ルート営業が辛いと思う7個の理由とそれを乗り越える方法。経験者が解説!
営業という職種は、大まかに分けて「新規開拓営業」と「ルート営業」に分けられます。
どちらも同じ「営業」という職種ではありますが、「新規開拓営業」はその名の通り新規の顧客を獲得する為の営業です。
反対に「ルート営業」は新規の顧客を獲得するための営業ではなく既存の顧客から売上を伸ばす為の営業となります。
私が経験した「自動車部品卸売り業」の「ルート営業」を例に挙げながら、「ルート営業」の仕事内容ややりがいなどを詳しく紹介していきます。
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ルート営業の仕事は大きく2個の役割に分けられる
商品の営業担当
既存の顧客を訪問し、自社で扱っている商品の営業を行います。
高価な商品の発注を獲得した際は、営業担当自らがその商品の配達や商品の説明を行うケースもあります。
自動車部品卸売り業で例に挙げると、自動車整備用の「専門工具」、「故障診断コンピューター」、車を持ち上げる「リフト」、「ATフルード交換機」等が挙げられます。
各営業担当には、一般的に目標値が設定されます。
商品の配達担当
顧客から発注された比較的安価な消耗品類の配達を行います。
例えば「エンジンオイル」「ブレーキパッド」「プラグ」等といった安価な消耗品類です。
また、配達時に安価な消耗品類の御用聞きも行います。
筆者が勤務していた会社では営業担当と配達担当の二つに職種が分かれていましたが、配達担当は存在せずに営業担当が配達も行ったり、配達の業務がなく営業のみという場合も考えられます。
配達担当には、目標値は設定されないケースが多いようです。
商品の営業担当の2個の業務
必要としている商品のヒアリング
既存顧客を回り、顧客が必要としている商品のヒアリングを行います。
顧客が漠然と「こういう物があったら欲しい」と考えているのであれば、それに見合う商品の営業を行うのです。
また、顧客から聞くだけではなく、顧客の職場環境を観察し「こういった物が必要なのではないか」と自分から提案・営業をしていきます。
職場環境を観察すると、ジャッキがかなり古い物であったり、コンピューターを使用せず人間の判断のみで修理を行っているといったケースがあります。
そのためにも、常日頃から顧客の職場環境にも目を配って、営業できるものがないか考える必要があるのです。
アンテナを広げ、自分の持っている商品知識を最大限に活かすことが重要であり、商品知識を多く仕入れることも必要となります。
新商品の案内・営業
メーカーから発売される新商品の営業を行います。
1年を通して様々な新商品が発表されるので、メーカー担当者から新商品の詳しい説明を聞き新商品の知識を深めます。
この際に重要なことは「メーカー担当者からどれだけ新商品の詳細な内容を聞き出すことができるか」ということです。
また顧客からどのような質問が来るのかも予め考えて、その質問の答えを明確にします。
顧客からの質問に対して「分かりません」では信頼を失ってしまうでしょう。
ルート営業は、既存顧客に何度も伺うことになります。
顧客を何度も訪ね、顧客の懐に入って信頼関係を築くことでルート営業は成り立っていくので、信頼を失ってしまったら今後商品を発注してくれなくなるという事態も考えられます。
そのため、新商品の知識を最大限に得ることで顧客からどんな質問が来ても対応ができる様にし、信頼を深めて継続的に顧客に商品の発注をしてもらうことで売り上げを伸ばしていくのです。
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商品の配達担当の2個の業務
顧客から発注された商品の配達
顧客から発注された安価な商品の配達を行います。
配達担当が配達する商品は、消耗品などの比較的安価な商品となります。
こういった商品は、営業担当が営業を行わなくても顧客のほうから発注依頼が来ることが多くなります。
営業担当の様に個々の顧客にじっくり時間をかけることはなく、スピーディーに各顧客を回り配達をします。
