出版社の仕事内容にはどのような物があるのでしょうか?

また、そこにはそれぞれどのような業務が含まれているのでしょうか?

出版社の仕事の中味について詳しく紹介していきます。

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出版社の仕事は大きく3個の役割に分けられる

編集

出版社の商品である出版物の企画立案・編集作業を行います。

書籍の編集と雑誌の編集の2つの種類に大きく分かれます。

デスクワークだけでなく仕事相手とのコミュニケーション力も重要な仕事です。

営業

自社の出版物を書店や取次に紹介または宣伝して営業活動を行います。

書店からの自社出版物への発注を促したり、取次に自社出版物の在庫補充を促したりする事が目的です。

書店員の生の声を聞く機会が最も多いため、企画の可否や見通しに対する営業マンの意見はきわめて重要です。

製作

出版物の刊行スケジュールに関する管理全般を行います。

印刷所や製本所への発注作業や価格交渉も行います。

また予算に合わせた原価の調整も製作部の重要な仕事です。

編集の9個の業務

企画の立案

書籍であれ雑誌であれ企画がなければ出版物は成り立ちません。

今売れている書籍や人気のある特集記事などを参考にしながら企画を立案します。

世の中のトレンドに対する常日頃からのアンテナの張り方が重要になります。

企画書の書式に合わせて情報やアピールポイントを整理し、会議通過に備えます。

企画会議

営業部長や編集長などの上司が参加する会議の場で企画書を基に自身の企画をプレゼンします。

企画内容に会社からの承諾が得られなければ企画は頓挫してしまいます。

類似商品や類似企画の売れ行きなど具体的なデータを示すと説得力が高まります。

仕事の発注

書籍であれば原稿執筆を著者に依頼します。

雑誌の場合には、誌面の構成によって多種多様な専門家へのオファーが必要になります。

記事を執筆するライターだけでなく、カメラマン、イラストレーター、デザイナーなどへも発注が必要です。

仕事の承諾が得られたら打ち合わせをして、企画の主旨について理解に食い違いがないようあらためて説明します。

スケジュール管理

書籍で著者が1人だけというような場合は、電話やメールで原稿の進捗状況を確認します。

構成などで変更の希望がある場合は打ち合わせの場を設けて、企画主旨との整合性を確認します。

雑誌の場合、誌面を構成する記事の種類ごとに様々な段取りが必要です。

インタビュー記事があれば、日程や場所の調整からインタビュアーやカメラマンの確保まで、やるべき事は沢山あります。

入稿準備

著者から原稿が届いたりライターから記事が届いたりしたら入稿の準備を始めます。

入手した原稿を読み込んで表現や表記のミスを可能な限り減らしておきます。

原稿に含まれる情報の事実確認は校閲と呼ばれ、専門の部署や外部のスタッフに依頼する事も多いです。

雑誌であれば、取材した企業や紹介した店の所在地や電話番号、HPアドレスなどのチェックも不可欠です。

写真やイラスト、ページデザインなどのデータ一式が揃った所で印刷所への入稿という形になります。

初校ゲラチェック

印刷所から初校ゲラが出てきたら入稿時の指示がきちんと反映されているかチェックします。

本の著者や記事の執筆者に初校ゲラを送り、最終的な確認をしてもらう事も大切です。

書籍の場合、デザイナーへの装幀依頼はこの時に行います。

初校ゲラのコピーで書籍の内容を確認してもらった上で、企画の主旨を伝え装幀のイメージを固めます。

色校チェック

雑誌の場合は誌面にカラーが入っている事も多いため、色校を見ながら使用した写真などのチェックをします。

