警備員は偏見だらけの仕事です。

「キツイ」「年寄り向け」「低学歴の仕事」と呼ばれています。

しかしそれは本当のことでしょうか。

仕事なのですから向き不向きはあります。

ですがそれ相応のやりがいはいくらでも感じられる仕事です。

そんな意外にベールに包まれた警備員のやりがいを、施設警備を経験した筆者がお教えします。

警備員とはどんな仕事?

警備員は「守る」「防ぐ」を目的とした監視業務です。

工事現場の車両の出入り、人が多く集まる場所の防犯や安全管理、貴重品や要人の護衛など、「守ったり」「防いだり」します。

警察とよく一緒くたにされるのですが、警察は「守る」「防ぐ」の他に「管理する」「取り締まる」業務があります。

また警備員は万引き犯など、現行犯で捕まえることが出来る資格がありません。

警備員の仕事については、こちらの記事を参考に!

警備員の具体的な仕事内容とは?

警備員の中でも『施設警備員』に絞って紹介していきましょう。

施設警備員はその名の通り、大型商業施設や小売店、マンションなどの防犯や安全管理をする仕事です。

具体的な業務

巡回

警備員の基本となる仕事です。

商業施設の店頭を徒歩で移動し、実際に自分の目で監視します。

定期的にルートを変えて、一日に何回も行います。

監視の他にも制服姿の警備員の姿を見せることで利用者への『安心感』並びに心良からぬ者の『犯罪の抑制』のために行います。

加えてバックヤードも巡回し、避難通路の確保や車椅子や非常時のアイテムの有無も確認します。

また施設外周も巡回します。

この際には駐車場の不正利用や荷物の放置、非常口の施錠などを確認します。

この業務は巡回に出た時・戻ってきた時は必ず上長に敬礼して報告します。

入退館管理

施設の従業員や業者の出入りを管理します。

出勤した人や退勤する人には手荷物検査をしてもらい、元気よく挨拶して送り出します。

業者は名刺や免許証などで本人確認を行い、不審人物でないと判断してから通します。

監視

施設の中に『防災センター』を設け、そこに常駐して監視カメラの映像で監視を行います。

監視カメラはパソコンと連動しており、クリック一つでカメラの向きや映像の切り替えが出来ます。

安全管理

施設の店舗全てのドアやシャッター、金庫や窓の鍵は全て警備員が管理します。

毎日決められた時刻に鍵の有無をチェックし、全て報告書にまとめていきます。

一つでも鍵が足りない場合は、見つかるまで点検作業を続けます。

落とし物の管理

店舗内を巡回中、トイレや荷物ロッカーに忘れ物が出ることがあります。

特に雨の日の傘が多く、それらは全てまとめて防災センターに保管されます。

一週間分をまとめて鍵がかかるところにしまい、一週間毎に警察に引き渡します。

それら物品全てを管理し、これも報告書にして提出します。

一週間で忘れ物はおよそ100個近くにもなり、トイレットペーパー、ランドセル、買い物袋まるまるの事もあります。

違法駐輪・違法駐車管理

毎日駐輪場や駐車場を見て回り、営業時間外の駐輪や駐車を探します。

車種・ナンバー・車体の色を確認して全て記録します。

それぞれ『一週間経っても放置したままの場合は強制撤去する』という旨の張り紙をし、一週間経っても無くなっていない場合は強制撤去となります。

これも警察へ引き渡します。

有事には出動

トイレで気分が悪くなった人が居る、エスカレーターやエレベーターが急停止した、駐車場で接触事故が起きたという時、真っ先に警備員が駆けつけます。

該当の場所で走らず迅速に、最低一人が駆けつけて現場を確認し、状況に応じて応援や救急車、設備担当を呼びます。

実際に経験したことでは「エスカレーターの上から謎のネジが降ってきた」と連絡があり、警備員も設備担当も肝を冷やした事がありました。

立哨

現場にずっと立ち尽くしていることです。

床が汚れて清掃が来るまでの間、現場への一般客の接近の防止など、人を近づけてはならない場所に立ちます。

この間は決してその場を離れてはいけません。

仕事の流れ

出勤したらまずは必需品を携帯する

必需品はマスターキーを含む鍵束、無線機、メモ帳とペンです。

鍵束はそのまま提げず、必ず専用のポシェットに入れて腰に着けます。

