もし、あなたがファッションにとても興味があり、人と話すのが苦にならないとしたら、靴やバッグ、アパレル関係等の販売店のお仕事が向いているかもしれません。
つまり、ファッション系の小売店舗での接客業のことです。
あなたが真剣に転職を検討中で、自分の好きな仕事、もっと馴染める仕事を探しているとしたら、販売の仕事もおすすめです。
販売の転職時に注意すべきことや転職を成功させる方法、業界事情や求人先の選び方等を、私の業界経験も交えながらご紹介します。
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販売の転職で注意した方が良い2つのこと
販売の転職で注意した方が良いこと1:ノルマ達成の為に自腹を切る場合もある
もし自腹を切ることがあれば、それは要注意です。
例えば、靴やバッグ等の小売りをしている販売店の場合、通常どんな小さなお店でも毎日・毎週・毎月の売上目標を持っています。
そして、この目標売上を半ばノルマとしているお店もあるようです。
そんなお店にあなたが勤務していた場合、どうすれば良いでのしょうか。
通常の場合、販売店が一般従業員に対してそのようなノルマを強制することはできません。
万一そのようなことが発生した場合ははっきりと断るべきです。
既に一部のコンビニ店等でこのようなことが発生し、社会問題として知られています。
それでも強要されるような場合は、すぐに労働基準監督署に届けてください。
その上で、そのような会社は早く去ることを検討すべきでしょう。
但し、その前にもちろん、同僚や直属の上司のもう一つ上の上司にも相談することも検討すべきでしょう。
また、表向きには強要はされないが、自分だけ目標売上が満たないので、つい自腹を切ってでも売上を上げたいという場合もあるかもしれません。
やはりそのような場合でも、自腹を切るのは慎むべきです。
その理由は、自分の実力で販売しなければいつまで経っても真の販売力が身につかないからです。
悔しい想いをしたとしてもそこのところは我慢して、自腹など切らないようにしてください。
自腹を切ろうと考える主な原因
私の体験から一つ言えるのは、自腹を切ろうと考える主な原因は、「自分の販売力不足」と実は「その時の運」なのです。
店舗販売店の場合、「待ちの営業」と言えます。
あなたがどんなに接客上手でも、お客様が来店されなければ、思うような売上を上げることはできません。
そして実は、いつ頃にどんな時間帯によく売れるのかは経験で分かるようになります。
また、同じ店舗には通常、ライバルがいます。
同僚や先輩後輩でもある販売員のことです。
狭い売り場だからと言って、一人だけしか販売員が配置されない売り場とは限りません。
この為、来客数の少ない平日の午前中の場合、お客様の取り合いが生じます。
そこで注意したいのは、仲間でもありライバルでもある同僚との人間関係です。
この人間関係が良好であれば、自然とお客様の取り合いが減り、お互いに順番を決めて譲り合うようになります。
ですから、普通に朝の「おはようございます」の挨拶から始めて、落ち着いている時間帯は少しでも話しかけたり話を聞いてあげるのです。
つまり、職場での人間関係に注意することです。
そうすることで、売上を上げることができるようになります。
そして、時には潔く諦めることも必要です。
実際、台風の日にはほとんどお客様は来店されません。
どうしても売上が欲しい時は、自腹を切るのではなく、本当に自分が欲しい商品を自分の勤務する店舗でいつも探し続けることです。
実際のお客様の立場で。
そして、あるタイミングで自分のお金で買えば良いのです。
例えば、売上コンテストやキャンペーンの時です。
見かけは自腹を切ったように見えるので、社員価格から更に割引いてもらって買うのです。
しかも、以前から狙っていた自分好みの商品です。
一石二鳥というわけです。
私が勤務した田舎の靴・バッグ専門店で、実際に考えた裏技です。
この店舗では、年間少なくとも4回の季節変わりの時期に販売コンテストをしていたので、このようなことを思い付いたのです。
販売の転職で注意した方が良いこと2:お客様や同僚や後輩に対してセクハラと勘違いされないように注意する
販売店は一般の事務職等と違い、店舗で直接お客様とやりとりをし、その店舗には同僚や後輩も同じ空間を共有することになります。
更に、アパレル関係の販売の場合、来店客も同僚も後輩も外見を特に意識した服装や化粧等をするので、特に異性に対しては注意が必要です。
何気ない言葉がセクハラやパワハラと見なされる場合が多いからです。
まずは自分の服装と言葉遣いに気をつけることです。
そして、とにかく丁寧な言葉を使うように心掛けましょう。
敬語や謙譲語は必ず勉強してください。
そして、決してタメ口とも言われるような言葉遣いはしないことです。
時には、何気なく褒めたつもりの言葉が、全く逆に解釈されることもあります。
私自身ではありませんが、ある同僚の男性が同じ店舗の後輩女性と親しくなり過ぎて、セクハラと勘違いされて大問題となったことがあります。
幸い共通の友人である同じ店舗の人の仲介で解決しましたが、もしこれがお客様との間で発生したら大変なことになります。
とにかく、アパレル系の店舗での販売では、もしあなたが女性なら奇抜でセクシーな服装は慎んでください。
もしあなたが男性ならば、女性への接客は細心の注意を払ってください。
とは言っても、遠慮してばかりでは適切な声掛けもできず全く販売に繋がらないのでは意味がありません。
販売の仕事は特にお客様に近づいて最初の第一声である声掛けがとても重要です。
そして、その反応を見て次の販売トークに繋げます。
直接お客様と接する機会の少ない事務職等と比べると、そのあたりが決定的に違うところです。
電話ではないので接し方の雰囲気や目線も大事で、決してじろじろ見るようではいけません。
時には演技も必要です。
要は、誤解されないような紳士的な態度をいつもキープできれば何とかなるものです。
転職を成功させる為には何をすれば良い?
