
豪華な部屋、レストラン、エステやスパ、プールなどが併設されているリゾートホテルのではなく比較的安価な値段で快適に宿泊することができるのが「ビジネスホテル」です。
リゾートホテルのような非日常を体験できる場ではありませんが、整えられた部屋と一晩を過ごすには十分なアメニティ、サービスなどを提供してくれる場としてビジネスホテルの方を好む人も多いでしょう。
ビジネスホテルは繁華街の中心に位置していることも多く、ホテルライフを楽しむのではなく他に目的がある旅であれば郊外のリゾートホテルよりもビジネスホテルのほうが利便性がよく、重宝します。
私は現在、ビジネスホテルで派遣社員として勤務しています。
比較的大きな都市のビジネスホテルで客室は100室前後、週末には満室になり、インバウンド旅行客も多数利用するようなホテルです。
今回は体験を元に、ビジネスホテルの仕事内容をご紹介して行きましょう。
目次
- ビジネスホテルの大まかな仕事内容
- ビジネスホテルの仕事は大きく5個の役割に分けられる
- フロント・接客係の6個の業務
- 経理の4個の業務
- 営業の4個の業務
- レストランの3個の業務
- 清掃係の2個の業務
- まとめ
ビジネスホテルの大まかな仕事内容
まずはビジネスホテルの大まかな仕事内容から見ていきましょう。
ホテルの仕事と言えば、一番重要な仕事がお客様をお迎えするフロント業務でしょう。
ホテルの顔であるフロント係はお客様と直接接して要望に答えていく仕事です。
接客業の中でも振る舞いやマナーを重視される仕事で、言葉遣いなども丁寧な指導があります。
ビジネスホテルで働く人数はリゾートホテルに比べると多くなく、フロント係であっても様々な仕事を受け持っていることが多いです。
チェックアウト、チェックインのお客様がいらっしゃる時間帯はフロント業務が主になりますが、それ以外の時間帯はお部屋のチェックや予約業務、観光案内など仕事は多岐に渡ります。
ビジネスホテルの裏側には経理担当や営業担当などもそれぞれ仕事を分担して受け持っています。
経理はホテルの売上の管理や必要な備品の発注、銀行への入金などを全て行います。
営業担当は旅行会社への売り込みや大きな予約の管理、企業と法人契約を結んだりと外への働きかけが多い部署です。
後はレストラン業務に当たるもの、清掃管理を行う部署なども存在します。
ホテルの営業に欠かせない清掃業務は外部の会社に依頼しているところがほとんどです。
ビジネスホテルの仕事は大きく5個の役割に分けられる
上記したように、ビジネスホテルの仕事は大きく分けると5つの仕事に分けられます。
それぞれの仕事内容を詳しく見ていきましょう。
フロント・接客係の6個の業務

チェックイン・チェックアウト、会員への入会案内
まず一番所属する人数が多く手分けして様々な仕事にあたっているのが「フロント・接客係」です。
チェックイン・チェックアウトと言うホテルを利用する際に必ず必要な接客業務に加え、お客様の要望に合わせた物品の手配や部屋の準備、清掃後の部屋のチェックなどを行います。
ビジネスホテルには何度も足をはこんでくれるお客様に対して「ホテル会員」を設けているところもあります。
ホテルの価格は繁忙期には高くなったり、逆に閑散期には下がったりしますがホテル会員に入会すれば一定の価格で利用することができたり、予約を優先して取ることができたりと言ったサービスを受けることができます。
この会員への入会を進めるのもフロント係の業務のひとつです。
部屋のチェック・備品のチェック
フロント・接客係の仕事は直接お客様と接することだけではありません。
チェックイン前に部屋がきれいに整えられているか、予めご要望が分かっているお客様ならその準備が全て整っているかなどのチェックも行います。
ホテルには本当に様々なお客様がいらっしゃいます。
加湿器を貸してほしい、DVDプレーヤーを貸してほしいなどのご要望は毎日数え切れないほどフロントに届けられますし、お客様によっては部屋にあるハンガーの数を予め指定されたり、部屋のレイアウトを指定されたりする方もいらっしゃいます。
そのようなご要望にできる限りお答えし、快適に過ごしていただけるように心がけるのがフロント・接客係の大切な仕事です。
お客様とサービスを繋ぐ業務
フロントはお客様とサービスとを繋ぐと言う役割もあります。
