調理師の仕事が辛い…と感じる5個の瞬間とその乗り越え方
美味しい料理を作るプロである調理師。
レストランやホテルなど少しかしこまった場所にも、カフェやファミリーレストランなど私達の身近なお店にも、調理師は在籍しています。
学校給食や病院食、介護施設で食事を作っているのも調理師です。
活躍の場の多い調理師ですが、実はとても離職率の高い仕事の一つでもあります。
現在調理師として働いている人の中には「もう料理業界から転職しよう」と考えている人も少なくないでしょう。
また、調理師は離職が多いという情報に不安を覚える調理師志望の人もいるはずです。
どうして一度は志した調理の道を離れてしまう人が多いのでしょうか?
今回は、その理由や辞める前に必ず考えてほしいことなどをご紹介していきます。
調理師を辞める9個の理由とは?
調理師を辞めた、または辞めたいと言っている人に話を聞くと、いくつもの共通した理由があります。
20代~30代の調理師の中には完全に他業種に転職してしまう人も少なくありません。
どうして今まで培ったキャリアを全て捨て、他業種に転職してしまうのか…。
主な退職理由を見ていきましょう。
身体的・体力的な理由
体が資本である調理師は、体力がないと続けられない仕事です。
毎日の立ち仕事に加え手元を見ながらの業務が多いために首を痛めたり腰を痛めたりすることが重なり、体を壊してしまって退職する人が後を絶たないのです。
1日の労働時間も長く、座っている暇はほとんどありません。
キッチン内は、調理のピーク時にはとても蒸し暑くなり、そのような環境で体調を崩す人も少なくありません。
精神的な理由
1日12時間以上の労働が常態化している働き口では、メンタルの強さも必要です。
1日の半分以上を職場で過ごす仕事なので、技術を身につけたいというはっきりとした目標のある人でなければ続きません。
調理師という仕事は料理が好きだというだけでは続けられない仕事という一面があります。
経済的な理由
調理師の給与は決して高くはありません。
何年も続けているベテラン調理師や個人店のオーナー、ホテルのシェフになれば給与は跳ね上がりますが、駆け出しや中堅の内は自分の生活でやっとな程…。
新人調理師であれば月給は15万円~18万円貰えれば良いほうと言えるでしょう。
しかし学校給食や病院食、介護食などを作る調理師は給与条件に比較的恵まれていることが多いですし、労働環境も悪くはありません。
調理師の世界では、結婚して家族を養わなければならなくなった人が通常の飲食店を退職し、このような施設の調理師になることも珍しくありません。
結婚・出産など
特に女性の調理師の中には、結婚や妊娠・出産を機に調理業界から退職する人がとても多いです。
中堅の女性調理師はあまり見かけないと思いませんか。
料理だけではなくパティシエやブーランジェでも同じことが言えます。
体力仕事である調理師の仕事は妊娠中に続けることはとても難しく、また産休・育休制度もきちんと整っていないお店が多いのです。
やむを得ず退職をし、その後全く異業種で社会復帰を果たす女性調理師は少なくありません。
将来への不安
若い頃に夢や志を持ち覚悟を決めて調理業界に入っても、30代~40代に差し掛かると「このまま調理の仕事を生涯続けていけるのか」という不安を抱える人は多いようです。
給与の安さや労働環境の悪さを、若い頃は「これも夢のため」と我慢できていても、将来のことを真剣に考え出す年齢になると不安がつきまとい転職を選ぶケースもあります。
独立して成功するのはほんの一握りの人だという現実を見て調理業界を去る人も少なくありません。
家族のため
家族を養うために転職を決める人も多いです。
先述したように調理の技術を活かし学校給食などの調理施設に転職する人もいますし、全く別の業種に転職する人もいます。
女性だけではなく男性でも、結婚を機に調理師を辞める人がとても多いのが現状です。
中には、将来が不安定な飲食業を辞めて一般の会社に転職することが結婚の条件だと言われたという話も…。
また調理師は一般企業と違い土日休みが取りにくいため、家族との時間が取れないということを転職の理由に挙げる人もいます。
飲食業界に疲れてしまった
調理は好きでも、調理業界に疲れてしまって他業種に転職する人も少なくありません。
良い労働環境を求めて就職活動をしても、納得のいく働き方ができるお店や労働条件の良いお店が見つからないといった理由で飲食業界を去る人も少なくありません。