より良い誌面になるよう鮮明さや汚れの有無などを細かく点検していきます。

もちろん記事など文章の校正も合わせて行います。

書籍の場合の色校はカバー、表紙、帯など装幀まわりの校正紙になります。

装幀家に色味などをチェックしてもらい問題があれば修正の指示を仰ぎます。

校了

初校ゲラを戻した後に出てくる再校ゲラでは見落としたミスがないか最終チェックをします。

再校ゲラは著者やライターに確認してもらう事はせず編集者が点検します。

装幀まわりの色校の指示に無理な注文などがなければ、後は印刷所の仕事です。

編集者としてはここで校了という事になります。

見本の送付

書籍の場合は製本所から届いた見本を各所に送付する仕事があります。

まずは著者から渡されたリストの住所に「著者謹呈」の紙片を挟んだ見本を送付します。

次に目ぼしい新聞社や雑誌編集部宛てに「謹呈」の紙片を挟んだ見本を送付します。

これは書評や紹介記事、プレゼント本などに取り上げてもらう事による宣伝効果を狙った物です。

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営業の4個の業務

書店での営業

書店を回って自社の出版物の売れ筋商品をアピールします。

新刊が出ればチラシを持って出向き、書店の担当者に配ります。

書店から取次へ発注がかからなければ出版社の業績は伸びません。

営業マンによる書店への販促活動は出版社の要とも言える業務です。

取次での営業

取次は小売店である書店に出版物を卸す役目を果たします。

この取次に対しても、自社の出版物の在庫補充を呼びかける営業活動を行います。

書店から発注がかかっても取次に在庫がなければ販売部数は伸びていかないからです。

書店でのテーマ別の書籍フェアの開催などを取次に対して提案する事もあります。

広告営業

雑誌の広告ページに入れる広告に関して交渉を行うのも営業の仕事です。

自社の出版物を掲載する新聞広告や電車の中吊り広告などについても同様です。

新刊の広告は費用も掛かりますが宣伝効果は大きく、出版社の販売戦略にとってとても重要です。

企画会議への参加

編集者は著者やデザイナーとの付き合いが多い仕事であるのに対し、営業マンは書店の店員と近しい仕事です。

書店員の生の声は出版物の成功にとってきわめて重要かつ有用なヒントを多く含んでいます。

しかし企画立案する編集者が書店員から直接話を聞く機会はほとんどありません。

営業部長が企画会議に出席する事は、会議の場に「書店員の視点」を導入する事と同じで大変重要です。

製作の3個の業務

刊行スケジュールの調整

出版社には厳密な刊行スケジュールがあります。

刊行予定の出版物が万が一出ないとなったら、スケジュールの年間計画だけでなく業績の見通しにも影響が出ます。

そうした事態が起こらないようスケジュールの管理・調整を行うのが製作部の仕事です。

出版物の原価計算

印刷や製本にかかる代金や著者への印税、デザイナーへの支払いなど、1冊の出版物を作るためには沢山お金がかかります。

それらを全て合わせた原価の計算ができていなければ定価もまた決まりません。

出版物をいくらで売れば良いのかを算定する仕事も製作部の担当です。

印刷所や製本所との交渉

出版物に使う紙の発注や管理、値段の交渉なども製作部の重要な仕事です。

印刷や製本の段階でのトラブルへの対応も製作部が行います。

出版社の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

他の業種の仕事にはない出版社ならではの仕事のやりがいとは何でしょうか?