無線機は使用できる状態であるか確認して、これも腰に子機、胸元にマイク、耳にイヤホンを装着します。

メモ帳とペンはセットで携帯します。

警棒は施設警備には必要ありません。

仕事内容は結構気分次第

何時に誰が巡回に出るか、鍵の管理が誰がするかは意外に決まっていません。

「ちょっと巡回行ってくるわ」という声掛け、この程度で巡回が始まります。

後は臨機応変に巡回に出たりバックヤードを監視したりします。

この時入退館管理だけは無人にならないようにします。

また警備員の主な勤務地である防災センターには、必ず上官が常駐します。

入退館管理は防災センターで行うのが一般的なので、防災センターには常に最低二人は居るようにします。

有事の場合

トイレや授乳室で気分が悪い人が出た場合、防災センターに備え付けの防災ランプが着いたり、警備員に無線連絡が入ったりします。

その場合巡回中で一番近くに居る人や、防災センターから警備員が現場に行きます。

この場合も防災センターには必ず一人は残ります。

また女性トイレや授乳室の場合は女性警備員のみで向かいます。

機械が急停止した、車で事故が起きた、置き引きがあったなどの連絡も同様です。

この時は警備員が現場に行き、状況によって警察を呼んで対処します。

床が汚れている、壁に落書きがある、トイレットペーパーが無くなっている時には防災センターに連絡し、清掃担当を呼び出します。

清掃が来るまで立哨して、通行する人に注意喚起を促すのも忘れずに。

忘れ物や落とし物を発見した場合は、そのまま防災センターには行きません。

まずインフォメーションカウンターやサービスカウンターに行き、館内放送で持ち主を捜します。

それでも見つからない場合、防災センターでの保管となります。

一日を通じて防災センターには二、三人、巡回や出動要員に二、三人居れば仕事は回せます。

警備員の仕事でやりがいを感じた2個の瞬間+α

警備員は「夜のため人のため」に働きたい人にはもってこいの仕事です。

利用者や近隣の人の「有難う」「助かりました」は何にも代えがたいものです。

今回はそんあやりがいを感じられた瞬間を二つ紹介します。

加えて珍事件も二つ紹介します。

やりがいを感じた時

事故現場にて

屋上駐車場にて、車のドアを開けた際に隣の車にぶつけてしまった、と防災センターに連絡がありました。

車にはごく僅かなかすり傷がついた程度だったのですが、自ら申し出てきた誠実なお客様は警備員にも警察にも、真摯に状況説明をして、あいにく不在だった傷ついた車の持ち主に弁償したいとおっしゃいました。

新人でただ立証していただけの筆者ですが、事故が片付いた時のお礼は何とも言い難いものでした。

入退館管理にて

施設警備の仕事はまず入退館管理から始まります。

防災センターの窓口に立って、従業員や業者の出入りを見ていきます。

そこで警備員は、積極的に「おはようございます」「お疲れ様でした」と挨拶します。

まるでリアクションしてくれない人も多いですが、会釈したり返事をしてくれる人も多いです。

ただ一言の挨拶なのに、いい気持ちで働けるものです。

珍事件

防災無線の罠

無線は胸元に装着したマイクに向かって話し、イヤホンで返事を聞く使い方をします。

そこは無線なので、目の前での会話とは聞こえ方が異なることもあります、また自然としたを向いて喋るので、喉が詰まることもあります。

商業施設のペットショップ前でのことです。

巡回中に床に黄色い液体を発見した筆者は、色と場所からペットのおもらしだと判断しました。

無線で防災センターに連絡したところ「尿」という言葉が聞き取りづらかったらしく「ペットショップの前に尿らしきものがある」と伝えたつもりが「ペットショップの前に妙な物がある」と伝わっていました。

謎のネジ

防災センターに居る時に、お客様から「エスカレーターに乗っていたら目の前に何か落ちてきた」と聞いた従業員から通報がありました。

筆者は現場には行かなかったのですが、監視カメラには停止したエスカレーターと先輩二人の姿が映っていました。

どうやらエスカレーターの部品であるネジが、大勢のお客さんが乗っている内に緩んでしまったそうですが、警備員と機械設備担当一同、機械から落ちた『謎のネジ』に戦慄したものです。

警備員になるためにやるべきこととは?

