2020年7月6日

福祉職はまだまだ、「きつい・きたない・きけん=3K」と言うイメージが根強いお仕事です。

しかし一方で福祉職を目指したくなるような魅力溢れるお仕事でもあります。

私は、社会福祉士として10年間、様々な職場で経験を重ねてきました。

人間を相手にするお仕事ですので、人間関係に悩まされること。

自分の力の無さに福祉職を辞めようと考えたことも何度もありました。

それでも、社会福祉士として働き続けてきた理由は何なのか?

私が感じた、社会福祉士として働くメリットと、働いてきて良かった点をご紹介していきます。

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社会福祉士の仕事ってどんな仕事?

社会福祉士の仕事の軸となるのが「相談業務」です。

問題や悩みを抱えた人の相談にのり、解決策を一緒に考え提案し、問題解消までをサポートしていくお仕事です。

  • 高齢者施設
  • 障害者施設
  • 児童福祉施設
  • 病院や保健所
  • 市役所や社会福祉協議会

など、働く場所は多岐に渡り、相談相手や相談の内容も様々です。

  • 家族の介護に悩んでいる方には、介護保険サービスを。
  • 生活困窮者には、就労支援や生活保護の受給を。
  • 病気療養中の方には、社会復帰の支援を。

など、それぞれの相談内容と本人の状況に応じ、ベストな解決方法を導いていきます。

実際に制度やサービスを利用するための支援も行い、必要に応じて関係機関へ繋ぎ、連携しながらサポートしていきます。

困っている人を支援する制度やサービスは色々ありますが、それらを知らないと活用することはできません。

そのため、社会福祉士が相談者と必要な制度やサービスを繋ぎ合わせていく役割を担っています。

社会福祉士で働くメリット6選

社会福祉士は、相談のプロ・スペシャリストと呼ばれています。

人と常に接するお仕事のため、精神的な苦労が多いとも言われていますが、人の人生を豊かにし幸せにできる仕事でもあります。

社会福祉士として働くと、やりがいはもちろん様々なメリットを得ることもできます。

そこで今回は、社会福祉士として働く6つのメリットをご紹介していきます。

人間関係に強くなれる

社会福祉士は、困っている全ての人が相談援助の対象となります。

  • 障害や認知症などから、コミュニケーションが取りにくい人。
  • 問題があることを認めようとしない人。
  • 不満を抱え、八つ当たりしてくる人。
  • 悩みすぎて精神的に不安定になっている人。

など、色々なタイプの方が相談にやってきます。

最初は、相談を受ける立場のこちら側が精神的に参ってしまうのでは?と思うような場面もたくさんあるでしょう。

しかし人間慣れていくもので、経験を重ねていくと対処方法と動揺しない強い心が身に付いていきます。

コミュニケーションの引き出しが多い分、プライベートでの人付き合いにも応用することができます。

嫌味や悪口・文句などを聞き流す力が付くため、私はプライベートでの人間関係のストレスが軽減されました。

アドラー心理学では、「人の悩みは全て対人関係にある。」と言われるほど、人との付き合い方は重要とされています。

培ったコミュニケーション能力で人間関係が円滑にいけば、日々の悩みも解消できるかもしれません。

自分に役立つ知識が身に付く

社会福祉士は、高齢者・児童・障害者・生活困窮者など、様々な方たちの相談に応じます。

相談に応じて制度や法律を紹介する仕事のため、困った時に使える知識が豊富に身に付きます。

制度の新設や改正が行われる場合などでも、常に最新のお役立ち情報をGETすることができます。

  • 入院や通院などで医療費が高額になってしまった…。
  • 怪我をして仕事ができなくなってしまった…。
  • 子供の発達が遅い気がする…。
  • 最近、おばあちゃんの物忘れがひどくなってきた…。