転職を成功させる為にやるべきこと1:仕事内容や休日についてリアルな話を聞く
せっかく転職に成功したとしても、ある程度長続きしなければ意味がありません。
例えば、転職して数ヶ月で辞めることになったとしたら履歴にも傷がつきますし、その程度の期間では販売技術も身につかないでしょう。
そこで、転職の面接の時はとにかくその具体的な仕事内容や実際に取れる休日を確認してください。
特にファッション系の販売店舗の場合、稼ぎ時の年末年始のバーゲンセール時期や土日祝日の休日は取れないのが普通です。
その代わり、平日にしっかり取ることです。
週休二日取るのは厳しい業界です。
しかし、有休休暇は労働者に認められた立派な権利です。
半年勤務すれば、通常10日間は取れます。
ですから、例えば有休休暇がきちんと取れるかどうかは確認した方が良いでしょう。
或いは、代休や振替休日についても確認すべきでしょう。
もちろん、その仕事の内容について訊くことが最も大切です。
本当に自分の思うような仕事をさせてもらえるかどうかです。
基本は接客業なので、その時間がどの程度占めるか、雑用的な仕事にはどんなことがあるのか、等を訊くことが必要です。
できれば、教育指導方法や昇進昇格の基準も聞ける範囲で質問すべきです。
そうすることで覚悟を決め、転職を長続きさせることができます。
転職を成功させる為にやるべきこと2:転職に有利な資格を取る
この業界への転職に有利な資格があります。
日本商工会議所が主催して認定している「販売士」の資格です。
小売店舗で販売する従業員や管理職向けの資格です。
3級、2級、1級とクラスがあります。
一般的には2級まで取れれば充分です。
私も1年間かけて2級まで取りました。
筆記試験と2級以上は面接試験もあります。
もちろんこの資格以外にも最近は民間資格が沢山あるので、販売商品によっては別の専門資格も検討してください。
尚、ファッション系の商品の場合、接客時に色合わせやカラーコーディネーションの話になる場合が多いので、カラーリスト等の資格もおすすめです。
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転職するにあたっての必要な心構え
転職するにあたっての必要な心構え1:カレンダー通りに休めないことを心得ておく
前述したように、この業界では一般の事務職のようにカレンダー通りに休めることはありません。
その理由は、お客様の購買日がどうしても土日祝日に偏るからです。
その代わり、平日に休めます。
官公庁への届け出や、転職の面接、資格試験の受験日を考えると意外に便利だとも言えます。
どうしても休みたい場合は、会社や同僚のことを考えて事前に申し出ることです。
そして、他の同僚にも休めるように配慮することです。
転職するにあたっての必要な心構え2:長時間立ちっぱなしの為、体力を付けておく
また、店舗内で接客する場合が多い為、実質的には営業時間中はほとんど立ちっぱなしとなります。
じっくりと座れるような時間はあまり取れません。
ですから、その為の体力、どちらかと言えば持久力が必要です。
私の場合は、いつも早目に出勤して近くにある湖の周りをジョギングして体力を維持していました。
立ち仕事は午前中はともかく、夕方が近づく時間帯にはかなり疲れるものです。
ジョギングでなくても、スクワットとか自宅できる範囲で何か体力作りをされることをおすすめします。
販売の転職で年収を上げる為にやるべきこととは?
