デイサービスで正社員として働いて感じた4個の課題と仕事を選ぶ時に気を付けたほうが良いと思ったこと
高齢化が進む現在、デーサービスの需要はますます高くなり新しい施設も次々にできて、求人も多くなってきました。
しかし、いざ求人を見ると「正社員の募集が少ない!パートばかり!」「未経験可とあるけど本当に働けるの?」といったことを耳にします。
また、人手不足とも聞きます。
今回は、そんな不安に応えるべく、デイサービスの人間関係や雰囲気、仕事の仕組み、課題について解説していきます。
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目次
閉じるデイサービスの一般的な職場環境は?
人員配置は法律による規定があるのですが、定員15名前後の施設ですと、10名ほどの職員がいて、一日当たりおおむね相談員1名、介護職員4名、看護師1名くらいが出勤し、相談員を除く5名が現場で介護業務をしています。
正規職員の割合は少なく、10名のうち2~3名が正規職員、残りは看護師も含めて非常勤職員(アルバイト・パート)がほとんどです。
非常勤職員は限られた時間内のみの業務なので、定時で終わらなかった仕事は正規職員が処理することになります。
稀に非常勤職員も残業することはありますが、行事の前や会議など、限られたときのみです。
そのため、正規職員の負担はとても大きくなります。
非常勤職員の年齢層は様々ですが、30~50歳代の主婦も多く活躍しています。
業務は年齢にかかわらず同じなので、職員全員が、トイレや入浴、食事の介助、レクリエーションの進行など全ての業務をします。
日誌記録などは、定時以降は正規職員の仕事になります。
逆に正規職員は20~30歳代からと比較的若い人が多く、非常勤職員と比べると年齢の差が大きくなることもあります。
立場的に正規職員が現場の進行や指示を出していきますので、年齢の差は時にストレスに感じる人もいます。
しかしながら、15名の高齢者の介護をこの人数で危険が無いように配慮して行うので、常に連携が求められますし、いつも利用される高齢者の目に触れるので、疲労や感情を表に出さず、笑顔で穏やかに対応しなければならず、非常に神経をつかいます。
介護は危険と隣り合わせの業務で、時には利用者の命に関わることもありますから、緊張感があるのは仕方ないことです。
しかし、それを周囲に気づかれないように、利用される方々に安心を得ていただく環境をつくることも仕事の一つです。
デイサービスの仕事に興味はあるけど自分に向いているか心配な人は、こちらから相談してみると良いでしょう。
デイサービスの人間関係でよくある課題と解決策
雇用形態、年齢差、利用される方のニーズに応えるために求められる臨機応変な業務の工夫・・・より良い職場環境を築くためのポイントを解説します。
年上の非常勤職員と、若手の正規職員
人生経験の豊富な非常勤職員と、そうではない正規職員。
立場上、正規職員は非常勤職員の管理を行いますので、年上の非常勤職員からは不満を聞くことがあります。
よく聞かれるのは、以下のようなことです。
- 年下から指示や命令をされる
- 人生経験や子育て経験も無いのに、接遇などを指摘される
【問題の構造】
これは、年上の非常勤職員が持つ「人生経験においての自信・プライド」に端を発します。
年下の上司に指摘されることで、長年培ってきた自信を否定される思いをもつのだと思われます。
この問題は、本質をよく掘り下げて考える必要があります。
まず、年齢差と互いの人生経験の差は、解決できないものです。
確かに若手の正規職員のほうが人生経験は少ないです。
では、なぜ若手が管理者として成り立つのかというと、専門知識を豊富に持っているからです。
社会、すなわち地域もしくは自治体、都道府県や国レベルからの業務の在り方、役割を踏まえて、初めて現場に指示が出ます。
専門知識は人生経験だけでは得ることはできません。
ですから、年上の方の経験の自信やプライドとは相対するものではないのです。
解決策
指示をする正規職員は、必要な専門知識を身につける必要があります(これは求人で資格取得者が条件になる理由の一つです)。
指示するときには、その理由や見通しも含めて相手に伝えるとよいです。
また、不満が返ってきたときには、丁寧に説明することです。
決して強い命令口調にならないようにします。
年上の職員は、専門職に関わっていることを意識する必要があります。
未経験可といえど、家庭での介護の延長ではありません。
プロとして命を預かる仕事をしています。
ですから、専門知識を持つ者からの指示であること忘れてはいけません。
(経営側の)管理者と現場職員
福祉サービスの質の向上と経営は、相反する性質もあります。
利用者が最優先であるデイサービス(福祉の職場には共通することですが)では、極端な効率化やコスト削減はサービス低下につながりますが、経営側には理解されないこともあります。
解決策
削減、簡略化、効率化できるものと、できないものを洗い出します。
その際、利用される方のニーズと安全は最優先に考えます。
経営側から指摘があったときには、理由を説明する必要があるので、あらかじめ説明方法を考えておきます。
そのうえで、努力できる内容もまとめ提示します。