など、このような生活上の悩みの多くは、福祉制度やサービスで解消することができます。

しかしいくら良い制度やサービスがあっても、知っていないと役には立ちません。

社会福祉士の仕事で身に付けることのできる知識は、必ず自分や家族などの人生の助けになるでしょう。

また、1度資格を取得してしまえば、ケアマネージャーのように更新する必要はありません。

それでも最新の情報や知識を得ることができるのです。

福祉業界での地位や専門性が高まる

一般的には、まだまだ認知度の低い社会福祉士ですが、福祉業界では重宝される存在でもあります。

ケアマネージャーと比べると、まだまだ弱い資格のように感じられますが、人員配置基準の問題から社会福祉士の求人は意外と多いです。

社会福祉士の仕事は、医師や弁護士などの業務独占の仕事とは異なり、名称独占の資格です。

そのため、実際には社会福祉士の資格がなくても、社会福祉士と同じ仕事をすることができます。

しかし、社会福祉士の資格を持っている者の方が、就職にも有利ですし周囲からの信頼度も高くなります。

少しづつではありますが、社会福祉士は需要と共に地位や専門性が認められつつある資格です。

今後、更に知名度を上げていくことも期待できるのではないでしょうか。

  • 高齢者が増えれば高齢者分野。
  • 子供が増えれば児童分野。
  • 景気が悪くなり、生活が苦しい人が増えれば生活困窮者の分野。

など、社会福祉士は、社会の変化に応じて必要な分野で働き続けることができます。

良い条件で働くことができる

社会福祉士は、福祉職の中では比較的お給料が高めの求人が多いです。

働く場所にもよりますが、介護福祉士と比較すると、基本給や資格手当も高い傾向にあります。

社会福祉士は相談援助のプロ。

介護福祉士は介護のプロ。

お互い専門分野は異なりますが、福祉職の中では社会福祉士は待遇の良い資格と言えます。

ただし、地域差や夜勤の有無で、介護職員の方が給料が高い場合もあります。

仕事の幅が広がる

社会福祉士の活躍の場は、とても広く、働く場所も多岐に渡ります。

  • 高齢者や障害者、児童福祉の施設
  • 市役所や地域包括支援センター
  • 病院や保健所

など、働く場所や仕事の内容などの選択肢を広く持つことができます。

高齢者や障害者施設では、直接介護業務を行うこともあり、利用者と近い距離で働くことができます。

市役所などでは、公務員として安定した働き方が可能です。

また、病院や保健所では、医療分野の知識も身に付けることができます。

このように一口に社会福祉士と言っても、色々な働き方があり、得られる物も大きく異なってきます。

例えば、相談業務だけではなく、直接介護にも関わりたい場合は、高齢者や障害者の施設。

介護はしないで、相談業務中心に行いたい場合は、市役所や病院。

など、自分のやりたい仕事の割合に応じて、仕事を選択することが可能です。

キャリアアップも目指すことができる

社会福祉士として経験を重ねていくと、いくつかの条件がありますが自分で事務所を立ち上げ、独立型社会福祉士として活躍することも可能です。

独立型社会福祉士とは、法人や組織に属さない働き方で、自分の実力とやる気次第で可能性が広がるためモチベーションも高まるでしょう。

成年後見人も請け負えるため、施設などで働くケースとはまた違った形で相談者を援助していくこともできます。

独立型社会福祉士は、仕事の幅を自分で選択できるため、高齢者分野と障害者分野など異なる分野を掛け持つことも可能です。

中には、ケアマネージャーの資格と合わせて幅広く支援を行っている方もいらっしゃいます。

資格を活かしながら、自分自身で仕事をカスタマイズし、チャレンジしていける点は大きな魅力と言えるでしょう。

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経験者が語る!私が社会福祉士で仕事をしていてよかったと感じた瞬間

私は、社会福祉士として特別養護老人ホームや市役所・病院などに勤務してきました。

働き始めた頃は、社会福祉士として悩むことのほうが圧倒的に多かったのですが、経験を重ねるごとに、「この仕事を続けてきて良かった!」と思うことも増えてきました。

私が感じた、社会福祉士として働いてきて良かったことをご紹介します。

専門職としての自信がついた

私が高校を卒業した当時は、社会福祉士は今よりもっとマイナーな資格でした。

「知名度が低く、仕事の定義も曖昧」そんなイメージが強かったです。

専門学校を卒業し社会福祉士を取得。

生活相談員として働き始めましたが、実際の仕事の大半が雑用と現場での介護業務でした。

正直、お金をかけて専門学校に通った意味がなかったのでは?とまで感じていました。

しかし、相談員と言う立場上、介護職員よりも利用者とコミュニケーションを取れる時間は長かったため、徐々に「話をよく聞いてくれる人」と認識されるようになっていきました。