これは出版物という商品の性質と関わる部分が多いようです。

いくつかのポイントを挙げてみましょう。

出版物という文化的価値の高い商品を扱っている

どのような商品にも優れた価値がありますが、出版物というのは言わば人類の財産です。

今はネットからも情報は取れますが、出版物の情報の密度や正確さは他に類を見ない所があります。

専門的な知見や日本語の巧みさ、記事の切り口やデザインのセンスなど、多種多様な知恵が集まって1つの出版物となります。

消費されるコンテンツとは一線を画す歴史的な重みのある物が出版物と言えるでしょう。

そういう文化的価値のある商品を世に送り出せる事は、出版の仕事のやりがいと言えるでしょう。

読者の人生に影響を及ぼす事がある

お金を出して買う商品には違いありませんが、出版物には単なる消費物とは言えない側面があります。

コンビニで買ったおにぎりがお腹を満たす時間は短いですが、出版物がもたらす満足感は生涯続く事さえあるからです。

雑誌や書籍のデザインも大切ですが、出版物はやはりそこに含まれるメッセージに最大の価値があります。

情報はたやすく消費されますが、価値は消費されにくい性質の物です。

価値を届け読者の人生に大きな良い影響を与える仕事はやりがいに繋がるでしょう。

ベストセラーの出版社となる可能性がある

ヒット商品を出す事はどの業界でも望まれる事でしょう。

出版社も例外ではありませんが、商品が出版物である事でヒット商品へのアプローチがしやすい面があります。

スマートフォンでも家庭用洗剤でも1つの企業が手がける商品ジャンルは限られています。

ところが出版社の場合、出版物というくくり以外は原則的には自由です。

「糖質制限できる食事のレシピ本が売れている」とわかれば、類似した出版物を出すのは出版社にとっては比較的容易な事です。

お菓子メーカーに携帯ゲーム機は作れませんが、出版社なら時流に合わせて内容を変え大ヒットを手繰り寄せる可能性があります。

面白いポイント

仕事の面白さは様々ですが、出版社でなければまず体験できないような面白さとは何でしょうか?

書籍や雑誌の記事の書き手との付き合いが仕事を面白くしてくれている面があるようです。

これもいくつかのポイントを挙げてみる事にしましょう。

仕事をしながら様々な事を学べる

どの業種でも仕事を通じてそれぞれの業界の知識は身につきます。

しかし出版社の場合、出版業界に関する知識以外にも様々な事柄を学ぶ機会が多いです。

扱う出版物の内容がそれに当たります。

編集者は特にいろいろな専門家に執筆を依頼し記事や原稿を読み込む中で多くを学ぶ事が出来ます。

仕事をしながら業界に関する事以外の知識を学べるのは出版社の仕事の面白い所と言えるでしょう。

時代の1歩先を行く感覚が身につく

読者のニーズに応える出版物には「今」の少し先を行く内容が含まれていると言われます。

現状そのものでは魅力に欠けますし、あまり先端的すぎては理解が覚束なくなります。

様々なジャンルにまつわる1歩先を行く情報こそが、読者の知識欲を満たしてくれるのです。

出版社にいれば時代の1歩先を行く感覚に自然と感化され、それが身につく事になります。

デザインセンスが磨かれる

出版物は中味が重要と言っても、カバーや表紙のデザインといった見た目もかなり重要です。

本文の文字のフォントの選び方1つ取っても、少しでも見た目が良く内容とマッチする物をと常に気配りをしています。

イラストレーターやカメラマン、デザイナーといった色や形の美に関する専門家との交流も日常茶飯事です。

部署を問わず出版社に身を置いていると、デザインに敏感にならざるを得ません。

デザインセンスを磨く事が出来る仕事環境だというのは出版社ならではの面白さでしょう。

個性的な人物と知り合える

人との出会いは一生の宝、財産だと言われる事があります。

しかし大人になり仕事を持てば出会う人の数も限られ、互いに興味・関心の似通った人との付き合いが多くなりがちです。

その点出版社は個性的な人物と出会いやすい珍しい環境にあります。

著者やライターといった文章の書き手は特定のジャンルの専門家です。

自らの好奇心に深入りしてプロになった個性的な人たちが多く、その話は刺激的で人物にも魅力があります。

また、デザイナーやイラストレーター、プロカメラマンも独自の世界を切り開いて生きてきた個性的な面々です。

そうした魅力的な人物と出会いコミュニケーションが図れるのも出版社の仕事の面白さと言えるでしょう。

有名人に会える

出会いとまでは行きませんが、有名人に会う事なら出来ます。

有名人を著者とする書籍の企画が通れば執筆やインタビューの依頼が出来ます。

所属事務所の承諾が得られれば有名人と会って話す事が出来ます。

雑誌なら扱う記事の種類によっては、芸能人やモデルに仕事をオファーする事は日常茶飯事という所もあるでしょう。

ややミーハーかもしれませんが他の業種には見られない出版社ならではの面白い特徴と言えるのではないでしょうか。

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まとめ

いかがでしたか?

出版社の仕事内容と16個の業務がおわかりいただけたのではないでしょうか?

出版社の仕事とひと口に言っても、編集・営業・製作の各部署ごとに全く異なる役割分担があります。

しっかり役割分担をしながら出版物の刊行・販売に向けた企業努力をしている訳です。

編集職のイメージだけで出版社を捉えるのではなく、出版物を作り上げるのに必要な様々な業務がある事をわかっていただけたなら、望外の喜びです。


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