納得できない意見や指示をされても、それを否定的に受け取らず、持ち帰り検討してから、改めて意見を伝えるとよいです。
看護師と介護職員
デイサービスには看護師が必ず配置されます。
病院と異なり、介護の職員と同様に利用される方々とコミュニケーションをとるので、互いの役割が不明確になりがちです。
また、互いの専門性のよる意見の相違、対立がしばしば起こります。
解決策
こちらも、互いの専門性のうえでの意見であることを尊重することです。
特に介護職員は看護師を自分たちと同等な立場と考えがちで、介護職員と同様の業務(介護の手伝い、サポートなど)を求めてしまうことがあります。
看護師には看護師にしかできない業務(主に医療行為)が優先されます。
介護は介護職員の業務ですから、看護師に同じことを求めないようにしましょう。
もし、職場での人間関係で悩んでいることがあれば一人で抱え込まないで、こちらから相談してみると良いでしょう。
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デイサービスの業務上の課題と解決策
ここでは、日々業務をおこなう上での課題と解決策について触れていきたいと思います。
業務の役割分担と時間配分
非常勤職員は就業できる時間に限りがあります。
日々の介護業務は予定に従って時間通りに終了しますが、記録や報告はそうは行きません。
記録すべきことが多ければ、それだけ時間がかかりますし、簡略化できない業務でもあります。
そのため、日誌記入やケース記録(利用される方個人の記録)は、正規職員に任されたり、就業時間以内に記入できなかったものを抱えてしまうことになりがちです。
解決策
業務のなかの、日々の記録については雇用形態に関係なく全員が関わっている内容ですから、全員が記入する機会があることが望ましいです。
そのため、正規職員は他部署や法人全体が関わるような内容の業務を優先できる体制を作り、日々の記録こそ非常勤職員の仕事とするほうが良いでしょう。
非常勤職員や未経験者は、できるだけ現場の身近な出来事に関わる業務をするとよいでしょう。
ただし、行事前後や会議などは別に時間を設けて全員で行い、意思疎通を図りたいものです。
残業が当たり前になっている
これはどこの職場でも課題になっていることと思いますが、就業時間が就業規則に基づいて決められていても、現実は異なっていることがほとんどです。
理由は、デイサービスの特徴「送迎」にあります。
デイサービスは、決まった時間サービスを提供し、なおかつ送迎をします。
例えば、7時間サービスを提供する施設であれば、7時間の前後に1時間ずつ送迎があります。
合計して9時間。
就業時間を超えるのは目に見えています。
二交代制勤務にして残業を極力抑える努力をしたとしても、解決は難しいものがあります。
求人を見て応募し、見学の機会が得られたら、就業時間のことはよく確認したほうがよいです。
解決策
抜本的な解決策は人員確保につながってきますが、これは経営側の話なので割愛します。
業務の効率化を行い、無駄な業務を省き役割分担をします。
送迎前後に行う業務を減らす努力をします。
抑えるべきは「デイサービスの仕事は命を預かっている」ことで、これに関わる業務は、すべてに優先され、簡略化はできません。
ですから、業務の効率化は利用される方への直接的なサービス以外から追求します。
サービスの簡略化は質の低下につながります。
デイサービスの仕事で働いてみたいけど、自分に務まるか不安な人はこちらから相談してみると良いでしょう。
健全な人間関係が築かれている施設には、こんな特徴があります
人間関係の良さは、仕事のしやすさはもちろん、デイサービスの仕事をどれだけ追求しているかにもよります。
今一度「デイサービスって何だろう?」と基本に立ち返りながら考えてみると、よくわかると思います。
利用される方を第一に考える意識が浸透している
これはデイサービスにとって基本の中の基本、最も大切なことです。
しかし、これを維持するのはとても難しいのです。
良いサービスを維持するには、相手(利用される方々)に一切の不安を与えないよう心掛け、自分の感情の起伏を表に出さず、いつも明るく笑顔で接しなければなりません。
そして安全確保も必要ですから、顔は笑っていても緊張の連続なのです。
このような環境なので、職員同士の意思疎通が不可欠です。
職員に落ち着きを与え、笑顔は自然につくられ、事故を未然に防ぎます。
まず「利用される方々をどのように守るか」を真剣に考え職員に周知され実行されている施設は、働きやすく外部から見ても印象が良いです。
定期的に管理者と面談がある
普段話すことが少ない経営者レベルの管理者と定期的に話す場があり、なおかつ相談に応じてもらえる環境があれば、安心して働くことができます。
親睦会を定期的に開いている
歓送迎会、結婚祝い、忘年会、新年会など、定期的に親睦の場を設けている施設は、雇用関係や年齢差を超えた交流ができます。
施設によっては就業時間帯が異なる職員がいる(他部署の夜勤や宿直をするなど)こともあり集まりにくい面もありますが、これらをクリアして定期的に親睦会を開いているのであれば、より積極的に職場環境の向上を意識していると考えて良いかもしれません。
ボランティアの受け入れを積極的に行っている
