調理師の仕事が辛い…と感じる5個の瞬間とその乗り越え方
子供の頃「将来はコックさんになりたい!」と思っていた方も少なくないのではないでしょうか。
気軽に入ることのできるカフェから敷居の高いレストランまで、様々な場所で活躍できる調理師はとても魅力のある職業です。
腕を磨けば独立を果たすこともできるので、非常にやりがいがあります。
調理師と言えばもちろん美味しい料理を作ってお客様に提供するのがメインの仕事ですが、他にはどのような仕事をしているのでしょうか。
インターネット上では「修行期間が辛い」と話題にあがることも多いですが、それは本当の情報なのでしょうか?
今回は、調理師の仕事内容や良い面・悪い面、調理師のキャリア、やりがいについてお話していきます!
目次
閉じる調理師とはどんな仕事?
まず調理師とはどのような仕事なのかご説明しましょう。
調理師を名乗ることができるのは調理師免許試験に合格し資格を持っている料理人のみです。
調理師は食材に対する知識、調理方法、栄養学などに精通しており、作った料理をお客様に提供しその対価としてお金を貰う仕事です。
調理師の仕事は料理を作ることだけと思われがちですが、接客業務も含まれますし、一つのお店での勤続年数が長くなればお店全体を取り仕切る必要があります。
そうなると店舗運営全般に責任を負い、お店の営業活動を行ったり新しい農家と契約するために地方に足を運んだりと調理以外の業務も請け負うことになります。
飲食店で働く調理師の役職とは?
一般の企業でも部長、係長、社員と役職があるように、調理師にも経験年数やスキル、知識によってそれぞれ役職があります。
では、詳しく見ていきましょう。
シェフ、板長、料理長など
個人店はシェフや料理長自らが独立しお店を経営している場合が多いのですが、ホテルなどはその腕を買われて雇われている形となります。
シェフや料理長はそのお店の料理全てに責任を負い、同じお店で働く調理師たちを指揮・指導し、品質の管理や新しい料理の考案なども行います。
ちなみに最近では料理人全般のことを「シェフ」と呼ぶ人がいますが、実はフランス料理の世界では「シェフ」というのは料理長にのみ使う言葉です。
日本ではそのあたりの線引きが曖昧になっていますが、「シェフ」というのは本来1人しかいないと覚えておきましょう。
スー・シェフ、副料理長など
シェフや料理長の右腕的な存在であり、調理師としての経験も知識も確かな人が選ばれます。
シェフや料理長の仕事が厨房内に収まらないのとは対象的に、料理についての仕事を中心に行います。
料理人、コックなど
トップ以外の料理人の役割は腕や経験によって様々です。
提供する全ての料理を1人の料理人が作るということはほとんどなく、分業制で調理を行っていきます。
営業中は沢山の料理人とホール担当のスタッフたちがコミュニケーションを取りながらタイミング良く料理を出していく必要があります。
また、営業時間外には仕込みを行います。
ちなみに西洋料理ではシェフ、スーシェフ以外の調理師は全てコックと呼ぶのが正しいとされています。
飲食店で働く調理師の仕事内容とは?
具体的な業務
料理を作る
何と言っても一番の仕事は料理を作ることです。
調理師の多くは1日の大半を厨房で過ごします。
お店の形態によって異なりますが、営業時間中はオーダーをこなし、開店前や閉店後は仕込みを行うお店がほとんどです。
決して広くない厨房の中で新米の調理師からベテランの調理師までが一緒に仕事をします。
基本的には担当する場所や料理が決められている分業制です。
例えばイタリアンレストランの場合、アンティパストと呼ばれる冷菜や前菜を担当する調理師、パスタを作る調理師、メインの肉料理や魚料理を作る調理師、加えてデザートを作り専門のパティシエと呼ばれる調理師がいます。
厨房で働く調理師は駆け出しの頃からすぐに料理を作らせてもらえるわけではありません。
最初はお皿洗いや簡単な野菜のカットなどを行って下積み時代を過ごし長い年月をかけ徐々に一人前になっていくのです。
接客業務
調理師がホールに出て接客にあたることも少なくありません。
オープンキッチンのお店であれば仕事をしながらカウンターのお客様とお話もしますし、お店が忙しくなれば自ら料理を運ぶこともあります。
料理は温度がとても大切です。
ホールスタッフが忙しいがために料理ができてからテーブルに届くまで5分以上かかるなどということは決してあってはならないため、人手が足りない時は調理師がホールに出ていく必要があるのです。
また、食事を終えたお客様に調理師自ら感想を聞きに行く場合も多々あります。
自分たちの料理に満足してもらっているのかを知る良い機会なので、これもまた大事な業務の一つと言えます。
新商品の考案
季節の食材を使った新商品の考案も、調理師にとって大切な仕事です。
新商品もただ季節感があれば良いというわけではなく、お店の雰囲気と合っているかどうかも重要ですので、センスの問われる業務です。
