昨今、ブラック企業という言葉をしばしば耳にするようになりました。

「内定をもらった会社が、ブラック企業っぽい気配があるんだよね。」

「先輩がブラック企業で使い潰されて、とうとう鬱病になっちゃったよ。」

そんな会話が交わされていたりもします。

「ブラック企業」とは、従業員に劣悪な環境・条件での労働を強いる企業を指していることは、広く知られている通りです。

ところが、ブラック企業かどうかは、実際に入社して初めて判明するケースがほとんどです。

そこで、就職・転職活動をする際に役立つ、ブラック企業かどうかを入社前に見極めるチェックポイントを紹介します。

そもそもブラック企業とは?その特徴は?

何となく理解されていることも多いものですが、ブラック企業には大きく分けて以下3つの特徴があります。

1つだけでなく、複数の特徴が現れているブラック企業が多いように見受けられます。

周りにも、思い当たる企業はないでしょうか。

労働関連法規に抵触するか、グレーゾーンでの労働を従業員(正規・非正規問わず)に強いる

恐らく、これは最も多いでしょう。

例えば、過剰な販売ノルマ、売れ残り商品の買取強制、慢性的な長時間労働、サービス残業・休日出勤の常態化、有給休暇の自主返上、交通費や接待費など必要経費の従業員負担、恣意的な給与削減、労働災害の隠蔽などが該当します。

関係法令に抵触するか、グレーゾーンでの営業行為を従業員に強いる

営業系のブラック企業によく見られる特徴です。

例えば、違法・グレーゾーンの商品・サービスの販売、押し売り行為、不適切な相手(未成年・高齢者・経済力が乏しい方など)への販売などが該当します。

パワーハラスメントが状態化し、業務と無関係な部分で従業員に非合理的な負担を強いる

ワンマン経営者がいるブラック企業では珍しくない特徴です。

例えば、飲み会やゴルフコンペへの参加強制、社内や社外への接待強制、業務外の上長や経営層の私事に使役(家事の代行・プライベートでの送迎など)されるなどが見られます。

ブラック企業かどうかを見極めるチェックリスト

それでは、ブラック企業を入社前に見極めるために、20のチェック項目を紹介しましょう。

以下20のチェック項目を多く満たす就職先・転職先ほど、ブラック企業であるリスクが高いと言えます。

もちろん、100%ブラック企業であるとは断言はできませんが、潜在的にリスクが高い企業であることは否定できません。

離職率が高い、平均勤続年数が短い

入社しても定着せず早期で辞める従業員が多いので、自ずと離職率が高まります。

ブラック企業は、とにかく従業員の出入りが激しいのが常です。

企業説明会や採用面談時にストレートに聞くか、予め人事担当に平均勤続年数を問い合わせてみましょう。

聞かれて相手が話を逸らそうとしたり、不愉快そうにしたりする企業は論外です。

常に求人を出している

ハローワークや新聞の求人欄、求人誌で常に従業員募集をしていることが多いです。

離職率が高いことが、常に求人を出す理由です。

従業員を消耗品と考え、辞めたらその分を新たに採れば良い、と安易に考えるのがブラック企業の傾向です。

ハローワークの求人票や、新聞・求人誌、求人サイトを企業名でチェックすれば分かります。

企業規模の割に求人数が多い

これは定着率の低さ、離職率の高さを見越した求人活動の現れです。

例えば、従業員数100名程度なのに、新卒を30名採用するような企業は、ブラック企業である確率は相当高いと言えます。

「業績好調のため大量採用!」などと、虚偽の説明をするブラック企業もあります。

仮に好業績や攻めの経営戦略だとしても、資産力が大きい大手企業ならばともかく、中小・零細企業が即戦力にならない未経験者を大量採用するというのは、明らかに筋が通りません。

