農業は一言で表すことができないくらい広い分野にわたる仕事です。

今回は農業の作物の生産に関わる仕事内容を簡単に説明したいと思います。

同じ作物を生産しても日照時間や、気象条件によって作業内容が異なってくるためにあくまで一般的な説明になります。

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農業の仕事は大きく5個の役割に分けられる

土づくり

私が農業を始めたときに、「仕事は段取りが8割」と教わりました。

農業における段取りとは、まさに土づくりのことです。

「土づくりが成功するといい生産物ができる」とはっきり言い切ることもできます。

そんな土づくりは各農家によって様々です。

また日本各地で気候の違い、日照時間の差によっても土づくりの方法は違ってきます。

私は、約2か月間かけて土を作っています。

土づくりの本来の目的とは、連作障害を減らすため、土を休ませることにあります。

誤解を恐れずに言うと、シーズンオフの間に土壌に栄養補給して次シーズンの準備をするわけです。

この準備をすることで、シーズン中には栄養を作物にしっかりと送ることのできる土壌が出来上がるのです。

作付け

作付けとはその名の通り、作物を植え付けることを言います。

植え付け面積や単位面積あたりにどれだけの本数を植え付けるかを決めます。

ところで、植え付けるといってもどのように植えるのでしょうか?

例えば10センチ間隔であったり、20センチ間隔であったり又は50センチ間隔であったり、果たしてどの間隔が正解なのでしょうか?

