出版社の編集者と言えばどこかお洒落でかっこいい職業というイメージがあります。

でも実際の編集の仕事というのは一体どのような物なのでしょうか?

編集の仕事内容を1つ1つの業務に分けて詳しく見て行く事にしましょう。

編集の仕事は大きく9個の役割に分けられる

企画立案

書籍でも雑誌でも全ては企画を立てる所から始まります。

売れている書籍や部数を伸ばしている雑誌がなぜ受けているのか分析し、今どのような企画がヒットするかを考えます。

会議に向け、練り上げたアイデアを企画書の形にまとめます。

企画会議

企画書は会議を通過して初めて企画として認められる事になります。

会議の場で会社に自分の企画の良さをアピールしましょう。

承諾を得るためにはプレゼンテーションの技術も必要です。

発注作業

著者やライターに原稿の執筆を依頼します。

書籍などで著者が単独の場合、依頼を受けてもらえないと企画自体が成立しなくなるケースもあります。

また雑誌の場合にはイラストレーターやカメラマン、デザイナーへの仕事の発注も必要になります。

いずれの場合も企画の主旨を丁寧に説明し、方向性がブレないようにする事が大切です。

スケジュール管理

発注が済んだら期日までに入稿できるようスケジュールの管理が必要です。

原稿やイラストの進捗状況を把握したり、インタビューや撮影の日程を調整したりします。

必要があれば催促のメールを送ったり電話をかけたりする事もあります。

デザイン依頼

デザイン事務所に出向き、出版物のデザインの依頼をします。

雑誌なら表紙や誌面のデザインが、書籍ならカバーや表紙のデザインが重要になります。

企画意図や予算額を説明した上でデザインの方向性を話し合い決定します。

入稿準備

原稿やイラスト、写真などの素材を印刷所に入稿できる形に整える必要があります。

内容や構成、素材を入れ込むページの確認はもちろん、文章については誤字・脱字や不自然な表現のチェックも行います。

著者やライターの了承を取りながら直すべき所は全て直しておきます。

ゲラチェック

印刷所から出てきた初校ゲラを著者やライターに届けます。

内容を確認の上、訂正する箇所には赤を入れてもらいます。

編集者も同時進行で入念にゲラのチェックを行い、再校ゲラを取るため印刷所に戻します。

色校チェック

雑誌では書籍の再校ゲラに相当する物が色校になります。

発色のチェックと並行して内容の最終的な確認を行います。

書籍ではカバーや表紙、帯など装幀の色校が出たら、デザイン事務所に持参してチェックしてもらいます。

校了

チェックを終えた色校を印刷所に戻した所で校了となります。

書籍の場合は見本が出来次第、新聞社や雑誌編集部に謹呈用の見本を送付します。

書評や紹介記事に取り上げられれば大きな宣伝効果が得られるからです。

企画立案の3個の業務

市場リサーチ

今どのような出版物が売れているかリサーチします。

作りたい書籍のジャンルや記事のテーマ、その大まかな方向性を意識してネットで情報を集めたり書店を回って調べたりします。

書店のどの棚に置かれる出版物を作ろうとしているか明確にイメージできる事が重要です。

企画立案

リサーチした情報をふまえて実際に企画を立てます。

ジャンルを明確にし方向性を絞り込んで、仮タイトルまで付けておきます。

企画書作成

企画案の構想をパソコンで企画書の形に落とし込みます。

書籍や記事のテーマをより明確にするため、書式に則った企画意図の作成だけでなく仮の構成案も作成します。

企画書には類似企画の評判や売れ行きなどを盛り込んでおくと効果的です。

企画会議の2個の業務

企画の主旨を説明する

会議の場で会社に企画の主旨を説明します。

提出した企画書の細部に関する質問が出ればそれに答えます。

企画の良さをアピールする

企画の売りを明確にしてプレゼンテーションを行います。

実績のある類似商品は企画書の会議通過にとってプラスに働きますが、差別化をどこで図るかの説明が必要です。

一定の読者が見込める上、従来の路線との差別化も出来るという点を強くアピールします。

発注作業の3個の業務

原稿を依頼する

原稿を書いてもらう著者やライターに依頼を行います。