自分の職場を外部に知ってもらう、見てもらう意識は、業務への責任と自信の表れです。
また、対応を工夫する施設は繰り返し訪問する人が増え、外に開かれた施設という認識を持たれます。
学生(体験学習・実習生)を積極的に指導している
学生の指導をするということは、この仕事を担う人材を育てていることを表します。
質の向上を目指す施設は、学生の指導にもそれが盛り込まれています。
学生さんでお仕事をお探しの方でしたら、実習先の施設の評判を聞いておくと、とても参考になります。
上記で紹介したような施設で働きたい人は、こちらから出して貰うと良いでしょう。
こんな傾向がある職場なら、人間関係は要注意!応募前に確認したいチェックポイント
対人間の仕事ですから、人間関係は仕事の質に直結します。
以下のポイントを押さえて、まず見学して確認してみましょう。
実習生・ボランティアに評判が悪い、または積極的に受け入れていない
外部の人に評判が良くないということです。
実習生やボランティアは、職場(現場)に足を踏み入れる外部の人ですから、この方々が持つ印象は一般的な評価とも一致します。
受け入れ方が良くない、指導が良くないことは、普段のサービスそのものの延長、つまり、サービス向上意識が薄いと考えられます。
頻繁に介護業務に関する求人を出している
福祉関係の職場全体が人材不足の傾向があるので、一概には言えません。
しかし、年度の前半(5月~8月など)に求人が多いときは、新年度に就職した職員がすぐに退職した可能性があります。
なぜ短期間で退職したのかが問われます。
言葉遣いが悪い
利用される方々に安心と安全を提供することが、デイサービスの仕事であり役割です。
最も基本的なことです。
言葉遣いの悪さは、基本の逸脱、意識を持っていないということに繋がります。
相手を愛称や「△ちゃん」「〇くん」と呼ぶのも、良くない例です(コミュニケーションの良い方法と勘違いしている人もいます)。
相手はお客様ですから、これらは安心の提供にはなりません。
頻繁に代表者(施設長や所長)が変わる
経営側の人間関係が良くないことを表します。
経営は現場には一見関係なさそうですが、所長レベルの人が定着しないということは、経営方針が職員間に共有されていないということでもあり、一般の職員から上司への相談や提案などの受け入れが柔軟になされない可能性があります。
今の職場に不信感を抱いたら、こちらから今の職場が自分に合っているか相談してみると良いでしょう。
人間関係を良好に保つために自分ができること
人間関係は、時に煩わしく感じるものでもあります。
しかし、この仕事を含めて関わっていかなければいけないものでもあります。
少しでも気持ちよく働くことができるように心がけるポイントをお伝えします。
気分転換の時間を作る
休みの日は、できるだけ仕事以外のことをします。
趣味があればなお良いです。
仕事の連絡などは、相手の同僚が休みの日には避けるようにします。
同僚の休みも尊重します。
ほうれんそう(報告・連絡・相談)を日常的に心掛ける
聞きにくいこと、聞いたら何か言い返されるかもと心配なことも、小さなことも話しかけたり提案するようにします。
時に事故防止に繋がったり、より良い人間関係づくりのきっかけになったりします。
同時に、同僚の提案にも耳を傾けて、自分と異なる意見でも否定的に捉えないようにします。
専門知識を身につける(他の分野も含めて)
テレビやラジオ、新聞などで話題になっている福祉に関する専門知識に耳を傾けます。
学校など教育機関で得た専門知識も大切ですが、現状を良く知ることも必要です。
特に正規職員であれば必須です。
非常勤職員に指示を出したり現場をまとめるときの力になります。
上記のことを意識して、デイサービスの仕事で働きたいと思った人はこちらから仕事を探してみると良いでしょう。
「デイサービスの仕事」が自分に向いているか診断するにはこちら →
まとめ
この仕事に期待を持って就業しても、人間関係で悩みを抱えてしまうと、せっかくの仕事も辛く苦しいものになってしまいます。
仕事そのものが対人間ですから、いつも一人ではなくチームで仕事しているという意識を持つと、お互いに助け合う雰囲気ができて、自分自身も楽になります。
また、一つの現場に様々な立場、役割の職員が入り乱れて業務をしているという特徴があるため、このような複雑な人間関係の悩みが生まれてしまうと考えられます。
しかし、逆に考えると、様々な視点で課題を見つめ考えることができるということでもあります。
立場や雇用形態に違いがあっても、「利用される方への安心と安全を提供する」という基本と目的は変わりません。
それぞれの立場で意見を出し合うことで、自分が思いつかなかったアイデアや提案に触れることも多くあり、視野は広くなります。
一歩下がって観察する視点が自分を助けてくれます。
ですから、お仕事を探すときには、できるだけ多くの施設、それも現場を必ず見学することを強くすすめます。
就業してしまうと、このような機会が減ります。
見学して感じたこととご自分の目標や理想がどれくらい合致するか、ここが、働きやすい施設探しのポイントではないかと思われます。
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