によっては行わない事もありますが、私は二人の施術者に対し一人でヘルプをしていました。

両手を使い二人に道具を渡すので、反射神経と先を読む力が鍛えられます。

カラーリングの場合は、基本的に薬剤の入ったカップを持つだけになりますが、万が一、薬剤がお客様の皮膚についてしまった場合すぐに拭き取る事ができたり、スピードが命となるカラーリングでは施術者が施術に集中できるように、お客様との会話のクッションになる事ができます。

後者の場合は、スタイリストから指示を受けその通りに施術を行います。

スタイリストと違う事をしてしまうと、目指しているものと全く違うスタイルになってしまうので、「丁寧さ・的確さ・早さ」の3つを強く求められます。

タイムを計る・チェックする

実際にヘルプとして施術に入った場合、仕上がりまで見ておく必要があります。

これは、自分が施術したものがどのような過程を経て仕上がるのかを学ぶ事と、最終的にどのようなスタイルになるのかを見るためです。

アシスタントもいずれはスタイリストになりますので、こうやって経験値を増やしていくのです。

スキルアップのための練習の業務

アシスタント時代は、様々なテストがあります。

シャンプーに始まり、ブロー、カラーリング、パーマ、カットです。

シャンプー以外のものは、数種類のスタイルが課題となります。

レッスン時の練習も大事なのですが、営業中に先輩が課題の施術を行っているのであれば、作業しながらでも観察する事も大切です。

特に思うように上達しない時は、人のやっている姿を見て真似をする事が近道となる場合があるからです。

実はアシスタントとは、仕事をしながらでも常にスキルアップのために練習をしているのです。

美容師アシスタントの仕事の良いところ

アシスタントというと、「修行」「辛い」といったネガティブなイメージの方が強いかと思います。

しかし、そんな事はありません。

私はむしろアシスタント時代が一番楽しかったと感じる事さえあります。

そんなアシスタントの仕事の良い所をお伝えします。

毎日が刺激的

勉強もそうですが、新しい事を学ぶというのはとても楽しい事だと思います。

アシスタント時代は学ぶ事が山のようにあり、派手に怒られる事もしょっちゅうですが、毎日何かを覚えそれを明日に活かす事ができます。

今日怒られても、明日には褒められるかもしれません。

そこで自分自身の成長を実感できますし、認めてもらえるようにもなります。

何もなかった日というのが無いアシスタントは、毎日が刺激的です。

学ぶ場が用意されている

美容室には必ずレッスン日が設けられています。

ここで、与えられた課題を練習しアドバイスをもらいます。

一見珍しい事ではないように感じますが、似た様な技術職ではどうでしょうか。

身近である料理人の場合、レッスン日などありません。

「見て習え」が基本ですし、賄いなどで技術の向上を見てもらうのが通常です。

そう考えると、同じ見習いという立場であっても、美容師アシスタントは非常に恵まれた環境ではないかと思います。

先輩との距離も近く、毎週必ず学ぶ日を用意してもらえている。

一般企業と比べても待遇が良いのではないでしょうか。

応援してくれる人がたくさんいる

忙しい営業に、厳しいレッスン。

心が折れてしまいそうになる事もあるでしょう。

時には孤独を感じてしまう事もあるかもしれません。

しかし、美容師アシスタントには応援してくれる人が周りにたくさんいるのです。

同じ苦しみを味わってきたオーナーや先輩、そして定期的に通ってくれるお客様。

実はたくさんの人に見守られているのです。

人を笑顔にするのは、スタイリストだけではありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

美容師アシスタントの仕事は非常に多く、怒られる事が理解できない事もあるでしょう。

しかし、掃除のように小さいことであっても、一人前の美容師になるには必要な事なのです。

それは、自分が先輩になった時や自分がオーナーになった時に必ず役に立つ事なのです。

美容室に入社したその瞬間から、そのプログラムはスタートしているのです。

辛い仕事と思われがちな美容師アシスタントですが、辛い事も全て明るい未来へと繋がっているのです。


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