警備員は実は着の身着のままで始められる仕事です、制服は支給だし、必要なものはメモ帳とペンだけという気軽さです。

しかし軽い気持ちのまま働くのはいただけません。

他人の安全を確保して守る仕事なので、それなりに心構えが必要です。

施設を利用する

施設警備として根幹となり基礎となる仕事『巡回』は、施設内を隅から隅まで回る仕事です。

売り場の一階から屋上階、駐車場や駐輪場、バックヤードまで、行かないところはありません。

どこにそんな店舗があるかも把握している必要があります。

そのために、施設内を一度お客さんとして利用してみます。

お気に入りの店や携帯ショップなど、本当に何も意識せずにお客さんとしてウィンドウショッピングするのです。

店の位置を覚えられ、巡回がスムーズになります。

警備員を監視する

お客さんとして施設に来た傍ら、巡回中の警備員を捜してみます。

どんな事をしているのか、どこをどう回って何をしているのかを予習出来ます。

ただしあまりじっと見つめたり追いかけ回したりしないように。

実はこの「じっと見つめたり追いかけ回さい」というのは巡回にとても必要なスキルでもあります。

「見てないふりして見る」クセが警備員には必要です。

実は必要ないこと

格闘術や格闘技経験、武術の心得は全く必要ありません。

体の小さい女性でも警備員になれるほどです。

刃物を持った犯人と対峙するのは、警備員の仕事ではありません。

警備員の仕事の将来性は?

これまでは『今までの』警備員の姿を紹介してきましたが、『これからの』警備員についても触れていきましょう。

警備員は常に人手不足で、求人が絶えることはありません。

それも警備員になりたい人の絶対数の少なさが原因です。

これからの警備員のあり方

警備員は大型施設の乱立や、大手小売業の出店に伴って仕事が増えていく、成長しなければならない仕事です。

特に女性用の店舗や施設などに常駐できる女性警備員は、どこの会社も施設も喉から手が出るほど欲しい人材です。

しかし「キツイ」「ダサい」とマイナスイメージの強い警備員になりたがる人は、女性のみならず男性でもほとんど居ません。

警備の仕事は底辺だと馬鹿にする人も居ます。

警備員は人々の安全のため必要なものです。

イメージだけで判断せず、まっとうな仕事だと認知されなければ、需要に比べて供給の少ない状態は続くでしょう。

警備員として一人前になるには

警備員は知識より経験重視の仕事です。

学歴も関係なく、年齢さえクリアしていればなることが出来ます。

なのでまずはとにかく『警備業界の門を叩き』『勤続年数を重ねること』です。

覚えることもたくさんありますし、のしかかる責任も軽くはありません。

しかし年数を重ねれば身についていくことばかりです。

失敗が人命に繋がることもある仕事ですから、真面目に、真摯に働き続けることです。

警備員と他業種

まずは警備員の前職ですが、これはなんでも構いません。

筆者はパティシエの卵でしたし、先輩にはパン屋さん、電気技師、バイト未経験の大学生も居ます。

警備員のために特別なキャリアを積む必要はありません。

逆に警備員からの転職も、これもやりたいことを優先していいでしょう。

ただし警備員の中には警備員から警備員と、会社だけ変える人も珍しくありません。

全く未関係の職種よりとっつきやすい事もあります。

また警備員は高齢でも働けるので、引退後のアルバイトとして始める人も居ます。

まとめ

いかがでしょうか。

前述の通り警備員は「底辺の仕事」と呼ばれ、他で働けない人が仕方なく働く仕事、と考えている人は決して少なくありません。

事実仕事内容は簡単で高齢者も居るのですが、実は誰でも簡単に出来ることでもないのです。

特にネットでは警備員へのマイナスイメージは強く、踊らされる人も多いのも事実。

しかしやってみなければ解らないものです。

警備員が天職となる人が増えることを願わずにはいられません。


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