介護職員は業務に追われがちのため、「お風呂に入りたくない。」と言う人がいれば、相談員がじっくり話を聞きます。

そうすると、怒っていた利用者様・意地を張っていた利用者様も徐々に落ち着いていきます。

利用者様との距離が近く、良い関係を築いている介護職員たちを羨ましく思っていましたが、私にしかできない役割があると実感し、社会福祉士としての自信と自覚が養われていきました。

それまでは、ケアマネージャーや看護師などに引け目を感じることもありましたが、やるべき仕事が異なるのだから、比べても仕方がないと思えるようになりました。

今では、社会福祉士と言う資格に誇りと自信を持って働いています。

知識が自分の家族の役に立った

私は主に高齢者分野を中心に経験を積んできたため、介護保険制度は特に専門分野でした。

そのため、祖父母の要介護認定の申請からサービス利用の手続き、施設選びなど、自分が持っている知識をフル活用してサポートすることができました。

介護サービスをスムーズに利用できたため、介護する側の両親への負担も最小限に抑えることができたのではと思います。

親戚の相談にのることも多く、頼りにされている実感と、知識が活かせる喜びを感じています。

困っている方を助けるための制度はたくさんありますが、こちらから聞かないと教えてもらえないことがほとんどです。

この状況では、この制度が使える!と知っていると知らないとでは、その後の生活に大きな差が生じてしまいます。

その点、「知らなくて損した…。」と言うことがなく、福祉制度の恩恵をしっかり受けることができています。

体への負担が減った

専門学校を卒業して1年間は、介護職として特別養護老人ホームで働いていました。

当時は、介護職あるあるの腰痛と不規則勤務による生活リズムの乱れに悩まされる日々。

そのため社会福祉士取得後は、夜勤なしの職場へ生活相談員として転職しました。

転職後の職場でも介護に携わる機会はありましたが、その頻度は少なくなり、規則的な勤務のため、体への負担がぐっと減りました。

社会福祉士の資格を活かした生活相談員と言う立場上、体へ負担のない範囲で、大好きな現場での仕事も続けていくことができました。

感謝の気持ちで満たされる

私は、両親が共働きだったため、小さい頃から祖父母に世話をしてもらってきました。

そのため、おじいちゃんおばあちゃんが大好きで、「高齢者の方の役に立ちたい!手助けをしたい!」という純粋な気持ちから、福祉職を目指すようになりました。

しかし実際に働いてみると、想像以上に大変な仕事で理想通りには行かないことばかりでした。

次第に、「こんなに頑張っているのにお給料は低いし、残業ばかりでプライベートな時間が少ない…。」などと、不満を抱くようになっていきました。

当時は、まだ社会福祉士として働くメリットに気がついておらず、目先のことばかりを考えていたのです。

そんな時、たまたま担当したご家族から、「デイサービスを利用するようになっておばあちゃんの笑顔が増えました。ありがとうございます。」と、お礼を言われる機会がありました。

本人も「デイサービスに来ることが人生の楽しみだ!」と言ってくださり、自分も本当に嬉しかったことを覚えています。

利用者様やご家族の笑顔を見たり、感謝されるたびに、「私が福祉を志した理由は、これなんだ。」と、初心に帰らせてもらうと同時に、「こちらこそ、ありがとうございます。」と胸がいっぱいになります。

これは、社会福祉士はもちろん、福祉職の最大の魅力だと思っています。

まとめ

どんな仕事にもメリットとデメリットがあるように社会福祉士の仕事も善し悪しがあります。

しかし、メリットがデメリットを上回っているからこそ続けて行けるのだと思います。

社会福祉士としての働き方に悩んでいる方や社会福祉士を目指して頑張っている方に、いま一度、社会福祉士の魅力を感じていただけたらと思います。

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