タクシーや近くのレストランの予約はもちろん行いますし、何泊も続けて泊まられる方の部屋を清掃するのかしないのか、アメニティやタオルなどの備品を届けるのか届けないのかも清掃係にフロントから指示を出さないといけません。
たくさんのご要望が届く中、そのご要望を的確に処理する処理能力の高さが必要な職種でもあります。
観光案内やインバウンド客への対応
近年ビジネスホテルのフロント係に求められる役割の一つに「インバウンド客への対応」が上げられます。
海外からの旅行客が増え続けている近年、全く日本語が話せない状態で観光に来られる方も多数いらっしゃいます。
皆さんも個人で海外旅行に行かれた時に一番頼りになるのはホテルのフロントやコンシェルジュではないでしょうか。
それと同じで、海外からのお客様はフロント係をとても頼りにしてくださいます。
地図が欲しい、どこどこへ行きたいなどの簡単な英会話は必ず必要になりますし、時には観光はどこに行けば良いか?とまるっと投げてくださる方もいらっしゃいます。
お客様の好みによって観光地を案内したり、観光プランを立ててお教えしてあげるのもホテルの印象を左右する業務になります。
英語が主ですが、中国語や韓国語、スペイン語やフランス語などなにか得意な言語がある方は十分にその能力を活かすことができるでしょう。
クレームの初期対応
クレームの初期対応もフロント係が行います。
部屋に不備があった場合や清掃が十分にされていなかったなど多種多様な問題が起こるのがホテルです。
普通の接客業とは違い、お客様が一晩と言う長い時間を過ごされる場所なので細かな不備に目が行き届いてしまうのです。
お客様はホテル内の満足出来ない点について、やはり最初にフロント係へと伝えてくださいます。
この時の初期対応を上手にこなせるような人でないと、フロント係は勤まりません。
クレームがあって当然のホテルの不備や接客の不備であれば謝罪をして代わりの部屋をご案内したりもしますが、中にはホテルの不備ではないことをフロントに伝えてこられるお客様もいらっしゃいます。
そんな時でも根気強く話を聞いて、納得していただかないことには問題の解決には繋がりません。
一切の感情を顔に出さず、笑顔や申し訳ないと言った表情で対応し続けることがとても大切になります。
その他細々した要望にに応える!
その他、宅急便の受付やランドリーの処理など細々したご要望にもお答えしていくのがフロント・接客係の仕事になります。
フロント係の仕事にビジネスホテル、リゾートホテルで大きな差はありません。
実際にビジネスホテルフロントの仕事を探すときは、こちらの記事を参考に!
経理の4個の業務

売上の管理
経理課の仕事のメインとなるのは日々の売上金の管理です。
決められた時間にフロントのレジを一旦締め、売上金を数えます。
今では多くのホテルがパソコンでその日の入室状況を管理していますが、そのデータと売上金に差異がないか、部屋は何室稼働していてレストランの売上がどのくらいあるのかなどホテル全体のお金の動きを全て把握します。
万が一データと実際にレジに入っているお金に誤差があるなら、その原因を突き止めなければいけません。
パソコンのデータが間違っている場合も多々ありますし、多くの接客と金銭のやり取りをこなすフロント係がお金のやり取りの際に間違って多く頂いている・または少なく頂いている場合もあります。
全ての領収書のチェックなども行いながら、金銭に関して間違いがないようにチェックするのが経理の仕事です。
また、お金の両替や入金なども経理が行います。
フロント係がお金に触るのはお客様との直接のやり取りのみになり、後は全て経理が処理を行うところが多いでしょう。
備品の管理・発注
ホテルで必要になる全ての備品の管理・発注も経理が行うことが多いでしょう。
領収書やペン、メモなどフロントで必要になるものはもちろん、封筒や請求書、清掃に使う洗剤までありとあらゆるものがホテルでは毎日消費されています。
それらを足りなくなることのないように一括で管理し発注をする大切な仕事です。
人件費やホテルの維持費の計算・管理
大きな破損があり修繕が必要な場合や、何かしらの故障の場合に業者への見積もりを依頼したり実際に修理を依頼するのも経理が行います。
業者との金額交渉や修繕する範囲なども経理とのやり取りになる場合が多いでしょう。
ホテル全体の収益金と人件費のバランスを見てシフトの作成をしている担当社員へ意見を伝えたり、経費を抑えるために節電を推奨したりするのも経理の仕事です。
請求書の作成