答えは作物によって違うのです。

またこの間隔のことを株間と言います

例えばいちごの場合株間25センチから30センチが一般的です。

ではこの株間で何が変わってくるのでしょうか。

株間が狭いと単純計算で、単位面積当たりの収穫量が増えることになります。

逆に株間が広いと単位面積当たりの収穫量が少なくなるはずです。

これだけ聞くと、できるだけ狭く植えたほうが良いように感じます。

しかしこのように単純計算で計算できないのが農業なのです。

株間が狭いと、風通しが悪く病害虫の発生が多くなります。

対処法として農薬散布をしますが、株間が狭いと密集しているため全体に農薬が付着しません。

結果として出荷できない生産物が増えてしまうのです。

各作物にそれぞれ適切な株間があります。

適切な株間は最適な管理をするために昔から研究されてきた結果なのです。

管理

管理作業とは、除草、潅水、農薬散布、脇芽取り摘果などの生産物の生育に関わる全ての業務のことを言います。

簡単に言うと作物の生活環境を整える業務です。

各作物によって管理の内容は異なってきます。

生育期間の中で一番長時間行う作業がこの業務になります。

それぞれの作物の特性をしっかりと学んで適切なタイミングで適切な管理を行うことがよい作物を生産するポイントです。

例えばいちごの摘果作業(花を摘んで着果数の調整をする作業)では時期によって数を調整します。

真冬の日照時間の少ない時期にたくさんの花を残すと着果負担と言って株に負担をかけてしまいます。

株が弱ると次に咲く花が少なくなったり、遅れて咲いたりしてしまします。

適切なタイミングで、適切な量の摘果をすることが株に過度に負担をかけないスムーズな生育につながります。

収穫

毎日管理して生産してきた作物を収穫する集大成の作業です。

作物によって収穫方法は異なります。

米、芋などは機械での収穫になります。

このような作物大規模な面積で栽培されているので機械化が進んでいます。

またトマトやいちごなどの果菜類は手作業での収穫作業になります。

また果実も手作業で収穫作業になります。

傷をつけないように丁寧に収穫することが大切です。

出荷

出荷業務はいろんな形態があります。

協同組合などの組織に加入して出荷するのか、営農組合に加入するのか、自分で出荷する方法もあります。

農協などを通して出荷する場合は、農協職員が営農指導に来てくれ、きめ細かく指導してくれます。

また出荷に関わる諸手続きを代行してくれるために生産に特化して作業できるメリットがあります。

営農組合での出荷は組合員で協力して生産した作物を農協や組合独自に出荷する形になります。

組合によって形態は異なりますが、一般的には農協との取引が多いようです。

自分で出荷する場合は、レストランと契約したり、道の駅やスーパーのに直産物コーナーに出荷したり直接自分で契約して取引することが一般的です。

もちろん農協に出荷することもできます。

*個人農家や営農組合は農協の組合員になっていることが一般的です。

農業に関する各種補助金などの窓口が農協になっていることが多いからです。

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土づくりの3個の業務

肥料を入れる

有機堆肥、化学肥料、石灰などを畑に散布します。

この時、なるべく均一になるように散布することがポイントです。

トラクターで耕す

施肥した畑をトラクターで耕します。

土の状態をよく観察し、適切な水分量で耕すことがポイントです。

水分が多すぎると土が固まったり、粘土のようになってしまうことがあります。

また水分量が少なすぎると散布した肥料と土が綺麗に混ざらないことがあるので注意が必要です。

その他

私はこの他に、肥料を散布した区画を水で満たし、その上に透明ビニールを覆い1か月間土を寝かせています。

こうすることで土壌の消毒効果と有効微生物を増やし、作物の生育に最適な土壌環境を整えることができます。

土づくりに関しては各農家でそれぞれの方法があります。

投入肥料に関しても農家の数だけ方法があると考えていいです。

作付けの3個の業務

育苗

育苗は土づくり同様非常に重要な業務の一つです。

健康な苗が仕立てられると安定した収穫量が確保できます。

毎日の水やりを確実に行うことが大切です。

植え付け

植え付けは前述したように、何本の苗をどれだけの面積にどのように植えるか決め、植え付けることです。

各作物に最適な植え方があります。

地域にもよりますが、教科書通りの植え方が一般的に安定した収穫量を期待できます。

畝の高さ

高い畝で作る作物は下に根が伸びる作物です。

水分を求めてぐんぐん下に根っこが伸びていくのでなるべく高い畝を作ることで根を長く伸ばします。

いちごが高畝の作物の一例です。

低い畝で作る作物は根っこが横に伸びる作物です。

西瓜などは養分を求めて横にぐんぐん根が伸びるので畝のわきに追肥をしてやることがポイントです。

手入れの3個の業務

防虫・動物被害対策

対策は必ず必要です。

防虫対策に関して、農薬散布で対策します。

農作物に寄って来る虫で被害が大きいものは、ダニ、アザミウマ、ヨトウ虫類(蛾の幼虫)、アブラムシなどが一般的です。

各農薬に成分、対象害虫、希釈倍率、使用回数が記されています。

農薬散布日報などにいつどのような農薬をどれだけの希釈で散布したかを記入することで過剰散布を防ぐことができます。

また最近では農協などの出荷先から出荷時に農薬散布日報の提出を求められることが一般的です。

動物被害は電子柵や、罠などで対策します。

しかしこのような対策には免許や講習が必要です。

勝手に罠などをしかけないようにしましょう。

追肥や土寄せ

追肥は作物の生育に欠かせない大切な栄養源です。

液体の肥料を株もとに潅水する方法や、固形肥料を根っこが伸びる先に置く方法もあります。

液肥の場合は株元に潅水用のチューブを添わせるので設置コストはかかりますが、過剰施肥が少なくリスクが少ない方法です。