求人票や求人広告で確認できます。

入社2~3年目の若手の先輩が少ない

人件費が安く、無理強いしやすい若手人材を使い潰すのがブラック企業の傾向です。

結果的に、入社しても1年以内に大部分が辞めてしまいます。

年次の若い先輩がいないということは、非常に離職率が高いことを意味するので要警戒です。

これも、面談時に聞くか、人事担当者に堂々と照会して良い内容です。

名ばかり管理職が多い、肩書きの割に年齢や経験値の低い従業員が多い

差し出された名刺を見て、相手の年齢や経験値の割に、職位が妙に高いことに違和感を覚えた経験はないでしょうか。

例えば、20代前半にも関わらず課長職の肩書きが付いているようなケースです。

ブラック企業では離職率が高いため、人材が育ちません。

そこで、年齢や経験値が不足する従業員を管理職登用することが常態化するのです。

「弊社は実力主義ですので、若くても実績を見て管理職登用します!」などと、実力重視・早期管理職登用を強調するブラック企業も非常に多いです。

また、適切な権限も与えずに、従業員に過大な責任を負わせる言い訳にも使われます。

企業説明会や採用面談の場で相手の職位を確認させてもらったり、管理職登用の時期を照会したりすることが有効になります。

非正規従業員や社外の業務委託者の割合が多い

ブラック企業は人件費を極力削る経営姿勢であるため、アルバイト・パート、派遣社員、もしくは社外業務委託の比率を高める傾向が強いものです。

また、離職率が高いので、その穴埋めを非正規従業員で行うケースもあり得ます。

非正規従業員や業務委託の割合は、企業説明会や採用面談の場でそれとなく聞いてみるのが正解です。

提示される給与例が業界水準より高めだったり、金額の幅が広かったりする

ブラック企業は常に人材が不足しているため、見かけの給与例を高く設定するケースが多いです。

入社後、難癖を付けられて大きく給与を下げられるケースも珍しくありません。

例えば、月収例が20万~70万円などのように広いレンジになっている場合、大部分の従業員は20万円程度が実態であるケースがほとんどです。

求人票や求人広告の給与例がどんな書き方をされているか、是非チェックしてみてください。

求人広告や会社説明会、採用面談で精神論が強調されたり、アットホームな社風をアピールしたりする

精神論重視で、「気合いと努力で必ず報われる」「若い内は滅私奉公で当然」、といったことを謳い、過酷な労働環境・労働条件を正当化するブラック企業も多いものです。

反面、アットホームな社風を妙にアピールしてくる中小・零細企業も要警戒です。

経営層や、その一族が企業を私物化しているケースも珍しくないためです。

求人広告や説明会、採用面談の雰囲気から感じ取りましょう。

採用ハードルが異常に低く、採用面談の場で内定を出したりする

これも離職率の高さの裏返しです。

常に人材が不足するため、まともに選ばずに採用して使い潰し、辞めればまた簡単に別の人材を入社させます。

採用面談の場で内定を出すような企業、特に強味がない自分に当日中に内定を伝えてくるような企業、どちらもブラック企業の可能性は濃厚です。

説明会や採用面談の場でも、そこの従業員をよく観察しましょう。

「こんな人でも採用されちゃうの?」「こんな人でも管理職なの?」と感じるような従業員に出会ったら、間違いなくハイリスクの会社です。

試用期間の設定が長め

試用期間中は比較的簡単に解雇でき、給与を低く抑えられるため、この制度を悪用するブラック企業もあります。

試用期間は、一般的には1~6か月間の設定です。

これよりも長い場合や、試用期間が延長されることもあり得ることを謳う場合、リスクの高い企業と考え、入社を見送る方が無難です。

求人票や求人広告に記載されていなければ、人事部門に照会するか、会社説明会・採用面談時に必ず質問します。

従業員への教育や研修が軽視されている

人材育成にコストを掛けたがらないのも、ブラック企業にありがちな特徴です。

即戦力前提の中途採用ではないにも関わらず、まともな教育・研修も受けずに、入社早々に実戦投入される傾向が強いようです。

いきなり過大な販売ノルマを課されたり、客先に単独常駐させられたりするケースも多く、上手くできなければ自己責任だと指弾されます。

教育・研修の実態については、企業説明会・採用面談の場で突っ込んで質問してみましょう。

職務範囲や職務権限が不明確