御用聞き
営業担当が行う「必要としている商品のヒアリング」と似ていますが、配達担当が行う「御用聞き」はもっと砕けたニュアンスのものとなります。
営業担当が行う商品のヒアリングは比較的高価で消耗品ではない商品を対象としたものですが、御用聞きは比較的安価な商品である消耗品を対象としたものとなります。
顧客から発注のあった安価な商品の配達を行った際に、同時に顧客へ御用聞きを行い新たな安価な商品の発注をいただきます。
単価が安いので一つ一つの発注額は大した額ではありませんが、多くの発注をいただけばまとまった額の売り上げとなり、営業担当の目標達成に貢献することができます。
新規開拓営業との仕事内容の違い
最も違う点は、営業相手が「新規顧客」か「既存顧客」かということです。
新規開拓営業の場合はアポイントを取るところから始まり、名刺交換、商談などといった手順を踏み、信頼関係を一から構築していく必要があります。
それに比べルート営業は、何度も顔を合わせている「既存顧客」に対しての営業であるためアポ取りや名刺交換などの手順を省くことができ、既にある程度の信頼関係を構築できている状態で営業をすることが可能です。
営業担当者の変更があったとしても、前任者が顧客と信頼関係を築けていれば新規顧客と一から信頼関係を築くより信頼関係の構築は容易でしょう。
更に、顧客との信頼関係を深く築いていくことで継続的な売り上げを期待することができます。
しかし既存顧客のみの売り上げに頼るルート営業は、一度既存顧客との信頼関係を失うと売り上げを大幅に減少させる危険性があります。
その点新規開拓営業は次々に新規の顧客から売り上げを上げれば良いので、ルート営業に見られるような信頼関係のしがらみに縛られることは少ないでしょう。
ルート営業の仕事の良いところ
今まで一度も会ったことのない顧客に営業を行う新規開拓営業と違い、慣れ親しんだ顧客を相手にできるため、精神的ストレスが少ないということが最大のメリットと言えます。
また、既存の同じ顧客へ何度も営業を行うため顧客と親密になり、信頼関係を築き上げることもできます。
やりがいを感じるポイント
顧客と信頼関係を構築できたと実感できる時が、最もやりがいを感じる瞬間となります。
ルート営業は顧客との信頼なくして成り立ちません。
そのため、顧客と信頼関係を築き上げることこそがルート営業の最重要項目と言えるのかもしれません。
商品ではなく自分を買ってもらえた
ただ良い商品だから顧客に買ってもらえたというのではなく営業担当を気に入って商品を買ってくれた時は、とてもやりがいを感じる瞬間です。
実際に「そこまで必要な商品ではないが、君だから買ってあげるよ」とお言葉を頂いたことがありますが、その時に思ったのが「自分を買ってもらえたのだ」ということでした。
商品が良かったから買ってくれたという場合は、その1回は売り上げが上がるかもしれませんが今後の商品のラインアップによっては継続的に買ってもらえない可能性もあります。
その点、顧客と信頼関係を築けていると継続的に商品を買ってもらえる可能性が高まるのです。
特に顧客との信頼関係が重要なルート営業の場合は「自分を買ってもらう」という意識で営業をすることが重要となります。
同業他社ではなく自分から買ってもらえた
前項の「商品ではなく自分を買ってもらえた」と似たポイントですが、ライバルの同業他社と全く同じ商品の営業を行った際、同業他社からではなく自分から商品を買ってもらえた時にやりがいを感じます。
例えば、新車を購入しようと考えてディーラーを回ったとします。
それぞれ違う会社の二つのディーラーで、同じ商品が同じ価格で売られていた場合、皆さんだったら何を基準に購入する店を決定するでしょうか。
対応してくれた営業担当の愛想が良く商品知識も豊富で信頼できる方で購入する、という人もいるのではないでしょうか。
またこれは筆者自身の経験なのですが、とある用事があった際に、店員の愛想が悪い近所の店よりも、少し遠くの愛想の良い店員のいる店にわざわざ行ったことがあります。
やはり最終的には「売る人の信頼感」が重要になるのです。