例え、ば調理経験が15年という立派なベテランの調理師がいました。
イタリア料理とスペイン料理に精通し、以前のお店では店長も勤めていた程の人です。
しかし転職した店では経歴を評価してもらえず、月給がぐんと下がった上に労働時間は大幅に増え、精神的にも身体的にも疲弊しきってしまいとうとう調理業界から身を引いてしまいました。
この例のように、しっかり腕があるのに評価されず調理業界全体に対する希望を失い転職する人も多数います。
他にやりたい仕事がある
もちろん前向きな理由で転職を選ぶ人もいます。
他にやりたいことがある、挑戦してみたい仕事があるなどの理由で調理業界から去る人も少なくありません。
自分には向いていないと感じる
料理は好きでも、調理師という仕事が向いているかどうかは別です。
調理師はお客様に提供する料理を作る仕事ですから、家での料理とは全く違います。
常に料理のクオリティーを一定に保たなければなりませんし、衛生面でも細心の注意が必要です。
毎日同じ業務が続く調理師の仕事を実際にやってみて、「料理は好きでも調理師には向いていない」と転職を決める人もいます。
実際に向いていないと転職をするのは調理業界に入って2年~3年の若い人に多く、思い切った転職もしやすいのが特徴です。
向いていないと判断して転職を考える場合は年齢が若い程スムーズなので、真剣に検討していく必要があるでしょう。
本当に辞めていいの?調理師を辞める前に考えること
他業種への転職はとても勇気の要ることです。
計画的に行わないと、すぐに仕事が見つかる保証はどこにもありません。
調理師を辞める前に考えてほしいことをご紹介していきましょう。
調理師を辞める理由は?
「調理師を辞める」と職場の人に話したり身内に話したりすると、恐らくとても驚かれ「どうして?」と訊かれるでしょう。
まず、人に話す前に自分の中で調理師業界を去る理由をよく考えることが大切です。
そうすることで、職場を変えるだけで済むのか、もしくは他業種に転職することになるのかが明確になります。
労働条件に不満がある場合
現在の職場の労働条件に不満があるという場合は、調理業界自体を去らなくても良いかもしれません。
地道な転職活動とリサーチで、良い条件の調理の仕事を見つけることができるでしょう。
一つ忘れないでほしいのが、調理業界全体がブラックと呼ばれる会社やお店だけではないということです。
きちんと従業員のことを考え労働時間も可能な限り法定時間に近づけようとしているお店もありますし、充分な人数の従業員を抱え1日8時間労働で就業している調理師もいます。
もちろん、残業があればきちんと残業代を支払ってくれるお店も存在するのです。
せっかく入った調理業界なので、悪いイメージで終わらせないようにしたいものです。
労働条件のみが原因であるなら、まずは調理業界での転職活動を視野に入れてみてください。
身体的に影響が出ている場合
調理師の仕事を続けたいけれど体に影響が出ているという場合は、休職するという手段もあります。
しばらく休んで治るなら、会社に休職を申し出てみるのも良いでしょう。
一度辞めてしまった場合に伴うリスク
一度全く違う職種に就いたものの、やっぱり料理がやりたいと調理業界に戻ってくる人は少なくありません。
そんない人たちが口を揃えて言うのが「調理を続けていれば良かった」ということです。
調理業界は経験が重要視される世界です。
1年~2年の短い期間でも、ブランクがあるのとないのとでは経歴に関する評価は大きく変わります。
迷っているならぜひ続けてみませんか。
今は辛くても、この先調理業界で転職する際には「続けた」ということが必ず有利に働きます。
身体的に影響が出ている場合
調理師の仕事を続けたいけれど体に影響が出ている、と言う場合は休職すると言う手段もあります。
しばらく休んで治るなら、会社に休職を申し出て見るのも良いでしょう。
他業種への転職
調理師を辞めて他業種へ転職する場合、今までの経歴が全く重視されない可能性は大いにあります。
調理師免許を持っていても調理と関係のない業種への転職を目指す場合、何か強みとなる資格の取得などをおすすめします。
失業保険を貰いながら職業訓練校へ通う人も少なくありません。
辞めた後の計画をきちんと立てておきましょう。
どうやって良い職場を見つければ良いの?
