歯科衛生士は特殊な仕事です。

物相手ではなく人間相手の仕事だからです。

医療系の多くの職種がそうですが、人間相手だからこそ苦労することも多いです。

また歯科衛生士は技術職でもあるので、日々技術の向上に励む必要があります。

では、実際どのような苦労があるのでしょうか?

今回は、歯科衛生士を約20年経験した私が感じてきた苦労についてお話していきます。

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歯科衛生士ってこんな仕事

歯科衛生士の仕事は多岐にわたります。

就職先によっても仕事内容は変わってきます。

開業医の一般歯科の場合、基本的に歯科衛生士の業務全般をこなすことになります。

また院長の得意分野によっては、認定衛生士の資格取得が必要な場合もあります。

例えば院長がインプラントの専門医であれば、インプラントをやらない医院よりもインプラントに関する知識が必要になってくるでしょう。

開業医でも矯正専門歯科もあります。

矯正専門の歯科では基本的に一般歯科の治療はしません。

そのため虫歯や歯周病の治療に関しては他の一般歯科に紹介して診てもらう形となります。

その代わり、矯正に関しては専門的な知識が必須となります。

この場合、矯正に関しての認定衛生士の資格取得が必要となるでしょう。

しかし矯正している患者さんへの歯磨き指導は必要ですので、知識は必須です。

市民病院や大学病院の中にある口腔外科に勤務する場合もあるでしょう。

口腔外科では一般歯科から紹介される患者さんの難抜歯や難外科手術の診療が中心となります。

外科的処置が大半のため、一般歯科では稀な症例を勉強することができます。

他には、歯科関連企業に就職し、歯ブラシなどの商品を一般開業医院に営業し商品説明や商品のデモンストレーションを行ったりします。

企業への就職は四年制大学の衛生士学科の卒業生が多い傾向にあります。

また市町村保健センターや介護施設なども就職先となります。

保健センターでは歯磨き指導や検診の補助が中心です。

介護施設では利用者さんの口腔ケアが中心となり、嚥下・摂食・咀嚼などに関しての知識も必要となってきます。

就職先によって業務内容が変わってきますが、口腔内に関しての知識は幅広く必要です。

様々な分野の知識を豊富にしておくと活躍の場も広がります。

歯科衛生士の仕事で苦労すること7選

今まで歯科衛生士をやってきて、多くの苦労がありました。

患者さん相手の仕事であること、技術や知識が充分に必要であること、院長やスタッフとの人間関係で大きく環境が変わることなどがあります。

具体的に詳しくお話していきましょう。

患者さんの顔や名前を覚えるのに苦労をした

歯科衛生士になったばかりの頃は患者さんの名前を呼び間違えることもありました。

漢字も読み方が様々あります。

思い込みで誤って名前を呼んでしまい失礼なことをしてしまった過去もあります。

患者さんからすれば担当衛生士は私一人ですが、私からすれば担当患者さんは大勢いる中の一人です。

印象の強い患者さんは覚えやすいですが、印象の薄い患者さんはなかなか覚えられず苦労をしました。

メンテナンスで来ている時は問題ないですが、治療で来た時にアシスタントをしていて話しかけられ、名前を思い出すことができず気まずい思いをしたこともあります。

また街中で患者さんに声をかけられた時も、すぐに名前が出てこず失礼な対応になってしまったと思います。

その時どう乗り越えた??

名前の呼び間違いは大変失礼にあたるので、今でもカルテのフリガナ欄を確認しています。

また顔と名前を一致させるため、患者さんの特徴や会話内容を書き留めておくことにしました。

そうすることで呼び間違いを防ぎ、患者さんからの信頼も得られるようになりました。

会話を多くすることで自然と覚えられるようになり、経験を積むと口腔内の状況だけでも思い出せるほどになりました。

担当患者さんの口腔内がなかなか改善されない苦労

歯周病治療は患者さんとの二人三脚が非常に重要となります。

なぜなら患者さんの日々の歯磨きが結果を大きく左右するからです。

モチベーションの高い患者さんは治したい意欲も高いので一度の指導で成果が見られる場合が多いのですが、モチベーションの低い危機感のない患者さんや歯医者に来ていたら大丈夫という楽観的な患者さんは成果がなかなか出ません。

そこで重要なのがコミュニケーションをとり信頼関係の構築をすることなのですが、人見知りである私はかなり苦労をしました。

その時どう乗り越えた??