販売の転職で年収を上げる為にやるべきこと1:基本給が高い職場を探す
小売店舗における販売職の場合、正直言って一般の他の業界に比べると、給与水準はそんなに高いとは言えません。
しかし、残業手当等はしっかりと加算してくれる場合が多いです。
そして、この時間給は、基本給を基準に時間給が計算される場合が多いということ、またボーナス等の支給額は通常基本給が基準なります。
従って、できるだけ基本給が高い企業を選択した方が年収ベースでも有利となります。
基本給を低くして諸手当を高く設定している会社ではボーナスは少なくなりますし、残業手当や休日出勤手当も必然的に低くなると考えるべきです。
面接の時に遠慮しないで基本給の金額を確認することをおすすめします。
販売の転職で年収を上げる為にやるべきこと2:外資系のブランドの求人に応募してみる
外資系の有名ブランド店舗に応募してみるのも、年収を上げるのには最適です。
その理由は、有名なブランド店舗の商品は通常、無名ブランド店舗に比べると、その商品単価が高く利幅が多い分従業員の給与に反映されやすいことです。
また、自社ブランドに相応しい服装を求める為、低い給与水準ではそれがまかない切れないことです。
更には、ブランド店舗としてのプライドを持って接客してもらう為、待遇が良いのが普通です。
反面、要求される経験や資格等は相当に厳しい面もあるので、それなりの覚悟は必要です。
販売の転職で人気の業界とその理由
アパレルショップ
アパレル業界のショップは、販売の転職では人気が高い業界です。
その理由は、その他のショップに比べて本当に綺麗な職場の中で自分が主役となって接客できること、つまり見た目に華やかさのある職場環境であることです。
また、そのブランド店舗の商品を自分で着こなしながら販売できるというメリットもあります。
自分の好みの私服がそのまま制服のようにして接客できるというところも、その人気の理由の一つです。
自分に合った販売の求人の選び方や注意点
販売の求人においては、その雇用形態や職種、会社の業態、雇用条件、エリア、ブランド等の違いによっては、自分に合わない場合もあり得ます。
事前に充分にその点を注意してから選ぶようにしてください。
【選び方①】雇用形態から探す
自分に合う雇用形態、例えばパート・アルバイトにするか、正社員で応募するかをまず決めてから探します。
希望する会社がどちらか一方しか募集していない場合、あなたが応募することができない場合もあり得ます。
まずは自分でどの雇用形態なら継続的に勤務できるのかを確認した上で、販売職を探してみてください。
直接雇用なのか、人材派遣でも構わないのかという面での心づもりも必要です。
【選び方②】職種から探す
また、職種から探す方法もあります。
販売の転職の場合、通常は自社直轄の店舗内での販売が多いはずですが、中には移動販売であったりラウンダーや派遣という名称で勤務する店舗が一定しない場合もあります。
接客がメインと思っていても、実際はバックヤードの仕事がメインで商品補充専門要員であったりクレーム受付専門、パッケージ専門である場合もあるからです。
自分の希望の職種を明確にした上で探してください。
尚、メインが接客販売の場合でも、棚卸しや商品補充業務は付随業務として必ずあることも頭に置いてください。
私も、決算期はいつも棚卸し業務を全社員参加でやっていた記憶があります。
【選び方③】会社の業態から考える
会社の業態も事前に確認すべきです。
販売店舗とは言っても、消費者へ直接に販売する小売の業態の場合と、メインは卸売りだけれども小売りもしているような業態の店舗もあります。
また、メーカー直販の店舗とフランチャイズ店舗の場合もあり、それぞれ違いがあるので注意してください。
【選び方④】給与や雇用条件から考える
もちろん、仕事として選択するからには給与やその他の雇用条件も事前に検討する必要があります。
例えば、残業が多いかどうか、週二日の休日が取れるかどうか、ボーナスはどれくらい見込めそうか、有給休暇等の取得に問題がないかどうか、昇給昇格の条件は何か等様々です。
【選び方⑤】エリアから考える
更に、その店舗のエリアも考えなくてはなりません。
通勤時間の問題やそのエリアの客層も考える必要があります。
エリアの客層によっては、接客の在り方や自分の服装も変える必要があるからです。
あまりにも遠い職場でしかも電車通勤の場合、職場に到着した時点で既に体力を消耗してしまっているという可能性もあります。
都市部の商業地なのか、工場の多い工業地なのか、下町か高級住宅街なのかによって売れる商品も違います。
自分に合ったエリアという問題も充分に検討してください。
【選び方⑥】好きなブランドから考える
尚、自分の好きなブランドの直営店もしくは取扱い店舗を重視して、販売の転職を検討するという考え方もあります。
自分の好きなブランドということはお客様の立場がよく理解できているということなので、接客もやりやすいという面があります。
また一からそのブランド独特の商品知識や販売スタイルを勉強する必要がなく、より早く店舗販売のコツを習得することが可能です。
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まとめ
販売の転職を成功させるには、以上述べましたように様々な要素があります。
しかし、一番重視してほしいのは、その志望動機です。
なぜ、「この販売の転職を選択したのか」です。
自分が最もやりたい憧れている仕事かどうかを、まず考えてください。
好きなことをするのがその道で成功する秘訣です。
その上で、その他の具体的な条件を優先順位を付けた上で選択してください。
私の経験から言うと、最初は雑用のような仕事も沢山あります。
また、競合店もあれば、職場の中にもライバルがいます。
個人プレーだけでは成功することは困難です。
上司、先輩、後輩、仕入先等との関係も非常に大事です。
その人達から学べることが沢山あります。
また、この業界は通常あまり休日も取れない場合が多いこと、立ち仕事で結構体力勝負的な面もあります。
そこで、2年後3年後くらいの自分の成功した姿をゴールイメージとして絶えず描きながら、まずは忍耐です。
そして、必要に応じて販売士やカラーリスト等の資格にも挑戦してみてください。
そうすることで、必ず販売の転職に成功するものと信じています。