これはブラック企業でなくても、零細企業やベンチャー企業には一般的に多い状態です。

どこまでが自分の責任範囲か不明確なため、キチンと仕事しようとすればするほど業務が際限なく拡大します。

サービス残業が常態化する原因にもなりがちです。

人事部門に照会したり、説明会や採用面談で臆せず質問したりすることが有効です。

明確な回答を相手が返してくれない場合、職務範囲や職務権限が不明確な企業だと判断するべきです。

経費の全額、もしくは一部を従業員に自己負担させる

ブラック企業には多い悪習です。

接待費、交通費、通信費、出張旅費など営業関係のコストを従業員個人に負担させるケースが多いようです。

文具やPCの購入費などを負担させる場合もあります。

予め人事部門に確認すれば済む話ですが、企業説明会や採用面談の際にも積極的に質問してください。

雇用契約を書面で締結しなかったり、締結しても従業員にコピーを渡さなかったりする

そもそも違法行為ですが、法律違反が日常になってしまっているのは、紛れもなくブラック企業だと言えます。

人事部門に確認したり、説明会や採用面談で質問したりしてみてください。

質問されてはぐらかすような相手なら、間違いなくブラック企業です。

退職願を提出しても受理されなかったり、非合理的な理由で懲戒免職にしたりする

離職率が高いのがブラック企業の特徴ですから、去る者は追わずの姿勢が一般的です。

中には、退職願を受理してくれない、それでも辞めると言うと懲戒免職をチラつかせる、という悪質極まりない企業も存在します。

これは、上長が経営層から従業員定着率の低さを指摘され、プレッシャーを加えられている状況で発生しやすいようです。

WEB上の口コミ情報をチェックしてみましょう。

ホームページが簡素で内容が薄い

ブラック企業は、社内外に対する情報開示・説明責任を軽視(隠蔽)する傾向が顕著です。

ホームページの作成にもコストをかけず、内容的にも空虚なケースが多くなります。

ホームページを見てみて、内容が薄く、企業や業務のイメージが付き難い感じでしたら要警戒です。

また、経営層のバックグラウンドが紹介がされていないような零細企業・ベンチャー企業も警戒しましょう。

ワンマン経営だったり、経営者一族が要職を占めていたりする

経営幹部が企業を私物化し、従業員や顧客の立場・利益を軽視する企業文化である可能性があります。

また、従業員からの上申も認められない文化である可能性が高いです。

大手企業でもないのに、エントランスホールなどに創業者や経営者の肖像画や銅像を置き、個人崇拝を煽るような中小・零細企業には要注意です。

ホームページをチェックしたり、企業説明会や採用面談の場で雰囲気を感じ取ってみたりすることが大切になります。

非合理的な情実人事が横行している

ブラック企業では、経営層が愛人や能力のない身内を要職に就けたり、意にそぐわない従業員を降格・退職に追い込んだりすることも珍しくありません。

ホームページに役員構成が紹介されていれば、経営者の身内がどの程度加わっているかを確認できる場合もあります。

しかし、ホームページの情報だけでは分からないケースが圧倒的に多いのが現実です。

WEB上にある、従業員・元従業員からの口コミ情報などを確認することも有効になります。

経営層にも従業員にもコンプライアンス意識が希薄で、問題が起きても隠蔽する企業文化

そもそも社会性に乏しく、利己的な志向が強いのがブラック企業です。

問題が生じても見て見ぬふりをするか、積極的に隠蔽しようとするケースが多いようです。

セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、業務上の横領、違法販売など、問題の発生は多岐にわたります。

WEB上の口コミ情報などをチェックするのが有効です。

低品質な商品やサービスを顧客に提供しても、売上さえ立てれば良いとする企業文化

従業員を軽視する他、顧客や取引先を大切にしない傾向が強いのもブラック企業の傾向です。

表面的には顧客や取引先を尊重する経営姿勢を謳っているにも関わらず、粗悪な商品やサービスの販売、偽りの営業トーク、合理的なクレームの無視、支払いの遅延などが常態化します。

WEB上の口コミ情報をチェックし、商品やサービス、営業姿勢などに対するネガティブ情報が多過ぎないか、是非とも確認してみてください。

チェックリストの項目をより効果的に確認する方法とは?