書籍の場合、最初は手紙で依頼する事が多いです。

企画の意図、想定する読者層、刊行の時期などについて明確に伝えます。

イラストや写真、ページデザインを依頼する

雑誌の場合、記事の執筆以外にもページを彩るイラストや写真が必要です。

またページデザインが必須となるためデザイナーに仕事の発注を行います。

初回の打ち合わせを行う

承諾が得られたら直接会って最初の打ち合わせを行います。

手紙であれメールであれ、文字だけの情報伝達は思わぬ理解の食い違いを生む事があるからです。

直接会って話す事で企画の主旨を改めて確認し、仕事の進め方など細部を詰めていきます。

スケジュール管理の3個の業務

進捗状況を確認する

原稿の進捗状況や方向性のブレの有無など、執筆者と密に連絡を取って確認を行います。

構成などで変更の提案があれば検討し、早急に可否を伝え作業の停滞が起こらないようにします。

イラストレーターに仕事を依頼している場合には同様に作業の進捗状況の確認が必要です。

取材の日程を調整する

雑誌の場合は写真撮影やインタビュー取材などの日程管理が重要です。

カメラマンやインタビュアー、取材相手の日程を管理し、撮影場所や取材場所も設定します。

取材自体は編集者が自ら行うケースもあります。

会社に進捗状況を報告する

企画の進捗状況の情報は編集者と発注先との間でだけ共有されていれば良いという物ではありません。

進捗の確認が取れたらその都度上司に報告し、企画が遅滞なく進行中である事を伝えます。

トラブルが生じた場合もすぐに会社に相談する事が必要です。

デザイン依頼の2個の業務

ページデザインを依頼する

雑誌の場合、誌面のデザインフォーマットが必要です。

目次や記事の扉のデザインも含めたセンスあるフォーマットの作成を依頼します。

装幀を依頼する

書籍の場合、予算の関係もあってページデザインは目次や章扉のみの依頼に留まる事が多いです。

しかし、カバーや帯のデザインは売れ行きを左右する重要な要素ですから全て装幀家に作業してもらいます。

雑誌の場合は表紙のデザインがこれに当たります。

入稿準備の5個の業務

原稿の内容をチェックする

届いた原稿が企画意図からずれた内容になっていないか確認します。

原稿を校正・校閲する

誤字・脱字や日本語としておかしな表現のチェックである校正を行います。

事実関係の確認などを行う校閲も合わせて行います。

校正や校閲は外部のスタッフに依頼する場合もあります。

構成を確認する

書籍であれば想定していた構成案から大きく逸脱していないか原稿のチェックを行います。

雑誌の場合は、集まった素材が所定のページ数に収まるよう構成を調整します。

構成との兼ね合いで記事の長さに微調整が必要な場合は担当ライターに修正を依頼します。

使用する素材を選ぶ

取材時に撮影した写真、あるいは写真素材の提供サービスを行う会社のストックの中から、誌面に使用する写真を選択します。

取材に同行したカメラマンから専門家としての意見を聞きつつ、最終的には編集者が使う写真を決定します。

印刷所にデータ入稿する

原稿、イラスト、写真、デザインフォーマットなど必要なデータ一式を揃えて印刷所に入稿します。

ゲラチェックの2個の業務

初校ゲラをチェックする

印刷所から上がってきた初校ゲラをチェックします。

著者やライターに初校ゲラを送付し、それぞれが赤を入れて表記の訂正や内容のブラッシュアップを図ります。

赤入れをした初校ゲラを編集者が回収、一本化して初校戻しに備えます。

テープ起こしを元に作成したインタビュー記事であれば、取材相手に内容を確認してもらい承諾を得る事が必要です。

雑誌であれば記事に掲載したお店や会社の電話番号や所在地なども入念にチェックしてミスのないようにします。

再校ゲラをチェックする

初校ゲラに入れた赤が再校ゲラにきちんと反映されているか編集者が全てチェックします。

新たに大きな直しを入れることはせず、初校ゲラの赤に指示の間違いがあった場合などに限って訂正します。

最小限の赤を入れた再校ゲラを印刷所に戻します。

色校チェックの1個の業務

色校をチェックする

雑誌では書籍の再校ゲラに当たるものが色校になります。