また液肥混入の設備を整えると蛇口をひねると液肥が流れます。

量やタイミングはもちろん均一に施肥できる点が優れています。

固形肥料の場合は肥料の量やタイミングは農家の腕にかかっています。

この方法は観察力に優れたベテランの農家さんなどこだわって生産されている方が多い気がします。

液肥に比べて管理リスクが大きい反面肥料の効きは大きいように感じます。

また均一に生育していな場合に個別に施肥してやることで生育の遅れを取り戻すことができます。

土寄せの作業と追肥は一般的にセットで行われることが多いです。

例えばネギの場合、追肥後土寄せをします。

ネギの根は土の表面に上ってこようとするため、追肥と土寄せを同時に行うことで肥料を吸収しながら根を土のかぶった分伸ばすのです。

温度・湿度調整

温度と湿度は植物の光合成にとって非常に重要な要素です。

それぞれの作物に適切な生育温度と湿度があります。

光合成の80%は午前中に行われるのですが、その時に適切な環境を整えてやることが大切です。

昨今の施設園芸では温度、湿度、照度などの環境制御を自動でできる設備も整ってきています。

初期設定は必要ですが、生産物によって設定は変えることもできます。

もちろんコストはかかりますが、空いた時間を管理作業や販路開拓などの他作業の時間に回すことができるので導入が増えてきています。

また温度や湿度が病害虫に与える影響も大きいです。

例えば葉ダニは乾燥した環境を好みます。

またいちごやトマト生産での高温多湿の環境下では炭疽病が発病しやすくなります。

収穫の2個の業務

収穫

米などの作付面積の多い作物は機械での収穫になります。

機械オペレーターの仕事は運転技術がポイントです。

とにかく広大な面積の収穫を行うので効率的で安全運転での作業が大切です。

果菜類は手作業での収穫です。

生産物が傷つきやすいため機械化ができない分野です。

果物も手作業での収穫です。

果菜類同様機械化ができない分野です。

保存や出荷の処理など

それぞれの作物でいろんな保存方法があります。

芋類は一般的に倉庫などの暗冷所に一旦保存し出荷時に出荷準備をします。

芋は保存期間が長い作物です。

また米は芋同様に保存期間が長い作物です。

コメの場合は専用の保存用冷蔵庫で保存します。

米が痛まないように湿度の調節できるものが一般的です。

米は農協出荷の場合30㎏の袋詰めで出荷します。

果菜類、果実は保存期間が短いものです。

収穫日のうちに出荷する場合が一般的です。

痛みの早い作物なので出荷のパック詰時には気を使います。

傷をつけないようにパック詰めするのはもちろんのこと、出荷の運送時に荷崩れしないように詰めることも大切です。

また果物に関しても生産物によりますが、保存せずにすぐに出荷します。

桃などの出荷時の梱包は傷ついたところから腐り始めるので、梱包資材も改良が進んでいます。

傷のつかない梱包をして出荷します。

出荷の2個の業務

選別・箱詰め・梱包

サイズ、重さ、完熟度などの基準に沿って収穫物を分別する作業を選別作業と言います。

作物によりますが米など機械で選別できる作物は機械化が進んでいます。

梱包に関しても機械で袋詰めします。

果菜類、果実は手作業での選別作業になります。

また梱包に関してもすべて手作業です。

荷運び

荷運びは配達業者か個人で配達するかのどちらかになります。

配達業者に渡すまでが農家の管理責任になるので丁寧に扱いましょう。

また個人で配達する場合荷崩れしないように安全運転で配達します。

農業の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

農業は近年最先端技術が導入されて、働きやすい環境が整えれられて来ています。

しかし気象条件などの環境要因に大きく依存する仕事になります。

台風で施設が破壊されることなど、日照不足や異常気象が頻繁に起こる昨今、教科書通りに栽培できることは稀です。

そんな中で試行錯誤しながら栽培し、生産物として最終的に収穫できた時の喜びの繰り返しが大きなやりがいにつながります。

面白いポイント

作物相手の仕事の面白い点は、毎シーズン違うことです。

同じ形をしている種でも生育はそれぞれ違います。

そんな面白さの例を少しあげてみたいと思います。

奥が深い

生き物相手の仕事です。

それぞれの株がそれぞれの生育をします。

根が丈夫な株があれば、地上部の葉が大きく育つ株もあります。

実がたくさん実る株があれば、収穫物の味が優れた株もあります。

同一品種を均一に育ててたとしても生育に差ができるところに面白さを感じます。

出来の悪い株はかわいがり、枯れたり病気にならないように管理をします。

そんな株でも無事に収穫できると感動するものです。

市場で評価される

また市場が評価するということは、市場が積極的に販売したいということでもあります。

つまり数ある生産物の中でも優秀な品質であることを評価されたことになります。

一般的に生産物は市場経由でスーパーなどに出回ります。

市場で評価されるということは、一般の消費者の需要があるということです。

一般消費者の喜ぶ顔が見えると、栽培していて良かったなと感じるものです。

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まとめ

さて今回は農業の作業別の説明をしてきました。

それぞれの作業は、気象条件など地域差によって大きく変わってきます。

最近は施設園芸の設備が発達し、地域格差が少なくなってきましたが、それでも自然条件に大きく影響する仕事です。

また各地域の土壌条件によっても作物の生育は変わってきます。

環境の違いで施肥量が変わり管理作業も変わってきます。

自分が作業する地域で最適な作業を学ぶことが良い生産物を生産する一番のポイントです。

ぜひ参考にして自分の地域での最適な栽培方法を追求してみてください。


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