現実的には、上で紹介した20項目全てを入社前にチェックするのは困難でしょう。

つまり、「いくつ以上該当するとブラック企業で、それ以下ならば大丈夫、」という見方は適切ではないということです。

飽く迄も、「該当する項目が明らかに多いと感じられる企業があれば、そこは入社を見合わせた方が無難、」というチェックリストの使い方が正解になります。

それでも、チェックリストの項目を入社前に少しでも多く確認しておきたいのが人情です。

入社してから徐々にブラック企業だと判ってきた、というのでは元も子もありません。

以下のような3つのポイントに留意すると、より効果的な確認ができるでしょう。

WEB上で項目に該当するような口コミ情報がないかをチェック

チェックリストでも触れましたが、企業名で検索したり、求人サイト(就職・転職サイト)の口コミ情報を確認したりします。

転職評価サイトの活用も有効です。

会員登録が必要になるケースも多いですが、新卒の就職活動時にも有用ですので、有効活用をお勧めします。

ただし、口コミ情報にはネタや釣りも少なからず含まれるので、情報の真偽を慎重に判断し、100%真に受けない姿勢も大切です。

それでも、具体的、かつ悪い評判が明らかに多いなと感じる企業は、入社を避けることが無難になります。

角が立たない範囲で、人事部門や面接担当者に質問する

差し支えない範囲で、それとなく尋ねてみてください。

相手が答えやすい質問の仕方をするのがコツです。

例えば、「御社の新入社員の離職率は高いのでしょうか?」などといきなり質問するのは、あまりにもコミュニケーションスキルが稚拙です。

「御社の従業員の皆さんの平均年齢と、平均在籍年数はどのような感じでしょうか?ザックリとした感じで構わないので、今後の参考のために教えてください。」

このような聞き方なら、ある程度真実に近い答えを相手から引き出せる可能性は高いでしょう。

「御社は社長のワンマン経営でしょうか?」言わずもがな、このような質問に「はい、その通りです!」と回答してくれる相手は滅多にないでしょう。

相手にも立場や面子があります。

「御社では何か課題や問題が生じたら、まず社長にいち早く報告・相談させていただくのが解決の早道でしょうか?トップダウン型経営ならば、迅速に対応できそうですね。」

これであれば、尋ねられた相手も答えやすいはずです。

ハローワークや新聞広告、求人情報誌をチェックする

ブラック企業は、これらに求人を出すケースが多いので、常連企業であれば要警戒となります。

人材集めにコストを掛けることを、一般にブラック企業は嫌います。

掲載料が高額な、大手企業が運営する就職・転職サイトなどは使わないケースが多いものです。

ハローワーク常連企業の場合、ハローワークのベテラン窓口担当者にそれとなく聞いてみると、評判を教えてくれる場合もあります。

まとめ

ブラック企業を事前に見抜くチェックリスト、いかがだったでしょうか。

一度ブラック企業に入社してしまうと、自身の履歴書・職務経歴書の対外的な評価を貶めることにもなります。

その上、心身の健康を損ねたり、家族関係すら壊れたりと、人生設計さえ狂ってしまいかねません。

ブラック企業は入社する前に察知して近付かない、これが賢い就職・転職活動になります。

経済的に逼迫している場合や、既に退職してしまっている場合、退職期日が確定している場合など、早く就職先・転職先を決めて精神的に楽になりたい、と誰もが思うものです。

このような時こそ、図らずもブラック企業に入社してしまうリスクが高まります。

自身の焦りや精神的な余裕のなさが、ブラック企業を近付けてしまうことも覚えておきましょう。