患者さんとの二人三脚が大事であるということに最初は気付かず、歯磨き指導の内容や伝え方に問題があると勘違いし、そこの勉強ばかりをしていました。

しかし先輩衛生士を見ると患者さんとの関係性に大きな違いがあることに気付き、その時から患者さんとのコミュニケーションの取り方を勉強しました。

まずは積極的に世間話をするようにしました。

患者さんの身なりの変化などには敏感になり、前回の会話を思い出しながら関連付けて話すようにしました。

私と会話した内容を覚えてもらっていると、嬉しく思います。

それは患者さんも同じです。

とにかく沢山会話をしながら、口腔内の状況や歯磨きの重要性などもお話しました。

信頼関係を築き始めると、患者さんも耳を傾けてくれるようになります。

そして前回と比べどれくらい変化があるのかのをお話することで、更に効果が出ました。

自分が話すよりも患者さんに話してもらい沢山話を聞くことが、心を開いてもらう方法だと思います。

小児(1歳~6歳頃まで)との接し方の苦労

小児と接する機会が少ない私は、小児患者さんが来てもいつも上手に声掛けができずに先生に何度も注意を受けました。

小児に声掛けをする時は声のトーンや話し方も変えないといけません。

小児に慣れてないことと恥ずかしさもあったのでしょう。

そのため、小児患者さんが来るたびに落ち込んでいました。

その時どう乗り越えた??

上手く声掛けできない時は先輩に交代してもらいました。

先輩の声掛けなどの対応はいつも参考にし、脳裏に焼き付けていました。

そして数年が経ち転職した先が、小児の予防歯科に力を入れている医院で1日に何人もの小児が来る所でした。

そうなると「できない」とは言っていられない状況になり、以前先輩から学んだ声掛けを思い切ってやってみると、意外とすんなりできました。

これが自信を持てたきっかけとなり、そこからは小児患者さんに対する苦手意識もなくなりました。

思い切って演じるということは非常に大事なことだと感じました。

院長やスタッフとの人間関係の苦労

私は現在までスタッフとは良好な関係を保てています。

スタッフとの不仲が原因で退職したことは一度もありません。

しかし、院長との関係には苦労してきました。

今までの退職理由は様々ですが、院長が原因となった退職は7割にもなります。

院長の考えを理解し自分なりに努力もしながら多少のストレスは我慢していましたが、院長の理不尽な態度や、その日の機嫌で八つ当たりされたりという面で我慢ができなくなっていました。

その時どう乗り越えた??

私がスタッフと良好な関係を築けているのは、不仲にならないように努力をしていることもあります。

自分の立場をわきまえて、仕事を教えてもらう姿勢や感謝の言葉は必ず伝えています。

先輩がしている雑務などは率先して自分から行うようにしました。

自分が後輩にしてもらったら嬉しいと思うことを考えながら動いていきました。

そうすることでスタッフとのコミュニケーションもとれ、良好な関係が築けるようになります。

院長に関しては、まず院長の性格や考え方を理解するところから始めます。

おおらかな先生もいれば、融通が利かない先生もいます。

最終的には自分との相性や、その院長を歯科医師として、経営者として、人として尊敬できているかどうかが大事になります。

「〇〇は合わないけど、△△は尊敬できる」という面があれば大丈夫ですが、尊敬できる部分が全くない場合は転職を考えた方が良いかもしれません。

練習と本番の違いの苦労

技術を向上させるには練習が欠かせません。

スタッフと相互練習をしたり、模型などを使って自己練習をします。

充分に練習を積んでも、実践では上手くできないことが多々ありました。

それは緊張が一番の理由でしょう。

できる時は調子良くできますが、何度も失敗が続くとなかなか抜け出すことができず、上手くできないと悩むこともありました。

その時どう乗り越えた??