面白いポイント
ルート営業では顧客との信頼関係を構築することが最も重要である、という説明をしてきました。
顧客との信頼関係を築き上げた時に初めて分かる面白いポイントがありましたので紹介していきます。
信頼度や親密度と売り上げが比例する
顧客との信頼度や親密度が高いと、それに比例して売り上げが伸びます。
営業担当が変わり顧客とまだ信頼関係が築けていない初期段階では、あまり強く営業を行うことができません。
顧客も人間ですから、「情」というものがあります。
長年付き合いがあり人間性もよく分かっている人と、まだ付き合いが浅くて人間性も分からない人、一般的に考えて恐らく前者ほうが「情」が湧くのではないでしょうか。
顧客の立場からすると、まだそれほど親密でもなく情も信頼感もない相手からいきなり強く営業をされても商品を買う気にはならないでしょう。
そのため、まだ顧客との親密度や信頼度が低い時は売り上げが低くなります。
顧客と信頼関係が築けてくると、冗談を言いながら強気に営業をすることもできますし、情で商品を買ってもらえることも多くなります。
親密度や信頼度が上がるのに比例して売り上げも上がっていくのです。
丁寧な対応だけでは売り上げは上がらない
きちっとした態度や丁寧な言葉遣いはもちろん必要ですが、あまりに丁寧すぎると「堅すぎてとっつきにくい人」と思われ、いつまで経っても親密度や信頼度が上がらないことがあります。
もちろん、初期段階ではきちっとした態度や丁寧な言葉遣いは必要です。
しかし、いつまで経っても丁寧すぎると関係性がよそよそしく、顧客の懐に入ることができないのです。
顧客の懐に入らなければ、商品も買ってもらえません。
顧客の懐に入らないと「情」が湧いてこないのです。
営業に対して情が湧かないということはもちろん信頼感もありませんので、商品を買ってくれる可能性は少なくなるでしょう。
筆者の経験では、営業をしていたほぼ全ての顧客がこの傾向にありました。
しかし業種によってはきっちりとした丁寧な対応を好む顧客もいるかもしれませんので、注意が必要です。
プライベートでの交流が生まれやすい
顧客との親密度や信頼度が上がってくると、プライベートでも交流が生まれることがよくあります。
普通の営業でもプライベートでの交流が生まれることはありますが、ルート営業はそれ以上にプライベートでの交流が生まれます。
なぜかと言うと、商品とは全く関係のない趣味や世間話を普通の営業よりも多くするからです。
毎日毎日来る度に営業トークばかりするのでは顧客も嫌になってしまうので、仕事以外の趣味の話や世間話を織り交ぜます。
仕事と関係のない話をすることでお互いの人間性も分かって信頼度も上がり、顧客の懐により入り込めるのです。
顧客と同じ趣味を持っていると分かり休日に一緒に趣味に出かけたり、バーベキューをしたことも実際にありました。
プライベートでも交流があるということは信頼をしてくれている証拠であり顧客の懐に入り込めている証拠でもあるため、今後の営業活動をスムーズに行うことができるでしょう。
ルート営業で幾度となく同じ顧客のもとへ行っていると、中には営業と顧客という立場ではなく友人や顔なじみの様な感覚になった顧客もいました。
しかし実際は「お客様」の所に営業に行っているので、親しき仲にも礼儀ありということわざ通り度が過ぎない様に注意をしなければなりません。
まとめ
ルート営業の仕事内容ややりがいなどについて説明をしてきました。
ルート営業は新規開拓営業と比べて顧客と深い信頼関係を築くことができます。
顧客と深い信頼関係を築くことができれば継続的な売り上げが期待でき、目標の達成が可能となります。
「商品を売るのではなく自分を売る」という営業活動ができる人には、うってつけの営業であると言えます。
顧客と深い信頼関係を築ける自信のある人は、ルート営業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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