今はインターネットでご予約を取られるお客様がとても多くいます。
インターネット上の旅行サイトではクレジットカードでの事前決済などをお客様が自分で選ぶことが出でき、フロントでの金銭のやり取りは全くないこともとても多くなっています。
そのような場合、宿泊代の請求を全て決済を請け負ったネットの旅行サイトに送ることになります。
また、会社を通じてご予約があった場合は会社への請求書も発行して発送します。
営業の4個の業務
旅行会社とのやり取り
個人のお客様もたくさんいらっしゃいますが、ツアーでのご利用であれば旅行会社を通じてご予約が入ります。
旅行会社とのやり取りは営業担当が行います。
お部屋の案内はもちろん、その日に予約が取れるのか取れないのか、旅行会社を通じていらっしゃるお客様のために部屋を押さえておくのかなどは全て営業とのやり取りになります。
団体客の管理
旅行会社を通じて来られるお客様は、団体客の場合がとても多いです。
そしてお客様は様々な要望をホテルに直接伝えるのではなく、旅行会社に伝えます。
その旅行会社から伝えられたお客様の情報や要望をフロントに伝えたり、自らが都合を付けて準備を整えたりするのも営業担当の業務です。
団体で来館されたお客様がスムーズにお部屋に入っていただけるよう、予めルームキーの準備をしたりネームリストを作ったり、レストランへ朝食利用の人数を伝えたりするのも営業担当の大切な仕事です。
この伝達が上手く行かないと、お客様と旅行会社、双方に迷惑をかけてしまうことになります。
ホテル残室の管理
営業担当はその日の部屋の残室管理も行います。
どのタイプの部屋が何室稼働しており何室残っているのか、飛び込みで来られたお客様に対応できるのかなど全ての予約の管理を行います。
先程もお話したように、よほど小さなホテルではない限り部屋数やチェックイン・チェックアウトなどはパソコンで管理されています。
システム上の不備はないか、実際に部屋数と合っているのかどうかの確認作業も営業が行います。
クレームの最終処理
お客様からのクレームが大きくなりすぎてしまうと、営業担当が話し合いに当たります。
クレームの最終処理に当たるのは営業担当である場合が多いでしょう。
レストランの3個の業務
主に朝食の準備・営業
ホテルでは朝食を提供しているところが多いですね。
レストランを併設していて昼、夜も営業をしているところが多々あります。
朝食は朝6時頃から行われるので、その準備を朝早くに出勤して行います。
普通の飲食店従業員よりも朝が早く、ホテルに泊まって4時頃から準備を行うところもあります。
仕込み業務
ホテルのレストランも通常の飲食業と同じ、仕込み業務はもちろんあります。
レストランの営業時間や営業形態にもよりますが、ランチやディナーを提供しているお店であれば通常の飲食店と変わらない量の仕込み作業があるでしょう。
新商品の開発
季節に合わせた新商品の開発も行います。
ホテルのレストランといえども宿泊客のみが利用するわけではありませんので、集客を増やすために新しい商品の開発も求められます。
清掃係の2個の業務
部屋の清掃
清掃係はホテルの従業員ではなく、委託された清掃業者である場合がほとんどでしょう。
清掃員たちは素早く、しかし丁寧に使用された部屋を作り直します。
チェックアウトからチェックインまでの僅かな時間に部屋を作り直さなければいけません。
ホテルへのクレームで一番多いのがこの清掃の不備です。
お忘れ物の管理
お客様がチェックアウトされた部屋へ一番最初に入るのが清掃担当です。
ですから、忘れ物を発見することもとても多いです。
何号室のお客様が何を忘れられたのかと言うのを余すところなくフロント係へ品物と共に報告します。
まとめ
今回はビジネスホテルの仕事内容についてお話をしました。
ホテルの仕事はとても多岐にわたり、それぞれに専門のスタッフがいます。
ビジネスホテルで働いてみたい!と思った方は、まず自分がどの部門に向いているのか、またはどの部門を希望して入社するのかを決めるところから始めましょう。
応募する部門が決まったら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
大変なことが多い仕事でもありますが、人と接することが好きな方であればやりがいを感じられる仕事です。
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