新しい商品を考えるためには料理の腕と食材に対する知識が必要なので、好奇心が旺盛な人や探求心のある人にぴったりの仕事です。
食材や材料の発注業務
調理師として働いていると、食材の発注を任されることもあります。
実際に市場に足を運ぶこともありますし、契約している農家や生鮮品を取り扱うお店から食材が届くこともあります。
この食材を使おうと決めるのは料理長や副料理長ですが、決まった食材を管理したり発注したりするのはそれ以外の調理師の仕事となるでしょう。
料理の品質管理
料理の品質管理にも調理師一人一人が気を配らなければなりません。
お客様の中には「いつもと同じ味」を求めて来店する人もいれば、初めてお店を訪れる人もいます。
いつもと同じ味を求めて来てもらっているのに、作る調理師が違うから今日は味も盛り付けも違います、などという事態は飲食店として絶対に避けなければなりません。
また新規のお客様に関しても、その一回の品質の違いが今後常連客として通ってもらえるかどうかを左右するということを心得ておかなくてはならないのです。
衛生管理
食べ物を扱う仕事ですから、衛生管理は必須です。
一年中気を付けなければいけないことですが、夏は特に食材が傷みやすく調理師にとって非常に気を遣う時期でもあります。
また冬は感染症が流行する時期なので、その対策が必要です。
ダスターと呼ばれる布巾は営業中でも時間を決めて廃棄したり消毒したりして、使用する器具や調理台の上などキッチン内は常に清潔に保ちます。
先輩調理師が使った調理器具の洗浄は新米の料理人の仕事です。
洗い残しのないように素早く丁寧に洗浄を行います。
仕事の流れ
開店前
開店前は厨房内の用意をします。
オーブンを指定の温度に設定したり洗浄機を稼働させたりするなどの機械の準備から、営業に必要な食材や備品のチェックまで行います。
その後の開店までの時間は、料理長や先輩の指導の下で仕込みにあたります。
日持ちがせず前日までに作っておけない料理はこの朝の時間に全て仕込みをし、昼や夜のオーダーに使うのです。
営業中
営業中に最優先するのはオーダーです。
どんなに仕込みが立て込んでいても、お客様に料理をお出しすることが最も重要です。
品質をしっかりチェックしながら手早く綺麗に料理を仕上げて行きます。
料理長はホールでお客様と会話をしていたり営業活動を行っていたりすることが多いので、厨房ではそれ以外の調理師がそれぞれ責任を持って任された作業にあたります。
担当する料理が終わったからと言ってすぐに仕込みに戻るわけにはいきません。
まだオーダーを抱えている後輩がいれば手伝い、洗い物も積極的に行います。
調理にはチームワークが必要です。
小さなことの積み重ねで先輩調理師から信頼されるようになるので、周りをよく見て声をかけながら仕事をしていかなくてはなりません。
厨房内が全て落ち着いて洗い物もなくなれば仕込みに移ります。
忙しいお店では仕込みの時間は長くは取れません。
空いた時間を見つけて手早く行う要領が必要です。
閉店後
お客様が全員帰り翌日の仕込みも終われば、閉店作業に入ります。
店内と厨房内の清掃、材料の発注、翌日の準備や予約確認をします。
新商品の考案なども、閉店後のまとまった時間で行うことが多いです。
調理師はどういう人と仕事で関わるの?
調理師は仕事をしていく中で沢山の人と出会います。
ぜひ良好な関係を保っておくべき人脈をご紹介しましょう。
農家さん
調理師の仕事で欠かせない食材を提供してくれる農家さんと直接会う機会は何度もあります。
珍しい野菜や、味は良いのに形が悪いからという理由で捨ててしまう野菜をとても安く販売してくれることもあるので、農家の方とはしっかりコミュニケーションを取っておきましょう。
市場の人や出入りの業者
鮮魚や精肉、青果は、調理師自ら市場に買い付けに行くこともあれば、お店に配達してもらうこともあります。
これらの販売業者と顔見知りになり信頼関係が結ばれれば、品質の悪いものを売られたり値段をごまかれるなどといったことはなくなります。
農家さんと同様に面白い食材が入ってくれば教えてくれますし価格を安くしてくれることもあるので、仲良くしておいて損はありません。
またどこに縁が繋がっているか分からないので、おしぼり業者や消耗品を届けてくれる業者にも印象良く対応するようにしましょう。
食品会社の営業マン
飲食店には、自社製品を使ってほしいと多くの営業マンが訪れます。
この人たちも食のトレンドや他店で人気の商品などについて非常に詳しいので、取り入れるか取り入れないかは別として会話してみることをおすすめします。
特に次々と新しいものが入ってくるワインなどは、営業マンとコミュニケーションを取っていると希少な品種でも手に入れやすくなります。
飲食店の調理師としてやりがいを感じること
料理が好き、食べることが好きな人にとって調理師はとてもやりがいのある職業です。
続いて、飲食店で調理師として働く中でやりがいだと感じることをご紹介します!