全く緊張せずに…ということは難しいですし、ある程度の緊張感は必要です。

まずは自信を持ち、練習通りできるようになることが大事です。

失敗しても、何が原因だったのかをしっかり考え理解した状態で再度チャレンジします。

理解していない状態でチャレンジしても、また同じ失敗を繰り返してしまいます。

自分で考えて理解できない場合は先輩に訊きましょう。

ここで大事なのは、安易に先輩に頼らず、まずは自分で答えを導き出すことです。

また、失敗が続くようなスランプの時は何をしても上手くいかないものです。

そういう時は落ち込み過ぎると負の連鎖を生んでしまうので、気持ちを切り替え、確実に失敗しない業務を多くし、自信を取り戻すようにしましょう。

苦手な患者さんとの接し方の苦労

経験が浅い頃は、クレームを言う患者さんや口調のキツい患者さん、質問の多い患者さんに対しては特に苦手意識が強くなってしまいます。

私も一度患者さんに怒られたことがあり、その患者さんが来る度にビクビクしていました。

私はなぜ怒られているのか全く分かりませんでした。

よくよく患者さんからの話を聞くと、最後にマスクも外さず目も見ず「お大事にしてください」という私の態度が気に入らなかったとのことでした。

私はマスクはそのままでしたが顔は見たつもりでした。

しかし伝わっていなかったので、患者さんにとっては不快に思うような態度だったのでしょう。

様々な患者さんに柔軟に対応できるコミュニケーション力が備わっていないと苦労します。

その時どう乗り越えた??

その時は私も若く、「きちんとしたのに…」と思っていましたが、先輩に「きっと患者さんからしたらマスクで表情が見えないのもあるし、声のトーンや目でそう思ったのかもしれないね」とアドバイスをもらいました。

確かにマスクでほぼ顔が隠れているので、目の表情はとても大事だと思いました。

更に声のトーンも表情の一部だと学びました。

マスクを外さないのであればこの二つの表情はとても重要なので、その日からは気を付けるようにしました。

その経験以降、患者さんに怒られることもありませんでした。

転職の度に覚える内容が多い苦労

転職をするとまた一からその医院のシステムや器具の扱い方などを覚えなければなりません。

現在勤務している歯科医院は院長がとにかく細かいため、医院のルールも沢山あります。

また私自身、20代の頃に比べると覚えるまでに時間がかかったり、覚えられる容量が減ってきていると実感しました。

年齢を重ねてからの転職は医院のシステムや院長の性格なども吟味する必要があります。

その時どう乗り越えた??

どんな些細なこともメモに書き、家で分かりやすくノートにまとめ頭に入れるようにしました。

スタッフにも「何度も訊いてすみません」と断りを入れながら訊いては覚えていきました。

訊かなくて良いようにメモ書きを見ますが、どうしても分からず訊かざるを得ない時もあるので、日頃から訊きやすいようスタッフとコミュニケーションを多くとり、良好な関係を築くことも大切にしました。

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まとめ

どのような職業でも苦労することはあると思います。

「若い時の苦労は買ってでもせよ」という諺もありますが、まさにその通りだと思います。

私は過去の苦労があるからこそ、様々な経験を経て現在歯科衛生士の仕事が楽しいと感じています。

とは言え今も苦労はあります。

しかし、その苦労が将来の役に立つのだと思うことで、考え方もポジティブシンキングに変えました。

考え方によっては気が楽に感じることもありますので、苦労をマイナスに捉えず前向きに乗り越えることが大事なのです。

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