写真の発色や鮮明さなどを中心にチェックを進め、同時に内容の最終確認を行います。

書籍の場合の色校はカバーや表紙の校正紙を指すので、デザイン事務所に校正紙を持参して装幀家にチェックしてもらいます。

校了の2個の業務

チェック済みの色校を印刷所に戻す

雑誌では編集者が最終チェックを済ませた色校を印刷所に戻せば校了です。

書籍では、デザイナーの修正指示が入った色校を印刷所に戻し、再校に問題がなければ校了となります。

謹呈見本を送付する

書籍では見本が出来次第「謹呈」と書かれた紙を挟んで新聞社や雑誌の編集部に送付する作業があります。

見本と一緒に送る書籍の内容をまとめた紹介文を作成するのも編集者の仕事です。

ブックレビューや紹介記事はもちろん、プレゼント本として取り上げられるだけでも本の宣伝に繋がります。

編集の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

編集者の仕事は書籍や雑誌を読者に届ける事です。

仕事のやりがいはどのような所にあるのでしょうか?

時代の1歩先を行く視点を持てる

書籍であれ雑誌であれ、学校の教科書ではありませんから、基本的に未来志向の内容です。

かつてどうだったかではなく、これからどうなるのかに焦点を当てて情報を発信していきます。

書き手の多くは様々な分野のプロであり、現状をふまえて1歩先の未来への提言が出来る人たちです。

編集者もまた仕事を通じて時代の1歩先を行く感覚を身につける事が出来ます。

人々の役に立つ事が出来る

人生の様々な困難に対処するための出版物は沢山あります。

医療や子育て、恋愛や勉強、起業やお金の事など多種多様なテーマが扱われています。

それはひとえに様々な情報を必要とする読者の存在あっての事です。

自分の手がけた出版物が人々の役に立っている感覚が得られるのはやりがいに通じます。

自分の手がけた出版物が店頭に並ぶ

形になる物を生み出す職業は沢山あります。

ですが、編集者にとっての出版物ほど作り手と商品の結びつきが強いケースは稀です。

自分の手で完成品となった出版物が書店に並んだ時の嬉しさはひとしおです。

ベストセラーを出す可能性がある

宝くじに当たるような確率とは言え書籍編集者には、ベストセラーを生み出す可能性が開かれています。

雑誌編集者ならヒット企画で雑誌の売り上げを大きく伸ばす可能性があります。

サラリーマンでありながら、ベストセラーや大ヒットの当事者となり得る事は編集職の魅力の1つです。

面白いポイント

編集者も会社勤めのサラリーマンには違いないのですが、少し毛色が違うようです。

そう感じられる編集職ならではの面白いポイントとはどこにあるのでしょうか?

ちょっと変わったプロフェッショナルに出会える

記事や書籍を執筆できる書き手はその道の専門家である事が多く、学ぶ所の多い存在です。

しかし一方で1人の人間として見るとちょっと変わっているという事もよくあります。

彼らの物の見方やライフスタイルに刺激される事も多く、好き嫌いはともかく視野が広がります。

デザイン感覚が磨かれる

編集者はカメラマンやイラストレーター、デザイナーといった美術系のプロフェッショナルとの付き合いが日常茶飯事です。

他社の雑誌や書籍を参考にする機会も多く、常日頃からセンスを磨くチャンスに恵まれた仕事です。

自分でも気づかないうちにデザイン感覚が研ぎ澄まされる珍しい仕事と言えます。

有名人に会うことが出来る

雑誌であれ書籍であれ、記事の中心人物や著者が世間の誰もがよく知る有名人になる事は珍しくありません。

仕事を通じて芸能人や有名スポーツ選手に会う機会があるのも編集職の面白い所でしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

9つある編集の仕事内容について、かなり理解が深められたのではないでしょうか?

編集の仕事が人との関わりの多い仕事である事もわかっていただけたのではないかと思います。

この記事が編集職を目指す皆さんにとって少しでもお役に立てたら望外の喜びです。


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