料理に対する知識が増えて成長できる
調理師はプロ集団ですから、実に沢山の知識を持っています。
飲食店には、その知識を働きながら学びすぐに活かすことのできる環境があります。
知識を身につける中でできなかったことができるようになったり料理がおいしく作れるようになったりと努力がダイレクトにあらわれて成長できるので、料理が好きで腕を上げたいという人にはぴったりの職場でしょう。
美味しい料理や知らなかった食材との出会いがある
今まで想像もしなかった料理や食材との出会いが、調理師にはあります。
こんなに美味しいものがあったのか!という発見も多いです。
家庭料理では使わないような食材やスーパーでは見かけない野菜も、出入りの業者が持っていて紹介してくれる場合があり、食体験がグンと増えます。
また職場に面倒見の良い上司や先輩がいれば勉強のためにと様々なお店に連れて行ってもらえることもあり、世界が広がるでしょう。
自分の考案した料理を形にできる
料理長に一人前のコックとして認めてもらえれば、お店の新商品の考案を任されることもあります。
これこそが調理師の仕事の醍醐味と言えるでしょう。
使う食材やその料理の位置付け、お皿や料理の色合いなどを全て自分で考え、料理長や先輩たちのGOサインが出ればメニューに加えてもらえます。
何度も試作を重ねる必要がありますが、その分注文が入った時の喜びはとても大きなものとなります。
お客様に喜んでもらえる
大げさではなく、美味しい料理はお客様を幸せにできます。
人に喜んでもらうのが好きだという方は、大きなやりがいを感じるでしょう。
またおしゃべりが好きな人は、ホールに出てお客様と積極的に話すようにするととても面白いです。
お客様の反応を直に感じ取れますし、様々なお客様が毎日入れ替わりで来るので、新たな出会いや発見が生まれるでしょう。
その他の調理師のやりがいについて、こちらもチェック
調理師の仕事で良い面とは?
このようにやりがいのある調理師の仕事ですが、良い面も悪い面もあります。
まずは良い面から見ていきましょう。
手に職が付く
調理師になって最も良い点は、手に職が付くことでしょう。
努力次第で独立を果たすこともできますし、海外勤務などを視野に入れることもできます。
未経験でも始められる
調理師と名乗るには調理師免許が必要ですが未経験・無資格でも働き始めることは可能で、実務経験2年以上になれば受験資格を得られます。
学歴・職歴・年齢は不問の求人が多いので、調理師になりたいと思えばいつでもチャレンジできます。
職場数が多い
一口に調理師と言っても、その働き口は様々です。
レストランやホテルで働く調理師もいれば、学校給食や病院食、会社の社員食堂で働く調理師などもおり、仕事が見つからないということはありません。
調理師の仕事で悪い面とは?
では逆に、悪い面とはどのようなところでしょうか?
長時間労働になりがち
調理師の仕事は仕込みの量やお客様の滞在時間によって長時間労働になりがちです。
毎日定時に帰宅できるという保証はありません。
火傷や小さい切り傷はしょっちゅう
調理師の仕事で大きな怪我をするという事態は稀ですが、小さな火傷や切り傷は日常茶飯事です。
また、長時間にわたる食器洗浄は避けられないため手荒れを起こしてしまい、皮膚科にかかっている調理師も少なくありません。
修行期間は薄給
調理師は見習期間がとても長く、加えて薄給です。
将来のためと考えることができれば良いですが、お給料のためだけに調理師を選ぶのはおすすめできません。
調理師がブラックな仕事だと感じる瞬間は、こちらの記事を参考に!
調理師としての転職を成功させるために
調理師としての転職を成功させるためにやるべきことや覚えておくべきことをご紹介します。
優先するべきものを考える
まずは自分が優先するべきものを決めましょう。
薄給でも労働時間が長くてもそのお店の料理を覚えたいのか、ワークライフバランスを重視するのか、給与の良い案件を選ぶのかなどをよく考えて自分に合った条件の求人を探しましょう。
様々な角度から将来を見据える
調理師としてこの先のステップアップが望める環境かどうかを見極めて転職先を選びましょう。
今流行っていて集客数のあるお店でも一過性の人気で終わらないか、店舗を増やす可能性はあるのか、そのお店でシェフなどの役職に就けるのかといったことを考えましょう。
詳しい転職方法を知りたい人は、こちらの記事もチェック
まとめ
今回は調理師についてお話しました。
料理の仕事はやはり厳しく、目標のある人でなければ長く続けることはできません。
その一方でやりがいを感じる場面は多く、一生ものの技術や知識を身につけられる魅力的な仕事でもあります。
良い面と悪い面の両方を踏まえた上で、調理師としての一歩を踏み出しましょう!
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