料理は好きだし、調理師の仕事は続けたい。
しかし今の労働環境や労働条件ではもう限界…。
そんな人が良い職場と出会うのにはいくつかのコツがあります。
調理師業界で条件の良い職場、またその職場を見つけるためには、転職活動をどのように進めれば良いのでしょうか?
調理師で条件の良い職場とは?
同じように調理師免許の保持を求める職場の中にも、条件の良い職場と厳しい職場とがあります。
条件の良い職場は、大手のチェーン店、保育園を含む学校給食を作る施設、病院、介護施設、社員食堂などです。
多店舗を展開しているレストランやカフェなどであればシフト制であることが多く、社員の労働時間はしっかり守られている所が多くなります。
また保育園や学校の給食を作る施設は法定労働時間が守られ、土日休みの週休二日制で長期休暇も取れるというところが殆どで、調理師としては恵まれた労働条件です。
介護施設は早朝からの仕事の場合も多いですが調理師に対する保障はしっかりとされている場合が多く、また特別食の知識などを必要とするため、給与が良い案件を見つけることができます。
社員食堂での調理師も営業時間が会社の稼働時間内のみと限られているので、極端に長時間労働が必要という職場は少ないでしょう。
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何を重視するかによって「良い職場」は決まる
調理師も考え方は人それぞれ。
将来は独立して自分のお店を持ちたいと思う人もいますし、守られた労働条件の中で好きな調理に携わることができれば良いという考えの人もいます。
後者が避けるべき職場は「個人店」です。
個人店はどうしても長時間労働のお店が多く、調理師の人数が少ないため1人にかかる負担が大きくなりがちです。
しかし、独立を考えている人や技術をしっかり学びたいという人には個人店はうってつけです。
経営者であるオーナーシェフとの距離が近く、迷ったり分からないことはすぐに訊けるという点で個人店に勝る職場はありません。
自分に合った職場を選ぶことが、調理師を長く続けるコツです。
どうやって良い職場を探すの?
自分が労働条件を重視するタイプなのか、今は学びの時と厳しい環境でも耐える覚悟をするのか決まったら、次は自分に合った職場選びです。
労働条件を重視するタイプの人にぜひ使ってほしいのは、調理師専門の転職サイトや転職エージェントです。
調理師専門の転職サイトやエージェントはインターネット上で見つけることができますし、求職者は無料で利用できます。
サイトによって特色があり、ホテルのレストランの求人数が多いサイト、個人店の求人案件が多いサイトなど様々です。
中には自分の経歴や希望の職種、地域などを指定しスカウトを待つという方法もあります。
飲食専門の求人サイトではそのサイトを通じて応募者が集まり、採用者が決まった場合は採用する側に料金が発生します。
決して安い値段ではありませんが、それでも良い人材を集めたいという企業やお店が利用しているため、働く人を大切に思っている会社が多くなります。
条件などもはっきりと記されているので、よくある「その他は面接でお話します」ということや「書かれていた条件と実際が違う」ということがありません。
転職エージェントを使用する場合はもっと密に条件や希望を企業側に伝えることができます。
経歴や希望の職種を考慮しながら担当のエージェントが転職の全てをサポートしてくれるので、安心して転職活動に望むことができますよ。
ぜひ利用してみてください。
まとめ
今回は調理師を辞める理由や辞める時に考えておくべきこと、更に良い条件での仕事探しのコツについてお話しました。
先程も述べましたが、調理師はとてもやりがいのある仕事ですし、特別な技術を必要とする仕事です。
労働条件が良くないという理由で全くの他業種に転職してしまうのはもったいないことです。
良い職場に出会ってこれからも調理師として働き続けられるように、転職活動のコツをぜひ活用してみてくださいね。
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